クラスカースト最下位の僕、ジョブが【レジスタンス】だったので追放されました。でもなんかムカつくので実際に反乱軍を組織して国家転覆を目指します

尾関 天魁星

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【第二章】バーゲス監獄編

【第二十四話】とある情報

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 ~王国暦七〇九年 七月~
 
 
 脱獄騒動があってから、ひと月が経った。
 
 
 相変わらず兵の監視は厳しく、囚人たちも萎縮している。
 
 
 ヘルベルトやザイフェルトと会話する機会も、かなり減ってしまっていた。
 
 
 今のままでは、脱獄は不可能だろう。
 
 
 そんな中、偶然にも三人が同じ刑務労働に配された。
 
 
「相変わらず、監視が厳しいね」
 
 
「ええ、私が撒いた銭も、もう効かなくなりました。こうやって三人が揃うのも、次はいつになるのか」
 
 
 すでに、雨季は過ぎている。
 
 
 これからは暑い時期が続き、さらに刑務労働が過酷になるだろう。
 
 
「再び監視の目が緩むまで待つしかないだろうね・・・」
 
 
 二人にはまだ話していなかったが、雪が積もれば脱獄出来るかもしれないと考えていた。
 
 
 いずれにせよ、それは何か月も先の事である。
 
 
 ◇◇◇◇◇
 
 
 その日の深夜だった。
 
 
 寝ていた僕は、気配を感じて目が覚めた。
 
 
 気配を感じて起きるのは、これが二度目である。
 
 
 今回も、ヘルベルトだった。
 
 
「どうしたの?」
 
 
「起こしてしまって、申し訳ありません」
 
 
 ヘルベルトは、地面に正座していた。
 
 
 思い返せば、彼が横になって眠っているのを、僕は見たことがなかった。
 
 
 いつも、僕が寝る時も座っているし、起床する時には彼もすでに起きているのだ。
 
 
「今日、とある兵士から聞きました。どうやら近日中に、このバーゲス監獄に王都からの視察団がやって来るそうです」
 
 
 脱獄事件が起きてこの方、ヘルベルトが事前に撒いた銭は効かなくなっていた。
 
 
 刑務労働の配属を操作する事はもう出来なくなったはずだが、どうやら情報を提供してくれる人物はいるようだ。
 
 
「視察団って、つまりは?」
 
 
「おそらく、脱獄事件が発生した事が王国軍の中央に発覚し、締め付けの意味も込めて視察団を派遣したのでしょう」
 
 
「それってもしかしたら、更に囚人への締め付けが厳しくなるかもしれないってこと?」
 
 
 脱獄するチャンスが、ますます遠ざかってしまうかもしれない。
 
 
「おそらくは、そうなるでしょう。それに、ここの牢役人は不正や改ざんをする事で有名です。もしかしたら、それについての調査も兼ねているのかもしれませんが」
 
 
 牢役人が替わる可能性も、あるということだろう。
 
 
「教えてくれてありがとう、ヘルベルト。もしかしたら、何か変化が起きて事態が変わるのかもしれない」
 
 
 いい方向に変わるとは言い切れない。
 
 
 もっと悪くなる可能性の方が、大きいのかもしれない。
 
 
 しかし、それを口にするのはやめた。
 
 
 ◇◇◇◇◇
 
 
 七月も終わろうとしていた頃、例の視察団が到着した。
 
 
 
 
 
 そして、その視察団を束ねていたのは、あのスタンナードだった・・・。
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