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【第二章】バーゲス監獄編
【第二十三話】脱獄当日
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三人で脱獄の計画を立てた翌日から、僕たちは様々な準備をした。
それぞれの刑務労働の場所から、抜け出せそうな所を探したり、監視の兵それぞれの特徴なども調べあげた。
監視が厳しい兵は、幸いにもごく一部で、あとの兵は監視が緩い。
抜け出しても、夕方の集合までは気付かれないだろう。
さすがに北にあるという山小屋までのルートは確認出来なかったが、それはヘルベルトを信じるしかない。
そうやって地道に準備を整え、細かい情報共有までした。
そして六月も下旬になり、雨や霧が出るようになった。
その日の朝は、深い霧だった。
ヘルベルトの手筈通り、三人は同じ刑務労働に就いていた。
銭が効いている。
監視の兵は、やはりほどほどにサボっていた。
三人で視線を合わせる。
「「よし」」
目を盗んで、駆け出そうとした、その時だった。
「集合!」
監視からの、合図だった。
どうしてこんな時に。
「仕方ない、行こう」
僕は言い、三人で集合場所まで戻った。
「霧が出ている日は、こまめに点呼を行うことになっている。そこに並べ」
そのようなルールがあるとは、知らなかった。
もしあのまま逃げていたら、危ないところだった。
しかし、これでもうタイミングを失ってしまった。
不幸なことに、霧は晴れ始めている。
空を見るに、雨も降りそうにない。
点呼が終わると、監視たちがざわつき始めた。
「二人、足らないぞ」
兵の一人が、そう言った。
僕たち三人は、顔を見合わせた。
兵の一人が、馬に乗って監獄の方に駆け去っていった。
連絡と、捜索の兵を要請するのだろう。
念の為、僕たちは刑務労働を中断し、監獄に戻らされることになった。
僕たちの他に、脱獄を狙っていた囚人が居たのだ。
先を越された。
「これでこれからは、監視が強化されてしまうでしょう」
ヘルベルトは、残念そうに小さく呟いた。
最大のチャンスだったのだ。
計画は、白紙に戻った。
◇◇◇◇◇
翌日、脱獄した囚人が二人とも捕縛された。
南の林の中に隠れているのを、捜索に出ていた監獄の兵士が発見したらしい。
その二人は、囚人が見ている前で首を刎ねられた。
僕たちへの、見せしめだろう。
「僕たちも脱獄に失敗したら、あんなふうに・・・」
僕は、背中に寒いものが走った。
「雨季の間に脱獄するのは、諦めましょう」
ヘルベルトは言い、ザイフェルトも大きく頷いた。
そしてその日から、刑務労働中の監視が倍になり、夜間の巡回もしっかりと行われるようになった。
事態は、最悪になりつつあった。
同じ手は、もう使えない。
今回の脱獄騒動で、ヘルベルトが事前に撒いた銭は、効かなくなった。
三人が同じ刑務労働になるには、運しか無いのだ。
しかし、それでも僕は諦めなかった。
それぞれの刑務労働の場所から、抜け出せそうな所を探したり、監視の兵それぞれの特徴なども調べあげた。
監視が厳しい兵は、幸いにもごく一部で、あとの兵は監視が緩い。
抜け出しても、夕方の集合までは気付かれないだろう。
さすがに北にあるという山小屋までのルートは確認出来なかったが、それはヘルベルトを信じるしかない。
そうやって地道に準備を整え、細かい情報共有までした。
そして六月も下旬になり、雨や霧が出るようになった。
その日の朝は、深い霧だった。
ヘルベルトの手筈通り、三人は同じ刑務労働に就いていた。
銭が効いている。
監視の兵は、やはりほどほどにサボっていた。
三人で視線を合わせる。
「「よし」」
目を盗んで、駆け出そうとした、その時だった。
「集合!」
監視からの、合図だった。
どうしてこんな時に。
「仕方ない、行こう」
僕は言い、三人で集合場所まで戻った。
「霧が出ている日は、こまめに点呼を行うことになっている。そこに並べ」
そのようなルールがあるとは、知らなかった。
もしあのまま逃げていたら、危ないところだった。
しかし、これでもうタイミングを失ってしまった。
不幸なことに、霧は晴れ始めている。
空を見るに、雨も降りそうにない。
点呼が終わると、監視たちがざわつき始めた。
「二人、足らないぞ」
兵の一人が、そう言った。
僕たち三人は、顔を見合わせた。
兵の一人が、馬に乗って監獄の方に駆け去っていった。
連絡と、捜索の兵を要請するのだろう。
念の為、僕たちは刑務労働を中断し、監獄に戻らされることになった。
僕たちの他に、脱獄を狙っていた囚人が居たのだ。
先を越された。
「これでこれからは、監視が強化されてしまうでしょう」
ヘルベルトは、残念そうに小さく呟いた。
最大のチャンスだったのだ。
計画は、白紙に戻った。
◇◇◇◇◇
翌日、脱獄した囚人が二人とも捕縛された。
南の林の中に隠れているのを、捜索に出ていた監獄の兵士が発見したらしい。
その二人は、囚人が見ている前で首を刎ねられた。
僕たちへの、見せしめだろう。
「僕たちも脱獄に失敗したら、あんなふうに・・・」
僕は、背中に寒いものが走った。
「雨季の間に脱獄するのは、諦めましょう」
ヘルベルトは言い、ザイフェルトも大きく頷いた。
そしてその日から、刑務労働中の監視が倍になり、夜間の巡回もしっかりと行われるようになった。
事態は、最悪になりつつあった。
同じ手は、もう使えない。
今回の脱獄騒動で、ヘルベルトが事前に撒いた銭は、効かなくなった。
三人が同じ刑務労働になるには、運しか無いのだ。
しかし、それでも僕は諦めなかった。
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