クラスカースト最下位の僕、ジョブが【レジスタンス】だったので追放されました。でもなんかムカつくので実際に反乱軍を組織して国家転覆を目指します

尾関 天魁星

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【第二章】バーゲス監獄編

【第二十二話】脱獄計画

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「考えていたことって?」
 
 
 僕とザイフェルトは、ヘルベルトに注目した。
 
 
「六月から七月にかけて、この地域では雨季があります」
 
 
 日本で言う、梅雨のことだろう。
 
 
 四季といい十二月制といい、日本とほとんど同じだった。
 
 
「雨季になると、霧が発生しやすくなります。特にこの監獄は平地ありますが、その周りは山に囲まれている。つまり、霧が溜まりやすいのです」
 
 
 確かに、日本でもその時期は霧が多かったような気がする。
 
 
「その霧に紛れて、逃げ出すということだな!」
 
 
 ザイフェルトが閃いたように言って、自分の口を押さえた。
 
 
 幸いにも、監視の兵は近くには居ない。
 
 
「そうです。刑務労働は監獄の外に出て行うので、監視の目を盗んで抜け出すのは可能でしょう」
 
 
 方法そのものは、実に単純だった。
 
 
 これだけ監視が緩ければ、抜けるのは簡単だろう。
 
 
 しかし、見つかれば死刑というのが、囚人を思い留まらせたのだろう。
 
 
「なるべく、雨が降りそうな時に決行しましょう。そうすれば、追跡するのは難しい」
 
 
「しかし、そう簡単にいくのかな」
 
 
 どうしても、僕は不安が拭えなかった。
 
 
 逃げたとして、本当に追っ手をまけるのか。
 
 
 追っ手をまいたとして、その後はどうするのか。
 
 
「この監獄に入る前、周辺の地形などを確認したのですが」
 
 
 ヘルベルトは、僕が不安がっているのを察して、話し始めた。
 
 
「この監獄から北に十キロほど行くと、深い森と山があります。その森の中に、随分長いこと使われていない小屋がありました。そこに繋がる道もなく、目印も無いので迷いやすい。潜伏するには、持ってこいではありませんか」
 
 
 そこまで詳しく調べていたとは、僕は驚いていた。
 
 
 事前に、脱獄する計画を立てていたとしか思えない。
 
 
「分かった、霧が出ている日に、抜け出そう」
 
 
「だが、三人が別々の刑務労働だったらどうするんだ?」
 
 
 ザイフェルトが言った。
 
 
 それぞれの刑務労働の場所は、かなり離れている。
 
 
「それは、問題無い」
 
 
 ヘルベルトは、意外にも自信ありげに言った。
 
 
「ここの兵士に銭を握らせると、選んだところで刑務労働をさせてもらえる」
 
 
「そんな事が出来るのか」
 
 
 つまりは、賄賂である。
 
 
 監視が緩いだけではなく、賄賂まで受け取るらしい。
 
 
 兵士の末端の末端まで、不正に満ちている。
 
 
 しかし、今はそれが救いである。
 
 
「だが、肝心の渡す銭はどうするんだ?」
 
 
 僕がそう質問しても、ヘルベルトはまだ自信ありげだった。
 
 
「それも事前に、手は打ってあります」
 
 
「どういう事だ?」
 
 
「実は、この監獄に入る時に、何人かの兵士に銭を握らせてあります。なので、ちょっとした事なら聞いてくれます」
 
 
「それはなんと」
 
 
 
 
 
 
 ヘルベルトは、思っていたより用意周到だった。
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