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【第二章】バーゲス監獄編
【第二十一話】やみくも
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反乱を起こすと決意したものの、何をやればいいのか、何から手を付ければいいのかが、全く分からなかった。
思い描いている反乱というものは、僕の頭にはある。
何万という兵を従えて、戦争をする。
敵は王国そのものではあったが、戦力同士のぶつかり合いは避けられない。
ヘルベルトの話によると、テレスリアム王国軍は百万人を超える兵隊を抱えているという。
いずれにせよ、反乱勢力も大軍でなければならない。
そして、それだけの大軍を維持するだけの、お金も必要である。
さぞ莫大な金額が、必要になるだろう。
何年もかかる長い戦いになるだろうから、その莫大なお金を継続的に生み出し続けなければならない。
王国側は税金でまかなえるが、我々は自分で稼がなければならないのだ。
やらなければならない事は、実に膨大だった。
しかし、やると決めた道である。
何年、何十年掛かろうと、必ずやり遂げるのだ。
僕が生きている限り、いや、同じ志を持っている仲間が一人でも残っている限り、僕の反乱は終わらないのだ。
刑務労働の隙を見ては、ヘルベルトからこの世界について教わった。
召喚されてすぐに囚われたので、この世界の常識は一切分からないのだ。
文字も、ヘルベルトから教わった。
ザイフェルトも文字が読めなかったので、二人して勉強した。
夜になって牢に戻っても、地面をなぞって文字の練習をする。
ザイフェルトも、同じように書く練習をしているらしい。
一ヶ月が経つ頃には、ほとんどの文字は覚え、読み書きは何とか出来るようになった。
ザイフェルトはまだ時間が掛かりそうだったが、進み具合は順調だった。
多分、僕は元々日本語の読み書きが出来たので、文字を覚える容量を掴んでいたのだろう。
だからザイフェルトよりも、早く覚えることが出来たのだ。
◇◇◇◇◇
~王国暦七〇九年 五月~
春も半ばに入り、過ごしやすい季節になった。
刑務労働は相変わらず過酷だったが、寒くないというだけで、とても有難いことだった。
「反乱を起こすと決意したあの日から、一ヶ月を過ぎた。そろそろ、具体的な計画を決めようと思う」
刑務労働中、監視の目を盗んで三人で集まった。
この所、特に監視が緩くなっている。
「何を始めるにせよ、まずはこの監獄を出なければなりません」
それは、僕も分かっていた。
「このままここに居て文字の練習ばかりしていても、外の情勢などは一切分かりません」
「それは、僕もそう思う」
「脱獄か・・・」
ザイフェルトは、気難しそうに言った。
九回も監獄を出入りしたが、脱獄したことは一度も無いという。
そもそも、脱獄して捕まれば、即刻死刑だった。
「最近、考えていたことがあります」
沈黙を破ったのは、ヘルベルトだった。
思い描いている反乱というものは、僕の頭にはある。
何万という兵を従えて、戦争をする。
敵は王国そのものではあったが、戦力同士のぶつかり合いは避けられない。
ヘルベルトの話によると、テレスリアム王国軍は百万人を超える兵隊を抱えているという。
いずれにせよ、反乱勢力も大軍でなければならない。
そして、それだけの大軍を維持するだけの、お金も必要である。
さぞ莫大な金額が、必要になるだろう。
何年もかかる長い戦いになるだろうから、その莫大なお金を継続的に生み出し続けなければならない。
王国側は税金でまかなえるが、我々は自分で稼がなければならないのだ。
やらなければならない事は、実に膨大だった。
しかし、やると決めた道である。
何年、何十年掛かろうと、必ずやり遂げるのだ。
僕が生きている限り、いや、同じ志を持っている仲間が一人でも残っている限り、僕の反乱は終わらないのだ。
刑務労働の隙を見ては、ヘルベルトからこの世界について教わった。
召喚されてすぐに囚われたので、この世界の常識は一切分からないのだ。
文字も、ヘルベルトから教わった。
ザイフェルトも文字が読めなかったので、二人して勉強した。
夜になって牢に戻っても、地面をなぞって文字の練習をする。
ザイフェルトも、同じように書く練習をしているらしい。
一ヶ月が経つ頃には、ほとんどの文字は覚え、読み書きは何とか出来るようになった。
ザイフェルトはまだ時間が掛かりそうだったが、進み具合は順調だった。
多分、僕は元々日本語の読み書きが出来たので、文字を覚える容量を掴んでいたのだろう。
だからザイフェルトよりも、早く覚えることが出来たのだ。
◇◇◇◇◇
~王国暦七〇九年 五月~
春も半ばに入り、過ごしやすい季節になった。
刑務労働は相変わらず過酷だったが、寒くないというだけで、とても有難いことだった。
「反乱を起こすと決意したあの日から、一ヶ月を過ぎた。そろそろ、具体的な計画を決めようと思う」
刑務労働中、監視の目を盗んで三人で集まった。
この所、特に監視が緩くなっている。
「何を始めるにせよ、まずはこの監獄を出なければなりません」
それは、僕も分かっていた。
「このままここに居て文字の練習ばかりしていても、外の情勢などは一切分かりません」
「それは、僕もそう思う」
「脱獄か・・・」
ザイフェルトは、気難しそうに言った。
九回も監獄を出入りしたが、脱獄したことは一度も無いという。
そもそも、脱獄して捕まれば、即刻死刑だった。
「最近、考えていたことがあります」
沈黙を破ったのは、ヘルベルトだった。
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