クラスカースト最下位の僕、ジョブが【レジスタンス】だったので追放されました。でもなんかムカつくので実際に反乱軍を組織して国家転覆を目指します

尾関 天魁星

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【第一章】王都追放編

【第九話】僕の処遇

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 日が暮れた。
 
 
 国王だけでなく、クラスメイトやスタンナードも飽き飽きしていた。
 
 
「もう良い」
 
 
 痺れを切らした国王が、口を開いた。
 
 
「これだけ痛めつけても何も言わないという事は、魔王側のスパイではないのだろう」
 
 
 ようやく、信じてもらえたようだ。
 
 
「しかし、ジョブが【レジスタンス】だったのは確かなのだ。このまま、英雄の方々と同じ待遇というわけにはいくまい」
 
 
 僕だって、こんな酷い拷問をする国王の元で生活するのはごめんだ。
 
 
 あのクラスメイトと共に過ごすのを想像するだけで、反吐が出る。
 
 
「ユキト、貴様を王都から追放する」
 
 
 国王は、そう言い放った。
 
 
「国王陛下、生かしておくのですか!」
 
 
 国王のそばに居た大臣たちが、不服そうに言う。
 
 
 誰もが、僕を処刑するつもりだったようだ。
 
 
「確かに最初にも言ったが、反逆罪は即刻死刑である。しかし、英雄の方々の中には、反対の声もあるのだ」
 
 
 僕は、耳を疑った。
 
 
 あのクラスメイトの中に、僕の処刑に反対した人が居たのか。
 
 
 僕自身でさえ、信じられないことだった。
 
 
 僕がこのまま処刑されても、みんなは微塵も心を動かさないと思っていたのだ。
 
 
「こ、国王陛下がそう仰るなら・・・」
 
 
 周りの大臣たちは、納得がいってない様子だ。
 
 
「改めて言い渡す。貴様は王都から追放し、罪人の烙印を押した上で辺境の収容所に移ってもらう」
 
 
 それだけ言うと、国王は姿を消した。
 
 
 大臣や役人も解散し、クラスメイトも各々散ってゆく。
 
 
「今夜も地下牢だ。収容所への移送は、明日にする」
 
 
 スタンナードが言った。
 
 
 その通りに、地下牢で夜を明かした。
 
 
 背中の傷は、ひどいものだった。
 皮膚は破れ、肉が裂けている。
 周りの肉が腐らないのは、僕が召喚された人間だからなのか。
 
 
 寝ずに、様々なことを考えていた。
 
 
 国王の言うことが正しければ、召喚された人間でも死ぬことはあるという。
 
 
 それ以外に何か能力や制限、ルールなどはあるのだろうか。
 
 
 分からないことが、とにかく多い。
 
 
 クラスメイトもどれだけの情報を持っているのだろう。
 
 
 処刑されないとなれば、これからの事を考える必要が出てくる。
 
 
 しかし夜が明けても、考えはまとまらなかった。
 
 
 ◇◇◇◇◇
 
 
 数人の兵士を連れて、スタンナードが現れた。
 
 
「今日で貴様ともお別れだな、ユキト」
 
 
 強引に牢から引きずり出され、連行されていった。
 
 
 右手の甲とうなじに焼き印を押された。
 
 
 罪人である事を表す烙印である。
 
 
「この烙印は一生、消えることはない。罪人は、死ぬまで罪人なのだ」
 
 
 スタンナードは哀れな者を見るような目を向け、姿を消した。
 
 
 
 
 
 そして僕は、他の罪人と共に檻車に載せられ、王都を発つのだった。
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