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【第一章】王都追放編
【第八話】無言の闘い
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喉の渇きが、ひどかった。
食事も与えられない事も多く、不死身と言われているとしても、耐えがたい苦痛である。
普通の人間なら、とうに死んでいてもおかしくない。
スタンナードが、牢の前にやってきて言った。
「最後のチャンスだ。白状すれば無罪にしても良いと、国王陛下は仰られた」
やはり、国王も自分が魔王からのスパイだと疑っていたのだ。
しかし、スパイだと認めれば、無罪にしてもらえる。
こんな辛い拷問生活から、解放されるのだ。
「さぁ、出ろ」
いつもよりも頑丈そうな拘束具で、手足を拘束される。
国王の前に出るのだから、当然だろう。
◇◇◇◇◇
引っ張って連れてこられたのは、王城の正面にある、ちょっとした広場だった。
国王は数段高い所から僕を見下ろし、他にも大勢の人達が並んでいた。
文官、武官、そしてあろう事か、僕のクラスメイトまで揃っているではないか。
「うわぁー、全身ボロボロじゃん」
「ねぇなんか臭いんだけど」
「ケダモノの目をしてるな。うっ、こっち見たぞ」
クラスメイトの誰もが、上品な服を着ている。
すっかり、この世界に馴染んでいるようだ。
対して僕は、召喚された日から全く同じ服装で、血と土と汗、そして尿便で汚れている。
「罪人であるフユサキ・ユキトを連れてまいりました、国王陛下」
スタンナードは、膝まづいて言った。
「ユキトよ、真実だけを言うのだ。貴様は、魔王側のスパイか」
「・・・」
パシィィン!
背中を、ムチで叩かれる。
想像を絶する痛さだが、顔に出さない程度には、慣れていた。
「答えるまで、ムチは続くぞ」
「・・・」
パシィン!
聞かれても、黙る。
それを何度も繰り返した。
白状すれば解放されると、そう思っていた。
しかし、この広場に来てクラスメイト達の顔を見た瞬間、考えが変わった。
意地でも、認めるものか。
「強情だな。よっぽど魔王に忠誠があると見える」
ムチで叩く者が、二人になった。
一度の黙秘で、数度は叩かれた。
「こいつ、背中の皮が剥けるどころか、肉が裂けてやがるぞ」
「ユキトよ、答えぬと苦しみは続くのだぞ」
「・・・けど、僕は死なないのだろ」
初めて、言葉を出した。
「言い忘れていたが、召喚された英雄は不死身だと言ったが、それは嘘だ。拷問を耐えれなくする為の、工夫に過ぎん」
それを聞いても、特に心は動かなかった。
「さぁ、白状すれば楽にしてやるぞ」
言えば、死んで楽になれる。
この辛さに比べれば、確かに死んだ方がマシだろう。
しかし、クラスメイトには一矢報わねば。
僕は日が暮れるまで、何も喋らなかった。
食事も与えられない事も多く、不死身と言われているとしても、耐えがたい苦痛である。
普通の人間なら、とうに死んでいてもおかしくない。
スタンナードが、牢の前にやってきて言った。
「最後のチャンスだ。白状すれば無罪にしても良いと、国王陛下は仰られた」
やはり、国王も自分が魔王からのスパイだと疑っていたのだ。
しかし、スパイだと認めれば、無罪にしてもらえる。
こんな辛い拷問生活から、解放されるのだ。
「さぁ、出ろ」
いつもよりも頑丈そうな拘束具で、手足を拘束される。
国王の前に出るのだから、当然だろう。
◇◇◇◇◇
引っ張って連れてこられたのは、王城の正面にある、ちょっとした広場だった。
国王は数段高い所から僕を見下ろし、他にも大勢の人達が並んでいた。
文官、武官、そしてあろう事か、僕のクラスメイトまで揃っているではないか。
「うわぁー、全身ボロボロじゃん」
「ねぇなんか臭いんだけど」
「ケダモノの目をしてるな。うっ、こっち見たぞ」
クラスメイトの誰もが、上品な服を着ている。
すっかり、この世界に馴染んでいるようだ。
対して僕は、召喚された日から全く同じ服装で、血と土と汗、そして尿便で汚れている。
「罪人であるフユサキ・ユキトを連れてまいりました、国王陛下」
スタンナードは、膝まづいて言った。
「ユキトよ、真実だけを言うのだ。貴様は、魔王側のスパイか」
「・・・」
パシィィン!
背中を、ムチで叩かれる。
想像を絶する痛さだが、顔に出さない程度には、慣れていた。
「答えるまで、ムチは続くぞ」
「・・・」
パシィン!
聞かれても、黙る。
それを何度も繰り返した。
白状すれば解放されると、そう思っていた。
しかし、この広場に来てクラスメイト達の顔を見た瞬間、考えが変わった。
意地でも、認めるものか。
「強情だな。よっぽど魔王に忠誠があると見える」
ムチで叩く者が、二人になった。
一度の黙秘で、数度は叩かれた。
「こいつ、背中の皮が剥けるどころか、肉が裂けてやがるぞ」
「ユキトよ、答えぬと苦しみは続くのだぞ」
「・・・けど、僕は死なないのだろ」
初めて、言葉を出した。
「言い忘れていたが、召喚された英雄は不死身だと言ったが、それは嘘だ。拷問を耐えれなくする為の、工夫に過ぎん」
それを聞いても、特に心は動かなかった。
「さぁ、白状すれば楽にしてやるぞ」
言えば、死んで楽になれる。
この辛さに比べれば、確かに死んだ方がマシだろう。
しかし、クラスメイトには一矢報わねば。
僕は日が暮れるまで、何も喋らなかった。
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