上 下
2 / 65
【第一章】第一次セトラ村攻防戦

【第一話】目が覚めると

しおりを挟む
「おい、大丈夫か」
 
 
 肩を叩かれ、目が覚めた。
 
 
 どうやら僕は眠っていたようだ。
 
 
「う~ん、ここは・・・」
 
 
 地べたで倒れていたせいで、身体中が痛い。
 
 
 そもそも、どうして僕は地べたで寝ていたのか。
 
 
「おお、やっと目が覚めたか。なかなか目が覚めないから心配したぞ」
 
 
 声のする方を向くと、数人の大人達が心配そうに僕を見下ろしていた。
 
 
 彼らは皆、現代ではほとんど見ない服装をしていた。
 チュニックやダブレット、どれも古代ヨーロッパなどで着られていた服装である。
 
 
 大人達に支えられ、僕は立ち上がる。
 
 
「一体、ここは・・・」
 
 
 辺りを見回しても、ここがどこなのか分からなかった。
 
 
 舗装されていない道に沿って、木造の家々が集まっている。
 
 
「どこって、ここは【セトラ村】だよ」
 
 
「セトラ村?」
 
 
 聞いたことがない所だ。
 もしかして日本ではないのだろうか。
 しかし、彼らは日本語を話している。
 
 
 困惑していたのは僕だけでなく、彼らも同じようだった。
 
 
 とりあえず、これ以上警戒されるのは良くなさそうだ。
 
 
「すみません、自分は古崎といいます。ここは日本ですか?」
 
 
「ニホン?」


 その反応を見るに、どうやらここは日本ではないようだ。


「何事だ?」


 大人達をかき分けて、一人の青年が現れた。


 他の大人達と違い、身なりはしっかりしている。よく見ると、腰に剣を佩いており、身体の各部に防具のようなものを装着している。


「誰だ」


 青年が、腰の剣に手を添えた。


「ぼ、僕は古崎と言います。目が覚めると、なぜかここに」


 確実に怪しまれていた。


 しばらく沈黙が続き、青年は剣から手を離した。


「どうやら嘘はついていないようだな」


「ええ、もちろんです。ここがどこなのかも・・・」


「ここは【セトラ村】といい、西側には【オトラス王国】があるが、正確にはどこの国にも属していない」


 セトラ村どころか、オトラス王国すら聞いたことがない。


 もしかしたらここは、地球ですらないのだろうか。


「とりあえず、俺の家に来い。村長に会ってもらう」


 そう言われ、僕は青年に連れられて歩き出した。


 やはりどこを見ても近代文明の面影はなく、文明レベルは低いことが分かった。


 到着したのは、村の中心部にある木造家屋だった。
 他の家々よりも、少しばかり大きいくらいだ。


「おや、どうしたんだ」


 中に入ると、初老の男性が振り向いて言った。


「村の外れに倒れていた。自分の名前は分かるようだが、なぜここに居るのか分からないようだ」


「ほぉ、それは難儀だったな」


 彼が村長なのだろう。他の村人とまた格好が違っていた。


「まあ、まずは座りなさい」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

赤ずきんちゃんと狼獣人の甘々な初夜

真木
ファンタジー
純真な赤ずきんちゃんが狼獣人にみつかって、ぱくっと食べられちゃう、そんな甘々な初夜の物語。

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

処理中です...