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【本編 第一章】 デルギベルク戦役編
【第七十三話】 ※ボイム視点
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敵軍の遊撃隊である一千騎が消えたおかげで、七万の味方は何とか体制を整えることが出来た。
ボイムは馬上から、周囲を見回した。
騎馬隊は、どこから襲って来るのだろうか。
その不安だけが、常にあった。
三隊に分散して隊列をかき乱した騎馬隊は、一隊ずつ姿を消していったのだ。
あれだけ頻繁に、そして激しく暴れていた騎馬隊である。
またどこかから、攻めてくるはずだ。
たかが一千騎にそこまで不安を抱かなくて良いとは思いたかったが、なぜか胸騒ぎがなくならない。
「ボイム将軍、敵の一千騎が消失してから、かなりの時間が経ちました。こちらの騎馬隊を使って捜索してみてはどうでしょうか」
副官が言った。
「騎馬隊は本隊の中枢として、離脱させるわけにはいかない。それは、最初に決めたことだ」
正面にいる七千の敵軍から目を離さず、ボイムは答えた。
副官は仕方がなさそうな態度で下がったが、気にはしない事にした。
騎馬隊の二千騎は、どんな事があってもそばに置いておくつもりである。
戦で最も大切なのは、指揮官なのだ。
どんなに大軍でも、将軍の首が討たれれば、その軍は負けることになる。
だから必ず、騎馬隊は自身の護衛のために離すわけにはいかない。
逆を言えば、将軍である自分が生きている限り、この戦で負ける事はないのだ。
来るなら、どこからでも来い。
ボイムは副官と将校に伝令を出し、全軍を前進させた。
七千の敵軍を襲えば、それを阻止しようと必ず騎馬隊は出てくる。
しかし、今度は両側面だけでなく、後方の兵にも槍を持たせ、対策はとってある。
どこから責められようと、防ぎきる。
もし敵の騎馬隊を防ぎきれずに隊列を乱された場合、その場で指揮していた将校は首を刎ね、部下は全員両手を切り落とすと通達もした。
やり過ぎだと副官は言ったが、それくらいさせないといけない程、敵の騎馬隊は危険なのだ。
隊列の先頭が、七千の軍にぶつかった。
やはり、数が少ないだけあって、抵抗は少なかった。
このままなら、ほとんど苦労もしないで勝てる。
しかし、やはり心配なのはあの騎馬隊だった。
すでに攻撃は始まっている。
なぜ、騎馬隊は現れないのか。
何か狙いがあるのか。
それとも、自分は何かを見落としているのだろうか。
更に強い不安が、ボイムを襲った。
しかし、騎馬隊が現れないなら現れないで、このまま七千の敵軍を殲滅してしまえばいいのだ。
この戦いは、勝てる。
すでに頭の中では、敵の本隊五万をどうするかという考えが巡っていた。
「敵の七千が殲滅するのも時間の問題だな、今日には補給部隊が合流してくる。今夜は勝利を祝して酒を許そう」
そう言うと、周りを囲っていた騎馬隊や将校が、大きく気合いを上げた。
ボイムは馬上から、周囲を見回した。
騎馬隊は、どこから襲って来るのだろうか。
その不安だけが、常にあった。
三隊に分散して隊列をかき乱した騎馬隊は、一隊ずつ姿を消していったのだ。
あれだけ頻繁に、そして激しく暴れていた騎馬隊である。
またどこかから、攻めてくるはずだ。
たかが一千騎にそこまで不安を抱かなくて良いとは思いたかったが、なぜか胸騒ぎがなくならない。
「ボイム将軍、敵の一千騎が消失してから、かなりの時間が経ちました。こちらの騎馬隊を使って捜索してみてはどうでしょうか」
副官が言った。
「騎馬隊は本隊の中枢として、離脱させるわけにはいかない。それは、最初に決めたことだ」
正面にいる七千の敵軍から目を離さず、ボイムは答えた。
副官は仕方がなさそうな態度で下がったが、気にはしない事にした。
騎馬隊の二千騎は、どんな事があってもそばに置いておくつもりである。
戦で最も大切なのは、指揮官なのだ。
どんなに大軍でも、将軍の首が討たれれば、その軍は負けることになる。
だから必ず、騎馬隊は自身の護衛のために離すわけにはいかない。
逆を言えば、将軍である自分が生きている限り、この戦で負ける事はないのだ。
来るなら、どこからでも来い。
ボイムは副官と将校に伝令を出し、全軍を前進させた。
七千の敵軍を襲えば、それを阻止しようと必ず騎馬隊は出てくる。
しかし、今度は両側面だけでなく、後方の兵にも槍を持たせ、対策はとってある。
どこから責められようと、防ぎきる。
もし敵の騎馬隊を防ぎきれずに隊列を乱された場合、その場で指揮していた将校は首を刎ね、部下は全員両手を切り落とすと通達もした。
やり過ぎだと副官は言ったが、それくらいさせないといけない程、敵の騎馬隊は危険なのだ。
隊列の先頭が、七千の軍にぶつかった。
やはり、数が少ないだけあって、抵抗は少なかった。
このままなら、ほとんど苦労もしないで勝てる。
しかし、やはり心配なのはあの騎馬隊だった。
すでに攻撃は始まっている。
なぜ、騎馬隊は現れないのか。
何か狙いがあるのか。
それとも、自分は何かを見落としているのだろうか。
更に強い不安が、ボイムを襲った。
しかし、騎馬隊が現れないなら現れないで、このまま七千の敵軍を殲滅してしまえばいいのだ。
この戦いは、勝てる。
すでに頭の中では、敵の本隊五万をどうするかという考えが巡っていた。
「敵の七千が殲滅するのも時間の問題だな、今日には補給部隊が合流してくる。今夜は勝利を祝して酒を許そう」
そう言うと、周りを囲っていた騎馬隊や将校が、大きく気合いを上げた。
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