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【本編 第一章】 デルギベルク戦役編
【第六十三話】
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日の出と同時に、目が覚めた。
戦場だというのに、不思議なほど周りは静かだった。
体を起こすと、すでにレハール小隊長は具足を着けて戦闘の準備をしていた。
この静けさからして、敵軍もまだ動いていはいないはずだ。
「ハイゼ、そろそろだと思うのだがな」
レハール小隊長は手を止めて、敵軍の方向を眺めながら言った。
何のことを言っているのかは、俺にはすぐに分かった。
「今日中に来るのではないかと、俺も思ってましたよ」
敵軍がこの平原に到着してから、三日が過ぎている。
そろそろ、敵の補給部隊が来るだろうと予想していたのだ。
本来なら、敵が物資を補給する頻度は分からないことが多いので、斥候による偵察や、捕虜から聞き出したりするのが普通だった。
しかし、敵軍の指揮官はそのあたりの配慮が欠けているのか、野営地に置いてある物資が丸見えの状態だったのだ。
だから昨日と今日で物資の減り具合が簡単に見て取れたため、今日くらいに来るだろうと思ったのだ。
七万人分の物資である。
はじめにどんなに大量に持ってきていたとしても、その減り方は尋常じゃない。
十万という大軍だったウォークガル将軍の軍の補給部隊をしていたのだ。
それくらいのことは、感覚としても、数字の上でも分かっている。
次第に眠っていた兵が起き始めていた。
先に目覚めた将校がまだ眠っている兵を起こし、野営地の処理が始まっている。
「斥候を昨日の倍、いや三倍を出しましょう」
「そうだな、早い方が良い。すぐに向かわせよう」
予想通り今日中に補給部隊が来るのであれば、出来るだけ敵軍と離れているうちに補足しなければならない。
敵軍と合流してからでは、敵の物資には手が出せないのだ。
レハール小隊長はすぐに斥候に出る騎兵を指名し、すぐさま出発させた。
どれも、斥候の任務に慣れた兵なのだという。
「今日が勝負なのかもしれないな」
誰にも聞こえないような声で、俺は小さくそう呟いた。
あれだけ静かだった野営地が、かなり騒がしくなっていた。
友軍の七千も、敵軍の七万も戦闘準備が始まって同じような様子だ。
おそらく、今日も激しいぶつかり合いになるだろう。
「今日も頼むな、ゲルク」
ゲルクにまたがる前に、そう声を掛ける。
本当なら戦場を駆けるような年齢ではないのだが、ゲルクは勇敢に、そして力強く駆け回る。
それだけでなく、俺の考えている事を察しているのか、手綱で指示を与えなくても動いてくれる時が多々あった。
そのおかげで、俺は剣を振るのと戦況を見極める事に集中出来たのだ。
毎日語り掛けたからだろうか。
故郷の【ディルク・イールの里】で馬術も教わってきたが、馬との会話はほとんどしてこなかった。
極めたと思っていたものでも、新たな学びがあるのだと、束の間思った。
戦場だというのに、不思議なほど周りは静かだった。
体を起こすと、すでにレハール小隊長は具足を着けて戦闘の準備をしていた。
この静けさからして、敵軍もまだ動いていはいないはずだ。
「ハイゼ、そろそろだと思うのだがな」
レハール小隊長は手を止めて、敵軍の方向を眺めながら言った。
何のことを言っているのかは、俺にはすぐに分かった。
「今日中に来るのではないかと、俺も思ってましたよ」
敵軍がこの平原に到着してから、三日が過ぎている。
そろそろ、敵の補給部隊が来るだろうと予想していたのだ。
本来なら、敵が物資を補給する頻度は分からないことが多いので、斥候による偵察や、捕虜から聞き出したりするのが普通だった。
しかし、敵軍の指揮官はそのあたりの配慮が欠けているのか、野営地に置いてある物資が丸見えの状態だったのだ。
だから昨日と今日で物資の減り具合が簡単に見て取れたため、今日くらいに来るだろうと思ったのだ。
七万人分の物資である。
はじめにどんなに大量に持ってきていたとしても、その減り方は尋常じゃない。
十万という大軍だったウォークガル将軍の軍の補給部隊をしていたのだ。
それくらいのことは、感覚としても、数字の上でも分かっている。
次第に眠っていた兵が起き始めていた。
先に目覚めた将校がまだ眠っている兵を起こし、野営地の処理が始まっている。
「斥候を昨日の倍、いや三倍を出しましょう」
「そうだな、早い方が良い。すぐに向かわせよう」
予想通り今日中に補給部隊が来るのであれば、出来るだけ敵軍と離れているうちに補足しなければならない。
敵軍と合流してからでは、敵の物資には手が出せないのだ。
レハール小隊長はすぐに斥候に出る騎兵を指名し、すぐさま出発させた。
どれも、斥候の任務に慣れた兵なのだという。
「今日が勝負なのかもしれないな」
誰にも聞こえないような声で、俺は小さくそう呟いた。
あれだけ静かだった野営地が、かなり騒がしくなっていた。
友軍の七千も、敵軍の七万も戦闘準備が始まって同じような様子だ。
おそらく、今日も激しいぶつかり合いになるだろう。
「今日も頼むな、ゲルク」
ゲルクにまたがる前に、そう声を掛ける。
本当なら戦場を駆けるような年齢ではないのだが、ゲルクは勇敢に、そして力強く駆け回る。
それだけでなく、俺の考えている事を察しているのか、手綱で指示を与えなくても動いてくれる時が多々あった。
そのおかげで、俺は剣を振るのと戦況を見極める事に集中出来たのだ。
毎日語り掛けたからだろうか。
故郷の【ディルク・イールの里】で馬術も教わってきたが、馬との会話はほとんどしてこなかった。
極めたと思っていたものでも、新たな学びがあるのだと、束の間思った。
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