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【本編 第一章】 デルギベルク戦役編
【第五十二話】 ※ロキタス視点
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「総員、全速で敵に突っ込め」
大声で、ガルツァー部隊長はそう言った。
三度目の突撃である。
ロキタスは疲れも忘れて走り出した。
七万の敵軍は、我々の遊撃に対処するために、前進を止めていた。
ハイゼが指揮する騎馬隊は、攻撃と離脱を繰り返し、敵を惑わせている。
自分も負けてはいられない、という気持ちにロキタスはなった。
先頭のガルツァー部隊長が、敵陣にぶつかった。
ガルツァー部隊長はレハール小隊の中でも一番強い将校である。
体術が最も得意だったが、こういった戦いでは剣を遣っていた。
やや後方にいたロキタスも、敵陣の中に入っている。
「一人で戦おうとしなくていい。一人の敵を、二人、三人で倒すんだ」
敵兵を斬り倒しながら、ロキタスは叫んだ。
歩兵の多くは新兵なのだ。
実戦経験は無く、敵と斬りあったことも無い者ばかりだ。
だから部下の兵には、二人から三人で組んで戦うように教えていた。
そうすれば、多くの敵兵を倒すことは出来なくても、生き残る確率が上がる。
先頭のガルツァーから後退の合図が出されると、今度は後方のロキタスが先頭になる。
回り込もうとしている敵兵を斬り伏せながら、味方の撤退を促した。
剣を振りながら周りを見ると、少し離れた所でハイゼを先頭とした騎馬隊が突っ込んでいた。
その衝撃でここらの敵兵も抵抗力が少なくなる。
多分、そういう狙いを付けてハイゼは攻撃する所を決めているのだろう。
その隙にと、三・四人を斬り倒し、味方の全員が離脱した。
距離を取っても、敵は追ってこない。
全身が、血で染まっていた。ガルツァー部隊長も同じだった。
「三、四百は討っただろう」
ガルツァー部隊長が血で塗れた剣を拭きながら言った。
こうしている間も、歩兵部隊は移動をしている。
「しかしガルツァー部隊長、敵が多過ぎて埒が明きません。それに、こちらの損害も無視できない」
三度の突撃で、百名ほどの損害が出ていた。
ロキタスの副官も二度目の突撃の時に戦死し、直属の兵も二十名以上を失っている。
「確かに、このままではいずれ擦り切れてしまうな」
一万の友軍は楯を並べるだけで、攻めようとしていなかった。
せめてあの一万が動いてくれれば。
ロキタスはじれったく思いながらも、敵軍を観察した。
突っ込んでいた騎馬隊が離脱し、こちらに向かっている。
先頭のハイゼは血で濡れていたが、怪我ではなく返り血だろう。
その姿を見て、ロキタスはハイゼを認める事にした。
気に食わない男だと思っていたが、腕は立つ。
何度も先頭で敵陣に突っ込みながらも、見事生き残っているのだ。
一旦、騎馬隊と合流し、怪我人を下がらせた。
騎馬隊は七十騎まで減っている。
歩兵部隊が擦り切れるのが先か、騎馬隊の方が先か、という所だろう。
大声で、ガルツァー部隊長はそう言った。
三度目の突撃である。
ロキタスは疲れも忘れて走り出した。
七万の敵軍は、我々の遊撃に対処するために、前進を止めていた。
ハイゼが指揮する騎馬隊は、攻撃と離脱を繰り返し、敵を惑わせている。
自分も負けてはいられない、という気持ちにロキタスはなった。
先頭のガルツァー部隊長が、敵陣にぶつかった。
ガルツァー部隊長はレハール小隊の中でも一番強い将校である。
体術が最も得意だったが、こういった戦いでは剣を遣っていた。
やや後方にいたロキタスも、敵陣の中に入っている。
「一人で戦おうとしなくていい。一人の敵を、二人、三人で倒すんだ」
敵兵を斬り倒しながら、ロキタスは叫んだ。
歩兵の多くは新兵なのだ。
実戦経験は無く、敵と斬りあったことも無い者ばかりだ。
だから部下の兵には、二人から三人で組んで戦うように教えていた。
そうすれば、多くの敵兵を倒すことは出来なくても、生き残る確率が上がる。
先頭のガルツァーから後退の合図が出されると、今度は後方のロキタスが先頭になる。
回り込もうとしている敵兵を斬り伏せながら、味方の撤退を促した。
剣を振りながら周りを見ると、少し離れた所でハイゼを先頭とした騎馬隊が突っ込んでいた。
その衝撃でここらの敵兵も抵抗力が少なくなる。
多分、そういう狙いを付けてハイゼは攻撃する所を決めているのだろう。
その隙にと、三・四人を斬り倒し、味方の全員が離脱した。
距離を取っても、敵は追ってこない。
全身が、血で染まっていた。ガルツァー部隊長も同じだった。
「三、四百は討っただろう」
ガルツァー部隊長が血で塗れた剣を拭きながら言った。
こうしている間も、歩兵部隊は移動をしている。
「しかしガルツァー部隊長、敵が多過ぎて埒が明きません。それに、こちらの損害も無視できない」
三度の突撃で、百名ほどの損害が出ていた。
ロキタスの副官も二度目の突撃の時に戦死し、直属の兵も二十名以上を失っている。
「確かに、このままではいずれ擦り切れてしまうな」
一万の友軍は楯を並べるだけで、攻めようとしていなかった。
せめてあの一万が動いてくれれば。
ロキタスはじれったく思いながらも、敵軍を観察した。
突っ込んでいた騎馬隊が離脱し、こちらに向かっている。
先頭のハイゼは血で濡れていたが、怪我ではなく返り血だろう。
その姿を見て、ロキタスはハイゼを認める事にした。
気に食わない男だと思っていたが、腕は立つ。
何度も先頭で敵陣に突っ込みながらも、見事生き残っているのだ。
一旦、騎馬隊と合流し、怪我人を下がらせた。
騎馬隊は七十騎まで減っている。
歩兵部隊が擦り切れるのが先か、騎馬隊の方が先か、という所だろう。
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