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番外編・新婚旅行②

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「まだ、夜景を見ていたかった?」
ベッドルームで私の服を脱がせながら彼が聞いてきた。
「いいの。私、正孝くんと早く繋がりたいから。」
私がそう答えると彼は切なそうに吐息を漏らし、キスをしてきた。
そしてショーツだけになった私を窓際に立たせると彼は後ろから抱き付いてきた。

「夜景見ながら、しよう。」

手が私の体をなぞり、彼の舌は私のうなじや背中を這っている。

部屋の灯りは消されているので、窓ガラスには二人の姿が映っていた。もちろん夜景も見えたけれど、私は正孝くんを目で追っていた。

ガラスに映し出された光景は凄く扇情的だった。彼の手によって歪まされた胸や、愛撫に酔いしれる自分の蕩けた顔や、彼の切なげな顔…。

ふいに彼が視線をちらりと上げ、ガラス越しにこちらを見て笑った。

「凄く可愛いショーツ、だね。」
面積が狭くシルク製のピンクのショーツは確かに可愛らしい。
いや、昔は可愛かった。
でも今は黒い油性ペンで『正孝』とフロント部分に名前が入っている。狭い布地いっぱいに。

彼は私のショーツ全てに自分の名前を書いた。そして、セックスをする時初めの一回は必ずショーツを履かせたままするのだ。

悪趣味、かもしれない。
でも私は彼の強い執着を感じるのも好きだし、自分の大事な部分が彼によって守られているような気がして嬉しくもあった。

彼が私のショーツに触れた。
指先でそこに書かれた自分の名前を指でなぞっている。

「っ、…んっ。」
もどかしい疼きがモヤモヤと腰の辺りに広がる。

「ショーツ、濡れてる。俺の名前のとこまで染みてきてるよ。」
「あっ、…ふっ、……ん。」

布地越しに陰核をカリカリと優しく爪で引っ掻かれ、官能が高まり、腰が勝手に動き出して彼の指にそこを擦り付けてしまう。

「ねぇ、祥子、気持ちいい?俺の名前が書かれたショーツの上からクリ引っ掻かれて、どんな気分?」
正孝くんの息も荒い。
私のお尻に当たっている彼自身もずっと前から堅くなっている。

「早くっ、正孝くんの、欲しいっ。」

彼はショーツの中に手を入れた。存分に潤っているそこは指二本をにゅるりと飲み込む。その指は中でバラバラに動いて私の中を拡げた。

「祥子、窓に手ついて、足を開いてお尻上げて。」
私は無言で従い、彼にお尻を突き出した。
ショーツのクロッチ部分をずらされ彼のモノでがあてがわれた。おそらくコンドームは着けていないはずだ。
彼は私の生理周期も把握している。

期待で身体が震え、さらに愛液を膣口から滴らせてしまう。そこを滑らせるように彼の陰茎がずりゅずりゅ、という音をたてて往復していく。

気持ちいい。
でも早く中に欲しい!

堪らず私はお尻を彼のものが入りやすいような角度にずらした。
ぐっ、と少しの抵抗と共に押し入ってきた陰茎の硬度と質量に高い声を上げてしまう。

ポロポロと快感による涙が溢れてくる。

「っ、凄い締め付けてくるっ、そんなに、く、…俺が欲しかった?」
正孝くんの声は少しだけ掠れていた。そんなセクシーな声を耳元で聞いてしまって腰が抜けそうになる。咄嗟に彼の右手が腰に回り私を支えた。
それによって更に深くまで私の中に彼のものが入ってきた。奥を何度も突かれ限界が近づく。

「私っ、…っ、もう、あん……いき、そうっ。」
膣内はすでに、ぐにゅぐにゅとうねり出していた。

「んっ、俺と、一緒に。」
正孝くんは窓ガラスについている私の左手に自分の手を重ねた。薬指には同じデザインの指輪が光っている。

「正孝くん、もう、だめっ。ぁああっ」」
「うんっ、いって。俺も祥子の中にっ、すぐっ、出すから。…祥子っ、く、好き、だよ。ずっと死ぬまで祥子だけを愛すから。っ、く。」

私たちは同時に果てた。

私のショーツは二人の体液でぬるぬるのぐしょぐしょになった。
彼はそれを脱がせると私を横抱きにしてベッドまで連れていってくれた。

「まだ、全然祥子が足りない。昨日だって、今日が旅行だからセーブしてた。だから、北海道に着くまで、ずっと繋がってたい。だめ?」

私が『駄目』なんて言うはずがなかった。

「正孝くんの、精液、全部貰うからね。」
私は彼の上に乗った。そして陰茎を持ち、色々な液でぬるぬるしている中にそれを入れ、腰をグラインドさせた。

「っ、俺の精液、だけじゃなく、全部祥子に、あげる。」
「うれ、しいっ。あっ、私の全部っ、も、正孝くんの、ものだからっ。」

正孝くんの興奮して潤んだ瞳を見ると胸がキュンとなり、一晩中でもセックスが出来そうだった。


でも私はこの時知らなかったのだ。

この大型のカーフェリーは時速40キロ以下で進み、北海道に着くまで、40時間もかかるということを。
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