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泡 ★真木

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正確に言えば俺とルイと友達二人の4人で撮った高校の卒業旅行の時の写真。

多分ルイは、スマホを弄ってて、アルバムアプリかメッセージアプリで偶然それを見付けたんだろう。

今、画面に写ってるのは俺の顔のアップだけ。それでも写真を特定出来たのは背景が勢いよく流れる滝、という特徴的なものだったからだ。
それと、同居して間もない頃、記憶が戻るきっかけになるかもしれないと俺のスマホから同じ写真をルイに見せたこともあったから覚えてた。

ルイはさっき、この写真を、周りの音が入ってこないくらい熱心に見つめてた。

――ということは、卒業旅行のことを思い出せたのかもしれない。

自分の予想が真実であればいいと、期待で胸が膨らんだ。

それでもなるべく冷静ににルイに問いかけた。

「この写真、なんでそんなに熱心に見てたんだ?」
「……真木君がすごく格好良く写ってる、から、にして、その後もずっと見てた」
「………へっ?」

おいっ、予想と全然違ったぞ!!

「僕、どの女の人の水着姿見ても、やっぱり嫌な感じしかしなくて、諦めてスマートフォン弄ってたんだ。そしたら真木君の写真が出てきて、見てたらおちんちんがムズムズして、それに、さっき、真木君もこっそりオナニーしてたって言ったでしょ? その姿を想像しながら擦ったら射精しちゃった。……すごく気持ち良かった」

すごく気持ち良かった、じゃなーよ。頬を赤くすんな!

俺の期待を返せ。

俺で抜いたことを悪びれもせずに報告してきたルイに若干の怒りを覚えた。
けど、それより恥ずかしいって気持ちの方がずっと大きくて、顔に血が昇ってきた。

赤い顔をした男が二人、もじもじしてるこの状況はヤバイ。

何か言ってやらねーと、って思うけど頭が混乱して無理だった。

俺なんておかずにすんなよ、って言えればいいんだろうけど、ありとあらゆる女性で自分の欲を勝手に発散してきた俺――セクシー女優は勿論、ちょっと親切にしてくれたコンビニの女性店員とか、教育実習生とか、ゲームの女キャラとか、あと、佳奈子ちゃんでも一回だけ抜いたことがある――が、そんなこと言っていいんだろうかと迷う。

それにルイの性癖が歪んだのは俺の責任でもある。

元のルイはちゃんと女の子が好きだった。

好きな相手はアイドルで、俺には名前も教えてくれなかったけど。
それにルイは佳奈子ちゃんで脱童貞もしてるわけで。
オナニーさえも女の子で出来ない今のルイとは全然違う。

……どうやって軌道修正すればいいんだよ。

もっと女の子に興味が湧くように、接点を持たせるべきか。

デートをさせてみるのはどうだろう。
しかし、残念ながら俺にそういったことを頼める女子はいない。元バイト先の女子はみんな既婚者か彼氏持ちだったし、第一それほど仲が良かったわけでもない。

佳奈子ちゃんの顔が浮かんだけど、一瞬でかき消した。彼女はダメだ。却下。

ルイは綺麗な顔をしてるし、ちゃんとした格好をさせて逆ナン狙いで街を歩かせてみるか?
いや、相手の子の素性がわからないのにルイを任せるのは危険だ。却下。

この期に及んで『過保護親父』の思考が邪魔をする。

「あの、真木君?」

ああでもない、こうでもないと一人で暫く悩んでると、ルイが話しかけてきた。

「なんだ?」
「もう遅いし、そろそろお風呂の準備していい?」

ルイの表情は普通に戻ってた。もう頬も赤くなくて、自分だけか悩まされていたのかと、少し拍子抜けした。

案外、俺と離れれば自然と女の子に興味が湧いてくるのかもしれない。

「そうだな。で、今日も俺と一緒に風呂入るつもりなのか?」
「うん。なんでそんなこと聞くの?」

不思議そうな顔をされたけど、それが俺には不思議だった。

さっきまで、俺がチンコ扱くとこ想像しながら抜いたくせに、あの狭い風呂に一緒に入る(浴槽には入れねーけど)とか、正気か?って。

ルイがあまりにも平然としてるから、断りづらくなった。
もし断って悲しそうな顔されたら、俺もつられて悲しくなりそうだし。

身の危険も感じないし、いいか、と楽観的、――現実逃避とも言う――に考えた。


いつものルーティンは、俺が先に浴室に行って体を洗ってからルイを呼んで、ルイが体を洗い終えるまで風呂に浸かるって手順なんだけど、ルイが浴室に入ってきた時、やっぱりちょっと落ち着かない気分になった。

ルイは普通。
賢者タイムとかじゃなく、ほんとにいつも通り、俺に変な意識もないようだ。

俺だけが意識してる。


バスチェアなんてないから床に膝を突いてルイは頭を洗ってる。
両腕が持ち上がり横からでも、ルイの小さな乳首が一つだけ見えるようになった。

俺はおっぱいが大き目の女の子が好きだ。

男のまっ平らな胸なんかに興味も用も無い。……無いはずなのに、色白で痩せた体に存在する赤い小さな突起が気になって仕方ない。
ダメだと目を逸らせば、今度は腰から下の唯一丸みを帯びている部分が目に入った。

女の子のものと比べると肉付きは悪い。でも、なだらかな曲線を描く尻に見とれてしまった。

今まで見たルイの裸体と、なんら変わりないのに今日はやたらと艶かしく見える。

くそ、ルイが俺で抜いたりなんかするからだ。

鼓動が早くなって、自分の下半身に熱が集まりだしたのを感じて焦った。
風呂から出よう、そう思った時、シャンプーをしていたルイの頭から大きな泡の塊が背中に落ちた。
それは、ゆっくりと滑り落ち、やがて、二つの膨らみの間をなぞり床に落ちた。

俺はそれを息を呑みながら見守った。

今見た映像が脳内で繰り返された。

いつしか泡が自分の手にすり替わって、ゆっくり体をなぞるように手は動いた。
たどり着いた先は二つの膨らみの間で、俺はルイのそこがどうなってるのか見てみたい、と思ってしまった。

実際、自分の手がルイの方へと伸びようとしてるのに気づいて、ハッとした。

俺は股間の状態を悟られないように、ルイが髪の毛をシャワーで流してるタイミングで浴室から出た。
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