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ヤリチンおっぱい
しおりを挟む基樹くんと付き合って一年。
私の彼氏は最近、立派なヤリチンの風情を漂わせている。
ヤリチンは、セックスの誘い方もスマート。
晩酌中の年上女(28歳・会社員)を誘う場合。
酔ってほんのりいい気分になっている彼女から缶チューハイを取り上げ『飲み過ぎですよ』と言う。もっと飲むと駄々をこねる彼女に対し『駄目です』と軽く叱り、残りを自分が飲む。飲み終えるといたずらが成功した子供のようにフワッと人懐こく笑い、不意をついてキスをする。
『同じ味がしますね』なんて当たり前の事を言ったかと思えばもう一度キスをして『やっぱり、こっちの方が甘い』と言う。どっちなんだよ、と突っ込む暇も与えず舌をねじ込み、相手をさんざんエッチな気持ちにさせる。それなのに、逆に舌を絡められると唇を離す。追いかけられるとバードキスを返し『可愛いですね』なんてお世辞を言い、ぎゅっと抱き締める。おまけに髪の毛をそれはもう愛しそうに撫でて『肌に触れてもいいですか』と切なく囁く。
一連の流れは全然ガツガツしていない。
こうなると年上女は、酒を取り上げられたことも忘れて『お願いします抱いてください』と土下座だ。
合コンお持ち帰り率100%の襷を肩からかけてやりたいくらいのヤリチンテクである。
そして事後に少し悔しい気持ちになる。
……最近、してやられている感が凄い。
昔はこっちが『キミのDT全部頂いちゃうよ?』と翻弄していた筈なのに。何故こうなった。
しかし、どこからそんなテクを身につけたんだ。いや、もちろん浮気なんてものを疑ったりはしていないけれど。
不思議だ。
私は『チンコしゃぶりたいからパンツ脱いでくれる?』等のダイレクトな誘い方を得意としているので、師匠は私ではない。
天性のものなのか。
それとも私を反面教師にするとこんなにもロマンチックになるものなのか。
なんにせよ、ちょっと仕返しをしてやりたい気分になった。
久々に、真っ赤な顔をして『つ、堤さん、それは駄目ですって、だ、だめ……アッ、っ、もうっ、……く、だ、駄目ぇ』みたいな展開に持っていきたい。
そんな野望を抱えているとは知らずに、週末、ヤリチン(経験人数一人)が部屋にやってきた。
「堤さん、ただいま。」
玄関ドアを開けるなり、抱き締められて先制パンチを食らう。
ただいまって言ったけど、キミの家じゃないんだからね、なんて言わせない雰囲気をヤリチンは醸し出している。
ただいまと対になる言葉を仕方なく返す。嬉しそうな顔しちゃったのは、これから起こることを想像しただけだからな!
いつも通り部屋に通して、いつも通り一緒に食事(私は晩酌)をする。
基樹くんの食事が終わると、彼は洗い物をしてくれる。私はその後ろ姿(主にキュッと引き締まった尻)をつまみにまた酒を飲む、のがいつものパターンだ。
しかし、私は動いた。
早く仕掛けないと、今日もヤリチンにしてやられてしまう。
洗い物が終わる直前に、後ろから抱きつく。
「もーときくん、あのねー、お願いがあるんだけど。」
「ふっ、もう酔っ払っちゃったんですか?」
基樹くんはタオルで濡れた手を拭いて、抱き合ったまま体を反転させ私と向き合った。
そして、鼻と鼻が触れ合うくらいの距離まで近付き『お願いってなんですか?』と色っぽく微笑む。
ヤバイ、このままだと、抱っこされてベッドまで運ばれてしまう。
「お、お願いっていうのはね、えっと、基樹くんとハメ撮りしたい。」
「……は?…ハメ、撮り…?」
「うん!」
「堤さん、何でですか?」
基樹くん、断りたい場合は理由など聞いてはいけないのだよ。
「基樹くんがいない時オカズにするから!」
小学一年生並みに元気に返答をすると、基樹くんは困った顔をした。
頬も少し赤い。
いいよ、いいよ。
この顔が見たかった。
私は追い討ちをかける。
「心配なら顔は撮らないから。基樹くんのえっちな体、オカズにしたい。」
「お、俺を、撮るんですか!?」
とうとう真っ赤な顔になった基樹くんは最高に可愛い。
「うん!あ、ハメ撮りじゃなくて、ハメラレ撮りって言うのかな?私に開発されて敏感になったおっぱいとか、ビンビンになって血管がうねうねしてるチンコ、毎日見たい!」
「いや、あの、堤、さん……。」
恥ずかしいことを言われて直視できなくなったのか、顔を横に背けられた。
ピンクになった耳が食べちゃいたいくらい可愛い。
……あれ…?でも、これ勃ってない?
抱き合っている私のお腹辺りに触れる硬さは、間違いなくアレだ。
「なーんだ、基樹くん、こんなにチンコ勃たせて、撮られてるとこ想像しちゃったの?やらしい子。」
興が乗ってきた!
冗談で済ませるつもりだったけど、基樹くんのエロ動画入手できるのならありがたい!
「ベッド行こ?それともここで撮られたい?」
「っ、……取り敢えず、ベッド、行きたい、です。」
「うん。じゃ、行こっ。」
手を繋いで引っ張るようにしてベッドへとなだれ込む。
「ほんとに、撮っていい?もちろん悪いようにはしないから。」
悪いようにはしない。この言葉は悪いようにする人間以外が言うところを見たことがない。しかし私は、自分で楽しむだけの為に使う。悪いことには使わないと断言する。
「あ、あの、……その前に俺も、お願いがあるんです、けど。」
「ハニー、言ってごらん?」
「……俺の撮る代わりに、堤さんのスマホに入ってるエロ動画、消してください。」
「な、ななな何で!?」
断る場合は理由を聞いてはいけない。
「やっぱりあるんですね。……俺の撮るんだったら要らないですよね?」
「……そ、そうかな。これ、凄くソフトなやつだし。」
「消してください。今。」
「いっ、今?」
そこら辺に放置していたスマホを持ってこられて、渡された。
これはサンプル動画ではない。
ちゃんと購入したものだ。
繰り返し言う。
これはサンプル動画ではない。
「堤さん、俺の動画、いらないんですか?」
「全部消します。」
さようなら、私のM男セレクション。
基樹くんは私のスマホを覗き込み『結構いっぱいありましたね』と引きつった顔をした。
「全部消したよ。だから、いい?」
基樹くんのシャツのボタンに手をかけると、その手を掴まれて指先にキスをされた。
「撮るんだったら、俺が脱ぎますよ。片手じゃ不便でしょ?」
言われて慌ててスマホの録画ボタンを押し、基樹くんに向けた。
基樹くんは、ベッドサイドに立ち、スルスルとシャツを脱いだ。
Tシャツになると、もう絆創膏で隠したりしていない乳首が、ふっくらと生地を持ち上げているのが分かった。
完璧なソフトマッチョな体に、不釣り合いに見える淫靡な出っ張り。
むしゃぶりつきたい衝動に駆られるが、手に持っているスマホを放り投げられない。
「顔も撮っていいですよ。」
「え、いいの?」
「野郎の裸なんて、流出したって誰も見ないですよ。」
「そうかな。私だったら課金しちゃうけど。」
「はは、いつも見てるじゃないですか?」
「うん。基樹くんはカッコいいもん。いつでもスマホで見れると思ったらお金払っちゃう。」
話しながらも、服を脱ぐ手を止めず、基樹くんはボクサーパンツ一枚になった。股間はやはり盛り上がっており、興奮しているようだ。
「堤さん、見たい、ですか?」
パンツのウエスト部分に指をかけて、私ではなくスマホに向かって話しかけている。
エロの権化。
エロテロリスト再来。
エロイムエッサイム。
どれでもお好きなものをどうぞ。
ゴクリと喉が鳴り、ばっちり音が入ってしまっただろう。
「み、見たい。」
「じゃあ、見せます。…っ、やっぱりちょっと、恥ずかしいですね。」
そう言いながらも、基樹くんは頬をピンクに染め、パンツを脱いだ。
引き締まった腹にくっつくようにそそり勃つチンコ。
つい舐めるようにスマホを近づけて撮ってしまう。
「堤さんも、脱いでください。」
興奮した時の掠れた声。
子宮がキュンとする。
言われた通りに服を脱ぐ。
スエット上下という色気のない服は、片手でも脱げた。
ブラとショーツは基樹くんが外してくれたが、私のあそこは恥ずかしいくらいに濡れていて、糸を引いているのを見られてしまった。
基樹くんは嬉しそうに笑い、濡れた股間に指を滑らせた。
ぬるん、と入った指はすぐに引き抜かれ、スマホの前に掲げられた。
節の立った綺麗な指先がテラテラと光っている。
「堤さんも、興奮してるんですね。」
「っ、だって、基樹くんがエロマンガ島だから。」
「堤さんの方が、エロいですよ。だって、これ見ながら一人でしちゃうんですよね?」
「そうはっきり言われちゃうと、さすがに私のヤバさが露見しちゃう。」
「俺は、いいと思います。堤さんが誰か知らない男を見て、自分を慰めるよりは、俺で気持ちよくなってもらえれば。そっちの方が嬉しい。……あの、どうやって、自分で触るんですか?指、入れたりしますか?」
入れたりしますか?に返事をしていないのに指が入ってきた。
あまり自分の喘ぎ声を動画に入れたくないのに、声が抑えられない。
「っ、…スマホ、落としちゃうから、あ、ん、…だめ。」
「じゃあ、これはどうですか?」
スマホを持っていない手を取られ、口元に持っていき指先を舐められた。
「俺がいつもどんな風に堤さんを舐めてるか、再現してあげます。」
指を一本一本。手の平、手の甲をじっくりとスマホを見つめながら舐められて、ゾクゾクとした快感が体を駆け巡った。
しっとりと濡れた私の手を基樹くんは自分の胸に持っていった。
指先が勃起している乳首に触れた。
触れられた本人と触れた私。
互いに同じように熱い息を吐いた。
もう、限界。
「も、ももも基樹くんっ、すみませんでしたっ。降参です、土下座します。お願いします抱いてくださいっ。」
私はスマホを放り投げ、基樹くんを押し倒しおっぱいにむしゃぶりつき、チンコを握った。
「あっ、つ、つみ、さ、…んっ、もう、撮らなくていいん、っ、ですかっ。」
「いいっ。ムラムラしても週末まで我慢するからっ。無理だったら基樹くんの妄想でどうにかするっ。」
オッパイ、オイシイ。
チンコ、カタイ。
モトキ、サイコウ。
脳みそが溶けて馬鹿になったんじゃないかってくらい基樹くんが欲しい。
「っ、すみません、お、俺っ、もうっ、堤さんの中っ、入りたいです。」
「わたし、もっ、きてっ。」
わちゃわちゃと慌ててゴムを取り出している基樹くんは、今日は手元がおぼつかないらしく、二度ほど着けるのを失敗した。
「もういいよ、このままでっ。生でしよっ?中に出してもいいからっ。今日、大丈夫だからっ。」
今まで一度だって言ったことがないことを口走ってしまったのは、脳みそが溶けてるから、としか言いようがない。
ゴムなしのそのままの基樹くんを受け入れたらどんなに気持ちいいんだろうか。
いつもはゴムの中に吐き出されてる精液を中で出されたらどんな感じがするんだろう。
色々溶けた頭で考えたけど、それは言い訳だ。
基樹くんを捕まえたい。
冷静に考えれば(考えなくても)、これは年下男を捕獲する一番卑怯な手である。
「っ、だめです。」
基樹くんは、私ほど脳みそが溶けきっていないようだ。
さすが基樹くん。しっかりしていてくれて良かった。
と、思っていたが、続けて苦しそうに吐き出された言葉にやられた。
「堤さんと、生でするのは、結婚してから、です。」
「けっ、こん…?」
「はい。結婚、です。っ、……何で今日はこんなにゴム開けづらい――」
「けけけ結婚したら、生でするの?」
「っ、そうです。したいですか、生?」
「生でし、したいっ。」
「じゃあ、結婚しますか?」
「うんっ、生でしたいっ。」
生でしたいと言ったけれど、それより早くゴムは無事装着されており、性急に私の中に入ってきた。
怒張は膣壁をズズズッと擦りながら最奥まで到達した。
容赦なく打ち付けられる腰に翻弄される。
「ひぃあ、あ、あ、はげしっ、ふんっ、あ、きもちいーよおっ、もと、きくっ。」
「っ、そんなに、く、初めから、締め、付けないでくださ、い。」
「だって、奥突くからっ、ああ、っ、基樹くんっ。」
「あ、や、だめだっ、いきそ、ん、っ、まだ、イケないっ、堤さんっ、撮りますよっ。」
トル?
とる?
撮る?
録画中のまま放り投げていたスマホは拾われ、私と基樹くんの結合部に向けられた。
少しだけ注挿はゆっくりになり、その分粘着質なくちゅくちゅ、という水音が部屋に響いた。
「ふあっ、と、撮っちゃう、の?」
「大丈夫。堤さんの顔はなるべく映らないように、します、からっ。」
「う、っ、もう、イクっ、撮られながらいっちゃうっ、基樹くんのっ、いっぱい、ちょーだいっ。あ、ああ、ああああーー、っ。」
「はっ、ヤバっ。あ、くっ。」
ゴム越しにビクンビクンと何度もチンコが跳ねた。
「早すぎ、ですよね。」
息が整った基樹くんは、しょんぼりと項垂れた。
最近見るヤリチンモードではない余裕のない感じの基樹くん。キュンとする。いや、ヤリチンもそれはそれで良かったけれど。……うん、どっちの基樹くんもイイ!ていうか基樹くんだったら何でもいいや。
もちろん早くったっていいよ、という気持ちで背中を擦ってあげる。
基樹くんは顔を上げてくれたが、情けない表情をしていた。
「どうしたの?…あ、動画はちゃんと消してあげるから心配しないで。」
どこかに落ちてるであろうスマホを手探りで探してみるも見つからない。それもそのはず、基樹くんがまだ持っていた。
保存しなくていいよ、と言おうとしたら、基樹くんは私のスマホをいじり、直後、後方からピョロンという音が聞こえた。基樹くんのスマホだろう。
「ん…?」
「俺、不安なんです。こうでもしないと、堤さんに捨てられるんじゃないかって。」
「ん…?」
何の話だろ?急激なシリアス展開に着いていけない。
「もうすぐ付き合って一年じゃないですか。昔、堤さんが予言した俺たちの仲は持って一年、の、一年、です。」
「そう言えばそんなこと言ったね。でもあれは基樹くんが私を捨てる場合の話だよ?今はそんなこと思ってないし。」
「でも堤さん、もういい歳じゃないですか。」
「んあ…?」
「それなのに俺はまだ社会に出て一年しか経ってなくて。結婚相手として改めて俺を見た時に、あ、こいつは無いなって思われるんじゃないかって思ったんです。だから、課長にそれとなく相談したんです。好きな女の人を捕まえておくにはどうしたらいいかって。」
「課長は何て?」
「体で籠絡。できなければ盗撮して脅迫。」
「な、なるほど。」
エロ課長らしいシンプルな回答だ。
「普通の人よりは堤さんに感性が近いのかなって思って聞いたんですけど、参考に出来そうになくて。あ、でも、大人のセックス特集みたいなのを読んでみたりはしました。」
それであのヤリチンモードか。
でも記事読んだくらいで習得できるなんて、やっぱりポテンシャルが高いんだろう。
エロの、ポテンシャル。
「うーん、私は付き合い初めか基樹くんにずーっと体で籠絡されてるんだけど。エロ動画まで撮らせてくれる彼氏なんてなかなかいないし。できればずっと捕まえておきたいと思ってる。だから、結婚したいって言ったし。」
「堤さん…………生でしたいとしか言ってませんでしたよ?」
「ん?同じだよね?だって結婚したら基樹くんと生で出来るんでしょ?」
「……そうですね。」
「じゃ、しようか!」
「え、え、どっちをですか?」
「それはとりあえず――」
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