ねえ、なんでキミ、男の子なのにこんなに乳首、起たせてるワケ?

さかい 濱

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おっぱいGW・下③【完】

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私は決意した。
今日は外にデートに行こう、と。
何故そんな心境の変化が訪れたかと言うと、もっと基樹くんと『普通に』恋人らしいことがしたい、と思ったからである。

切欠は、基樹くんの分のプレイ内容を書いた紙を見てしまったから。

【ピンクローターを両乳首に付けて放置プレイ】から一夜明け、目覚めてすぐに布団の中でアハハウフフした後、体に付着した色々な汁が気になり別々にシャワーを浴びようということになった(一緒にシャワーを浴びたらまた際限無く盛ってしまいそうだったので、一応自制してみた)。お先を彼に譲って、軽く部屋の掃除をしようと思ったら床に落ちている四つ折りにされた紙を見つけてしまったのだ。一瞬なんだろうと思ったものの、ああそう言えば基樹くんの他のプレイ内容を確認していない、と気が付き、それだろうなと思った。

昨日くじ引きで当てた⑩番のプレイ【普通のセックス】は、本人は違うと言っていたけれど内容が思い付かずに適当に書かれたものだろうな、と私はまだ思っていた。結局、なかなかの濃い感じのセックスになってしまったのは結果論だ。
だから、他のプレイには私ほどではないにしても特殊なことが書かれているのでは?と期待してニヤニヤしながら紙を開いた。

それは予想通り基樹くんが書いた紙だった。男性にしては少し丸みのある綺麗な文字で、5つのプレイ内容が並んでいる。

「マジか。」

私は独り言を呟いてしまうほど動揺した。だって、5つのプレイ内容は全てが【普通のセックス】と書かれていたからだ。

でも厳密に言えば、違う。

・堤さんといっぱいキスがしたい
・堤さんをいっぱい抱き締めたい
・堤さんにいっぱい好きだと伝えたい
・堤さんにいっぱいキスマークをつけたい
・堤さんの体全部を舐めたい

それらが全部横線で消された脇に【普通のセックス】と書かれてあったのだ。彼は一旦書き終わった後に訂正をしたのだ。ひょっとしたら、⑩を引いた時点では横線は引かれていなかったのかも知れない。
どちらにせよ、彼は後になって気付いたのだ。【普通のセックス】だったら、全てができることに。

私はあまりのことに、叫び出したいような気分になった。

なんてあざとい!あざと過ぎる!!

女子が意中の男子に何気ない風を装って、おっぱいアタックを決め『あ、あ、当たってるんですけど』と動揺させた挙げ句の『当ててんのよ』という古典パターンよりも数倍あざとい。

あざと過ぎて、愛しさが爆発した。
ここに紙が落ちていたことも、私が見ることを計算しての『落としたのよ』だったら、尚良い。……まぁ、天然だとは思うけれども。それはそれで私を唆す天賦の才があるということで素晴らしい。

ああ、どうしよう、もうヤバいくらいに好きだな、と思った時に気付いた。

勿体ないな、と。

私は引きこもりチャレンジを思い付いた際に、基樹くんを独り占めできるし混み合っている外にも出なくて済むし、とてもいい休暇の過ごし方を考えついたと思っていた。けれど今は、部屋の中にだけにいたのでは凄く勿体ないと思ってしまっていた。
自分でもびっくりするくらいの心境の変化だけれど、私はもっと色々な基樹くんを見たくなってしまったのだ。部屋の中だけにいても、とても楽しそうにしてくれている彼だけど、きっと外にデートに飛び出したらもっと沢山の表情を知ることができるはず、と。例えば動物園に行って、普段見ることが出来ない動物の交尾(春だからね)を見たらどんな顔をするのだろうか、とか、遊園地の絶叫系コースターに乗ったらどんなセクシーな叫び声を上げるのかとか、そんなことじゃなくても、もっと些細なこととか、とにかく沢山の彼を知りたくなってしまったのだ。

だから、シャワーから出てきた彼に『私とデートをして』とお願いした。基樹くんは当初、連休に私とどこかに行きたいと言っていた。その場所に今から行きたいのだと伝えると驚いていた。

「引きこもりチャレンジはいいんですか?人混み嫌いなんですよね。無理してませんか?ひょっとして俺に気を使ってますか?俺は堤さんといられれば、アルカトラズ刑務所だって構いませんよ。」

私の部屋はそこまで生活環境悪くないわ!
余計に大脱出してやると決めた。

しかし、基樹くんを説得するのは大変だった。自分と引きこもっているのに嫌気が差したのではないかと悲しげに言われて、違うと否定すれば、だったらチャレンジを続けましょうと押し切られそうになった。けれど私が『普通の』デートをしてみたくなったのだと告げるとなんとか了承してくれた。
『人混みの中、基樹くんと手を繋いで歩きたいなぁ』…説得する為に、こうも言ってもみたのだけれど、恋する乙女のようで気恥ずかしく、モジモジしてしまいキモくなったから逆効果だったかもしれない。ともかく、基樹くんはデートをしてくれるらしい。良かった!

てか、初デートになるのか?会社帰りに寄った、安居酒屋が厳密に言えば初か?いや、あの場所はないだろう。初デートはそれらしい所に行かなくては。

「どこに行きたい?私をどこに誘おうと思ってた?」
「……TDRに、誘おうと思ってました。」

とても申し訳なさそうな顔をした基樹くんに『そう来なくちゃ。くぅ、初デートの王道って感じ、いいっすね!』とテンション高く親指を上げて答え、自分もシャワーを浴びて準備をした。

家を出る時、もうお昼近いというのに意外に寒くて驚いた。基樹くんは知っていたのかカーディガンの中の襟つきシャツを一番上のボタンまで留めている。私は一度部屋に戻ってストールを一枚持ってきた。

「行こうか。私あそこに行くの何年ぶりだろ?子どもの頃にしか行ってないからかなり久しぶり。基樹くんは?」
「そうなんですか意外です。東京に住んでる人って、もっと頻繁に行ってるもんだと思ってました。俺は初めてなんです。一回も行ったことないんです。」

二人とも遠足に出掛ける園児のような笑顔で会話をしていたから思わず『修学旅行で行かなかったの?』と聞こうとしてしまった。実際『しゅ』まで声に出してしまい、焦って『しゅ、しゅごいねー』と誤魔化したけど、基樹くんは何でもない風に話を続けてくれた。

「高校の修学旅行、東京だったんですけどTDRも予定に入ってました。でも行ってないんです。みんなで風呂入んなきゃなんないかもしれないんで、ほんとは行きたいのに、集団行動なんてかったるい、なんて理由つけて旅行代金積み立てする段階から欠席にしてました。だから初めてなんです、TDR。…でも、TDR童貞も堤さんに奪って貰えるのかと思えば、行かなくて正解だったかもしれません。」

言いづらいことを言わせてしまったのに、基樹くんの顔は晴れやかで、なんなら『TDR童貞』と言った声の響きは色香さえも感じさせた。
私は『もちろんだ。キミのDTは全て私のものだからね』と本気のトーンで答えておいた。基樹くんは、ふんわりと笑って『好きです』と返してくれた。どんだけ好きって言うんだよ!……好き。

電車は微妙な時間のせいもあって思ったよりは混んでいなかった。目的地は合戦場のような状態だったけれど。私たちは顔を見合わせて手をぎゅっと握り合って突撃した。
いざ、初デート!

基樹くんは凄く楽しそうだった。あり得ない数字のアトラクションの待ち時間を見ては笑い、年甲斐も無く、メインキャラクターの耳付きカチューシャをつけた私を見ては『可愛いですね』と写真をいっぱい撮って、特徴的な建物の前では『テレビで見たことある』とはしゃいだ。
私も楽しかった。会社や部屋の中では見られない基樹くんを沢山発見できたから。

でも違うことも発見してしまった。

自分の彼氏がイケメン過ぎる、という今更な発見。

イケメンなのは分かってはいたのだけど、今まで私たちは会社だったり居酒屋だったり、あまり若い女の子がいない場所でしか会っていなかった。それがJD、JK、JC、JS揃い踏みの場所に来てしまい、遠慮のない視線が基樹くんへ、そして隣にいる私に注がれたのだ。思わず繋いでいる手を離したくなったけれど、気を取り直した。
世の中には美女と野獣カップルはわんさかいる。私はそのカップルを見た時に思うのだ『やったな野獣!アンタは美女が夢中になるくらい性技に長けているんだろうね』と。(あくまで主観です)
だから私は、私たちを見て『格差あり過ぎぃ』という顔を(多分)している女子たちに『ボールギャグ買ってから出直してくるんだ』という心持ちで対抗することにした。
しかし、1480円のボールギャグを心の拠り所にして、ぎこちない笑顔を作っていたら、基樹くんに謝られた。

「なんか、すみません。俺の見た目のせいでジロジロ見られてますよね?」
「なんだよ、自覚ありかよ。」
「やっぱり、見えちゃってますよね…。」
「ん…?何の話?」

基樹くんはやたら首回りを気にしている。なんだと目を凝らして見れば、首からちょびっと見えている赤いものが。

まさか。

私の背中に冷や汗が流れた。

「な、な、な、なんで!?」
「えっとー、せっかく堤さんが俺の為に買ってきてくれたんで、初デートの記念につけてみようかなって。堤さんがシャワー浴びてる間に着ておきました。」

えっとー、じゃねーよ!いや、可愛いけど、それは駄目だって。……って、おい!やめろ!なんでシャツのボタン一個外してんだ!マジで見えるから!どんなつもりだ!ここは天下のTDRなんだぞ!摘まみ出されたいのか!?……ああ、摘まみ出されたいんだな!?よし、じっくり私が摘まみ出してやろう。その赤縄(ゴム製)に囲まれたけしからんおっぱいを。捏ね繰り回して、ちゅうちゅう吸い出してアンアン言わせてやるかんな!

基樹くんは、混乱してムラムラムラムラしている私を見て、イタズラが成功した子どものような顔で笑った。初めて見たその表情は、とにかく―――最高過ぎた。

大好き。


この後、ラブホDTも無事頂きました。



≪おっぱい!≫
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