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おっぱいとの決別
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「基樹くん、続きはあっちでしよっか。」
理性が弾けた私の行動は早い。
私は彼の手をとって部屋の隅まですたすたと移動した。
「えっ、あの……。」
基樹くんは私に掴まれていない方の手で胸を隠したまま戸惑っている。それもそのはず、連れて来られたのは戸一面が鏡になっているクローゼットの扉の前だからだ。
「基樹くん、鏡の正面に立って。」
基樹くんは、何をされるのか恐怖半分期待半分といった表情で暫し思案した後、私の指示に従った。そして鏡越しに私と目が合うと頬を染めて視線を逸らした。そのしぐさがとても色っぽく、自分の中のエロオヤジが『ブラボー』と下品な口笛を吹いた。
私は彼の後ろから抱きつくようにして前方に手を伸ばして絆創膏に触れた。鏡越しに見た感じでは昨日の絆創膏とは違うもののようだ。だから私が今朝買ってきたものを貼ったままなのだろうと思われた。
半日分の基樹エキスが染み込んだ絆創膏…。これも後ですはすはして楽しもう。
私は貼ってある絆創膏を両方一気にべりっと剥がした。そしてすぐ部屋着のスエットパンツのポケットに入れた。
基樹くんの口からは『ぁ』というほんの小さな嬌声が漏れた。
やっぱり基樹くんの声は可愛くて子宮にズキュンとくる。でも もう少し大きな声を聞きたいと露になったふっくらとしたピンク乳首を人差し指でツンツン突っついてみた。さっきまで絆創膏に覆われていた乳首は蒸れてしっとりとしていた。
「ん……っ、あ、あのっ、堤さんっ、恥ずかしいんです、けど。」
鏡越しに切なそうな顔でそんなことを言われても、もっとしてください、としか聞こえない。本当にこの子は私を煽るのが上手い。
「うん。それが見たくてやってるからね。でも、キミだって昨日されたこと覚えてなくて後悔してるんでしょ?だから、ちゃんと見なきゃね。」
「……はい。」
素直過ぎるだろ。
自分が世間知らずな女の子を騙してAV撮影しちゃってる鬼畜監督に思えてきた。楽しい♪
「じゃ、下、脱いで。あ、鏡見ながらね。」
基樹くんは無言で頷くと、ベルトを外しチノパンを床に落とした。そして明らかに反応しちゃってる股間を覆い隠す最後の砦に手を掛けた。
私は昨日彼のブツを見ていない。今朝脱衣所で一瞬だけ見たのは勃起していないものだった。
早く見たいのに、躊躇しているのか動きが遅い。『早く』と催促をするように両方の乳首をぎゅっと摘まむと、『ぁああんっ』と今までで一番大きな声がした。多分パンツを脱ぐことに気を取られていて、素の感じで声が出たのだと思われる。触れている乳首からは、どくんどくんという早い鼓動を感じる。
『宅飲みしたら酔った先輩に童貞食われちゃいました~僕の勃起乳首触ってください~』
パンツを脱ぐまでにまだ時間がかかりそうなので、AVのタイトルを考えてみた。『食われた』と受け身で言っているのにサブタイトルでは『触ってください』と積極的になっているのがポイントだ。私的に。
そうこうしているうちに決心が着いたのか、先に進まなければ羞恥プレイからは逃れられないと悟ったのか、基樹くんはパンツを下ろした。
ぽろん、と零れ出たチンコは真っ赤に熟れたすもものようなキレイな色をしていた。しかし昨日より大きさが増しているような気がした。確認の為に触ってみる。
「ぁ、んっく。」
乳首ちょっと触っただけなのに、もうこんなに大きくしちゃって。しかもガマン汁まで出しちゃって、しょうのない子ね。というセリフが頭に浮かんだけれど、大概自分も興奮してパンツをびしょびしょにしていたので言わなかった。
無言で熱いチンコを擦る。そして基樹くんの横に立ち、片方の乳首を手で、もう片方の乳首を口で愛撫した。
すすり泣くような少し高い声の喘ぎ声が絶え間なく聞こえる。
乳首を咥えながら視線だけ上げて基樹くんの顔を見ると、彼はこちらを向いていた。頬を染めとろんとした色っぽい顔で見られて私の身体もカッと熱が上がってしまう。それが恥ずかしくて鏡の方を向くように指示をした。
基樹くんの限界はすぐにきた。
「つ、つみさ、…も、もう、くっ、出ま、すっ。ぁああっ、くっ。」
私が『いいよ』という前に精液は吐き出された。勢いが良く大量に出たそれは、床と鏡と私の手を濡らした。
雄の匂い、潤んだ瞳、荒い息、上下する胸、そして半開きの口。
エロ過ぎる。
私はDTが醸し出した色気にやられて、辛抱たまらなくなった。
本当は一発抜いてやって冷静にさせて、その後家に帰してあげる予定だった。でも私のあそこは大きな声で『ちんこをよこせー』とシュプレヒコールを上げている。私は欲望に忠実な女だった。
「基樹くん、スケベしようや。」
「は、はいっ。」
私は一応『逃げてー』という意味で女性が生涯で一度も口にしないであろう言葉で誘ってみたのだけれど、素直なDTには何の引っ掛かりもなく受け入れられた。順応力の高さは若さ故なのか。
その後、騎乗位で基樹くんのDTをおいしくいただいた。
ベッドで2回、クソ狭い風呂場で1回、そしてベッドに戻ってもう1回、セックスをした。そして明け方に倒れるようにして二人とも眠りに就いた。
初めはぎこちなかった基樹くんも4回目ともなれば、コツを掴み射精のコントロールも身に付けたようだった。私を何度もいかせてヒーヒー言わせて最後のセックスを終えた。
――そう、最後の。
先に起きたのは私だった。時計はもうとっくにお昼を回っていた。私はぐっすり眠っている基樹くんを起こさないようにそっとベッドを出た。そして着替えると、取り敢えず散らかったままのテーブルの上を片付け、鏡と床を拭いた。鏡に付着していた液体はすっかり乾いていて何度か擦らなければ綺麗にならなかった。
ごしごしと拭きながら昨晩の基樹くんの恥態を思い出しふふっと笑みが零れた。
可愛かったな。それに、色っぽくて格好良くもあった。
彼は感情が豊かでころころと表情が変わる。ずっと一緒にいられればもっと色んな表情を見ることが出来るのだろう。
私には無理だけど。
「あ、起きてたんですか?すみません、俺、やります。」
目を覚ました基樹くんは拭き掃除をしている私を見て、素っ裸で近寄って来ようとした。それを『終わったから大丈夫』と言って制して、近くに落ちていた彼の服を渡してあげた。服を着るのを一旦躊躇しながらも私がしっかりと服を着込んでいるのを見て、彼も服を着た。
「えっと、どっか飯食いに行きますか?」
彼はごそごそと自分のバッグから何かを取り出して、私に背を向けた。おそらく絆創膏を貼っているのだろう。私はその作業が終わるのを待って口を開いた。
「おのね、基樹くん。私は今日限りでキミのことを基樹くんって呼ぶのはやめるから。」
「……どうしてですか?」
彼は不安そうな顔でこちらを向いた。
「キミとプライベートで会うのはこれっきり、ってこと。」
「……嫌です。何でそんなこと言うんですか?俺、堤さんのことが好きなんです。ずっと一緒にいたいんです。付き合って、もらいたいんです。」
ああ、全部言わせてしまった。
こうなるのは何となく分かっていた。自惚れじゃなくて、これは必然だから。
「キミは私が好きなんじゃないんだよ。」
「意味が、分かりません。俺は堤さんじゃなきゃ駄目なんです。」
「それは、思い込みだよ。キミは自分のコンプレックスを受け入れた一人目の人間が私だから、特別な感情を持っているだけなんだよ。」
「っ、違います。」
「違わないね。私は占い師じゃないけど、もしこのまま私たちが付き合った場合の未来を簡単に予測出来るよ。多分長くもって一年だよ。」
「一年って、何の根拠があってそんなこと言ってるんですか。俺は真剣に――」
「キミはおそらく半年で気が付くだろう。自分が唯一無二のものとして掴んだはずのキラキラとした宝石が、ただの石ころだったってことに。」
「意味が分かりません。堤さんのこと宝石だとか石ころだとかそんな風に思ったりしてないです。」
「キミ、理系だった?」
「今その話関係ありますか?……理系です。」
「じゃあ、そんなキミに文系の私が丁寧に説明してあげる。特別だよ?まず、キミのコンプレックスは大半の大人からすればどうでもいいことなんだよね。女性関係でもキミが気にしたりし過ぎなければ受け入れてくれる人は沢山いる。私のようにヨダレを垂らしながら食い付いてくる人も少なからずいる。キミはイケメンで高身長で学歴もまぁまぁで、真面目でいい奴だ。そんな奴のたった一つの欠点なんて、愛しさを増すエッセンスにしかならない。多分、高校の時の彼女もあと数年したら惜しいことをしたと歯噛みをするはずだよ。だからね、キミはもっといい女と付き合えるはずなんだよ。それに気が付くのが半年。で、キミはいい奴だからそれでも私と付き合い続けてくれるだろう。でも他に好きな人ができて自分の感情を誤魔化すことが出来ないと私を一年後に振るんだ。私は傷付きたくないから、西川くんとはただの同僚に戻りたい。」
「そんなこと、起こらないです。俺は堤さんが凄く好きだから。」
「まぁ、今はそうだよね。……多分、私はキミと付き合えば、日に日にキミに惹かれていって夢中になると思う。一日一緒にいただけで結構キテるからね。だから、振られたら会社にも行けなくなるだろうし、かなり落ちる。そんな思いをしたくないんだ。破滅が待ってる未来に突き進む気はない。だから、合鍵を置いてこの場からさっさと居なくなってほしい。」
「俺、未来のことは言えないけど、でも」
「言えなくて、当たり前だよ。私たちは知り合って1か月も経ってないんだから。だから、ちょっとつまみ食いしちゃったけど、…それは謝る、ゴメン。……西川くん、ただの同僚に戻ろ?」
それでも基樹くんは何かを言ってくれようとした。でも、私の顔を見て途方に暮れたような顔になって口を閉じた。
私は泣いていた。傷付きたくないと彼を拒絶したのに、それに対して悲しくなっている。
私は私が思っているよりも基樹くんが好きなんだろう。
「キミが出ていかないのなら、私が出ていく。キミが居るうちは絶対この部屋に戻らない。」
私がこう告げると、彼はやるせないような顔をして黙って部屋を出ていった。
私は元来刹那主義だ。欲望に忠実なタイプでもある。でもさすがに振られるのが確定で、しかも基樹くんまで無駄に悩ませてしまうだろう交際をしたいとは思えない。今だったら一晩泣いて月曜日には、ただの先輩に戻れる。
その予言通り私は月曜の朝には比較的落ち着いた気持ちで出勤できた。
けれど、どうしても基樹くんが気になってしまってチラチラと見てしまう。彼は少し思い詰めたような顔をしている。そしていつもは決して脱がないジャケットを脱いでいてワイシャツ姿になっている。
別段暑くもないし何故だろうと思っていると、強張った顔の基樹くんが近付いてきて『これの処理の仕方教えてください』と伝票を手に、仕事の話をしてきた。
その途中何故か何度もワイシャツをスラックスの中に押し込む動作をした。それによってぴっちりと伸ばされたワイシャツの前面にはあってはならないものが見えた。
らめぇ!可愛らしいポッチが二つ見えてるぅ~!!
慌てる私に基樹くんは小声でこう言った。
「俺、堤さんのこと絶対に諦めませんから。」
理性が弾けた私の行動は早い。
私は彼の手をとって部屋の隅まですたすたと移動した。
「えっ、あの……。」
基樹くんは私に掴まれていない方の手で胸を隠したまま戸惑っている。それもそのはず、連れて来られたのは戸一面が鏡になっているクローゼットの扉の前だからだ。
「基樹くん、鏡の正面に立って。」
基樹くんは、何をされるのか恐怖半分期待半分といった表情で暫し思案した後、私の指示に従った。そして鏡越しに私と目が合うと頬を染めて視線を逸らした。そのしぐさがとても色っぽく、自分の中のエロオヤジが『ブラボー』と下品な口笛を吹いた。
私は彼の後ろから抱きつくようにして前方に手を伸ばして絆創膏に触れた。鏡越しに見た感じでは昨日の絆創膏とは違うもののようだ。だから私が今朝買ってきたものを貼ったままなのだろうと思われた。
半日分の基樹エキスが染み込んだ絆創膏…。これも後ですはすはして楽しもう。
私は貼ってある絆創膏を両方一気にべりっと剥がした。そしてすぐ部屋着のスエットパンツのポケットに入れた。
基樹くんの口からは『ぁ』というほんの小さな嬌声が漏れた。
やっぱり基樹くんの声は可愛くて子宮にズキュンとくる。でも もう少し大きな声を聞きたいと露になったふっくらとしたピンク乳首を人差し指でツンツン突っついてみた。さっきまで絆創膏に覆われていた乳首は蒸れてしっとりとしていた。
「ん……っ、あ、あのっ、堤さんっ、恥ずかしいんです、けど。」
鏡越しに切なそうな顔でそんなことを言われても、もっとしてください、としか聞こえない。本当にこの子は私を煽るのが上手い。
「うん。それが見たくてやってるからね。でも、キミだって昨日されたこと覚えてなくて後悔してるんでしょ?だから、ちゃんと見なきゃね。」
「……はい。」
素直過ぎるだろ。
自分が世間知らずな女の子を騙してAV撮影しちゃってる鬼畜監督に思えてきた。楽しい♪
「じゃ、下、脱いで。あ、鏡見ながらね。」
基樹くんは無言で頷くと、ベルトを外しチノパンを床に落とした。そして明らかに反応しちゃってる股間を覆い隠す最後の砦に手を掛けた。
私は昨日彼のブツを見ていない。今朝脱衣所で一瞬だけ見たのは勃起していないものだった。
早く見たいのに、躊躇しているのか動きが遅い。『早く』と催促をするように両方の乳首をぎゅっと摘まむと、『ぁああんっ』と今までで一番大きな声がした。多分パンツを脱ぐことに気を取られていて、素の感じで声が出たのだと思われる。触れている乳首からは、どくんどくんという早い鼓動を感じる。
『宅飲みしたら酔った先輩に童貞食われちゃいました~僕の勃起乳首触ってください~』
パンツを脱ぐまでにまだ時間がかかりそうなので、AVのタイトルを考えてみた。『食われた』と受け身で言っているのにサブタイトルでは『触ってください』と積極的になっているのがポイントだ。私的に。
そうこうしているうちに決心が着いたのか、先に進まなければ羞恥プレイからは逃れられないと悟ったのか、基樹くんはパンツを下ろした。
ぽろん、と零れ出たチンコは真っ赤に熟れたすもものようなキレイな色をしていた。しかし昨日より大きさが増しているような気がした。確認の為に触ってみる。
「ぁ、んっく。」
乳首ちょっと触っただけなのに、もうこんなに大きくしちゃって。しかもガマン汁まで出しちゃって、しょうのない子ね。というセリフが頭に浮かんだけれど、大概自分も興奮してパンツをびしょびしょにしていたので言わなかった。
無言で熱いチンコを擦る。そして基樹くんの横に立ち、片方の乳首を手で、もう片方の乳首を口で愛撫した。
すすり泣くような少し高い声の喘ぎ声が絶え間なく聞こえる。
乳首を咥えながら視線だけ上げて基樹くんの顔を見ると、彼はこちらを向いていた。頬を染めとろんとした色っぽい顔で見られて私の身体もカッと熱が上がってしまう。それが恥ずかしくて鏡の方を向くように指示をした。
基樹くんの限界はすぐにきた。
「つ、つみさ、…も、もう、くっ、出ま、すっ。ぁああっ、くっ。」
私が『いいよ』という前に精液は吐き出された。勢いが良く大量に出たそれは、床と鏡と私の手を濡らした。
雄の匂い、潤んだ瞳、荒い息、上下する胸、そして半開きの口。
エロ過ぎる。
私はDTが醸し出した色気にやられて、辛抱たまらなくなった。
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「基樹くん、スケベしようや。」
「は、はいっ。」
私は一応『逃げてー』という意味で女性が生涯で一度も口にしないであろう言葉で誘ってみたのだけれど、素直なDTには何の引っ掛かりもなく受け入れられた。順応力の高さは若さ故なのか。
その後、騎乗位で基樹くんのDTをおいしくいただいた。
ベッドで2回、クソ狭い風呂場で1回、そしてベッドに戻ってもう1回、セックスをした。そして明け方に倒れるようにして二人とも眠りに就いた。
初めはぎこちなかった基樹くんも4回目ともなれば、コツを掴み射精のコントロールも身に付けたようだった。私を何度もいかせてヒーヒー言わせて最後のセックスを終えた。
――そう、最後の。
先に起きたのは私だった。時計はもうとっくにお昼を回っていた。私はぐっすり眠っている基樹くんを起こさないようにそっとベッドを出た。そして着替えると、取り敢えず散らかったままのテーブルの上を片付け、鏡と床を拭いた。鏡に付着していた液体はすっかり乾いていて何度か擦らなければ綺麗にならなかった。
ごしごしと拭きながら昨晩の基樹くんの恥態を思い出しふふっと笑みが零れた。
可愛かったな。それに、色っぽくて格好良くもあった。
彼は感情が豊かでころころと表情が変わる。ずっと一緒にいられればもっと色んな表情を見ることが出来るのだろう。
私には無理だけど。
「あ、起きてたんですか?すみません、俺、やります。」
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「えっと、どっか飯食いに行きますか?」
彼はごそごそと自分のバッグから何かを取り出して、私に背を向けた。おそらく絆創膏を貼っているのだろう。私はその作業が終わるのを待って口を開いた。
「おのね、基樹くん。私は今日限りでキミのことを基樹くんって呼ぶのはやめるから。」
「……どうしてですか?」
彼は不安そうな顔でこちらを向いた。
「キミとプライベートで会うのはこれっきり、ってこと。」
「……嫌です。何でそんなこと言うんですか?俺、堤さんのことが好きなんです。ずっと一緒にいたいんです。付き合って、もらいたいんです。」
ああ、全部言わせてしまった。
こうなるのは何となく分かっていた。自惚れじゃなくて、これは必然だから。
「キミは私が好きなんじゃないんだよ。」
「意味が、分かりません。俺は堤さんじゃなきゃ駄目なんです。」
「それは、思い込みだよ。キミは自分のコンプレックスを受け入れた一人目の人間が私だから、特別な感情を持っているだけなんだよ。」
「っ、違います。」
「違わないね。私は占い師じゃないけど、もしこのまま私たちが付き合った場合の未来を簡単に予測出来るよ。多分長くもって一年だよ。」
「一年って、何の根拠があってそんなこと言ってるんですか。俺は真剣に――」
「キミはおそらく半年で気が付くだろう。自分が唯一無二のものとして掴んだはずのキラキラとした宝石が、ただの石ころだったってことに。」
「意味が分かりません。堤さんのこと宝石だとか石ころだとかそんな風に思ったりしてないです。」
「キミ、理系だった?」
「今その話関係ありますか?……理系です。」
「じゃあ、そんなキミに文系の私が丁寧に説明してあげる。特別だよ?まず、キミのコンプレックスは大半の大人からすればどうでもいいことなんだよね。女性関係でもキミが気にしたりし過ぎなければ受け入れてくれる人は沢山いる。私のようにヨダレを垂らしながら食い付いてくる人も少なからずいる。キミはイケメンで高身長で学歴もまぁまぁで、真面目でいい奴だ。そんな奴のたった一つの欠点なんて、愛しさを増すエッセンスにしかならない。多分、高校の時の彼女もあと数年したら惜しいことをしたと歯噛みをするはずだよ。だからね、キミはもっといい女と付き合えるはずなんだよ。それに気が付くのが半年。で、キミはいい奴だからそれでも私と付き合い続けてくれるだろう。でも他に好きな人ができて自分の感情を誤魔化すことが出来ないと私を一年後に振るんだ。私は傷付きたくないから、西川くんとはただの同僚に戻りたい。」
「そんなこと、起こらないです。俺は堤さんが凄く好きだから。」
「まぁ、今はそうだよね。……多分、私はキミと付き合えば、日に日にキミに惹かれていって夢中になると思う。一日一緒にいただけで結構キテるからね。だから、振られたら会社にも行けなくなるだろうし、かなり落ちる。そんな思いをしたくないんだ。破滅が待ってる未来に突き進む気はない。だから、合鍵を置いてこの場からさっさと居なくなってほしい。」
「俺、未来のことは言えないけど、でも」
「言えなくて、当たり前だよ。私たちは知り合って1か月も経ってないんだから。だから、ちょっとつまみ食いしちゃったけど、…それは謝る、ゴメン。……西川くん、ただの同僚に戻ろ?」
それでも基樹くんは何かを言ってくれようとした。でも、私の顔を見て途方に暮れたような顔になって口を閉じた。
私は泣いていた。傷付きたくないと彼を拒絶したのに、それに対して悲しくなっている。
私は私が思っているよりも基樹くんが好きなんだろう。
「キミが出ていかないのなら、私が出ていく。キミが居るうちは絶対この部屋に戻らない。」
私がこう告げると、彼はやるせないような顔をして黙って部屋を出ていった。
私は元来刹那主義だ。欲望に忠実なタイプでもある。でもさすがに振られるのが確定で、しかも基樹くんまで無駄に悩ませてしまうだろう交際をしたいとは思えない。今だったら一晩泣いて月曜日には、ただの先輩に戻れる。
その予言通り私は月曜の朝には比較的落ち着いた気持ちで出勤できた。
けれど、どうしても基樹くんが気になってしまってチラチラと見てしまう。彼は少し思い詰めたような顔をしている。そしていつもは決して脱がないジャケットを脱いでいてワイシャツ姿になっている。
別段暑くもないし何故だろうと思っていると、強張った顔の基樹くんが近付いてきて『これの処理の仕方教えてください』と伝票を手に、仕事の話をしてきた。
その途中何故か何度もワイシャツをスラックスの中に押し込む動作をした。それによってぴっちりと伸ばされたワイシャツの前面にはあってはならないものが見えた。
らめぇ!可愛らしいポッチが二つ見えてるぅ~!!
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