【本編完結済】ヤリチンノンケをメス堕ちさせてみた

さかい 濱

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番外・クリスマスイブ ③

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    クリスマスツリーを見た後は夕飯を食う為に、徒歩10分の場所にあるイタリアンレストランへと向かった。


    町屋の口にする物を全部俺が作ったモンにしたい、つー密かな野望がある俺としては夕飯を作り置きして帰ってきてから食っても良かったんだけど、時間が遅くなんのと、クリスマスだしたまには雰囲気を変えてみんのもいいかなって思って外食にした。

    イタリアンレストランにした理由は、何食うか町屋と話してた時、無性にピザが食いたい気分だったから。出来立ての石窯ピザは自分じゃ絶対作れねぇ。

    一応、町屋にも何食いたいかは聞いたんだけど、アイツは「春日部が食べたいものでいいよ」しか言わねぇ。
    何かあんだろって、しつこく聞いてたら「春日部が食べたい」って言われちまって、まぁ、実際に、食われた。
    だから俺が独断でイタリアンに決めて予約しといた。ピザが旨くて雰囲気がいいって評判のとこ。



    イタリアンレストランはビルの4階にあった。エレベーターが無くて、そこまで歩いて上ったら、ちょっとした運動になった。暑くなったから店に入る前にコートを脱いだ。
    そん時、ずっと繋いでた手を離したんだけど、ちょっと寂しくなっちまった。
    それを誤魔化すように町屋が脱いだコートも受け取って、二人分を腕に掛けるようにして持った。そこで初めて町屋の女装の全貌を見た。

    町屋は喉仏を隠す為なのかタートルネックを着てる。臙脂色でコットン生地のヤツ。それを濃紺のロングスカートにインしてて、そのせいか普段よりウエストが細く見えた。肩幅だって広いはずだし腕もしっかり筋肉がついてて逞しいはずなのに、あんま目立たねぇ。ネックの部分が緩くて太めの折り返しになってるから、目の錯覚で華奢に見えてんのかもしれねぇ。
    それと、もうひとつ。ふんわりと膨らんだ胸の方に視線が取られちまってるせいでもあると思う。

    俺が胸をガン見してると、視線に気付いた町屋は、腰に手を当て胸を張った。

「それ、何入ってんだ?」
「なんだと思う?」

    質問を質問で返されてちょっとイラッとしたけど、胸の中身の方が気になったから、二つの膨らみのうちの片方に触れてみた。

「……これ、パットか?」
「ハズレ」

    俺が触れてねぇ方の胸を自分でむにむにと触る町屋。
    つられるようにして俺もむにむにと揉んじまった。
    視覚的にはちゃんとした胸なのに、肉の弾力がなくて揉み応えがねぇ変な感触だった。

「触り心地悪いな」
「えー? 人のおっぱいに対して、それは失礼じゃない」
「お前のじゃねぇだろ」
「あ、あんまり強くは揉まないで。形が崩れちゃうから」
「つーか何が詰まってんのか早く教えろよ」
「えーと、夢と、希望?」
「うざっ」

    うぜぇから、指を大きく動かして強く揉んでやった。

「あっ、もう、強いのは駄目だって言ってるのにっ。やめてっ」
「教えろ」

    町屋は駄目とかやめてとか口では言ってっけど楽しそうに笑ってて、なんか俺も楽しくなってきたから調子に乗って今度は両手で偽乳を揉んだ。

「あ、もうっ、分かった、分かったから。言うからっ」
「よし、言ったら揉むのを止めてやる」
「仕方ないなぁ。これはね――」

    町屋が真相を口にしようとしたのと同時に、カランカランって店のドアが開く音がして、そっちの方見たら中から出てきたカップルとバッチリ目が合った。

    俺らを見てカップルは固まったみてぇに動きを止めてた。
    そこで、やっと自分がやべぇことしてるってことに気付いた。慌てて胸から手を離したものの、後の祭りだ。

    俺が手を離したことでフリーズ状態が解けたのか、カップルは逃げるようにこの場を去ってった。
    二人とも無言だったけど、表情は如実に感情を語ってた。
    女の方はドン引きして顔を引き攣らせてたし、男はちょっとだけ同情の混じった変な苦笑いを浮かべてた。

    やらかした。

    違うって、これ、胸じゃねぇからな!って叫びたかったけど、足早に去ってったカップルにはもう声は届かねぇだろう。

    今日二回目の頭を抱えたくなる事案に直面して呆然としてると、隣にいた町屋が吹き出した。

「ぷぷっ、春日部、絶対、変態だって思われたよね」

    誰のせいだよ、って言おうとしたけど今回のは俺が完全に悪いから何も言えねぇ。
    一人で落ち込んでると、町屋はひとしきり笑った後に俺を慰めて?くれた。

「ツリー前でのことは僕が悪いってことでいいし、さっきのは完全に春日部が暴走したのが悪いからイーブンってことにしよ? ノーカウントだよ。だから元気出して、春日部」

    イーブンだとノーカウントになるって、どんな理屈だよ。
    しかも若干俺の方がたちが悪いってこと強調してねぇか?

「元気なんて出ねぇよ」
「あははー、それ多分、腹減ってるからだよ。僕も笑いすぎて腹減っちゃった。早く店入ろ?」

    町屋に背中を押されて店に入ると、ピザの匂いがして急に腹が減った。

    通されたのは予約席と書かれた札が置かれた窓際の席で、窓に向かって二人掛けのソファーが置いてあった。隣の席とは仕切りもある。これは所謂『カップル席』仕様なんだろう。
    窓からはイルミネーションが施された街路樹がバッチリ見える。この時期限定のレイアウトなのかもしれねぇ。


    クリスマス限定コースに、ピザをもう一枚追加して、ワインもいい感じに飲んで、ドルチェのジェラートを二人分食って店を出た。

    評判通りピザがすげぇ旨かった。
    旨い飯食って、町屋とくだらねぇ話をしてたら元気が出た。
    だから腹ごなしにもう一回ツリーを見に行くことにした。
    もちろん手は繋いで歩く。


    今は9時30分。
    点灯直後よりは人はいなくて、ツリーが見える近くの広場のベンチも一つだけだけど空いてた。
    そこで二人並んで座ってツリーをぼんやりと見てたんだけど、町屋が小さくくしゃみをした。

「寒いし、帰るか?」
「まだ帰りたくないな。ライトが点くとこは見れなかったから、消えるところは見たいし」

    ツリーの消灯は10時。あと20分以上ある。

    点灯を見れなかったのは自分のせいだろ、って突っ込みつつ体を温める為にコーヒー買いに行くことにした。
    町屋をベンチで待たせて、広場でコーヒーと軽食の移動販売をしてるキッチンカーの前に並んだ。
    前には五組ほどの行列が出来てる。一番前の奴が大量注文してるようで時間がかかってるみてぇだ。もう缶コーヒーでもいいかなって思ったけど自販機は見当たらねぇ。仕方なく並び続けてると、大学生っぽい感じの男二人組がやってきて列に加わった。

    待ってる間、ソイツらの勝手に耳に入ってくる会話をなんとなしに聞いてた。

「いくらなんでも男の連れいんだろ」
「分かんねぇじゃん。女の子同士で来てんのかもしれねーし、一人の可能性もあるって」

    初めは、コイツらナンパでもすんのか、へぇ。くらいの感じであんま興味もなぇ感じだったんだけど、話が進んでいくにつれ嫌な予感がしてきた。

「そうかぁ? あんな美人だぞ? もし男連れじゃなかったとしても無理じゃね?」
「分かってねぇな。隙の無い美人ほど近寄り難いから遠巻きにされて寂しい思いしてんだよ。だからコーヒー持ってってさ、間違って多く買っちゃって、寒いし、良かったら、って優しく声かけたら意外とイケるもんよ。もし男連れだったとしても、連絡先だけでも交換できるかもしれねぇしな」
「すげぇなお前」
「この出会いを逃しちゃ駄目な気がすんだよなぁー」
「あれ? ひょっとしてマジ恋?」
「そうかも。……つうか順番来ねぇな。オレがコーヒー買うまでベンチから動かないでくれよぉ」

    ベンチって聞いて、嫌な予感がMAXになって後ろ振り向いた。
    ナンパ男の顔は町屋が座ってるベンチの方を向いてた。

「なぁ、お前らの言ってる女って、アイツか?」

    焦燥感に駆られつつも確認する為に声かけて、町屋の座ってるベンチの方指差すと、振り向いた男に怪訝そうな顔をされた。
    男はまぁまぁのイケメンだった。俺には全然及ばねぇけど、顔見てるとすげぇムカつく。


「……そうっすけど、なんなんすか、急に」

ナンパ男が肯定すんのを聞いて、勝手に口が動いた。

「あれ、俺の男だから。勝手に手ぇ出すんじゃねぇよ」

男を一睨みしてから俺は列から離れ、町屋を目がけて走った。100メートルもねぇ距離を全力で。

駆け出す瞬間に背後から「え、え? 男って言った…?」って間抜けな声が聞こえた気がしたけど、町屋を早く捕まえなきゃって気持ちで他のことは頭に入んなかった。

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