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春日部⑲
しおりを挟む車を買ってから、町屋と一緒にいる時間が増えた。
時間が合えばドライブしてるし、俺のバイト、町屋のスポーツジム、互いに送り迎えをしたりもしてる。
今もスポーツジムの前で町屋を待ってる。
ガソリン代は折半。
共有の財布作って月一万五千円ずつ入れてる。そっからガソリン代だとか、キャンプ場の使用料なんかも出してる。
じゃねーと町屋が勝手に払って、うやむやになっちまうから。
共有財布の金が余れば貯めといて、キャンプ用品の購入費用に充てることにしてる。
町屋はどこで覚えてきたのか、軍用のオイルランタンが欲しいなんて言ってきたけど、LEDランタンがあるから却下した。
却下はしたけど、町屋の誕生日プレゼントの第一候補にした。
実は俺も欲しかったりする。
軍用のオイルランタン。
本物の炎の明かりは落ち着くし、仄かなオイル臭さとか、軍用の武骨な感じとかすげぇ男心を擽る。ランタンを囲むようにして町屋と酒飲んだら何時間でも話が尽きない自信がある。
それに、ランタンに照らされた町屋の裸体も見てみたい。
優しい炎で白い肌が照らされたら、やべぇくらいにエロいんだろうなって。
自分の変態さ加減に呆れちまうけど、町屋が綺麗だから仕方ねぇ。
男の裸なんて見たかねぇけど、町屋は特別。
体型も格好いいし。
細く見えっけど筋肉はちゃんと付いてて、でもゴツくはなくて。
本人いわく、筋肉が付きにくい体質らしくて、トレーナーつけて週3でスポーツジム通ってもこの程度、らしい。
俺は十分だと思う。
腹斜筋の付き方が格好いい。
チンチンしゃぶる時、無意識に脇腹に手を回しちまう時があるくらい。
そうすっと、町屋は擽ってぇみたいでクスクス笑い出すんだけど、その笑顔がエロいことしてる最中なのに、あどけなくて可愛いくて――
「お待たせ。」
「うわっ。」
「ん? どしたの?」
「い、いや、何でもねぇ。」
「そう? なんか慌ててない?」
「ねーよ。帰るぞ。シートベルトしろよ。」
「はーい。あ、春日部からいい匂いする。今日のご飯、煮物?」
町屋は俺の肩辺りに顔近付けて匂いを嗅いでる。
さっきまでエロいこと考えてたから、急に距離詰められてドキッとした。
「……すげぇ、正解。夕飯は肉じゃが。」
「やった! 春日部の肉じゃが大好き。」
「お前は好きなもん多くていいな。」
「あははー、春日部の料理が上手いからだって。」
褒められて、満更でもない気分で、車を走らせる。
町屋は俺と一緒に暮らすまで、夕飯はプロテインだけだったらしい。朝もコーヒーだけで、まともに食ってんのは昼くらい。
学食のAランチだけがちゃんとした食事。
あまり食に拘りが無かったらしい。
マンションに越して来てびっくりしたのが、醤油が無かったこと。
グラスとか皿は、使ってなさそうなの(多分貰いもん)が少しあったけど、調味料と調理器具は一切無い。
コーヒーメーカーとカップとプロテイン用のシェーカー。それだけあれば事足りる生活だったらしい。
今の、もりもり食う姿からは想像が出来ねぇ。
肉じゃがの肉が牛肉のもんしか食ったことが無かった町屋は、俺の作った豚の肉じゃがを気に入った。
しょうが焼きが一番好きだから、豚が好きなのかと思いきや、鶏じゃがも作ってやったら気に入ってたから、ひょっとして俺が作る飯が好きなのかもしれねぇ。
自惚れかもしんねぇけど、俺にそう思わせるくらい町屋はうまそうに飯を食う。
学食のAランチ食ってる時は上品なのに、俺の飯はわんぱく小僧みたいにわしわし食って、たまに頬に飯粒付けてる。
俺の飯でこれだけ喜ぶってことは、町屋は家庭の味つーのに飢えてたんだろうな、って思った。
あんまり詮索したくねぇけど、町屋の口から家族のことを聞いたことねぇし、お盆も正月も実家に帰ったりもしてねぇ。
こんだけいいマンションを生前贈与に貰ってんのに、家族と交流がないなんて普通に考えたらおかしい。
俺の家族と飯食った時も「普通がいい」みたいなこと言ってたし。
だから、何かあって勘当でもされたのかもしれねぇな、って勝手な想像してる。
もしそうだとしたら、町屋は傷付いてるはずで、それを俺の料理でちょっとでも癒してやれればいいな、って思う。
町屋を見守ってやりたい。
そんな優しい気持ち。
友情以外にも、俺ん中で家族愛が町屋に対して芽生えてんのかもしれねぇ。
「――春日部?」
「あ、わりぃ、何か言ったか?」
考え事してても、勝手に体が動くくらい運転には慣れた。
もうすぐ駐車場に着く。
「ちょっと過ぎちゃってるけど、春日部と同居一周年記念だし、何かお祝いしなきゃ、って言ったんだよ。」
「はぁ? 同居一周年記念なんて聞いたことねーよ。」
「そうかな? でも、僕たちがこんなに仲良くなるきっかけになった日だし。」
そう言われると、何かした方がいいのかって気になってくる。
「で、何すんだよ? 記念写真でも撮るか?」
「あははー、いいね。撮ろう、撮ろう。」
――俺は何でそんなこと言っちまったのか。
★
「春日部、もっと尻上げて。じゃないとちゃんと撮れないよ。」
俺は全裸で、ベッドに顔を埋めて、ケツだけを浮かした。
町屋に、――スマホに、ケツの穴がよく見えるように。
「……これで、いいか?」
羞恥なのか興奮なのか、上ずった声しか出ねぇ。それが更に羞恥を煽る。
「うん。いいよ。春日部のインランなアナルがヒクついてるの、綺麗に映ってる。……じゃ、入れるね。」
「う、……あ、ア、ア……ンンッ。」
熱くて硬いナマのチンチンが俺ん中入ってきて、恥ずかしい声が出ちまう。撮られてるから、あんま声は出したくねぇのに我慢できねぇ。
記念写真。
どうしてそれがハメ撮り動画になっちまったのか。
何で俺は受け入れてんのか。
「エロ過ぎて最高。春日部にも、僕の見てる景色を、見せてあげたい。」
セックス中にそんなこと色気ダダ漏れの顔で言われて、俺、うっかり「見せてくれよ」なんて言っちまったんだよな…。
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