【本編完結済】ヤリチンノンケをメス堕ちさせてみた

さかい 濱

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夕食

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    春日部の誕生日を二人で一緒に祝えて本当に嬉しい。

    春日部の体はもうすっかりる状態だから、いつ『卒業』しちゃってもおかしくない。
    その前に僕との楽しい思い出を一つ増やすことが出来そうで良かった。





    次々と豪華な料理が並べられていく。

    溶岩プレートで焼かれているご当地牛のステーキ、焼き蟹、ニジマスの刺身、天ぷら、他にも食べきれるか不安なくらい沢山。

    春日部は無邪気に「やべぇ」と瞳をキラキラさせて喜び、写真まで撮っていた。

    今日は日本酒で乾杯をすることにした。
    この地方で造られている純米酒を「お料理によく合いますよ」と仲居さんから勧められ、せっかくだから飲んでみることにしたのだ。


    勧められた日本酒は大体5℃くらいの温度で飲むのがいいらしく、キンキンに冷えたものを仲居さんは持ってきてくれた。
    ちなみに、それくらい冷たくして飲むのを、冷やの中でも"雪冷え"と言うらしい。大人の知識がひとつ増えた。


「春日部、誕生日おめでとう。」
「ああ。ありがとな、町屋。」

    ガラスのお猪口を軽く合わせてから、同時に口をつけた。

「……うめぇ!」
「うん、美味しい!」

    飲み口はすっきりしているが、最後に口の温度と馴染んだ時に、米の甘みがふわっと熟したフルーツのように香ってくる。

「これ、飲み過ぎそうで、気ぃ付けねぇとやべぇヤツかも。」

    アルコール飲んでる感じがあまりしないから、気付けばベロベロになってるということもありそうだ。

「ヤバイね。でも、潰れたらちゃんと介抱してあげるから、安心して飲んでいいよ。」
「は? 俺じゃねーよ。」
「え? 僕?」
「誰がいんだよ。」
「大丈夫だって。ほどほどにするから。僕、大浴場の方にも行ってみたいし。」
「えっ、お前大浴場行くのか?」
「ん? 行くよ?」
「だってよ、お前、その……毛ぇ無いじゃん。大丈夫なのか?」

    誰も居ないのに、小声で話す春日部。

「え? フツーに入るけど。僕、スーパー銭湯とかにも行くし。春日部も知ってるよね?」
「知ってっけど、貸し切り風呂に入ってんのかと思ってた。……ジロジロ見られたりしねぇのか?」
「あんまりないかな。洗い場歩くときはタオルで隠してるからね、案外バレないよ。それに、もしバレて、ジロジロ見られたとしても、僕は平気だよ。」

    日本じゃ陰毛が無いのはかなり珍しいことだから、特殊な理由を連想されるのは当たり前。
    まぁ、その通りなワケだし、不快感を与えたくは無いからなるべく隠して入ってる。
    ほんとは春日部が言うように貸し切り風呂にだけ入るべきなのかもしれないが、申し訳ないことに僕は大きい風呂が好きだ。大浴場でオトコの裸を性的な目で見たことは断じて無いから、勘弁してもらいたい。

「そんなもんか。」
「そんなもんだよー。」
「……そんなことより早く食べよ? 僕、お腹減っちゃった。」
「あ、わりぃ、食うか。」

    いただきます、と言い、春日部が前菜に箸を付けたのを見て、僕も同じものを口に運んだ。
湯葉のイクラ乗せ。
    これもお酒に合いそうだと、もう一口日本酒を飲む。


    料理はどれも美味しかった。
    春日部はステーキを「歯いらねぇじゃん」といたく気に入っていたから、僕のも「食べ切れないから」と半分あげた。
    感謝されたけど、僕にとっては春日部の笑顔の方がご馳走だった。

    僕はどんな豪華な食事より、春日部が作ってくれた料理の方が好き。でも、春日部の喜ぶ顔を見れたから今日の食事は格別だった。




    食後、少しまったりとして腹が落ち着いた頃、そろそろ大浴場に行こうと準備をした。
    部屋の鍵とバスタオルを手に「大浴場にいってくるね」と言うと「腹が苦しい」と横になっていた春日部がむくりと立ち上がった。

「俺も行く。」
「……え?」
「あ? なんで驚いてんだよ?」

    食事の時の話の流れ上、一緒に行くのは嫌なのだろうと思っていた。
    だって、ゲイだと思われるかもしれないのに大浴場入るのかって聞いてきたんだから、ゲイだと思われたくない春日部が僕と一緒に大浴場に行くのはリスクがあるワケで。

「……嫌じゃないの?」

    ゲイカップルだと思われるかもよ?とは僕の願望が透けて見えそうで、恐くて聞けなかった。

「は? なんで?」
「だって、さっき……。」

    言いよどむ僕に怪訝そうな顔をしながらも、バスタオルを手に持ち、大浴場へ行く気満々の様子の春日部。

「さっきって?」
「だって、気になるよね?……仲間だと、思われちゃったらマズイでしょ。」
「あ? 何言ってんのか意味ワカンネ。俺とお前は親友だろ?仲間でいいじゃねぇか。何が不満なんだよ。」

    片眉を上げ、少し不機嫌そうな春日部を見て思い過ごしをしていたのかもしれない、と思った。

    直接聞いてみる勇気が出た。

「……春日部まで、ゲイだと思われたら……困らないの?」
「はぁ?」
「だって、さっき気にしてたから。」
「お前、なぁ。」

    春日部は正面に立ち、僕の顎を片手で掴んだ。春日部の長い指は僕の頬にむにゅ、っとめり込み、ひょっとこのように唇が突き出た。その顔が面白かったのか、春日部は少し笑った後、そのままの体勢で僕を見下ろした。

「俺は、二度と会わねぇような奴にどー思われようと、別に構いやしねぇよ。ゲイでもバイでもオカマでも、勝手に想像しやがれって、もう開き直っちまってンだよ。……さっきのはお前が嫌じゃねぇのか、って心配になって聞いた。俺と違って、お前、繊細なとこあっからさ。」
「……僕が繊細?」
「ああ。俺に比べりゃ、な。」

    変な動画を拡散されてもどこ吹く風な春日部に比べれば誰だって繊細だよ、そんな減らず口が叩けないほど、春日部の瞳は優しくて、僕は胸が熱くなってしまった。

「春日部、ほっぺ、痛い。」

    じわりと滲んだ涙を誤魔化すように、そう言うのが精一杯だった。
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