34 / 120
春日部⑧
しおりを挟む町屋は俺の膝の下辺りを持ってグッと左右に広げたら、今度は足首を持って膝を曲げるように持ち上げた。
ケツが少し浮くような体勢。
「っ、やっぱ、い、嫌だよ。こんなの、悪趣味だって。」
離せ、と言ってみたけど、手は離してもらえねぇ。
目を瞑ってても町屋の視線をすげぇ感じるし、自分の今のポーズを想像してみると、ヤバ過ぎて体が震えた。
ラブホの照明が暗めだっていっても、この距離じゃ丸見えだ。普段も見られてるとは言え、町屋が言ったみてぇに、顔とかも全部一緒に見られてんのかと思うとハズ過ぎる。
しかもケツ穴がヒクついてんのが自分でも分かっちまった。
嫌だって思ってんのに、早く舐めてほしくもあって、浅ましさに涙が出そうになる。
こんな俺を見ないでくれとは思っても、見る為にこんな格好させた町屋からすれば無理な注文で、悪趣味、と言って非難したくらいじゃ離してくれねぇ。
そればかりか、うっとりしたような声でとんでもねぇことを言いやがった。
「春日部のアナル、エロいね。顔も色っぽくて最高。僕、ヤバイくらいに興奮してる。……ねぇ、写真取ってもいい?」
「……は?オイっ、何言ってんだよッ。」
それは駄目だろと、目を開けて逃げようとしたら、すかさず「もちろん冗談だよ」と言われて、微笑まれた。
でも目は笑ってねぇ。
ギラギラとした雄の目。
時折見せる顔。
町屋はホントに興奮してる。
俺はこの目に弱い。
つーか、町屋に弱い。
お願い、って言われちまえば叶えたくなるし、町屋に求められっと、胸が熱くなる。
今日は特にそうかもしれねぇ。
昨日町屋が俺にあんなこと言ったから。
『一生、僕の、親友でいてくれる?』
聞いた瞬間、ぶわっと鳥肌が立った。
キメェこと言うなって意味の鳥肌だと思ってたけど、じわじわと胸の辺りが熱くなってって、あ、俺すげぇ喜んでんじゃん、ってことに気付いた。
『僕は春日部といる時が一番楽しい』
俺が一番。
町屋の一番。
なんか、ニヤニヤが治まんなくなって、やべぇ、って思った。
取り敢えず自分の気持ちも伝えて、それ以上喋ると浮かれて馬鹿なこと言っちまいそうだったから、寝るって言って話を止めた。
町屋のことを俺は気に入ってて、たまに困ったことされるけど性欲まで満たしてもらってて助かってる、って思いもある。
女に手を出してねぇから、揉め事もなくなって(なんで連絡寄越さないのか、つー苦情はあるが)面倒なことから解放された。
もちろん住む場所のことも感謝してて、俺にとって町屋は、なくてはならねぇ存在になってた、
そんな奴から、親友だの、一生だの、一番だのって言われたら、浮かれちまうのも仕方ねぇ。
結局よく寝れなくて、朝早めに町屋を起こしちまって、その分スケジュールが早まって、こんな場所に来る時間が出来ちまった。
しかも、こんな女みてぇな格好させられて。
でも、それを町屋が心から望んでんだったら、俺は拒めなくて、本当に絶対嫌なことはしてこないってことも分かってっから、望まれたことをしてやることに愉悦まで感じ始めて。
もう町屋から目が離せない。
「大丈夫だよ。写真はホントに冗談だから。」
弧を描く唇から、赤い舌が出てきて、俺のケツに顔が近づく。
それを俺は喉を鳴らしながら、見てる。
やべぇくらいに妖艶で、こいつ人を惑わす悪魔なんじゃね?ってくらいに綺麗な顔して、俺のケツを舐める町屋。
背徳感がある分、余計に興奮しちまって、心臓がバクバクしてる。
すげぇ、体も心も気持ち良くて、喘がされて、気付いたら町屋に促されるまま、自分の膝裏を手で支えちまってた。
ローションまみれの指を二本入れられて、前立腺を弄くられんのと同時にチンチン扱かれて、呆気なくいかされて。
それでも、まだ町屋が『俺の体』でイッてねぇことが不満で、もっとしてほしいと強請っちまった。
ハズかったけど、どんな俺でも町屋は「大丈夫だよ」って言って受け入れてくれる。
――親友、だから。
「春日部ッ、すごい、きもち、いいよッ。」
「ふあ、あ、あ、俺もッ。んんんっ、ケツ、っ、やべぇ、よッ。」
いつもする尻コキとはちょっと違う。擦るってよりも、俺のケツ穴にチンチンの先っぽを押し付けてるって表現の方が合ってる。
チンチンの裏側じゃなくて、今日は内側だから、チンチンが反ってる分、俺の穴にすげぇ当たってきて、頭が痺れるほど気持ちいい。
ケツ穴の気持ち良さに加えて、町屋は俺に入りたいんだ、って意思まで感じちまって、満たされたみてぇな変な気持ちになっちまって。
いつの間にか今まで感じてた「入ったらどうしよ」つー恐怖は薄れてた。
俺はゲイじゃない、って言い張っても、もう意味なんてねぇ。
俺は親友に求められたくて、体を開く。
それがゲイだって言うんなら、そうなんだろうな、って諦めた。
いいじゃねーか。諦め上等。
町屋は俺と一生親友でいてくれる。それってずっと、こんな関係でいるってことだろ?今のうちに認めちまったらこの先楽になる。
でも町屋は行為の終わりには必ず「春日部はゲイにはならないから、大丈夫」って、俺に言い聞かせる。
今日も。
町屋のザーメンにまみれた俺のケツをシャワーで流しながら、大丈夫だよ、って。
どうみたって大丈夫じゃねぇ状況だから、もういいよ、って言ってやってもいいんだけど、町屋の大丈夫は何か心地よくて、頷いちまう。
23
お気に入りに追加
3,055
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
目覚ましに先輩の声を使ってたらバレた話
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
サッカー部の先輩・ハヤトの声が密かに大好きなミノル。
彼を誘い家に泊まってもらった翌朝、目覚ましが鳴った。
……あ。
音声アラームを先輩の声にしているのがバレた。
しかもボイスレコーダーでこっそり録音していたことも白状することに。
やばい、どうしよう。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる