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黒龍編
10.
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「いやあのさ、一緒に来いとは言ったよ?」
「なんだ、言われた通り来てやったのに…文句の多い奴だな」
「いやー、兄さん。その状態は流石にどうかと思うけど。アレックスが10年に1度あるかないかの真面目な話しようとしてるんだよ?」
「……もう嫌だこの兄弟…なんでこんなんと何十年も幼馴染なんだ俺……」
あの後ヨトは、ルークに連れられ王宮のすぐ近くにある騎士団本部へと向かった。
大きな門の前に立つ騎士に、ルークは片手で挨拶をする。
甲冑を着たまだ入隊したてなのか、緊張した面持ちのその若い騎士は深々と頭を下げて、2人を中へと案内した。
美しい絵が施された高い天井の館内を奥へと進み、一際大きなドアが開かれると、奥の大きな机に水色の髪の青年が、手前のソファにはルークと瓜二つの…眼鏡を掛けた男がこちらに向かって手を振っていた。
アレックスが「まぁ座れよ」とゼノの向かいのソファを差すと、ルークは遠慮なくそこに座り…隣に腰掛けようとしたヨトを自分の膝の上に乗せたのだった。
「この体勢に何か問題でも?」
ルークはヨトの腰を抱き、指輪の付いた彼の左手を指で撫でている。
「……主、多分じゃなくても問題しかありません」
あの後、ルークによりキツく顔布を巻かれたヨトは彼の膝の上で硬直したまま、そう呟いた。
「君も…おかしいと思うなら素直に乗っちゃダメだよ…」
常軌を逸している2人に失笑しながら、ゼノは立ち上がりヨトに近付くと手を差し出した。
「君が噂のヨトくん、かな?僕はゼノ・スカイラ・カエラム…ゼノでいいよ、宜しくね」
「初めましてヨトと申します。よろしくお願いします」
ヨトはそう名乗り、小さく頭を下げると「うーーん」と唸るゼノに顔を覗き込まれてる。
「…君さ、…何処かで会ったことないかな」
「へっ!!?…いや、そ、そんなこと…」
「んー…、まぁいいや、宜しくね」
ヨトは差し出された手を握り返そうとした…が、それよりも先にルークがゼノの手を握っていた。
「…あの、兄さんと握手なんてしたくもないんだけど」
そう言うゼノの笑顔は見て分かる程に引き攣っている。
「ヨトへの挨拶は俺への挨拶だからな」
「え、ごめん。本当に何言ってんの?」
真顔のゼノが即座にそう言い返す。
そしてため息混じりに「ダメだこの人」と言いながらその手を振り払うと元の席へと戻って行った。
(すごい、優男なルークだ…)
ヨトは物珍しそうな顔でゼノを見つめていると、それに気付かれたのかルークに強く腰を引かれた。
「…ヨト、どこ見てる?」
「あ、いや…別に…」
焦ってルークに顔を向けると目が合い…にっこり笑った彼の口が「俺だけ見てろよ」と動く。
その行為に、ヨトの心臓がキュンっと音を立てる。
(いや、だからキュンってなんだよ!!!)
いたたまれなくなったヨトは、耳まで赤くしたままその場に俯いた。
「はいはいはい、もうルークはヨトを下ろして、本題に入りますよー!!!」
いつまで経っても話が始まらない状況を見かねたアレックスがパンパンパンと両手を大きく叩き、何枚かの紙を手に持つとゼノの隣に移動した。
名残惜しそうにルークはヨトから手を離して横に座らせると、アレックスがテーブルの上に置いた資料に目を通す。
「…これは?」
一通り確認し終え、その紙をゼノに渡すと受け取った彼もその資料へと目を通す。
そしてその紙がヨトの元に回ってくると、遠慮がちにその資料に彼も目を落とした。
(お、俺が見ていいのかな…)
ヨトはこの国の人間ではない。部外者といえばそうなのだが…しかし、呼ばれたからにはこの話し合いに参加しなければならない。冒頭からそこに書かれた文字を読み始めた。
「ドラゴン…?」
聞きなれない単語に、ヨトは思わず声を上げた。
「前、ルークには軽く言ったが…どうやら、伝説級のドラゴンを召喚してこの国を焼き払おうと計画している…、そんなよからぬ連中に動きがあった」
「えっ……ほんとにいたの、そんな頭ん中お花畑なバカ」
「バカの考える事はわからんな…」
「いや、そんな2人ともストレートに…」
ゼノ、ルークと立て続けに吐かれた暴言混じりの言葉にヨトは苦笑する。
「数日前、西の樹海で大きな光があがったという報告があった。一応その場所を調査するってことで現地に行ってみると、ドラゴン召喚の術を行った跡が確認されてな。一応…これがその時の写真ね」
資料の1番下に置かれた紙を、アレックスはルークに手渡す。
ルークはその紙を受け取り目を通すやいなや眉を寄せた。
「……黒龍か」
「何それ?」
ルークの発した聞いた事のない名前に、ゼノは首を傾げる…が、ヨトはそれを聞くやいなや顔を凍り付かせた。
「黒、龍…」
聞いた事のある名前に思わずヨトは声を上げる。心做しかその声は震えているように聞こえた。
そんな様子から何かを察したルークが、優しく腰に手を回す。
「ん?ヨト、黒龍知ってるのか?」
アレックスの発言で、皆の視線がヨトに集まる。
ヨトは膝の上の拳をぎゅっと握り、震える唇で話始めた。
「知ってる、と言うか…俺が生まれた里は…里の裏切り者と呼ばれた男が召喚した黒龍に滅ぼされたから……」
「「……っ…!!!」」
ぽつりぽつりとそう話すヨトの言葉に、ゼノとアレックスは言葉を失った。
「…当時の事はあまり覚えてなくて…俺も小さかったし……元々身寄りがなかったんだけど、暮らしていた里も無くなって。そこに救助に来た今の里長に拾われて育ててもらったんだ」
「…そう、だったんだ。ごめんね、辛い事思い出させたね」
ゼノの言葉に、ヨトは首を横に振る。
「そういえば親父が昔、東方に黒龍召喚の調査に行ったとか言ってたな…」
アレックスが腕を組んで、当時の記憶を思い出そうとする。
「ん…?黒龍召喚…調査……それって…」
何かを思い出したのか、ハッとした表情になったゼノが勢いよくルークに顔を向ける。
目が合ったルークは小さく首を振った。
「…まぁいい。とにかく、この黒龍が召喚された痕跡がある。そういう事だな?」
バサッとテーブルに書類を投げ置いたルークは足を組み直す。
「そうなるな。まぁ、この調査は俺が指揮を執ることになる。何か分かったらまた報告するわ」
「ゼノ、お前の方でも何か情報があれば報告してくれ」
「わかったよ。兄さん達も気を付けてね。何だかやたらと狙われてるみたいだし」
「あぁ……じゃぁヨト、帰るぞ」
「う、うん…」
ヨトはルークに腕を引かれて立ち上がりその場を立ち去る…が、目線はいつまでも机に置かれた黒龍の資料を見つめたままだった。
「なんだ、言われた通り来てやったのに…文句の多い奴だな」
「いやー、兄さん。その状態は流石にどうかと思うけど。アレックスが10年に1度あるかないかの真面目な話しようとしてるんだよ?」
「……もう嫌だこの兄弟…なんでこんなんと何十年も幼馴染なんだ俺……」
あの後ヨトは、ルークに連れられ王宮のすぐ近くにある騎士団本部へと向かった。
大きな門の前に立つ騎士に、ルークは片手で挨拶をする。
甲冑を着たまだ入隊したてなのか、緊張した面持ちのその若い騎士は深々と頭を下げて、2人を中へと案内した。
美しい絵が施された高い天井の館内を奥へと進み、一際大きなドアが開かれると、奥の大きな机に水色の髪の青年が、手前のソファにはルークと瓜二つの…眼鏡を掛けた男がこちらに向かって手を振っていた。
アレックスが「まぁ座れよ」とゼノの向かいのソファを差すと、ルークは遠慮なくそこに座り…隣に腰掛けようとしたヨトを自分の膝の上に乗せたのだった。
「この体勢に何か問題でも?」
ルークはヨトの腰を抱き、指輪の付いた彼の左手を指で撫でている。
「……主、多分じゃなくても問題しかありません」
あの後、ルークによりキツく顔布を巻かれたヨトは彼の膝の上で硬直したまま、そう呟いた。
「君も…おかしいと思うなら素直に乗っちゃダメだよ…」
常軌を逸している2人に失笑しながら、ゼノは立ち上がりヨトに近付くと手を差し出した。
「君が噂のヨトくん、かな?僕はゼノ・スカイラ・カエラム…ゼノでいいよ、宜しくね」
「初めましてヨトと申します。よろしくお願いします」
ヨトはそう名乗り、小さく頭を下げると「うーーん」と唸るゼノに顔を覗き込まれてる。
「…君さ、…何処かで会ったことないかな」
「へっ!!?…いや、そ、そんなこと…」
「んー…、まぁいいや、宜しくね」
ヨトは差し出された手を握り返そうとした…が、それよりも先にルークがゼノの手を握っていた。
「…あの、兄さんと握手なんてしたくもないんだけど」
そう言うゼノの笑顔は見て分かる程に引き攣っている。
「ヨトへの挨拶は俺への挨拶だからな」
「え、ごめん。本当に何言ってんの?」
真顔のゼノが即座にそう言い返す。
そしてため息混じりに「ダメだこの人」と言いながらその手を振り払うと元の席へと戻って行った。
(すごい、優男なルークだ…)
ヨトは物珍しそうな顔でゼノを見つめていると、それに気付かれたのかルークに強く腰を引かれた。
「…ヨト、どこ見てる?」
「あ、いや…別に…」
焦ってルークに顔を向けると目が合い…にっこり笑った彼の口が「俺だけ見てろよ」と動く。
その行為に、ヨトの心臓がキュンっと音を立てる。
(いや、だからキュンってなんだよ!!!)
いたたまれなくなったヨトは、耳まで赤くしたままその場に俯いた。
「はいはいはい、もうルークはヨトを下ろして、本題に入りますよー!!!」
いつまで経っても話が始まらない状況を見かねたアレックスがパンパンパンと両手を大きく叩き、何枚かの紙を手に持つとゼノの隣に移動した。
名残惜しそうにルークはヨトから手を離して横に座らせると、アレックスがテーブルの上に置いた資料に目を通す。
「…これは?」
一通り確認し終え、その紙をゼノに渡すと受け取った彼もその資料へと目を通す。
そしてその紙がヨトの元に回ってくると、遠慮がちにその資料に彼も目を落とした。
(お、俺が見ていいのかな…)
ヨトはこの国の人間ではない。部外者といえばそうなのだが…しかし、呼ばれたからにはこの話し合いに参加しなければならない。冒頭からそこに書かれた文字を読み始めた。
「ドラゴン…?」
聞きなれない単語に、ヨトは思わず声を上げた。
「前、ルークには軽く言ったが…どうやら、伝説級のドラゴンを召喚してこの国を焼き払おうと計画している…、そんなよからぬ連中に動きがあった」
「えっ……ほんとにいたの、そんな頭ん中お花畑なバカ」
「バカの考える事はわからんな…」
「いや、そんな2人ともストレートに…」
ゼノ、ルークと立て続けに吐かれた暴言混じりの言葉にヨトは苦笑する。
「数日前、西の樹海で大きな光があがったという報告があった。一応その場所を調査するってことで現地に行ってみると、ドラゴン召喚の術を行った跡が確認されてな。一応…これがその時の写真ね」
資料の1番下に置かれた紙を、アレックスはルークに手渡す。
ルークはその紙を受け取り目を通すやいなや眉を寄せた。
「……黒龍か」
「何それ?」
ルークの発した聞いた事のない名前に、ゼノは首を傾げる…が、ヨトはそれを聞くやいなや顔を凍り付かせた。
「黒、龍…」
聞いた事のある名前に思わずヨトは声を上げる。心做しかその声は震えているように聞こえた。
そんな様子から何かを察したルークが、優しく腰に手を回す。
「ん?ヨト、黒龍知ってるのか?」
アレックスの発言で、皆の視線がヨトに集まる。
ヨトは膝の上の拳をぎゅっと握り、震える唇で話始めた。
「知ってる、と言うか…俺が生まれた里は…里の裏切り者と呼ばれた男が召喚した黒龍に滅ぼされたから……」
「「……っ…!!!」」
ぽつりぽつりとそう話すヨトの言葉に、ゼノとアレックスは言葉を失った。
「…当時の事はあまり覚えてなくて…俺も小さかったし……元々身寄りがなかったんだけど、暮らしていた里も無くなって。そこに救助に来た今の里長に拾われて育ててもらったんだ」
「…そう、だったんだ。ごめんね、辛い事思い出させたね」
ゼノの言葉に、ヨトは首を横に振る。
「そういえば親父が昔、東方に黒龍召喚の調査に行ったとか言ってたな…」
アレックスが腕を組んで、当時の記憶を思い出そうとする。
「ん…?黒龍召喚…調査……それって…」
何かを思い出したのか、ハッとした表情になったゼノが勢いよくルークに顔を向ける。
目が合ったルークは小さく首を振った。
「…まぁいい。とにかく、この黒龍が召喚された痕跡がある。そういう事だな?」
バサッとテーブルに書類を投げ置いたルークは足を組み直す。
「そうなるな。まぁ、この調査は俺が指揮を執ることになる。何か分かったらまた報告するわ」
「ゼノ、お前の方でも何か情報があれば報告してくれ」
「わかったよ。兄さん達も気を付けてね。何だかやたらと狙われてるみたいだし」
「あぁ……じゃぁヨト、帰るぞ」
「う、うん…」
ヨトはルークに腕を引かれて立ち上がりその場を立ち去る…が、目線はいつまでも机に置かれた黒龍の資料を見つめたままだった。
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