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和栗

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「催眠術?やってみたいの?」
頷くと、涼くんはお財布をあさって5円玉を出した。
今やってる催眠術の番組を見て、急にやりたくなった。涼くんに試しに声をかけると、少し呆れたように笑う。
「これに紐を通せば出来るのかな」
「おれがやってみていい?」
「うん、でもかからないよ?」
「やったことあるの?」
「ないけど、普通かからないよ。あんなの、やらせだもん」
「そうかなぁ。やってみたら分かるかもよ」
紐で5円玉をぶら下げて、涼くんの前で振ってみる。涼くんはじーっと5円玉を見つめていた。
「えっとー、涼くんがエッチになります」
「は?なぁに、それ」
「ふふふっ。なんちゃって。しばらくやっててもいい?」
「いいけどー、目がクラクラしたらやめてね」
「分かった」
クリクリの目が5円玉を追っているのを見るだけで、楽しい。
ネコみたい。
可愛いなぁなんて思っていたら、トロンとしてきた。
あれ?
「涼くん、眠いね」
「んー・・・」
「ポヤポヤしてるねぇ。寝てもいいよ?」
「・・・う」
じーっと5円玉を見つめている。
あれれ?これってもしかして・・・。
「エッチになってきた?」
「へ?」
「キスして?」
涼くんはおもむろにおれに倒れ掛かると、ぼんやりしたまま触れるだけのキスをした。
舌を入れて、と言うとちろちろと唇を撫でて入れてくれる。
あれー?これ、かかったのかな?
「おれの手、持って」
すっと手を持って、次の言葉を待っているみたいだ。
「涼くんが1番好きなところに、置いてごらん?」
どこかなー、なんて思っていたら、胸に押し当てた。
うそ、ここが1番好きなの?わー!なんか、嬉しいかも!
むにゅ、と揉んでみる。無反応。
ん?
「涼くん、もう片方の手も、好きなところに置いて?」
すっと手を取って胸に置いてくれる。もう一度揉んでみるけど、涼くんはぼんやりしたままおれを見つめるだけだった。
・・・楽しくないかも。
反応がないんだもん。いつもなら恥ずかしがるし、照れちゃうし、意地を張ったりふにゃふにゃになったり、するのに。
手を離して涼くんを見つめる。空っぽの人形みたい。
「涼くん」
「・・・」
「涼くん?」
「・・・」
「・・・涼くん!」
パンっと顔の前で手を叩いてみると、ハッとしたように体が跳ねて我に返った。瞬きをして首を傾げる。
「え?あ、あれ?」
「涼くん~・・・キスしてぇ・・・」
「え?え?わ、わ、わ、」
も、戻ってよかったぁ・・・!!
抱きしめると、背中を撫でてくれた。
むにゅりと胸を揉むと、体が跳ねて背中を叩かれた。
「和多流くん!いきなりはダメ!」
「気持ちよかった?」
「バカ!」
「・・・うー、よかったよぉ・・・」
「な、何が?あ、ちょ、」
服の中に手を入れて、背中を撫でる。鳥肌が立つのがわかった。
指先で突くと、ヒクヒクと腰が跳ねる。
「わ、和多流くん!」
「好きー。好き好き。いつもの涼くんが好き!!」
「・・・ど、どうしたの?」
もしかして催眠術にかかってたの、記憶にないのかな。
あんなにバカにしてたのに、かかっちゃったのが可愛いけど・・・。でも寂しかった!!
やっぱりいつもの涼くんが1番可愛くてエッチで大好き!!
「あの、ん、ちょっと、」
「涼くん・・・キスして」
「あ、んむぅ・・・」
「きもち・・・うー、きもちーよぉ・・・」
がっつくようにキスをして、何度も何度も吸い付いて、甘噛みする。
涼くんは意味が分からない、と目をキョロキョロさせて押し退けてきたけど、しっかり抱き込んで押し倒す。
確かめるように抱いて、涼くんをとろとろに溶かす。
いつもよりしつこく胸を触ると、困ったようにしながらも好きなようにさせてくれた。
あー、安心する・・・落ち着く・・・。
もう2度と催眠術なんかやらない!!


******************************



おれって、セックス依存症なんでは?と思ってチェックリストを確認してみた。
でもものすごく当てはまるかと言ったらそうでもない。と思う。
涼くんとすると仕事は捗るし幸せになるし頑張ろーって思う。
でも、なぁ。
多すぎるよなぁ・・・。特にここ最近は。
「つまり、少し落ち着きたいってこと?」
それとなーく話をすると、涼くんはふむふむと頷きながら問いかけた。
「ていうか、発情しすぎて涼くんに負担をかけてると思ったんだよね。それに、セックスしないと不安なのかなとか思われたくないし」
「思ったことはないけどね?」
「でもことあるごとに盛ってたら呆れない?」
「・・・元気だなーとは思うね」
「前もこんな話をしたと思うけど結局なあなあになってるし」
「じゃあ今回もなるじゃん」
「ならないようにする」
「・・・じゃあ見ててね?」
「へ?」
ぷつ、ぷつ、とゆっくりワイシャツのボタンを外していく。
あ、アンダーシャツ、着てない・・・。
シール、貼って、ない。
乳首・・・は、まだ見えないぞ。
手が止まった。あ、ちょっと。ちゃんと脱いでくれないと見えないじゃん!
「すっごい前のめりだね」
「へ!?」
ハッと気づく。いつのまにか覗き込んでいた。
思わず自分の顔を打つ。
「そ、そこまでする!?」
「いや、おれは、自分をコントロール、したくて、だから、」
「だから?」
「ゆ、誘惑には左右されません!」
「あっついなぁ・・・スラックスも脱ぎたいかも・・・」
「えっ」
「脱がせてくれる人いないかなぁ」
「は!はい!!はい!脱がせます!」
そそくさと手を伸ばして、止まる。ゔ・・・ぐ・・・!!
脱がせたら、多分、止まんねぇ・・・!
「暑い~」
甘えるような声。普段こんな甘ったるい声出さないのに!可愛すぎる!!
ちょんちょん、とつま先で股間を突かれる。
「わたくん~・・・」
「・・・お、おれを試してるね!?絶対に負けないから!」
「もう勃ってるじゃん」
「これはノーカン!今からです!」
「あっ。ただいまのキスしてなかったね。してくれる?」
「え・・・お、あ、・・・は、はい」
肩を掴んでそっとキスをする。ガシッと首に腕を巻き付かせ、離れないように押し付けてくる。
べろべろと唇を舐められて、ゾワーっと背中が震えた。
「ん、柔らかかった。ふふ」
「・・・」
「・・・乳首見たい?」
「見たいです!!」
全力で叫ぶ。
涼くんは体を跳ねさせて目を大きく開いた。
「舐めたいし吸いたいしいじりたい!!」
「・・・う、うん、いいよ?」
「わーー!ダメだぁ!!涼くんがエッチすぎて我慢なんか、できねぇ!!バカバカ!!なんでそんなに可愛くてエッチなんだ!」
「和多流くんがそうしたからかな?」
「・・・」
「・・・負け?」
「負けでいいですぅ・・・!」
「したい人手を挙げてー」
即座に手を挙げる。涼くんは大笑いしながら、ほらね?できないじゃん、と抱きついてきた。
抱きしめて腰を押し付ける。ワイシャツを左右に割って乳首にかぶりつくと、涼くんは体を大きく跳ねさせて少しだけ笑った。


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