Evergreen

和栗

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「おかえりー」
涼くんが車に近づいてきた。
なんとなく元気がない。
ちょこちょこと後部座席に乗り込むと、ちょこんと座った。
移動して隣に座ると、ちら、とおれを見てコートを脱ぐ。
ついでにジャケットも。
「疲れた?」
小さく頷く。
たまにあるんだよね。くったくたに疲れてしまう時が。これは、これはチャンスだ。
「おいで」
両手を広げると膝に乗り、またがっておれを抱きしめる。
ワイシャツのボタンを外してたっぷりとキスを堪能する。
顔にも、首にも、胸にも、もちろん唇にもキスをして、涼くんを甘えさせるのが好きだ。
脇腹と背中を撫でると可愛い声が漏れた。
「んぅ、」
「お疲れ様」
「・・・ん」
「明日早い日だね。車で送るね」
「・・・うん」
あら。素直。相当疲れてるな、これは。
そういう時もあるよね。くしゃくしゃと頭を撫でると、嬉しそうに微笑んだ。目尻が下がって可愛い。
最近、以前にも増して可愛いんだよなぁ。顔もふっくらしてきたし、幸せそう。おれと過ごしてるからだって胸を張って言いたい。
昔の涼くんは張り詰めた糸の上にいるような、そんな緊張感があった。諦めも良くて、少し冷めていて、でも生きることに必死で、寂しいとダメだと分かっていても甘い蜜に釣られてしまう危うさも持っていた。
なんとか引き留めたくてちょっかいをかけていたけど、それでもやっぱり危ない方向へ行こうとしてしまう。いや、多分自分の意思じゃなかった。涼くんの緊張感を察して利用してやろうと企む男に、甘く優しい罠をかけられて引っ張られてしまうんだ。
昔の涼くんは、そんな人だった。
「キス、して・・・」
顎を持ち上げ、優しく唇を重ねてくれる。
おれの首を撫でながら柔らかな音を立ててキスをして、時折腰を揺らした。
「和多流・・・」
「ん。好きだよ」
「あ、」
ビクッと体が跳ねて、口を押さえた。
高校生、大学生の集団かな?楽しそうな声が車の横をすり抜けていく。
涼くんは冷静になると膝から降りようとした。細い腰を掴んで拒む。
「和多流く、」
「和多流、だよ」
「か、帰ろ?ごめんね」
「嫌だ」
「あの、ごめんなさい。違う。あの、甘えてごめ、」
「何で?嬉しいのに。離れないで」
「・・・人が来ちゃう、」
「うん」
頬を包んで激しいキスをする。
逃げないように、手に力を入れる。
「あふ、あぁ、」
「集中して」
「んむ、むぅ、・・・はぁ、」
「可愛い・・・。気持ちいい?」
「きもちい・・・」
「好き?」
「好き・・・好き・・・」
「涼」
「・・・う、んぅ、」
シャツを捲って背中を撫でる。手を滑らせて柔らかな胸を揉む。涼くんの体がビクビクと跳ねた。
「あ、あぁっ、揉まないで、」
「今の可愛い。もっと言って」
「へ?えぇ?う、ぅ、・・・揉まないでぇ・・・」
「だーめ。ふわふわで柔らかいから、まだ触る」
「あ、あぁ、ひんっ!?あ、」
パッと口を押さえる。
また人の話し声。今日は人が多いな。
少し離れたところで立ち話をしているようだった。涼くんは眉を垂らすと、目を伏せた。
きゅ、と乳首を摘むと腰が跳ねる。
「っ!!」
「ふふっ」
「やめ、」
「やめない」
「お、お願いだから、もぉ、」
耳元で囁かれる。あー、逆効果だ、これ。
細い腰をしっかりと腕で支えてひたすら胸を揉む。涼くんは縮こまって声を殺した。
時折乳首を摘むと喉が引き攣る。それがたまらない。
「は、はぁ、もぉだめぇ・・・声、声、」
「出していいよ?」
「や、ら、やだ、」
「興奮してるくせに」
ベルトを外してペニスを出すとすでに濡れていた。雫を掬ってしごいてやる。
ちゅる、ちゅ、とわざと音を立てて、優しく触る。
「くふぅっ、!ぅ、うっ、」
「我慢してるんだ?可愛いね」
「やめて、やめて、」
「ぎゅーって、抱きついてごらん」
涼くんがしがみついてくる。
可愛いなぁ。
腰、動いてるし。
「んふっ、ふぅっ、んむ、や、」
「いっていいよ」
「やだ、やだ、おうち帰るぅ・・・」
うわ、甘えた声。可愛い。自分のベルトを外して取り出すと、驚いたように目を見開いて涙を溜めた。
「す、するのぉ・・・?」
「んー?したいの?」
「違うもんっ、違う、ここじゃやだ!」
「ほら、声が聞こえちゃうよ」
「っ!・・・意地悪、」
「可愛い・・・ほら、おれにキスして」
涼くんは首筋に顔を埋めると、かぷ、と首を噛んだ。ペニスを重ねて緩くしごく。
「甘えん坊さん。可愛いよ・・・大好き・・・」
「ん、ん、」
「やなこと、あった?話してごらん?」
「ん、ふぅ、っ、んく、疲れた、だけ、」
「そっかぁ。忘れちゃおうね」
「っ・・・!胸、」
「ん?」
「さっ、きの・・・!して・・・」
「ふふっ。揉まれるの気持ちいいよね?知ってるよ」
「あぅっ、」
しごきながら胸を揉む。涼くんは息を切らしながら必死におれにしがみついた。
これ、いいな。密着できて。苦しいくらいがちょうどいいんだ。
「ぃ、くっ・・・いく、いくっ・・・」
「ん、いいよ」
首筋に汗をかいて、涼くんは小刻みに腰を揺らす。
吐息のような喘ぎ声が可愛くて、やらしくて、ペニスが跳ねた。
胸を揉む手にも、自然と力が入る。
「ぃく、いくっ、いっちゃ、いくっ、」
「可愛い・・・もっと教えて?」
「は、ぅうぅん・・・!!」
かなり声を抑えて、射精した。その声が脳に直接響いて、少し遅れておれも吐き出す。
2人で息を切らしながらしばらく抱き合い、どちらかともなくキスをした。
やらしい匂いがする。
「はー・・・はぁー・・・いっぱい、出ちゃった・・・」
「ふふっ。出ちゃった?」
「うん、いっぱい・・・」
「本当だ」
ぺろ、と舐めると顔をくしゃくしゃにしてハンカチを取り出し、乱暴におれの手と口を拭いた。
照れてる。可愛いなぁ。
「バカ!」
「早く帰って続きしよう」
「・・・おれ、後ろ乗って帰る」
「えー?うーん、いいけど・・・残念」
渋々1人で前へ移動し、アクセルを踏む。ゆっくり走っていると、涼くんの静けさが気になった。ミラーで見ると、こて、と倒れて眠っていた。
小さくなって寝息を立てている。相当疲れたんだろうな。
途中でお弁当を買って帰り、身体を揺すって起こすと飛び起きた。
「ふぁ!?え!?」
「ついたよ」
「・・・うわ、ごめん・・・」
「何が?疲れてたんだね。大丈夫?」
「ん・・・まだ眠い」
「食べてから寝よう」
目をこすりながら家に入り、お弁当を半分食べてお風呂に入った。
目がしょぼしょぼするのか、ゆっくりと瞬きをしながら目を擦っていた。
うーん、続きは無理かな。
仕方ない。諦めるか。
内心しょんぼりしながら隣に潜り込むと、いきなりシャツの中に手を突っ込まれた。
ギョッとしながら涼くんを見ると、不思議そうに顔を持ち上げた。
「あれ?違った?」
「え?」
「・・・続き、しないの?」
「・・・していいの!?する!しますします!」
眠いのに、いいの!?
まぁ今更止まれないけど!!
急いで服を脱がすと、ぽやーんとした顔で見上げてきた。眠い、よねぇ・・・。でも、でも、おれも我慢できないんだよ。
「和多流くん・・・」
「ん?」
急がなきゃ、と焦っていると、するすると腕を撫でて目を閉じた。あ、やばい、寝ちゃう。
「待って、」
「ちゅーはぁ?」
「へ!?」
「んー・・・」
ちょんっと唇を出す。ぐあ!キス、キスだったか!よかったー!
むちゅむちゅとだらしない音を鳴らしてキスをする。
柔けー・・・たまんない。美味しいな・・・。
「涼くん、」
「ん、ん、」
「涼・・・可愛い。大好き・・・」
「・・・手、」
「ん?」
「手で、いっぱい触って欲しい・・・」
「うん」
顔を撫でる。そのまま首におろし、肩を撫でて滑らせ、手のひら、指先まで撫でた。胸も、腹も、足も、背中も、全部、全部丁寧に。滑らかな肌に傷がつかないようにゆっくりと撫でると、涼くんは熱いため息を漏らした。
「す、すごい、気持ちいい・・・」
「よかった・・・」
「おれもする、」
「だーめ。おれがしてるの。ほら、膝立てて。お尻あげてごらん」
うつ伏せのまま腰を持ち上げてやる。涼くんは膝を立てるとお尻を突き出し、両手で割ってくれた。すぼまりがヒクヒクと反応している。やらしいなぁ。自分で広げてくれるなんて。
唇を押し付けると、腰が跳ねた。
「そのままお尻持っててね」
「んや、」
「たくさんキスさせてね」
唾液で濡らし、わざと大きな音を立てて吸い付く。
カタカタと震えながらも、しっかりとお尻を割って甘い声を漏らした。
舌を捩じ込むと可愛い声がこだました。
ペニスを緩くしごいて緊張をほぐす。
「あ!あぁっ!」
「かぁいいよ・・・」
「う、はぁっ・・・!溶けちゃうぅ・・・!」
「ちんちん?溶けちゃうの?」
「ゔ、ゔぅっ、あんっ!?」
舌を抜いて指を入れてやる。広げ、ローションを中に入れると足がパタパタと揺れた。綺麗な足だ。そっと足を撫でて爪先を一本ずつ指の腹で触ると、中が締まった。気持ちいいのかな。同じように繰り返すと、ピクンと腰も、つま先も跳ねた。
「これ、気持ちいい?」
「う、うぅー・・・」
「・・・次する時、舐めてあげるね」
「や、いや!それは嫌だ!」
「どうして。こんなに良さそうなのに。中がね、締まるよ」
指を柔らかく動かす。前立腺を押しつぶすと、腰がしなった。
「ぅふぅうっ・・・!!」
「しようね。ほら、気持ちいいでしょ」
中をほじくりながら足の裏を撫でて、もう一度つま先を一本ずつ撫でてやる。内腿が痙攣してきて、中の収縮も激しくなる。ペースを変えずに快楽を与えてやる。ここで激しくするとすぐにいっちゃうからね。深く深くエクスタシーを感じて欲しいから、このままの刺激を楽しませる。
「ひ、ひぃ、いや、いく、い、っくぅう・・・!いく、いくのぉ・・・」
「好きなタイミングでいってごらん」
「い、いぃ、いく、いきたい、いかせて、」
「ダメ。自分でいくの。力まないよ。声出して、気持ちいいって言ってごらん」
「あぁっ、あー・・・気持ちいい、いいのぉ、いく、の、いきたいのぉ、」
「ほら、ちんぽからだらしなく涎が垂れてるよ。可愛いね。足も気持ちいい?教えて」
「き、もち・・・あ、乳首が、」
「ん?触りたい?触ってあげようか」
足を伸ばして足の指でいじってやる。プリプリと弾けそうなくらい膨らんでいた。
「んくぅうっ・・・!!」
「乳首がどうかしたの?」
「か、痒いのっ、」
「そかそか。ほら、これで治るかな」
ぎゅーっと押しつぶす。腰が揺れた。
あんまり器用にできないけど、それがまた気持ちいいのかな。足先も鍛えないとなぁ。
涼くんとのセックスにバリエーションが増えていくのが、すごく嬉しかった。
「わたく、いれてぇ・・・」
「だーめ。奥でしかいけなくなっちゃうよ?」
「い、のぉ、・・・いいの・・・!」
「ふふっ。前立腺でもいけなかった子が、奥じゃないと満足できなくなっちゃったねぇ?ここでいけたら奥でたくさんいかせてあげるね?あーあ、やらしいね」
指で中を割り、覗き込む。テラテラと光った。赤くなって、ヒクヒクと痙攣している。ローションを足すと、足が跳ねた。
コリコリと前立腺をしごく。
「んに゛ゃっ!?」
「ははっ!今の可愛い。なぁに?猫なの?」
「ゔぁっ!だめだめだめ!い、く、いく!いくのぉ!」
「にゃーって言って」
「にゃあぁっ!あ、あぁ!いきます!いく!」
身体を縮こませたかと思ったら、おれのつま先にむしゃぶりついた。赤ちゃんのように足を抱き抱え、爪先を口に押し込んで必死に舐めてくれる。うわ、これ気持ちいい。くすぐったい。
「いきな?」
「いくっ、いく、あぶ、いくの、いく!あ゛ーーーーーっ!!」
焦らされ続けた体は激しく痙攣し、中も収縮を繰り返した。指の動きは止めずに一定のスピードを保ち、口に爪先を捩じ込んでやる。涼くんはガクガクと震えながら達し続け、指を抜くとぜーぜーと息を切らしながら倒れ込んだ。
おれの足を抱いたまま、愛おしげに見つめてくる。
「すごく深くいけたね。えらいよ」
「な、中、中、しゅごかった・・・まだ気持ちいい、」
「余韻かな?うーん、お尻、震えてて可愛いね。ほらっ」
パンっと叩いてやる。大袈裟に跳ねると、少し痙攣した。
結構な強さだったと思うけどなぁ。調教されて快楽にすり替わってるんだ。
「うくぅっ・・・!ん、ん、お尻、」
「痛かった?」
「痛く、ない・・・ん、」
ペチャ、ペチャ、と優しく爪先を舐めてくれる。舌を撫でてみると、とろとろと目がとろけて必死にしゃぶった。
仰向けにして白くて細い足を持ち上げて、同じように爪先を舐める。
「ぅうっ、ん・・・あ、くすぐったい、」
「おれも。でも気持ちいい・・・」
「は、はふっ、んんっ!和多流く、」
「和多流、だよ」
「和多流ぅ・・・」
「うん・・・涼?乳首触れる?」
「う、うんっ、んん~・・・!」
「可愛いね。気持ちいいね。犯してほしい?」
「・・・甘っぽいのは・・・?」
「うん?あまーいの?うん。しようね。ゆっくりいれてあげるね。足舐めてて」
ゴムを被せて涼くんの秘部に押し付ける。一番太いところが入ると、胸を逸せて声を漏らした。
「あ、はぁあぁ・・・!太い・・・!」
「まだ先っぽだよ。ほら、ね?」
涼くんの腰を掴んで揺らす。口がつま先から離れたので無理矢理突っ込むと、少し苦しそうにしながら舐めてくれた。
「あぷっ、ん、んんっ、」
「あー、気持ちいいー・・・」
「ん、ぶ、和多流、気持ちいい?いい?んぅうっ、」
「ねぇ、右手がお留守だよ?乳首かちんちん、しごいて。左手はおれの足、触ってたいんだよね?」
「う、んっ!しゅき、うぅ、おいし、」
「ふふっ。おれも舐めてあげる。・・・ね?手、繋ぐ?」
パーっと顔が明るくなる。指先を伸ばして嬉しそうに差し出した。手を繋ぐだけでこの顔が見られるなんて。おれに甘やかされて、ここまで来てくれたんだね。前はすごく遠慮していたし、照れていたのに。どっちも可愛いけど、今の方が好きだ。
「乳首とちんちんはまた、後でね?」
「う、うぅっ、しゅるぅ・・・」
「しようね。ほら、奥まで入れてあげるね」
腰を進めようとすると、涼くんも腰を押し当ててくれた。
トン、と奥まで当たる。ブルっと震えると、涼くんも少し震えた。
「すげー締まるな・・・」
「お、おっきい、おっきすぎる、」
「いつもと変わらないよ。しばらくこのままでいようか?」
お互いの足を舐め、時折腰を揺らす。涼くんのペニスは反り返ったままだった。
そろそろ我慢できなくなって足をどかすと、寂しそうに眉を下げた。
体勢を整えて腰を押し付ける。
「あーーっ・・・!!あ、あぁっ、」
「足、美味しかったよ。またしようね」
「ん、ん、する、したいよぉ、」
「嫌じゃなかったでしょ?」
「気持ちかった、口、気持ちかった・・・!」
「おれも」
「うん、」
泣き笑いの顔。可愛いな。
腰を動かしながら頭を抱え込んでキスをすると、背中に手を回した。しっかりと抱きしめてくれる。
「んやっ、やっ、つよい、あぁっ!あ!あぁんっ、」
「いいよね?ね?気持ちいいね?」
「気持ちいい!いかせて!おれのこと、あぁ!あ!あんっ!」
「涼も、おれのこと、いかせて・・・」
夢中になって腰を打ちつける。ぬめりも、締め付けも、重なる肌も、背中に立つ爪も、むちゃくちゃに奪い尽くすようなキスも、全てが気持ちいい。
射精したあとも気持ちよくて、涼くんに全てをぶつける。細くてしなやかな体は、おれを包み込んでくれるんだ。


************************


「背中、痛くない?」
「ん?全然」
たっぷりと寝て朝起きると、涼くんは電車で行くと言い出した。確かに間に合うけど約束が違うので、車に乗せて途中でコーヒーを買い、職場へ向かっている。
「みみず腫れみたいになってたよ。ごめんね。爪が少し伸びてた・・・」
「涼くんがつけてくれたんだもん。嬉しいよ」
むしろもっと欲しいくらいですけど。そういうと照れちゃうからそっと胸の奥にしまう。
「・・・昨日ね」
「ん?」
「少し疲れちゃったんだ」
「そういう時もあるよ」
「えへへ」
「おれがいるんだから、おれに頼りなさい」
「・・・えへへ、うん。ふふっ」
「あ、でも、今日早く帰るなら晩ご飯作って欲しいなー、なんて・・・」
「何がいい?」
「青椒肉絲とシュウマイ」
「シュウマイ!?うーん・・・あ、たこ焼き器でやるレシピ見つけたんだった。それでパーティーしようか」
「えー?絶対楽しいじゃん。仕事がんばろーっと」
「おれも頑張るね」
「ベッドメイキングはお任せください」
冗談めかしていうと、涼くんはじっとおれを見つめた。あれ?怒られるかな?
そう思った時、ふわりと笑った。
「・・・お願いします」
わ、わぁ・・・!可愛い・・・!
今すぐ帰って抱きたい!
でも、我慢、我慢。
公園の駐車場に停めると、涼くんはおれの手をキュッと握って、行ってくるね、と笑った。
いってらっしゃい、と言いかけた時、顔が近づいてきて唇が触れて、すぐ離れていった。
明るいところではしないって、あんなに言ってたのに。
嬉しくて嬉しくて、手に力がこもる。
「夜、楽しみにしててね」
「うんっ。シーツ変えておくから」
「そっち!?シュウマイは!?」
「え?!あ、うん、うん・・・ごめんどっちも楽しみ」
「あははっ。うん!」
「いってらっしゃい」
「いってきまーす。えへへ、ありがとうね」
車から降りると、ちょこちょこ歩いて振り向き、小さく手を振った。振り返すと、また、歩き出す。
見えなくなるまで見送ろうと思った時、また振り返った。手を振って、笑う。
何度も何度も繰り返した。
可愛い。お迎えの時、めいっぱい抱きしめよう。そうしよう。
とうとう見えなくなると、メッセージが届いた。涼くんから、手を振るスタンプが送られてきた。頬が緩んで、だらしない顔のまま家路についた。


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