Evergreen

和栗

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※恋に落ちた日

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「あのさ、今年、記念日しない・・・?」
「・・・記念日?」
いつ??
ていうかなんの記念日?
なんて聞けるはずもない。だってさ、こんな、期待のこもった目で見つめられてるんだもん。
「うん、しよ」
内心申し訳ないと思いながら頷くと、パーっと顔が明るくなった。
「でも付き合い始めたの、年末だよね」
1番近しい記念日をあげてみる。そうだったよね。年末だったよね。
クリスマスが過ぎてそろそろ年末だなぁってころに付き合い始めたけど・・・今から記念日の予約?
和多流くんは少し恥ずかしそうに咳払いをすると、4月・・・と呟いた。
「え?4月?」
「うん」
「・・・なんで?」
「・・・っと、・・・んんっ。本当に、ちゃんと、付き合い始めた日だと思ってる」
本当に付き合い始めた日?
あ、そういうことか。
そっか、うん。
ちゃんとおれが話をした日だ。
和多流くんのことを意識して、和多流くんに知ってもらった日。
覚えてたんだね。
「うん。嬉しい」
「どこか、食事に・・・」
「ここがいい」
「え?」
「おれ、有休取る。それで、ご飯作る。おれが1人でやりたい」
「・・・いいの?大変だけど・・・」
「うん。あ、でもリクエストが欲しいな」
「んー、あ、鶏肉を焼いたやつと、ラザニア?だっけ。トロトロの」
「うん。おれもあれ、好き。作るね」
「じゃあさ、おれ、シャンパン買ってくる」
「えー?なんか照れる」
「ふふっ。何でよ」
「だって、お祝いって感じ」
「お祝いだもん」
「・・・じゃあさ、お昼はピクニックしよー」
「え!?お弁当作ってくれるの!?」
「おにぎりがいい?」
「うん。ツナマヨがいい」
「いいよ。おれが作るからね」
「じゃあ卵焼き作るよ」
「うん!和多流くんの卵焼き、好き。甘いの」
「・・・からあげ、いい?」
「もちろん。早起きして作るからね」
「嬉しい・・・。幸せだ。楽しみ!」
顔をくしゃくしゃにして笑う。
おれもニヤニヤしてしまう。
どうしよう、記念日って初めてかも。季節の行事は楽しんでいたけど、おれたちだけの記念日って、すごく特別だ。


******************


「ねー、やっぱり混ぜご飯も欲しい・・・」
「えー?うん、いいよ」
振り返ると、混ぜご飯の素を持っていた。
楽しみ過ぎて2人で早起きをしてしまった。
和多流くんがペターっとくっついてくる。卵焼きの匂いがした。
「涼くんのおにぎりってふわふわだよね。何で?」
「力入れてないからかなぁ」
「おれも入れてないんだけどな・・・」
「元々の力が強いんだよ。ていうかさ、パンプアップしてから更におにぎりがギッチギチで食べ応えあるよね」
「好きでしょ?」
「うん、好きー」
「おれのことだよね?」
「おにぎりだよ」
ガシッと顎を掴まれて唇を塞がれる。笑いながらもがくと、がぶ、と頬を噛まれた。
「いひゃい!」
「涼くんー。正直に言って」
「ふははっ、おにぎり好き」
「もー」
服の中に手が入ってきて、腰をくすぐられる。
イチャイチャしながらご飯を作るのは楽しい。
この日のために買ったランチボックスにおかずを詰めていく。意外なことに和多流くんの詰め方が綺麗だった。
いつもおれのお弁当を詰めてくれるからかな。
「あ!ハンバーグだ!」
「この前作った時に小さいのも作って冷凍しといたの。からあげは揚げたてだからね」
「うん、贅沢」
「あ!!何で食べちゃうの!」
「うまい」
「もー。許す」
「やったー。・・・ねぇ、もう一個からあげ食べたい」
「あーん」
嬉しそうに笑って口を開ける。かぷっとキスをすると驚いた顔になった。
からあげ味のキス。世界で1番美味しいキスかも。
「・・・ふふっ!」
「え?何?」
「やー、もう、イチャイチャがたまんねーなーって。楽しい。涼くんは?」
「おれも」
「記念日って浮かれるね」
「んふふっ。好き」
「おれの方が好き」
「おれでーす」
「おれ。はい終わり。涼くんは観念してキスされなさい」
「わっ!」
抱き抱えられ、ダイニングテーブルに下ろされる。和多流くんは上目遣いでおれを見て微笑むと、目を閉じた。ゆっくりキスをする。しばらくくっついてから家を出た。和多流くんのマウンテンバイクには籠がついているのでお弁当を入れて並んで走る。
「ランチボックス、ミラクルフィットしたね」
「ねー。自転車もらっておいてよかった。サイクリング楽しい」
「シロくんがくれるとは思わなかったな。お母さんの彼氏がくれたけど全然乗らないし売るのも面倒って前から聞いてたんだよね」
「シロさんのところって母子家庭なの?」
「そーそー。でも彼氏と仲良しなんだって。2人で出かけることもあるって言ってたな」
「どんな人なんだろうね」
「・・・えーっと、インドだかインドネシア?アジア系の人だよ」
「え!?外国人!?」
「そうそう。でも日本語ペラペラらしいよ。あと英語も」
「へぇえー。成瀬さんも英語、ペラペラだよ」
「え!?な、なんだよあのカップルは・・・。美形の長身。神様って何でも与えるねぇ」
「・・・でも音痴だよ」
「あ!そうだった。聞いてみてーなー」
「シロさんはうっとりして聞くって言ってた」
「あの人は成瀬さんが何かしてりゃ惚れ直してんだよ」
「おれも惚れ直してるよ」
「え!?誰に!?」
「和多流くんに決まってんじゃん。他に誰がいるのさ」
「パンプアップし過ぎて服が入らなくてなっても?」
「・・・くふふっ。ピッタピタで面白かった」
「やり過ぎたよ。何でも適度でいいのについさ・・・」
「何で急に肉体改造に目覚めたの?そんなにバキバキにならなくてもいいって自分で言ってたのに」
「・・・だってさ」
ムーっと唇を突き出す。
公園の駐輪場に自転車を停めてランチボックスを持つと、そっと和多流くんが持ち直した。
「だって?」
「・・・涼くん忙しいしー。やることないから」
「・・・え?そんだけ?」
「そうだよ。ジム行って家帰ってきてボーッとするのも嫌だから涼くんの写真見ながら筋トレしてたの」
「何でおれの写真なんか見るの」
「可愛いから」
「理由になってる?それ」
「なってるよ。ねぇ、やっぱり桜、まだ咲いてないね。今年は遅いんだね」
「そうだねぇ。でも空いてるかも。原っぱになってるところ行こう」
静かな園内を歩き、ただただ広い原っぱに到着した。
小さな子供がお母さんとはしゃいで遊んでいた。
木の下にレジャーシートを広げてランチボックスを置くと、早く座って、と促された。
木に寄りかかりながら腰を下ろすと、なぜか和多流くんが膝の間に入って寝転がった。
「えー?何してんの?」
「人少ないし、してもいいでしょ。恋人同士なんだからこのくらいさ」
「・・・いっか。今日は記念日だしね」
「うん。暖かくてよかったね。すごく晴れてるし」
「あっ。ここ、剃刀負けしてない?」
眉を撫でると目を細めた。少し赤い跡がある。
「んん、ちょっと、ピリッとした」
「あとで軟膏塗ろうね」
「涼くん、唇荒れてる」
「え。ほんと?」
「ここ」
親指が触れる。ちゅ、とキスをするとにやーっと笑ってぶに、と頬を掴まれた。
「何すんだよぅ」
「ふふっ。照れた?」
「涼くんはイタズラが好きだね」
「好きかも」
「あー、可愛い。ねぇ、少し真面目な話し、していい?」
むくっと起き上がっておれの正面に座る。穏やかに笑いながら、おれの手を握った。
「おれね」
「うん」
「・・・おれね、涼くんと、一年付き合えればいいって思ってたんだ」
驚くことを言われ、言葉が出なくなった。
まじまじと見つめると、少し近づいてさらに強く手を握る。
「付き合えてすごく嬉しくて舞い上がって、これ以上の幸せなんてないって思った。でもね、涼くんが離れたら地の果てまで追いかけたいって思いながらね、涼くんが自信を持って自分から本当に好きな人の胸に飛び込んでいけるなら、それでもいいって思ってた」
「・・・なんで?」
「涼くんのこと、本当に大事だから。涼くんが幸せになる方に向かって歩き出せる時に、そばにいられたらそれでいいって思った。だから、一年、付き合えたら・・・一年たったころに、まだおれのそばにいてくれたら・・・次の年から記念日をしたいって思ったんだ」
「・・・和多流くん、」
「一年たってそばにいて、欲が出た。もう絶対に手離したくないし、どこにも行って欲しくない。そばにいたいよ。そばにいてほしい。ずっとずっと隣にいたい。涼くんを見つめていたい。だから、指輪を用意して・・・喜んでくれて、幸せだった」
「おれも、」
「涼くん、指輪、つけてくれてありがとう」
指輪が光る。
泣かない。絶対に。泣いたらもう何もできなくなる。だからぎゅーっと手を握り返して、力強く頷く。
「来年は、旅行に行こう。記念日に、豪華なホテル、泊まろうよ」
「いいね」
「・・・おれね、本当に好きな人の胸に、もう、飛び込んでる。抱き止めてくれて、すごく強く抱きしめてくれたよ」
「・・・うん」
「すげースケベでエッチで勝手におれの写真集作って、いつも背中にくっついてきてベタベタ触ってくる人だけど、すごくすごく楽しくて嬉しいんだ」
「スケベでエッチなの?こゆことしてくる?」
服の上から優しく乳首をつままれた。何でわかるんだよ、もう。
「こら!」
「おれの好きな人もすごくやらしくて可愛くてたまんないんだよね」
「ふーん?じゃあ大変だね」
「何が?」
「満足させるのが大変」
「大変じゃないよ。おれの使命。そして本望。幸せいっぱい」
「誰?」
「んー?知りたい?」
「知りたいよ」
「可愛い子だねぇ。涼くんに決まってるじゃん。涼くんの好きな人は誰?」
「誰でしょう」
「こりゃ。ちゃんと言いなさい」
「秘密」
「りょーうーくーん?」
「んははっ!知ってるくせに」
「おりゃっ」
ぐんっと引っ張られる。バランスを崩して倒れ込むと、和多流くんもそのまま後ろに倒れた。がっちりと腰を固定される。
「あはは!」
「涼くん、早く教えて」
「やーだよ」
「離さないよ?」
「・・・離さないで。ずっと、抱きしめてて」
「・・・本当にいいの?後悔しない?」
「んー、後悔してることといえば1つだけ・・・」
「え!?な、なんかあるの??」
がぶ、とキスをする。驚いた顔。目を合わせたまま唇を押し付けていると、頬をくすぐられた。
「ふふっ」
「涼くん、おれ、後悔させたなら・・・」
「うん、後悔してる」
「・・・何を?」
「友達に戻れなくなっちゃった。それで、離れられなくなっちゃって、離したくないって思っちゃった」
「・・・涼くん・・・おれ今、マジで焦ってた・・・」
「へへへ。ごめんね」
「涼くん・・・好きな人、教えて」
「えー?んー・・・大好きな人はいるんだけどなぁ」
「誰?教えて」
もう一度キスをする。頭を優しく撫でられた。応えるように首を撫でると、少しだけ舌が絡んだ。顔を離すと、目を細めて笑ってくれる。
「だーれだ」
「もー、素直じゃないなぁ。早く言いなさい」
「わ!」
コロンっと倒された。和多流くんが覆い被さり首筋に顔を埋めた。髭を押し付けてくる。
「あはははは!」
「涼くん、早く」
「やだ!」
「もぉー!教えて!」
「言わなくても分かるじゃん!」
がぶ、と耳を噛む。
大袈裟に飛び跳ねてゲラゲラ笑い、シートからはみ出してもみくちゃになる。
草だらけになって、さらに大笑いした。


********************


「ね、シャンパン一緒に選ぼう」
お弁当をたっぷり食べて、自転車を押しながら帰宅している途中だった。
あそこ、と指をさされたのは、いつも通っているスーパーの倍の値段で食品が売っているお店だった。
「ひえっ。あそこで?」
「今日くらいさ、ね?」
「・・・んー、うん」
恐る恐るお店に入る。あまり値段を見ないようにしてお酒のコーナーへ向かう。
「あ、これ綺麗だね」
「・・・ひぇえ・・・」
「ん?」
「た、高いよ?」
「え・・・まぁ、うん、そうだね」
「ビールでいいよ?」
「んー・・・。涼くん、これからオーブン料理作ってくれるんだよね?」
「え?うん。ラザニア・・・食べたいって、言ってくれたから。うれし、」
「コンビニのレトルトのラザニアでいいよ?」
「・・・え!?あ、う、あの、え??え!?」
「ねー?嫌でしょ?だからね、これにしよう」
ハッとした。記念日で、和多流くんも楽しみにしていて、一緒にシャンパンを飲もうって、言ってくれて・・・。またお金のことを出して、失礼なことをしちゃった。
「あの、」
「ん?」
「ごめんなさい」
「ううん。いいんだよ。分かってくれて良かった」
「あの、ラザニア、た、食べてくれる・・・?」
「何言ってるの。涼くんが作ってくれたやつじゃないと嫌だよ、おれは」
「ほんと?」
「本当。ねぇ、サラダも食べたいな」
「ん。作るね」
「ケーキ、買っていかない?あそこに小さいのがある」
「あ・・・いちご・・・」
「いちごケーキにする?ふふ、可愛いね」
カゴに入れて会計を済ませる。
記念日だから、奮発してもいいよね。
ケーキを崩さないように運んで家に帰る。
さて、今度はおれの番。
和多流くんが洗濯物を入れてくれている間に下準備。
無言で進めていると、ぺた、と和多流くんがくっついてきた。
「わっ」
「それ鶏もも?」
「うん。フォークで刺して皮の方から焼いて、照り焼きにする。鶏肉好きだもんね」
「・・・刺し方がすごいね」
「優しくやっても刺さらないからね。こう、やる、の!」
グサグサと刺していく。和多流くんは少し唸ると、小さく言った。
「・・・ちんちんがちっちゃくなっちゃう」
「何それ!あははは!」
「美味しくなるのは分かってるんだけどねぇ・・・」
「あとね、ガレットも作るよ。チーズいっぱい入れるからね」
「ガレット?」
「じゃがいもを薄く細切りにして焼くやつ。見れば思い出すよ。何度か作ったもん」
「じゃあ絶対美味しいや」
「なんか、大したことなくてごめんね。成瀬さんに凝った料理とか教わってくれば良かったなぁ」
「え?凝ってるじゃん。おれ作れないもん。すごいよ」
「んー・・・」
「・・・あのさ、パスタもいい?」
「え?パスタ?」
「うん。味は何でもいい。お腹いっぱい食べたい。残ったら明日のお昼ご飯にするんだ」
「いいけど・・・ラザニアも一応、パスタだよ?」
「え?そうなの?あれってパスタなの!?」
「お腹に溜まるもの食べたいなら、ピラフにしようか?」
「え!ほんと!?食べる食べる!」
「ガス台全部使っちゃうから、簡単に炊飯器でできるやつにしようかな」
「ははっ!魔法みてぇ。レパートリーあるのがすごいもん。楽しみー」
くしゃくしゃっと顔を崩して、嬉しそうに笑う。
あ、なんか、もう。この笑顔だけで、おれ、幸せ。
振り返ると頬にキスをされたので、そっと返事をするように唇に触れる。
しばらくキスをして、そっと離れた。おでこを突き合わせてくすくすと笑い合う。
「涼くん、おれ一つ買い忘れがあったから買ってきていい?」
「うん、もちろん。あ、ついでにレモン1ついい?」
「分かった。あ、レモンティー作るんでしょ」
「うん。あとで飲もうね」
「やったぁ。楽しみだ。じゃあ行ってくるね」
和多流くんはひらひらと手を振って出ていった。何を買い忘れたんだろう。あ、軽くつまめるものとか?一応生ハムとかチーズとか買っておいたけど、和多流くんてジャーキーとかスナック菓子が好きなんだよね。買っておけば良かったかな。
音楽をかけながら料理を進めていく。
炊飯器が鳴ったので開けてみると、エビがぷりぷりだった。うん、冷凍のエビ、優秀!
オーブンに入ったラザニアもいい香りがしてきた。
照り焼きも出来てるし、サラダも完成。
スーパーの後に行ったパン屋で買ったバゲットも切っておかないと。へへ。パーティーだ。テーブルに載るかな。
「ただーいま」
「あ!おかえり!遅かったね!」
声が聞こえて玄関まで小走りで向かう。廊下のドアを開けると、顔にばさっとぶつかった。
「わっ!?」
「あれ?あはは。慌てん坊だね」
和多流くんの手には大きなバラの花束が抱えられていた。
真っ白なバラは数え切れないほどの束になっている。
ポカンと口を開けてみつめると、はい、と渡された。
「・・・え?!」
「記念日だから」
「・・・ひぇ!??いや、あの、これ、あ、あ、」
「カッコつけちゃった。へへっ」
「・・・い、いいの?すごく綺麗・・・」
「涼くんっぽいなーって。白いバラ」
もう一度差し出される。受け取ると、にやっと笑った。
「あーあ、受け取っちゃったねぇ。罪な子だ」
「え?」
「受け取ったんだから、一生おれといなくちゃだめだよ」
「う、うん・・・」
体が熱くなる。
どういう意味なんだろう。でも、うん、一生一緒にいたいなぁ・・・。
ふやけた頭で和多流くんと手を繋いで、ダイニングに戻る。
ちょうどラザニアが焼けたところだった。
「わ!いい匂い!涼くんありがとう」
「んーん・・・。はぁ、バラ、綺麗・・・」
「気に入った?」
「ん・・・。あの、寝室に飾りたい。綺麗だもん。ずーっとそばに置いておきたいなぁ・・・」
本当に綺麗。うっとりと見つめてしまう。顔を寄せて香りを楽しむ。甘い、香水みたいな・・・いい香り。
「あの、ダイニングにも飾って、それで、」
「うん。大きい花瓶も買ってきた。飾ろう」
「ありがとう。本当に、ありがとう。おれ、花好き」
「知ってるよ」
パシャっとシャッターの音。
一緒に撮ろう、と言うと肩を寄せてくれた。
花瓶に花束を活けて、ダイニングテーブルに乗せる。うーん、料理、乗るかな。
「あはは!とりあえずローテーブルに置いておこうよ」
「うーん、でも・・・」
「後でまた楽しもうよ。ね。嬉しいな。そんな喜んでくれるなんて」
「おれ、何も用意してないや」
少し落ち込む。料理のことばっかり考えてた。それしか出来なかった。もう少し気の利いた何か、用意できたら良かったのに。
「おれね、好きな人がご飯作ってくれるのが最高の幸せ」
「え?でもそんな、当たり前のこと・・・」
「おれにとっては当たり前じゃなかったよ。当たり前って思ってくれて、嬉しい。本当に本当に、嬉しい」
「・・・うん。ありがと・・・」
「ね、ね、ご飯食べようよ。早く早く」
ギューっと腰を抱かれてくすぐったくなる。
花瓶を置いてから料理を並べ、シャンパンを開ける。
「こう?こう?」
「そーそー。気をつけて」
「ん、ぐっ、」
ポンっと大きな音を立ててコルクが抜けた。
テーブルに少しこぼれた。和多流くんが笑いながら拭いてくれる。
慌ててグラスに注ぎ、顔を見合わせる。
「あはは!びっくりした!」
「結構出たね。ほら、おれが入れてあげる」
「わー、やっぱ綺麗だね」
「ね。じゃあ・・・涼くん、これからもよろしくね。愛してるよ」
ふわっと微笑まれて、あまりにもかっこよくて、頷くことしかできなかった。
チン、とグラスをぶつけて口をつける。パチパチと口の中で弾けて、消えた。
「うまー・・・」
「んんっ。うまい」
「あ、ラザニア取るね」
「ありがとう。・・・ごめん、我慢できないからピラフ食べるね」
スプーンを取り、がぶっとピラフを口に入れた。
ほっぺがまんまる。つい指で突くと、ふにゃ、と笑う。
「おいしいー・・・!エビもコーンもたくさんで、幸せだ」
「よかった。サラダとラザニア、置くね」
「ガレットも食べたい」
「ケチャップかけるね。チーズ多めにしたんだ。今日はハイカロリー飯」
「うん、うまい。・・・これ何?」
「バルサミコ酢のディップ。パンに塗るの」
「・・・うん。うまい。うまい!これはまた食べたい!」
「また作るよ」
「天才だな・・・」
「大袈裟だなぁ。簡単なやつだよ?」
「それができないんだよ、おれは」
「今度一緒につくろうよ」
和多流くんは少し考えると、こくんと頷いた。
他愛のない話をしながら食事をするのは楽しかった。
何度も乾杯をして笑い合い、テーブルの下で足を絡めた。くすぐったい夜。
片付けなんて明日だ。
お腹がいっぱいになったらソファに座ってくつろいで、和多流くんに寄りかかる。肩を抱いてくれた。
「バラの花束、すごくいい香りがするね」
「ね。甘いね。クラクラする」
「大丈夫?」
「うん。涼くんの香りと同じ」
「え?わ、」
抱きしめられ、優しくキスをしてくれる。
目を細めて身を委ねていると、にこっと微笑んでくれた。つられて口元が緩む。
「和多流くん、」
「可愛い」
「ん、ん、」
「キス、好き?」
「うん。和多流くんのキス、好き」
「おれも涼くんのキス、好き」
「ふむっ、む、ん、」
トサ、と軽い音を立てて後ろに倒れる。腰に手を回して抱きしめると、和多流くんが体重をかけてくれた。重みが気持ちいい。
「気持ちいい?」
「うん・・・」
「可愛いね。ずーっと笑ってくれるんだね」
「えへへ・・・和多流くんも、」
「うん」
長い時間キスをしていた。顔中に、手に、唇。ひたすらキスをして、2人で笑って、気持ちいいね、と耳元で囁いた。
幸福すぎて涙が出そうだ。
「ペロってして?」
「こぉ?」
舌を出すと、指で撫でられた。舐めると、口の中に入ってくる。しゃぶっていると、目元を撫でられた。
「気持ちいいなぁ。涼くんの舌って柔らかいよね」
「和多流くんのは、厚みがあるよね」
「ふふっ。あれ?ここにホクロ、できてる」
「え?」
「顎の下。見えないかもね。おれだけがキスできる」
ちゅうっと唇が触れた。くすぐったい。
「ふひひっ」
「あと、耳の裏にもあるんだよ」
「え?そうなの?」
「あとはねぇ、ふふ。お尻の割れ目にも1つ」
「え!?み、見ないでよ」
「見るよ。左右に割るとね、あるんだよ。いつもは隠れてる」
「やだって」
「ふふっ」
「和多流くんは乳首に毛が生えてるくせに!」
「あー!それは言わないって約束したじゃん!」
「ふわふわだもんね」
「気にしてるの!」
「羨ましいなぁ」
「もー。何が羨ましいの。あっても得にならないよ」
「おれに生えてたらどうする?」
「・・・引っ張って反応を見るね」
「でしょ?」
「おれのは引っ張っちゃダメ!痛いから!」
「撫でるのは?」
「・・・まぁ、たまになら・・・?いいけど」
「えへへ」
「パイパン涼くん」
「嫌い?」
「好き!だめだぁ、負ける・・・」
「おれの勝ち」
「しょうがない。負けました。勝った方の賞品はキスです」
「負けた方は?」
「ディープキス」
「何それ?」
ケラケラ笑いながらじゃれあっていると、ソファから落ちた。2人で体を打って、痛いと言いながら笑い合う。見上げると花束が見えた。綺麗だなぁ、本当に、綺麗。抱きしめて眠りたいよ。真っ白な、バラの花束。
手を伸ばして花びらを一枚取る。手帳に挟むんだ。いつでもこの幸せな時を思い出せるもん。
「お風呂入る?」
「入る。ね、体洗ってあげる」
「やったー。へへ」
「手がいい?」
「もちろん。涼くんの手が1番気持ちよくてやらしいもん」
「すぐそういうこと言う」
お風呂に移動して、髪を洗ってから石鹸を泡立てて体に塗ると、バスタブに腰掛けた和多流くんは目を細めた。
なんか、大型犬を洗ってるみたいだな。
耳の裏から首にかけて撫でると、目を閉じた。
「うー、気持ちいい」
「背中もね」
「うん。あー、これまたしてね」
「もちろん」
「寝ちゃいそう」
「ここ洗うね」
下半身に移動して、撫でるように洗う。ムクムクっと大きくなって、すぐに反り返った。なんか、和多流くんて、性欲強くない?おれより強い気がする。20代が一番強いはずなんだけどなぁ。
和多流くん、すごいや。見てると恥ずかしくなっちゃう。
「涼くん、」
「ん?んっ・・・」
顔を持ち上げられ、むちゅ、とキスをされた。舌が絡む。先ほどよりも熱くて、ねっとりしていた。
「あ、」
「可愛い・・・」
「あ、あ、っ!」
乳首に泡を塗り、親指の腹で撫でられる。
前はくすぐったかっただけなのに、今はもう性感帯だ。大きくなっちゃったし、すぐに立ち上がってしまうし、深く、果ててしまう。
キスをしながらなんて、もう、どうしようもなくなってしまう。
「んむっ、んむ、はぁ、」
「おれの上に乗って」
「あ、うん・・・うひゃっ!?」
「ふふっ!ヌルヌルだね」
「わ!ん、落ちちゃう、」
「可愛い」
笑いながら湯船のお湯を掬い、かけてくれる。
やっと安定したと思ったら、キュッと乳首を摘まれた。
「やんっ」
「えー?可愛い、今の」
「びっくりした・・・あ、んんっ、」
「可愛いよ。大きくなったね。今度また、おもちゃつけていい?振動して気持ちいいよ」
「え、え、でも、また、」
「ツンって立っちゃうね。可愛いよ、絶対。しようね。約束だよ」
「や、」
「ふふ、可愛いね」
ちゅるっと吸われて、腰が跳ねる。
気持ちいい。温かい舌が乳首を弾いて、ねっとりと舐めて、唇が吸い付いてくる。
「あ、だめっ、」
「なんれ?」
「だめ、だめ、」
「ダメじゃないでしょ?」
「うっ、んんっ!」
「なんでダメなの?教えて?」
「ぅああっ・・・」
両方、指で、摘まれて。
甘い痺れが腰を駆け抜けた。
「あぁあーん・・・」
情けない声で喘ぐ。反響して恥ずかしい。でも、気持ちいい。
「いっちゃうよぉ・・・」
「いいんだよ」
「だめ、だめ!」
「今我慢した?これは我慢できないでしょ?」
くにゅくにゅと親指と人差し指の腹で扱かれる。あ、あ、やばい。これだめ。きゅーっと引っ張られて、こねられる。カクカクと腰が動く。和多流くんのペニスがお尻に当たって俯くと、覗き込んできて、ジュルッと唇を吸われた。あ、やばい。
「だめ、こぇらめ、」
「キスしよ?」
「いきたくないのっ!」
「なんで?ほら、キスしようよ」
「あ、あ、あ、あ、あ、!ちくび、やめっ、」
「コリコリだよ」
摘まれて、こねられて、舐められて、腰が痺れて、止まらない。
だめ。もうだめ。快楽を覚えた体は我慢の仕方を忘れてしまった。
「キスしたらいっちゃうね」
「ゔーっ!う、う、あぁうっ、」
「したくない?」
「したい!でも、いきたくないの!」
「なんで?」
「あ、ベッド!あぁんっ!わたぅくんのこと、気持ちくするの!わたぅくんが、あ、あ、あ、ぁあ!先、なのぉ、・・・!」
たくさん抱きしめて、キスをして、甘えてくれて、甘えさせてくれた和多流くん。花束もプレゼントしてくれて、本当に幸せ。だから、せめて、おれの体を、快楽を与えたかった。気持ちいいって言われたい。感じてほしい。なのに。
「おれじゃないのぉ!」
おればっかり、気持ちいいよぉ・・・!
「バカ。涼くんが気持ちいいから、おれもいいのに」
「く、くちっ!くちでしゅゆ!からぁ!乳首おしまい!離し、」
「やだ。おしまいじゃない。触りたいよ」
「ふ、ぅうっ・・・ぅうんっ、」
「・・・赤くなっちゃったね。ぷっくりしてる」
「くちで、したいのぉ、・・・ふぇらちお、したい・・・」
和多流くんの指の動きが速くなる。コリコリが、激しくなる。声が、大きくなる。
「はひぃっ!あーっ!」
「フェラしたいって、言って?何度も、たくさん、教えて?」
「フェラしたいの!口で、するの!あぁあんっ!乳首、乳首、いや、いくのっ!違う!いきたくないよぉっ!ぎもぢいぃ~・・・!」
「いっていいよ。可愛いね。気持ちいいの追いかけて」
ガシッと和多流くんの肩を掴んで、必死に耐える。
いく。けど、我慢。でも、指の動きが止まらない。乳首が指に挟まれて転がされて、押しつぶされて、甘く撫でられる。目が、かすむ。
「気持ちいいって、たくさん叫んでごらん」
「気持ち、いい!気持ちいい!いいよぉ、」
「いっちゃえ。ほら。見せてごらん。いくところ、見せてごらん」
「ふ、ゔぅー!ゔー!わたくんに、したいのぉ・・・!おぇ、が、しゅゆ、っあ、あ、あ、あ、あ、あ!!」
「キスして」
バチンッと脳みそが痺れた。口を開けて待つ和多流くんにむしゃぶりつく。
逆らえない。抗えない。キスしたい。
つま先がピンと突っ張り、腰がしなる。キス、気持ちいい。
「あ゛ぁああ゛ぁーー!い゛っでるぅーー!」
「上手。可愛い。舐めてあげる」
「はひっ!?あー、あぁー・・・いっちゃぁ・・・い、あ、いっ、」
ペロペロと下から掬い上げるように舌が這う。乳首が包み込まれるたびにいってしまう。おれの体、もう、自分のものじゃないみたいだ。
「たくさんいった?よかった?教えて?」
「っ・・・う、」
ぼんやりと和多流くんを見下ろす。乳首、ジンジンする。熱い。唇が近づいて真っ赤に熟れた乳首の前で止まった。あ、ほしい。舌で、撫でて、歯で、噛んで。
「教えて?」
吐息がかかる。欲しい。欲しいよぉ。
「よ、かった・・・わたぅくん、」
「ね、いろんな呼び方して?」
「えぇっ・・・?」
「聞きたいな」
「・・・わっくん・・・。ぁん!」
ペロッと舐められた。
ゾワゾワと腰が震える。
「わ、わたくん、あぁんっ!」
「可愛い。ほら、もっと」
「え?え?あ、と、藤堂さん、ひん!?」
「んー、懐かしいなぁ」
名前を呼ぶたびに乳首を舐めてくれる。気持ちいい。もっと、呼びたい。
「ん、・・・和多流くん、ふぁあっ・・・」
「すごくつんってしてて、吸いやすいね」
「はー・・・はー・・・和多流・・・好き、」
「それ、1番くる」
「あ゛!?あ!?あぁん!あん!あっ!あっ!」
「勃起してる乳首ってエッチだな。しごいてあげるね」
「わたる!わたる!い゛、いぐぅ・・・!」
「もっと」
「いくいくっ!」
「名前」
「和多流ぅ!いくのぉー・・・!」
「涼、可愛い」
腰を激しく揺らし、達した。後ろにのけぞってひっくり返りそうになる。和多流くんが腕を取って引いてくれた。
ガタガタと震える体が容易く包まれる。
「も、も、乳首、だめ、」
「よかった?」
「う、うんっ、うんっ!まだ気持ちいいの、」
「あのね、こんな時に言うのもなんだけど・・・おれ、乳首でいく人って見たことなかったんだ。だから涼くんが乳首でいったとき感動して、もっともっとって思って開発したら、こんなにドロドロに溶けちゃった。ごめんね?もう、戻れないね」
「う、う、・・・耳、や、」
「おれから離れちゃダメだよ。乳首でいけなくなっちゃうからね?」
「ひぃっ!」
激しく音を立てて耳を嬲られた。
必死に首に腕を回してしがみつく。
大きな手が腰に指を立ててくすぐる。あぁ、ダメっ!
「んー・・・」
「あぁあー!たしゅけてぇ!たすけてぇ!いっぢゃうのー!」
「セーフワードなんて、知らないよ。今日は無効です」
「耳ダメ、ダメダメダメー!」
くすぐったい、気持ちいい、耳、ベタベタで、ドロドロで、溶けちゃう。脳に直接和多流くんの声、吐息が、響く。腰がしなる。指が、くすぐったいのに、気持ちいい。だめ、こんなの、だめ。ペニスでしかいけなかったのに、もう、ペニスに触らなくても、いけちゃう。触りたいって、触って欲しいって、思わない。それ以上に気持ちいい場所がたくさんできてしまった。
こんなのもう、戻れない。
体が大きく震えて痙攣する。
「は、は、は、は、あ、ぁあっ、あぁあ、」
「可愛い・・・いってごらん」
「あぁ゛ああぁんっ!いっで、るぅ・・・!」
ゆっくりと競り上がってくる快楽に抗えず、先ほどよりも深く、長く、声も出せないくらい達した。
ぐったりと体を預けると背中を撫でてくれた。大きな手、大好き。
「あー・・・すげー、気持ちいい・・・。涼くん、おれ、気持ちいい・・・」
「う、あ・・・あっ、あ、」
「余韻すごい?じゃあ引くまでこっちにおいで」
抱き上げられ、シャワーを軽く浴びてさっさと浴室から出る。バスローブを肩にかけて包んでくれた。揺れが心地よくて目を閉じようとすると、寝室のベッドに寝かされた。
引き出しを開けて両手でガサガサと中を漁る。大量のおもちゃを取り出すと、おれの胸に落とした。
「わ、」
「使おうね。楽しみ」
「・・・あの、」
「ん?あぁ。あとこれ。これが大事」
2本のコードの先に、吸盤がついている。和多流くんはニコニコしながら2つの吸盤をおれの乳首につけた。リモコンのスイッチを押すと吸引された。
「あ!」
「痛い?」
「す、少し・・・」
「馴染むまでつけていてね。あとは、コンドームと・・・」
あ、ゴム、するんだ。
きゅんっとお尻の奥が切なく疼く。
そのままがよかったな・・・。中に出して欲しい・・・。
最近してなかったし、今日くらい、ダメかなぁ。
「涼くん?」
「ん?」
「やっぱり痛い?辛い?」
「え、・・・ん、乳首は、なんか、熱くなってきた、かも。このままで平気。和多流くんのしたいこと、したいの」
「なんで、寂しそうにしてたの?ごめん。ほったらかしたつもりはなくて、準備が・・・」
「え?そんな顔してた?」
「うん。どうしたの?大丈夫?」
おもちゃを外して覆い被さって、体がピッタリと重なる。何度も顔と頭を撫でて、顔中にキスをしてくれる。ふわふわと心地よくて腰に手を置いて引き寄せると、唇が重なった。甘くて美味しいな。
「涼くん、ちゃんと教えて?」
「大丈夫だよ?あ、」
あ、おれ、そんなにあからさまに顔に、出てたのかな。
恥ずかしいな。でも、いい。恥ずかしくていい。ちゃんと言いたい。
コンドームの箱を掴んで部屋の隅まで放り投げる。驚いた顔がおれを見つめて、眉が垂れた。
「嘘でしょ・・・したくなかったの?さっきお風呂でしたから?涼くん・・・」
「違うもん」
「・・・え!?あの、じゃあ、」
「中に、出して・・・お願い・・・」
恥ずかしくて、誤魔化すようにキスをする。ぎゅーぎゅーに抱きしめられ、苦しかった。
「び、びっくりしたよぉ・・・!泣きそうになった」
「あはは。すごい顔してたねぇ」
「だって、いきなりゴム投げるんだもん!そんなことされたの初めてだよ!心臓冷えたよ!」
「えへへっ。初めて、もらったぁ」
「もー・・・こんな初めて、必要ないでしょ・・・」
「・・・あのさ、口でしていい?いつしていい?」
「え?・・・じゃあ、さ、」
「うん」
「・・・朝」
「朝?」
「寝込みを襲われたいです。涼くんのフェラで起こされたい。明日もおやすなんでしょ?」
「・・・あ、あぁ、うん?まぁ、休みだけど・・・」
「もしおれの方が早く起きちゃったら口に押し込んでいい?」
そんな、目をキラキラさせて言わなくても。
うん、と頷くと満面の笑み。可愛くてついつい顔を撫でると、摺り寄せてくれた。可愛い・・・。
「したいって言ってくれてありがと。すごく嬉しい。でもね、今はおれがしたいの。だから待っててね」
「うん」
「あの、先に言っておくね。お尻叩いていい?」
「いいよ」
「乱暴なこと、言っちゃうかも。大好きだから、言っちゃうんだ」
「うん。大丈夫」
「・・・どうしても嫌だったら、ビンタしてください」
「あはは!怖い?」
「いや、前はマジでめちゃくちゃ痛かったから、なるべく回避できるようにしたいなと、」
「口塞がなきゃ大丈夫だよ」
「うん。・・・あのね」
「うん」
「・・・嬉しい」
「え?」
「毎日、毎日、嬉しくて、幸せで、楽しい。ありがとう。こんなに好きになったのも、愛したのも、初めて。今涼くんがいなくなったらおれ、きっと、死んじゃう。それくらい、依存してる」
「・・・和多流くん」
「こんなこと初めてだ。こんな気持ちも、想いも、感情も、初めて。愛してる。愛してるんです。・・・ごめんなさい。手離せません。何があっても、どんなことが起きても、・・・きっと世界が壊れても、涼くんだけは、絶対に離せない」
「わ、わたるくんんー・・・!そんな、そんな、おれ、」
涙、出るな!
嬉しい。愛おしい。愛してる。言葉にしたいのに、言葉にしたら、泣いてしまう。なんでいつもこんなに愛してくれるの。どうして言葉で伝えてくれるの。抱きしめてくれるの。
「さっき、後悔してるって言ったよね?友達に戻れないって。後悔しなくていい。友達に戻る気なんてないから。ずーっと、恋人のままでいるんだ。涼くんが望まなくても」
「ずっと、恋人でいて!」
「いるよ。いさせて」
「おれのこと、愛していて欲しい!」
「・・・おれ、ずっとそれが欲しかった。欲しかったよ!いつも俯いて自信がなくて、自分を蔑ろにしていた涼くんがやっとおれを見てくれた時、愛して欲しいって言われたいって、思った。求めて欲しいって!全力で答えて、もう、離れられなくしてやろうって、誓ったんだよ!あぁ、こんなに幸せなんだ!こんなに、こんなに・・・!こんなに、幸せで、おれ、もう、何もいらないよ・・・!」
「おれも愛してる!和多流くんのこと、愛してるの!」
「うん・・・!愛して・・・!ずっとずっと、おれのこと、愛していて・・・」
あ、あぁ・・・すごい・・・。
すごく、すごく、嬉しいよ。幸せだよ。
離れたく、ないよ。
きゅーっと手を握って、温度を確かめる。和多流くんの唇が重なった時、体の芯が震えて、じんわりと温かくなって、そして、果てた。
全身の力が抜けて溶けていく。
「ふぁあ~・・・いっちゃったぁ・・・」
「すごい・・・可愛い・・・」
「はー・・・はー・・・きもちかったよぉ・・・」
「・・・おれもいったのかなぁ?今ね、体がぽかぽかして、腰が甘く痺れてる。変な感じ。すごく気持ちよかったんだ」
「おれも、それ・・・えへへぇ・・・和多流くんのエッチ」
「涼くんのがうつった」
「バカ・・・スケベ」
「うん。スケベなんだ、おれ」
「好き」
「ふふっ」
「・・・ね」
「んー?」
「・・・したい。早く繋がりたい」
「うんっ」
「・・・ほぐさなくてもいいかも?なんか、ローションがあれば、入るかも・・・」
「えぇっ!?それは、」
「多分、はいっちゃう。今すごく和多流くんがほしいの。だから、多分、大丈夫。痛くないよ」
「・・・あとでたくさん、触らせてくれる?」
「うん、触って」
「ははっ、本当はおれも、我慢できない」
「・・・幸せ・・・」
「おれもー・・・」
ローションを手のひらに出すと、和多流くんの指先がそれを掬った。ちょん、と乳首につけてきて、くすぐったくて笑う。同じように和多流くんにも触れると、体を跳ねさせた。
「くすぐったい」
「えへへ」
「ローション持ってんの、エロー・・・」
「和多流くんのちんちん、撫でていい?」
「塗ってくれるの?」
「うん。触りたい。お願い」
「じゃあ、挿れられるように、塗って?」
「んっ、」
あぐらをかいた和多流くんの上に座り、ペニスにローションを落としていく。
ピクンピクンと跳ねて、そり返る。両手で包むと、おれの肩に額を押し付けて、背中に手を回した。
「気持ちいい」
「よかった。えへへ」
「・・・エッチすぎるよ・・・」
「こうだよね?」
「ゔ、」
「ね、こうだよね?ね?」
「そ、それ・・・うー、やべー・・・」
先端を指先で包み、優しく上下させてしごく。
くびれが大きくて毎回驚くけど、よくおれの中に入ってるなーって、そっちにも驚く。
柔らかくてやらしい水音を立てながら触っていると、ガシッと手を掴まれた。肩で息をしながら、和多流くんが笑う。額には汗が浮かんでいた。
「ヤバいって。飛ばしすぎだよ」
「えー?いきそうだったの?」
「同じ様にしてあげるよ」
ローションを手に取り、おれのペニスを掴む。
指先で先端を包むと、優しく動かした。
「あっ・・・」
「強く扱かれるより気持ちーでしょ?涼くん、自分ではガシガシしごくけど、あれ辞めた方がいいよ。こっちの方が好きなんだから、1人でする時もこうしなよ?」
「んぅう~っ!あ!あぁっ・・・!」
「まぁ、1人でする暇なんてないだろうけど。その前におれが襲うからね」
「は、はひっ、ふぅ、うぅ~」
「・・・だらしない顔。世界で1番可愛い。挿れたいよ。早く繋がりたい」
「ふ、ふぅ、は、はいっ!繋がりたい!」
腰を上げてペニスの上に腰を下ろす。
ほぐしてないけど、入る。絶対に入る。だって、和多流くん、専用だもん・・・。
「あとでおれにも挿れさせてね?ね?」
「ん、うんっ。えへへ、先に、おれがしちゃうから・・・」
「可愛い。お尻触ってていい?いや?」
「ううん・・・好き。う、ん・・・!ん~っ!」
お尻を揉まれながら腰を落とす。
ずる、ずる、とゆっくり入っていく。
あぁ、おれ、本当に和多流くん専用なんだ・・・。ほぐしてないのに気持ちいいよ。おれの中も、悦んでるよ。早く来てって、中が、締まってる。
「あー・・・やばい、声、出ちまう・・・気持ちー・・・ヤバい、ヤバい、」
「はぁあ~・・・あ、お、奥まで、来て、」
「ケツ、柔らけぇ・・・すげー気持ちいい・・・」
グニャグニャと揉まれ、気持ちよくてペニスが跳ねる。
和多流くんのペニスもおれの中でビクビクと脈打っていた。
目が、チカチカする。
「あ゛ーっ、奥まで、届いた・・・!!くっそ、この、スケベマンコっ」
バシッとお尻を叩かれた。ギューっと締め付け、体の芯から熱が弾けた。
「ん゛あ゛ーーーっ!?あ゛っ、あ゛っ・・・!!」
「ぐっ・・・!ははっ、いった?いったの?この、淫乱っ!」
バチ、バチ、とお尻を叩かれる。
その度に締め付けて、くびれも、脈打つ動きも、はっきり分かる。
天井に向かって吠えることしか、できなくなる。
「ん゛ぁ゛っ!あ゛!いぐっ、!」
「こんな、淫乱に、誰が、したのかなぁ?」
「たた、くの、気持ちっ、おぉっ!あ゛!いぎましゅっ!」
「我慢っ」
「はいっ!あ゛!あ゛!」
何度も、何度も叩かれる。
トロトロと精液を吐き出すと、パチンっとペニスを叩かれた。のけぞって喘ぐ。
射精すると、和多流くんの胸に勢いよく飛んでいった。
「で、でちゃっ、たぁ・・・!」
「ははっ。よすぎた?甘いきもしてたね。トコロテン?どっちかな?はぁ・・・お尻叩くの、すげー好き。柔らかくて弾力があって、揺れるんだよ」
バチンッと強く叩かれた。
「きゃうっっ!?」
「今の可愛い。赤くなっちゃったね」
「ん、う、・・・」
「・・・こんなにエッチで、可愛くて・・・おれのこと好きって言ってくれるの・・・夢みたいだ」
「ん、んぅ・・・?」
「・・・離れないで」
「うんっ」
「大好き」
「おれも、大好きだよ・・・。もっと叩いて、ひどいこと、言って・・・」
「好き?」
返事をするのが恥ずかしくて、小さく何度も頷く。
怖い言葉も、乱暴な言葉も、昔は嫌いだった。でも和多流くんが言うのは、好き。
その言葉の中で、大好きが溢れてるから。
だから、好き。
「あ゛んっ!!」
両手でお尻を叩かれた。押し倒されて、大きく跳ねる。足を抱え上げられて、腰を強く押し付けられた。
「ゔぅん!あっ!」
「おれの番だよ。早くおれだけのメスネコになって」
「は、はいっ、なりたい、あ゛ゔぅん!!」
がぶ、と噛み付く様にキスをして、腰を叩きつけられた。


************************



「は、はへっ、ゔぅー・・・」
タンタンっとリズミカルに腰を叩きつけられる。
声なんてもう出なかった。リズムに合わせて漏れてくるだけ。
「休まないよ」
パチン、とお尻を叩かれる。
和多流くんは背中に覆い被さったまま、おれの頭を抱え込んだ。さらに奥に入ってくる。
「ゔゔー!い゛ぐ、」
「だらしねー顔・・・もっと見せて」
顎を無理矢理掴まれ、上げさせられた。ガブ、とキスをされて口の中を犯される。
「あぶ、ん、ん、」
「ねぇ、ゆるゆるだね。もっと締めて?」
「ん゛ーー!」
バチン、バチンとお尻を叩かれた。
もう、痛いのか、気持ちいいのか、分からない。
和多流くんのペニスを必死に締め付ける。
「う、くぅ、ん、ん、」
「可愛い・・・。優しい、いい子だね。ありがとう。気持ちいいよ」
「ゔ、ゔ、ん、んぅ、」
「エッチ・・・腰擦り付けてる・・・気持ちー・・・手、離してごらん」
枕を掴んでいた手を解くと、優しく握ってくれた。
親指で手の甲を撫でてくれる。
「休憩する?」
「ん、む、」
「このままね。・・・はー・・・大好き・・・可愛いなぁ」
「和多流くん・・・」
「ん?重い?」
「ううん・・・いっぱい出た?」
「いっぱい出たよ。3回も出しちゃった。こぼしちゃダメだよ」
3回も出してくれたんだ。
その間、おれは何回いったんだろう。
きゅーっと中が締まる。
「あ、あぁ、あー・・・」
「あっ・・・すっご・・・どうしたの・・・?」
「いっ、て、いいっ・・・?いっても、いい?だめ、きもちいーの・・・!」
「いいよ。よいしょ」
腰を持ち上げられて、ぐーっと奥を押し潰される。
「あ゛ーーーっ!いぐーー!」
じゅわーっと快楽が広がって、全身が痙攣した。見失わないように必死に枕を掴む。
手が滑り込んできて、乳首を摘んで、引っ張った。
「あ゛ひぃい!?や゛ーーー!!」
「いってるねぇ?すごいよ・・・」
「い゛っでまずっ!いぐ!いくいくいく!」
「お漏らししてるよ」
バチャバチャと潮を吹く。さっきからたくさん吹いて止まらない。シーツはびしゃびしゃ。でも、きっと、和多流くんは喜んでくれるから。
「と、とまんにゃ、とまんにゃいでしゅ、とま、」
「いくのも吹くのも止まんないね。気持ちいいのかな」
「いいれしゅ!お゛ぉっ!?あ゛ー!あ゛ーー!!」
腰を掴まれ、乱暴に叩きつけられた。
和多流くんが気持ちよくなるための、動き。大好き。大好きだよ・・・!もっと、して・・・!
「はぁ、ん゛!いきそっ、」
「あ゛ー!あ゛ぁ゛ーー!」
1番大きく叩きつけられ、和多流くんのが跳ねた。
ぜーぜーと息を切らせて、ゆっくり腰を引いて、おれから離れていく。
「はぁ、はぁ、あははっ、ふふ、閉まらないね、お尻。パクパクしてるよ」
「あ、あ、きもち、かった、」
「ごめん、ちょっと疲れちゃった」
パタ、とおれの横に倒れる。汗びっしょり。
同じように倒れてきゅっと抱きしめると、お尻に指を入れてきた。
「あんっ!?あ、ちょ、あぁっ!」
「ん、ん、」
ぢゅるっと乳首を吸われる。
つま先を痙攣させて、達した。
「あー・・・もぉー・・・」
「乳首、舐めて欲しくて押し付けてきたんじゃないの?」
「ぎゅってしたの!」
「乳首がツンってしてて可愛かったよ。もっと抱きしめて」
抱きしめると、腰に腕が回り、抱き寄せられた。
呼吸を整えながら頭を撫でて、額にキスを繰り返す。
和多流くんはくすくす笑いながら、胸に顔を押し付けた。
「だーいすき・・・ねぇ、」
「んー・・・?」
「涼くん・・・好きだよ・・・」
「おれも、好きだよ・・・」
耳を撫でると、背中に回っていた手がいきなりずるっと落ちた。
顔を覗き込むと寝息を立てていた。
え、ね、寝たの?
セックスの後、起きているのは和多流くんの方だったのに。
シーツを替えて、お風呂に入って、少しイチャイチャして寝るのが楽しいって言ってたのに。
驚いたけど可愛くて、タオルで綺麗に拭いて、毛布をかける。洗濯は明日でいいや。このまま寝ちゃおう。
少しイビキをかきながら眠る和多流くんを写真に収め、目を閉じる。すぐに眠ってしまった。
深く深く眠ってしまって、夢なんて見なかったし、一度も起きることなく朝になっていた。
顔をこすりながら時間を確認して和多流くんを見る。
大の字で布団も被らずに寝息を立てていた。
何故だろう。勇ましく見えてくる。
そっと下半身を確認すると、くったりと力が抜けていた。
顔を寄せて唇を押し付ける。無反応。
中々レアな姿だった。
昨日はたくさんしたし、和多流くんは動きっぱなしだったから、そりゃ疲れてるよね。
でも、してほしいって、言ってた。
柔らかなペニスを口にいれる。
ブワッと胸の中に熱いものが広がった。
愛おしいって、いうのかな、こういうの。
可愛くてたまらない。
ピクンと足先が揺れた。
舌を絡めて吸い付くと、ムク、と立ち上がった。は、半勃ちって、やつ?
いつもしっかり勃っているところしか見たことがなかったから、すごく新鮮だ。
両手で支えて必死にしゃぶりつく。
「うぅっ・・・ん、・・・くふふふっ」
笑い始めたので起きたのかと思ったら、どうやら寝言みたい。
手をパタパタ動かして、何かを探しているみたいだった。
「もぉ・・・りょおくん~・・・エッチだなぁ・・・」
口を離して顔を見る。うん、寝てる。だらしない顔をしてはいるけど・・・寝てる。
試しに乳首を摘むと、また笑った。
「んもぉー・・・ふふっ」
変な夢、見てるんだろうなぁ。
ペニスを入念にしゃぶる。
大きくなって、勃ち上がった。
その時、ガバッと起き上がり目をまん丸にした和多流くんと目が合った。
「あ、おはよ・・・」
「・・・おはよぉ、すげぇ・・・」
ぽつりと返事をして、携帯を構えていきなり連写を始めた。
びっくりして正座をする。
「な、な、なにすんの」
「・・・夢かと思ってたから、」
「夢?」
「現実でした!!フェラで目覚めるとか最高すぎる!!お願いしますもっとしてください!」
「・・・もぉー。よく体力が保つよね」
「いやー、正直寝てたのはびっくりした。でも超スッキリ。ね、ね、今日はどう過ごす?」
「わ!む、ん、」
顔中に唇を押し付けられる。
髭がくすぐったいや。
「お風呂入ってー、そうだなぁ、朝ご飯はどこか食べに行こうか。その後映画でも観る?ほら、観たいって言ってたよね?まだやってるよね」
「んー・・・。ふふ、映画苦手なのに、いいの?」
「涼くんが行きたいならどこにでも連れて行きたい」
「へへ。ねえ、髭整えてあげる」
「いいの?やった」
シーツを剥がして、びしょびしょだねって笑った。
洗濯機に入れてお風呂に入る。体を洗い合って、シャワーで流して、カミソリで髭を剃り、ハサミで整える。
和多流くんはふふっと笑って、気持ちいい、と言った。
朝ご飯は適当に卵を焼いて、パンを焼いて、ソファで食べた。
昨日の食器を綺麗に片してからシーツを干した。
ベッドに腰掛けて、風で揺れるシーツをぼんやりと見つめる。
「まだ眠い?」
「んー、少し」
「ね」
「ん?」
「愛してるよ」
突然囁かれて、今までのことが一気に頭に浮かんだ。
学生の頃、孤独だった。
社会人になってもそれは変わらなくて、何かに縋りたくて、必要とされたくて、必死に他人にぶら下がろうとして、自分の首を絞めた。
何度も怖い目に遭って、もういいやって思った時に言われたんだ。



『おれのところにおいで』



優しく、両手でおれの手を包んでくれた。
友達を失うのは怖かったけど、それ以上に、おいでと言われたことが嬉しくてたまらなくて、和多流くんのところに飛び込んだ。
たくさん悩んで、傷つけて、悲しませたけど・・・喧嘩もして、ギクシャクして、苦しくなったけど・・・。
全部、全部、今のおれに繋がって、今のこの関係になって、これからも進んでいくんだ。
辛かったことなんて思い出せなくなるくらいの幸せに向かって、今、歩いてるんだ。
「・・・急に言わないでー・・・」
「え?わ、わ、」
ポロポロと涙が落ちて、止まらなくなった。
「和多流く、和多流くんっ、」
「・・・泣かないで。ね?」
「おれ、和多流くんが好きだよ、大好きだよっ、」
「知ってる。だっておれも大好きなんだもん」
「おれ、おれ、もう、思い出せない、」
「ん?」
「和多流くんがいないころのこと、思い出せない、それくらい、もう、和多流くんでいっぱいなんだもん・・・!!」
「おれも、思い出せない。涼くんが忘れさせたんだよ。責任取ってね」
「うん、うん、」
「・・・ね、ここにいようか」
「ふ、ぅ、うんっ、」
「おれと涼くんの部屋で、ずっとくっついていよう」
「えへへ・・・おれと、和多流くんの家だもんね」
「そうだよ。おれと、涼くんの家だよ。ねぇ、キスしよう」
言い終わる前に、無理矢理唇を押し付ける。和多流くんはパタンと後ろに倒れておれを抱きしめ、服の中に手を入れた。くすぐったくて身をよじる。大きな手が背中を撫でた。
この手がそばにあることが、涙が出るくらい嬉しかった。
「あ、ねぇ。白いバラなんだけど」
「ん、なぁに、」
「耳貸してごらん」
唇に耳を寄せると、ぽそ、と呟かれた。
それを聞いてまた涙が出て、顔がぐしゃぐしゃになった。
和多流くんは照れくさそうに笑って、かっこつけちゃった、と言った。
世界で1番、かっこよくて、可愛いよ。


大好きだよ。



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