Evergreen

和栗

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「あの、和多流くん」
「んー?」
「ド、ドライブ行かない・・・?」
「え?夜だけど・・・どこか行きたいところでもあるの?」
涼くんは言いづらそうに手をこねて、こく、と頷いた。
車に乗り込みエンジンをかける。どこ行きたいの?と聞くと、山の方、と言われた。
山?確か、展望台みたいなところがあった気がする。とりあえずそこを目指せばいいのかな?
ラジオをつけて車を走らせる。涼くんは何か言いたそうに口を開いておれを見ては、そっと窓の外を見た。
なんだろ。どうしたんだろ。なんかしたかな?いや、さっきまで一緒にご飯を食べていたし、次の休みは水族館に行こうって約束もしたし、もしかして仕事で何か嫌なことでもあったのかな。
辞めたい、とか?
何かあったのかな。
「涼くん、山に行ってどうするの?」
「・・・や、夜景が、綺麗って・・・教えてもらって」
「そうなんだ。そういえば前に一回行ったけど、あの時はそんなの見てる余裕がなかったよね」
「うん・・・」
「誰に教えてもらったの?」
「ん、成瀬さん・・・。東側と西側にあって、成瀬さんは東側によく行ってたって・・・。西側は、んと、えっと・・・」
声が小さくなっていって、また無言になった。
何かあったんだろうなぁ・・・。力に、なれるかな・・・。
ゆっくり山道を登り、展望台へ向かう。見落としてしまいそうなくらい小さな、狭い展望台は誰もいなかった。車を停めると涼くんは顔を上げて、キラキラ光る夜景を見て目を丸くした。
「わぁ・・・」
「おりる?」
「うん・・・」
車を降りると、空気が冷たかった。コートを持ってくるの、忘れてた。
膝掛けを肩にかけて抱き寄せると、一緒に入ろう、と広げてくれた。
「綺麗だね・・・すごいね・・・」
「うん。すごく綺麗だ」
「・・・」
「・・・何か、あった?」
「え?」
「口数が少ないし、いきなりドライブしたいって・・・仕事で、何かあった?」
「何もないよ?」
「そう・・・?」
じゃあ、何?明らかに何か隠してる。
じーっと横顔を見ていると、突然くしゃりと歪んだ。
「涼くん、」
「・・・おれ、今から変なこと、いうけど・・・!む、無視して、いいから・・・」
「え?どういうこと?無視なんてしないよ。ちゃんと聞かせて」
「・・・ん、と・・・」
「うん」
根気強く次の言葉を待つ。顔がこちらに向いた。唇がプルッとして、艶やかで、綺麗だった。
「あの、心配かけてごめんね。仕事は、本当に何もないから・・・」
「うん」
「・・・その、あ、あの、・・・く、車・・・」
「うん、車が?」
「・・・っ車で、し、したい、」
くるまで、したい?
頭の中でぐるぐると巡り、すとん、と落ちてきた。
ガシッと肩を掴んで何度も頷く。
「しよう」
「あ、あの、・・・嫌じゃない?」
「全然。むしろ今、すごくしたい」
「・・・あの、」
「うん」
「・・・なま、」
「うん?」
「生が、いい・・・お尻にいっぱいほしい・・・」
ここで悔やまれることはただ一つ。カメラを回していなかったことだ。せめて、せめて録音をしたかった・・・!
「しよう!ごめん、めっちゃ、したい!いっぱい出していいの?」
「うん・・・あの、車汚れちゃうかも、」
「汚して?涼くんの匂い、つけてよ」
手を引いて後部座席に押し込む。涼くんはすかさずおれの上に座ると、正面から抱きついた。細い腰に手を回して、ジーパンのチャックを開ける。
「涼くん・・・シート倒そ?」
「や、あの、座って、したい・・・」
「え!う、動いてくれるの!?嬉しい・・・ジーパン脱ごうね」
いそいそとおろす。パンツも下ろしてあらわになった下半身に興奮した。しっかり立ち上がって、震えている。
「可愛い・・・車でしたくて、たまんなかった?」
「う、うん・・・ごめん、変なこと、」
「変じゃないよ。すごく嬉しい。あ、膝で立って。あぁ!ローション・・・!」
シートの下だ!涼くんにどいてもらわないと取れない!でも嫌だ!このままがいい!
「涼くん、あの、」
降りて、と声をかけようとすると、手を取られた。スルッとお尻に当てられる。え、まさか、まさか。
そっとすぼみに指を入れると、ローションが垂れてきた。わ、わ、!エッロ・・・!
涼くんはパーカーのジッパーを外すと、シャツを捲った。可愛い乳首には、ハート型のニップルシール。しかも、薄ピンク。ボンっと頭まで熱くなる。
「な、何これ!?」
「か、買った・・・」
「か、かわ、可愛い・・・!待って、動画・・・!」
「はい・・・」
差し出されたのは涼くんの携帯。ケースに吸盤がついていた。あ、あれ?いつものお揃いのじゃ、ない?
「ま、窓につけられるから・・・」
「・・・ねぇ、撮られたかった?」
準備良すぎない?
涼くんはしばらくカチコチに固まっていたけど、小さく小さく、こくんと頷いた。深いため息が漏れてしまう。勢いよく顔が上がり、不安そうな瞳がおれを見つめた。
「ご、ごめんなさい・・・」
「え?」
「・・・ムードもなくて、こんなとこまで来させて、車で・・・動画も・・・ごめんね・・・」
「ムードはありまくりですけど・・・」
「ひ、東側の少しおりたところに、あの、ラブホ街があるって、だから、そっちでも、いい。あ、あの、無理にとは言わないし、家でもいいし、むしろしなくても、」
「涼くんの気持ちは?」
顎をくんっと持ち上げる。目にはたっぷりと涙が溜まっていた。
「ちゃんとおれを見て。涼くんにはどう見えてる?」
「・・・か、可愛い・・・」
「え?」
「か、可愛くて、仕方ないの・・・!だから、和多流くんが喜ぶこと、したくて・・・!でも、」
「今めっちゃ嬉しいよ。気づいてる?」
「え?そ、そうなの?ため息ついたから・・・」
「そりゃつくでしょ。理性保ちたいもん。ごめん、前苦しいや」
ジッパーをおろして取り出すと、勢いよく飛び出てきた。涼くんは目を大きくすると、細い指で包んだ。
「ちゃんと、よく聞き分けて。おれ、こんなエッチなことされて嫌がるタイプじゃないから。むしろすごく興奮するから」
「ごめん、」
「ったく、すぐ不安になるんだから・・・ダメだなぁ。甘やかし方が足りないの?」
「・・・も、もっと、」
「ん?」
「もっと、甘やかして・・・」
「そう。正解。ごめんって言ったら、ぶち込んでやろうかと思ってたよ」
涼くんはフラフラしながら何度も頷いた後、少し不安そうに笑い、おれの耳に唇を寄せた。
「今ね、想像したら、すごく気持ちよかった・・・」
「ん?え?」
「ぶ、ぶち込まれたら、・・・おれ、多分漏らしちゃう」
ゾワゾワゾワっと背中が震えた。
頭を鷲掴んで引き寄せる。激しく音を立ててキスをすると、涼くんは必死に応えてくれた。
「んん~・・・!んぁっ、あぁっ、」
「はぁ、エッロイことばっか・・・どこで覚えてきたの?」
「んぁっ、あ、はぁ、」
ちゅぽ、と口が離れる。涼くんはトロンととろけた表情で、小首を傾げた。
「うぶじゃなくて、ごめんなさい・・・」
「・・・っこの、」
「え!?」
携帯を窓に貼り付けて、脇に手を突っ込み持ち上げる。ゴンっと鈍い音がしたけど、無視!
腰をおろして中に入ると、涼くんは仰け反った。
「わぁあぁ!あぁーーっ!」
「く、ふっ、きっちぃ!」
「んぁ!あぁん!ダメダメ!だめ!な、な、慣らして、ないのぉっ!」
「こんな、とろとろにしておいて、・・・!何が、慣らしてない、だよ!」
下から突き上げると、ずるんっと入っていった。
「あ゛・・・!い゛や・・・!」
短く、低く喘いだと思ったら、ビュルっと精液が飛んだ。べったりとおれのシャツについて、掬い上げてペニスに塗りたくる。
「はひっ!?ひぃ、はぅんっ、いった、いったばっかなの!」
「だから何?てか、早くない?期待してたんでしょ?」
「乳首、乳首して、ちんちんは、やめっ、」
「腰動かしてよ」
パンっと可愛いお尻を叩くと、肩に手を置いて必死に前後に揺らし始めた。
「んあっ、んぁあ~・・・!」
「それもいいけど、こうやって動かしてごらん」
腰を動かして擦り付けると、涼くんは目を大きく開いて痙攣した。
中が締まる。
「分かった?」
「あ、あ、今の、今のぉ・・・」
「うん。気持ちよかったね。少しいったね?ほら、やってごらん。気持ちいいの欲しいよね?」
「こ、こう?こう?」
先ほどよりも滑らかに、艶やかに、腰が動く。ねっとりと中が絡みつき、溶けてしまいそうだ。
「ん、それ、・・・いいよ・・・」
「きもちーのっ、これきもちー、キス、キスしたい!」
両手で顔を掴まれ、持ち上げられる。涼くんは甘えるように舌を絡めておれに吸い付いた。
ニップルシールの上から乳首を引っ掻くと、更に中が締まる。
「ふあっ、しゅき・・・」
「気持ちいいね?」
「好きっ、乳首好きになっちゃった・・・気持ちいい・・・」
「カリカリ好き?」
薄い胸板を掴み、親指で引っ掻いてやる。仰け反って腰を押し付けた。
「ん゛ぁあぁ~・・・!ぎもちい、い!」
「あ、誰か来たかな?」
「え!?へ!?嫌!」
怯えたようにおれにしがみつく。お尻を叩くと、慌てたように首を横に振った。
「ダメ!見られちゃうっ・・・!」
「んー?」
「あ、あぁっ・・・」
シールを外す。ぷっくりした乳首を親指で押すと、腰が震えた。
「らめ、らめぇ・・・!やぁ・・・!」
「誰も来るわけないでしょ。こんなとこ。来てもやめないけどさ」
「ほ、ほんと?いない?誰もいない?」
「おれに集中しなさい」
両手でお尻を叩く。
ぎゅぎゅーっと中を締められた。
う、すげぇな。
「あ・・・今、の、」
「よかった?お尻叩かれるの、癖になっちゃったね?」
「う・・・うん・・・!和多流くん、好き?」
「好きだよ。お尻を叩かれて感じる涼くんも、だーいすき・・・」
「お、おれも、叩いてる和多流くん、大好きっ。楽しそうだもん・・・えへへ、いいよ。たくさん叩いて、いいよ。おれだけだもんね?」
心底嬉しそうに聞いてくるから、頷いてキスをする。
そりゃー、過去にセフレのお尻を叩いたりとか、あったけど・・・涼くんのお尻は別格。叩きたくてたまんない。変なの。前はこんなふうに思わなかったのに。おれ、涼くんのことを支配したくてたまんない。
「涼くんだけ・・・」
「う、うん・・・!キス、好き・・・もっと、」
先ほどと同じ動きで腰が動く。すぐ覚えちゃうんだよな。やっぱり人に教えることが仕事だから、教わることにも長けているのかも。言葉と動きをきちんと理解するのが早いんだよな。
「すき、しゅきぃ・・・ん、すき、」
「あー・・・あのさ、そゆとこ、うぶだと思うよ?」
「へ!?あ、う、ごめんなさい・・・」
「違うでしょ?」
「あ゛ぁん!」
腰を突き上げながら乳首をつねる。首を激しく振って、快感に耐えていた。
「だめだめ!それダメ!」
「涼くん、ごめんじゃないよ」
「いっちゃう、いっちゃうの!ダメなの!」
「痛くないの?これ」
更に強くつまむ。先ほどよりも大きく仰け反って、体を大きく震わせて達した。
手を離して腰に添え、激しく突き上げる。涼くんのペニスが揺れて、ペチペチと可愛い音を立てて肌にあたり、先走りでベトベトになった。
「お゛、ぉ゛、んおっ、あ、あ゛ぁん!いっだ、いっだのぉ!」
「そうなの?」
「いぐの!いくいくいく!いくぅー!」
「ほら、動かしてよ」
「うぇえん・・・!え、え、っ、あ゛ー・・・!」
腕を引いて抱きしめると、泣きながら腰を動かした。たまんねぇ。気持ちいい。いきそう。
「ほら、」
パンっとお尻を叩く。
「ゔあっ!」
「もっかい」
「んあっ!?いく、」
「いってんでしょ?」
振りかぶって一番強く叩く。中が締まり、腰の動きが一層激しくなった。
「あぁああぁあ・・・!あー、あー、」
「ははっ、やばぁ・・・いきそぉ・・・」
「きもち、きもちー、いくの、いく、いく、しゅき、」
「うん!おれも大好きだよ。そのまま動いててね」
「あ゛ぁん!」
下から激しく突き上げて、いくための動きを繰り返す。
涼くんはだらしなく精液を垂らしながら腰を振った。
「おれが、おれがしゅるのぉ・・・!おれなのぉ、」
「うん、きもちい・・・」
「したいのっ、おれ、あ、おれ、わたぅくんにぃ、うぅうん・・・」
あ、もう疲れてきてる?でも、腰、動いてる。可愛いな。嬉しい。大好き。
「いきそ、」
「じぇんぶ・・・!出して、溢さないから、出してぇ・・・!」
「ははっ!可愛い・・・!」
叩きつけ、射精する。何も隔てるものがないし、涼くんの中に注いでるこの感覚はすごく支配欲が満たされる。もう一度叩きつけて最後まで吐き出して、深く息をつく。おれの精液が涼くんの中でトロトロとまとわりついて、離れなければいいのにな。
「はぁ・・・あったかい・・・」
「・・・」
「えへへ・・・エッチ。見ないでよぉ」
にこーっと笑ってくれる。エッチはどっちだよ!
「和多流くんの、大きいよ?すごい・・・」
「おさまんない・・・」
「もっと?」
「うん」
「・・・可愛い。目がトロンってしてる。疲れた?ちゅーしよ?」
汗ばんだ額に何度もキスをしてくれる。
腰を支えてシートに倒すと、キョトンとした顔になった。う、可愛いな・・・。
「あ、抜けちゃった・・・」
「うん・・・またいれるね」
「うんっ。あの、今度はおれが動くから、」
「んー?だめー・・・。おれが動きたいの・・・シート倒すね・・・」
リクライニングさせて、フラットにする。よし、これで思う存分動けるぞ。
と思ったら、涼くんはおれの下から抜け出して、四つん這いになってお尻を振った。
「見て。こぼしてないよ」
「・・・」
「えへへ」
こ、の、子、はぁああぁぁあ!!!!!
ガシッとお尻を掴んで逃がさないように腰を思い切り押し付ける。
ずるんっと奥に入り、涼くんは喘ぐというより、叫んだ。
「んわぁあぁあ!?あ゛ー!いや!いきなりぃい・・・!」
「涼くんが!悪い!!」
「ゔあ゛っ!?ゔゔんっ!?ごめんなひゃい!」
「手!こっち!」
必死に体を支えていた細い両腕を引っ張って、ガツガツと腰を叩きつける。
これで逃げられない。体勢も変わらない。好きなように、鳴かせられる。
細い指先が必死におれの手首を掴む。
「あ、あ、あ、あ、あー!あぁっ!あぁあっ!たしゅけて、たすけてぇ!」
「きもちい、くせに!」
「んぁあん!いっぢゃぅ!いくのやだ!もぉ、」
「いくっ、いきそ、いくっ・・・」
「ひっ、あ、あ、・・・!」
中に吐き出す。ペニスが痺れた。気持ち良すぎてこんなふうになるんだ。知らなかった。
息を切らしながら手を離すと、涼くんは力無く倒れ、カタカタと震えた。仰向けにして足を抱え直す。
「ゔぅんっ!」
「もっかい」
「で、でちゃったの、でちゃ、」
「んー?あぁ、本当だ」
涼くんの腰の下が濡れていた。
口元が緩む。
「ったく・・・可愛いな・・・。吹くのが気持ちよくなってない?」
「ふ、う、う・・・!たすけて、」
「なんで?気持ちいいんだよね?じゃあ止める必要ないじゃん」
「ちが、むぐっ!?」
「めっちゃ気持ちいいんだから、水ささないでよ。ほら」
口を手で押さえつけ、中をえぐる。
涼くんの指がおれの手を引っ掻いたけど、無視。むしろ、そそる。
車が激しく音を立てて揺れるくらい腰を何度も揺らし、射精した。溢れ出た精液で滑りが良くなって、また腰を動かす。
そろそろキスがしたいなーと思って手を離して顔を近づけた瞬間、顔に衝撃が走った。目が、クラクラする。
「・・・いた、」
「はー、はー、・・・和多流くん、落ち着いてよぉ・・・!」
「・・・あ、うん・・・んぇ?」
え?え?叩かれた?涼くんに、叩かれた?
ペニスが萎んでいくのが分かった。
つる、と抜けて涼くんの足がだらりと伸びる。
涼くんの顔は涙と鼻水でぐちゃぐちゃだった。咳き込んで、苦しそう。だけど必死におれを見て、手を伸ばした。
「あの、ごめんね・・・?ごめんね。痛いよね、ごめんね」
「う、うん・・・あの、」
「苦しくて、あの・・・」
「・・・痛かった」
「ごめんね!あの!手もごめん!」
「・・・涼くん~・・・いてぇよぅ・・・」
情けない声が出てしまう。覆い被さって抱きしめると、背中を撫でられた。
痛いっていうより、びっくりした。確かに、止まらなかったら叩いていいとは言ってたけど、結構な力が・・・。
ていうか、叩かれるのって、結構ショックが大きい!すげー悲しいかも・・・!
「腫れてない?ごめんね。痛い?」
「ん、」
「和多流くん、顔見せて」
「いや待って、ほんと今、落ち込んでる・・・」
すごく嬉しくて気持ちよかっただけに、落ち込み方がすごいことになってしまった。しばらく動けないでいると、涼くんが必死におれの体を揺するので、渋々起き上がる。涼くんの口元がおれの手形で赤くなっていた。
「え、あ、い、痛くない?!」
「痛くない、けど、苦しかった。赤くなっちゃってる・・・痛い?ごめんね」
「大丈夫、大丈夫・・・ごめんね」
2人で顔を撫でながら、体を起こす。
涼くんはチラッと下を見ると、いそいそと下着に足を通した。
「跡ついちゃってるね・・・明日取れるかな。本当に痛くない?苦しかったよね、ごめんなさい」
「・・・ちょっとびっくりしちゃって、ごめん」
「ううん。叩いて止めてって言ったのはおれだし・・・でも、その、予想以上の強さでびっくりしました・・・」
「・・・やっぱ、滅多なこと、言うもんじゃないや・・・。和多流くんのこと甘やかしたくて、誘ったんだけど・・・」
「・・・あ、いや、かなり興奮しました。あははっ」
叩かれたのは痛かったけど、驚いたけど、甘やかしたいって思ってくれてたんだ。嬉しくて顔が緩む。
でも涼くんの口元を見て胸が痛む。何やってんだろ、おれ。
可愛い顔に傷をつけてしまった。指で撫でると、すりすりと顔を寄せてくれた。おれの手に、引っ掻き傷があった。更に苦しくなる。
「あの、」
「口塞ぐの、楽しかった?」
「え?」
「し、していいよ。ガムテープじゃ痛いかな・・・。あ、前に使った、跡がつかないやつ、とか、どうかな・・・」
怖くなかったのかな・・・。おれが落ち込んでいるから、元気づけようとしてる?
じっと見つめると、目を逸らした。そしてか細く声をあげ、恥ずかしそうにおれを見上げて微笑んだ。
「えへへ、溢れちゃった・・・」
「・・・」
「パンツ、濡れ・・・あ、ごめん、溢れちゃ、」
もぞ、と腰を動かす。ダメだ。我慢が、できない。
肩を掴んでそっと押し倒す。涼くんは簡単に倒れ込むと、パンツを脱ぎ捨てた。両手を広げて、笑ってくれる。
「おいで、和多流」
可愛い・・・。好き・・・。愛してる・・・。
吸い込まれるように覆い被さり、ペニスを押し付ける。柔らかく包んでくれる涼くんに溺れて、本能のままに腰を振った。


********************



「あの、大丈夫?」
日付が変わってから山をおりて家に帰り、また抱いた。
涼くんは優しく微笑んで受け入れてくれた。
優しい胸に抱かれて眠って、朝ぼんやりと目を覚ますと、涼くんがおれを見ていた。
何度も手をさすっていた。
「・・・おぁよ・・・大丈夫・・・。涼くんは?」
「おはよ。手、痛いよね。みみず腫れみたいになってる。さっき薬塗ったけど、酷くなるようだったら病院に、」
「大丈夫。あの、口塞いでごめんね」
「・・・途中で息ができなくなって、必死だった。顔は跡が残ってなさそう。よかった・・・」
「涼くんも跡、消えててよかった。もうしないよ」
「・・・んと、ちゃんとコントロールしてくれるなら、いいよ?」
「怖くなかったの?」
「怖いというより驚き?かなぁ。あの、でもね、本当に!和多流くんがしたいときは、言ってね!なるべく叶えたいから」
「・・・なんでそんな優しいの?」
涼くんはきょとんとすると、顔をくしゃくしゃにして笑った。
ちゅっと音を立てて唇が触れる。
「優しいとかじゃなくて、和多流くんだからだよ。・・・ね、他にしたいこと、ある?」
「・・・ねぇ、なんで?どうしたの?おれのこと甘やかしてどうしたいの?」
少し不安になって問い詰める。涼くんはへへ、と笑うと、キスして、と目を閉じた。
触れるだけのキスを繰り返すと、目を開けておれの頭を優しく撫でた。
「へへへ。どうしたいのって、そんなの、かわいーってしたいだけだよ。ふふっ」
「うー・・・本当に?」
「うん。あと、最近仕事が立て込んでるからおれが癒せたらなぁって。ね、今日は仕事休める?来週は水族館行くもんね。今日はね、ずーっと抱っこしてあげるね」
「・・・もっとしたい」
「うん。・・・ね、こぼしてないよ、おれ」
「え?」
「確かめる?」
手をとって、お尻に持っていく。指を入れると、トロリと溢れてきた。
涼くんはあ、と声を漏らすと、きゅーっと締める。
「だめ、出ちゃうよ」
「・・・塞ごうか?」
「・・・うん」
抱き寄せて、勃ち上がったペニスを押し付ける。涼くんは目を細めると甘ったるくため息をつき、気持ちいい、と笑った。
このまま甘やかされていよう。涼くんの思うがまま、おれは身を委ねるだけ。
優しく絡みつく涼くんを抱きしめて、目を閉じた。


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