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和栗

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和多流くんが、すごく、ラブラブなエッチをしてくれた。
仕事から帰宅したら食事ができていて、片付けはおれがするよと言ってくれて、お風呂に入っておいでと言ってくれた。
着替えを用意しようとすると、もうあるよ、と言われたので素直にカゴの中を見ると、バスローブとバスタオル、和多流くんが用意したであろう下着があった。
お風呂はすでに入浴剤が入っていて、いい香りがした。
のんびり浸かっていると和多流くんが入ってきて、後ろから優しく抱きしめてくれた。
頭を撫でて、腕のマッサージをしてくれた。
お風呂から出ると全身に丁寧にボディークリームを塗って、バスローブを着せてくれた。ホカホカになって寝室に入ると、アロマキャンドルが焚かれていた。
ぼんやりと部屋がオレンジ色に光って、ラベンダーのいい香りが体を包んだ。
ベッドに腰掛けると、今度は足のマッサージ。
気持ちよくてうとうとしていると、マグカップが差し出された。レモンティーだった。
『気持ちいい』
素直に言葉にすると、嬉しいと笑ってくれた。
今日はどうしたんだろうと思いながら、抱きしめてくれる大きな体に身を委ねた。
すごく、すごく丁寧に触れてくれた。そしてキス。キスの嵐。
トロトロに溶かされて、手を繋いだまま何度も腰を優しく擦り付けて、達して、何度も好きと言ってくれた。
一度夜中に目覚めると、まだ早いよ、と優しく笑って額を撫でて眠るように促した。
すごく優しくて、穏やかな気持ちになる。
そのまま眠ってしまった。
朝起きたら朝ごはんが出来上がっていて、しかもそれがフレンチトーストで、いつ作ったんだろうと驚いた。
しかもベッドまで持ってきてくれた。部屋はすでにエアコンで暖かい。
「ありがとう。美味しい」
「よかった。美味しい作り方を調べたんだ」
「おれ、フレンチトースト好き」
「知ってるよ。はい、カフェオレ」
「ありがとう。・・・あの、どうしたの?嬉しいけど、ちょっとむず痒い」
「ソワソワする?」
「なんか、うん。むずむずする。嫌な感じじゃなくて、嬉しいんだけどね」
「ならよかった。今日の晩御飯はさ、ちょっと気になってたパスタ屋さんに行こうかなと思うんだけど」
タブレットを見せてくれる。おしゃれなお店だった。パスタのほかにドリアやピザもある。
「美味しそう・・・」
「行く?」
「うん!」
「予約しといたんだ。仕事帰り、迎えに行くからそのままお店に行こうね」
「楽しみ」
仕事に行く時間までのんびり過ごして、2人で駅まで歩いた。
ホームで小さく手を振ると、線路の向こうで和多流くんも小さく手を振った。
優しい笑顔だった。
なんか、付き合う前によく見たな。あの顔。
なんていうかな。なんだろ。うーんと。えーっと。
「えー、ピザ、好きじゃないんですか?」
屋上で成瀬さんとお昼を食べる。夕飯の話をしていると、ピザか、と顔をしかめた。
「嫌いじゃない。ただ、食った気がしない」
「なんか食べ盛りの高校生みたいなこと言ってますね。大きいの食べればいいのに」
「コスパが悪い」
た、たしかに・・・。
めちゃめちゃ食べるからなぁ、成瀬さん。
和多流くんが作ってくれたお弁当を食べ終えて、野菜ジュースを飲む。
「そういえばシロが、また4人で飯に行きたいと騒いでて」
「え!さ、騒ぐんですか?でも最近いってないですよね。行きたいです」
「藤堂さんに声をかけたら、今は春日部に集中したいからまた今度と断られたらしいが」
「え?お、おれに集中って??」
「あぁ。相変わらずバカップルだなと思っていたんだが、なぜお前が驚くんだ?」
「な、なんで集中したいのかなって・・・」
「シロが、また喧嘩でもしたんじゃないかとニヤニヤしていたが・・・」
「してないですよ?なんなんだろ、和多流くん」
「あの人もよくわからん人だな」
おれに集中・・・。
あ!分かった!あの顔、おれに集中している時の顔なんだ!
おれに対して全神経を集中させて、取りこぼさないようにしているんだ。
付き合う前と、付き合ってから日が浅い時によく見た。嫌な感じはしないけど、なんとなく、いい人を演じているような・・・他所行きの顔!
でも、何で?
「分かんないな・・・」
「まぁ、一緒にいても分からないことなんていくらでもあるわな」
「・・・成瀬さんもまだ、分からないことってあるんですか?」
「キレるタイミングと、皿ばっかでかくて少ないパスタを食べたがる意味」
あ、嫌いそう・・・。
今夜それを食べに行くって言ったら、また顔をしかめるんだろうな・・・。


*******************


目の前に置かれたキノコのクリームパスタを見つめる。うん、お皿が大きい。
迎えにきてくれた和多流くんはおしゃれをしていた。
Vネックの黒のセーターの首元から、ネックレスが見えている。なんか、久々に見たかも。
前はよくつけてたなぁ。
髪の毛もワックスで整えられているし、ほんの少し香水の香りもする。なんか、なんか、前の和多流くんだなぁって、感じ。
いつもの緩い、ラフな和多流くんの方が緊張しなくていいんだけどな・・・。
「先食べていいよ」
「和多流くんのが来てからにするよ」
「そう?ね、さっきのサラダ美味しかったね。ドレッシングが特に」
「うん。美味しかった。でも家で作ったサラダにかけたら、ちょっと違う印象なんだろうなぁ。おしゃれサラダだから美味しいんだよね、きっと」
「そうかな。涼くんの作ってくれたサラダにかけても、絶対美味しいよ」
ニコッと微笑まれる。
少し照れる。
和多流くんはおれから視線を外さなかった。思い返せば、友達の頃もそうだったかも。全然そんな対象で見てなかったから深く考えてなかったけど、これは、よく気づかなかったな、おれ。そう思うくらい見つめられている。
少し恥ずかしくなって、テーブルの下で足をこつんと蹴ると、一層嬉しそうに足を絡めてくれた。
うぅっ、照れる!
和多流くんの前に和風パスタが置かれたので、そっと食べ始める。小皿に少しだけ取り分けると、差し出してくれた。
おれも同じように差し出す。
「味が濃くて美味しいよ」
「ありがとう。あ、大根おろしも載せるね」
「ここ、人気なんだね。満席だね」
ていうか、カップルだらけ・・・。
ちょっと居心地悪いけど、美味しいからいいか。
「カップルにおすすめなんだって。だから、ここに来たいなって思ってさ」
隣のテーブルの人たちがちらっとこちらを見た。
うぅ、恥ずかしい・・・!
「ピザも楽しみだね」
「う、うん」
「ケーキも食べる?」
わ、わ、声が、耳に、響く!
必死にパスタを口に入れて誤魔化す。味なんかとっくに分からなくなっていた。


*******************



「ドレッシングも買えてよかったよね。あ、お風呂の支度はしてあるよ」
「あ、ありがとう・・・。あの、レシートちょうだい。お金持ってくる」
「あぁ、ごめん、捨てちゃった。今日はいいや。今度また行こうね」
そっと腰を抱き寄せられ、耳にキスをされる。
香水の香りが強くなった。
そっと胸を押して離れる。
「涼くん?」
「・・・なんか、どうしたの?甲斐甲斐しい・・・」
「え?」
「嬉しいけど、なんか、どうしたの?シロさんからの誘いも断ったんだって?」
「あぁ、聞いた?うん、また今度でもいいかなって・・・」
「たまには行こうよ」
「おれは涼くんと2人がいい」
「どうしたの?おれなんかした?急に色々・・・。もぉ!ていうか何このネックレス!」
「え!?」
「ワックスも!香水も!」
「うわっ!」
頭をぐしゃぐしゃにすると、驚いた顔をした。
もー!もー!言いたいことや聞きたいことは沢山あるのに語彙が少ない!!
「優しすぎてムズムズする!!あとかっこつけすぎてて照れる!!いつもの和多流くんがいい!!」
「えぇー・・・」
「甘やかしてもらうのも好きだけど甘えてくる和多流くんも好きなのに!なんなの!?おれを甘やかしてどうしたいの!?」
「・・・いや、その、怖がらせちゃったから・・・」
え??いつ??
くちゃくちゃの髪を整えて、和多流くんはネックレスを外した。チャリ、と音を立ててテーブルに置かれる。
うぁ、・・・Vネックから肌が見えて、目のやり場が・・・。
「その、お尻叩いて怖がらせちゃったし、あれからしてなかったから・・・。どうしたらいいかなって思って昨日・・・色々考えて・・・」
「で、あんなに甘々にしてくれたの?」
「うん。だって、照れて可愛いし、喜んでくれるからおれも、嬉しいし・・・」
「そ、そりゃ、あーゆーベタな感じも好きだけど・・・」
「髪も香水もネックレスも、その・・・涼くんが少しでも近くに来てくれないかなって、思って・・・。あと、もっと会話とか欲しかったし・・・きっかけになるかなって。まさか逆効果だったとは思わなかったけど」
「・・・付き合う前の和多流くんみたいで、ちょっと恥ずかしかった」
「・・・あ!ま、マジで!?照れてただけ!?」
「それだけじゃないけど!なんか、意図が読めなくて、ちょっと焦ったし・・・ていうか、お尻はもう、好きにしていいってば!!」
は、は、恥ずかしい!!
そりゃ痛いのは嫌だけど!言ってくれれば何回かは耐えられるし!って前も話したし!!
「触ってもいいの?」
「だから、」
「嬉しい。触りたい。乱暴なことはなるべくしないようにする。でも、もしかしたらしたくなるかもしれない。その時はちゃんと言うから・・・」
「・・・うん」
「・・・よかった」
「・・・パスタもピザも美味しかったけど、今度はカツ丼とか、食べたい」
「あはは!分かる。おれも食べたい。行こうね」
「・・・セーター、すごく似合う・・・」
「え?本当?嬉しい」
「香水も、いい匂いなんだけど、和多流くんの匂いが好きだからあんまりつけないでほしい」
「うん。分かった」
ギューっと抱きしめられる。セーター、ふわふわで気持ちいい。
「これ、今度おれも着たい」
「貸すよ。でも中にハイネック着てね。肌を見せちゃダメ」
「分かった」
「ねぇ、ラブラブエッチは気持ちよかった?」
「え!?う、うん・・・すごく、」
「またしたい。涼くんめちゃくちゃ可愛かったもん」
「・・・あーゆーの、好き、だから・・・」
「おれも」
「でも、和多流くんが好き勝手するのも、好き・・・」
「・・・していいの?」
「・・・だって、受け止められるの、おれだけだもん」
言ってから恥ずかしくなる。
和多流くんは、涼くんしか受け止められないのは本当だよ、と何度もキスをした。
「涼くんタフだからすごく満たされる」
「そんなにタフじゃないよ」
「こんなこと言うのもあれだけど、根元までガッツリ咥えてくれるの、涼くんだけだったよ。これは冗談抜きで、本当の話。根元まで咥えてくれた時、嬉しくてすげー声出ちゃったもん」
「そうなの?まぁ、和多流くんの大きいからね・・・。あの、」
「ん?なぁに?」
優しく返事をしてくれる。
セーターの中に手を入れると、ピクリと腹筋が動いた。
「・・・香水が、邪魔だから、お風呂入ろ・・・」
「・・・おれの匂い、好き?」
「うん、」
「全身洗ってくれる?」
「うん。入浴剤、入れたい」
「2人で同じ匂いになっちゃおうか」
くんっと腰を引かれ、バスルームに促される。昨日と同じようにきちんとバスローブが用意されていた。
「ね、またラブラブエッチしよっか」
「・・・んっ」
もう、溶けそう。
誤魔化すように和多流くんの耳を触る。ダメだよと、優しく笑った。

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