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※ P-Day5-
しおりを挟むゆさゆさと体が揺れた。
目を開けると薄暗くて、雨の音がした。
キョロキョロと辺りを見渡して、いつもの寝室だと確認する。カーテンの向こうには雨が降っていた。うっすら空いた隙間から雨粒がぶつかるのが見える。
「・・・和多流くん?」
「おはよう」
「・・・はよ、」
「ごめん、お腹すいちゃって。起きて一緒に食べない?」
白いインナーシャツとパンツだけ身につけた和多流くんが、優しく微笑んでいた。
起き上がって目を擦る。
「パンツ・・・」
「はい」
渡されたのは、浅履きのボクサーパンツ。和多流くんが買ってきたものだった。
何を言ってもこれしかないとか言いそうだなと思い、素直に足を通す。思った以上に浅くて、少し心許なかった。
「外、暗いね・・・。天気悪いんだ」
「雨、結構降ってるんだ。雨音って気持ちいいよね」
「ん・・・。まだ眠いや」
「そうだよね。まだ5時だもん」
「へ!?」
思った以上に早い時間だった。
時計を見ると、確かに5時だった。
手を繋いでダイニングに移動する。
いい匂いがした。
「目玉焼きだ。あ、サンドイッチもある。ありがとう」
「簡単にだけどね。はい、座って」
椅子に座った和多流くんは、ぽんぽんと膝を叩いた。
かーっと顔が熱くなる。
「お、おれ、子供じゃないしっ、」
「え?うん。知ってるよ。膝に乗って欲しいだけ。離れたくないから」
「っ、・・・」
「・・・勃っちゃった?」
指先で芯を持ち始めたペニスを撫でられた。
慌てて手で隠すと、腕を引かれて膝に乗せられた。
和多流くんのペニスが腰に当たる。
「和多流くん、」
「食べていいよ」
「う、ん・・・」
もそもそと口に入れる。味なんか分からなかった。
「わ、和多流くんは?」
「食べたよ」
「・・・あの、後でシャワー、」
「どうして?」
「昨日の汗が、」
「また汗かくんだから、意味ないよ」
「・・・も、食べられない」
「いいよ。おれも残したし。・・・ねぇ、どこでしたい?」
「・・・ベッド・・・。ひっ!?えっ?!」
いきなりお尻からどろりと垂れた。
何事かと飛び跳ねる。
何、何!?
「早く一つになりたくて、さっきローション入れちゃった。ごめん」
「あ、あ、」
「出ちゃうね。・・・ベッドまで歩けそう?」
「は、んっ・・・!も、早くっ、・・・」
「ごめんね?求めてほしくてこっち連れてきちゃった。行こう」
ぐっと抱き寄せられ、ふらつきながら寝室へ戻る。ベッドに倒され、自然と足が開いた。パンツを脱がされてそのまま下に放り投げる。
和多流くんはコンドームをつけると、ペタペタと秘部に押し付けた。
「ローション入れた時の涼くん、可愛かったなぁ・・・。いきそうになってた」
「は、はぅ、あ、」
「久々だから、指からにしようか」
「ひ、んんっ!」
指が入ってきた。
弱いところを避け、ほぐしていく。
「は、ひ、」
「あー・・・可愛い・・・うねってる」
「も、いれて、」
「痛い思いさせたくないから、もう少し」
「らい、じょぶ、だからぁ・・・!」
「本当に?」
「意地悪、やだっ、ほしいよ・・・!」
「ん。ははっ、本当はおれも余裕ない。入れてから動いちゃダメなんだっけ?我慢できるかなぁ・・・」
「は、あ゛ぁん、」
熱くて、固くて、質量のあるペニスがゆっくり入ってくる。
あ、やばい、やばい。いつもと違う。擦れる感覚も、小刻みに震える感触も、全部分かる。
内側の肉壁が剥がされていく。反り返ったペニスが奥まで入りきった時、ビクンビクンと大きく跳ねた。
「あ゛ーっ・・・!」
「あぁっ、これ、やっべ、」
「はひっ!ひっ、あ、あ、」
「あ、どうしよう・・・やばい、腰、」
「もっと!もっと奥、」
「ん゛、」
「あ、あ!や、ばいぃ・・・!」
「ごめん、このまま、・・・やばい、いきそうっ・・・なんだよコレ、」
「だめ、だめ、気持ち良すぎる、どうしよう、」
「あ、ごめん・・・無理だ、」
目を開ける。和多流くんが切羽詰まった顔で見下ろしていた。
ぎゅーっと力が入る。
腰に電流が流れた。
もう、どこが気持ちいいのか分からないくらい、全身が気持ちよくて震えた。
和多流くんのペニスが中で大きく跳ね続けている。辛そうに顔を歪め、目を瞑り、唇を噛んでいた。
その顔を見ただけでまた絶頂の波が来る。
「あ゛ー!あ゛っ!あぁっ!和多流く、気持ちいい~・・・!」
「あ、はっ!うぁ、っ!やばい、ごめん、またいくっ、」
「んあぁ!おれ、あ、壊れる!壊れる!だめ!」
ずっと、いきっぱなしだった。
肌が敏感になっている。シーツに擦れるだけで気持ちいいし、鳥肌が立った。
怖くなって必死にしがみつく。
和多流くんも強く抱き返してくれた。
「も、だめぇ・・・!いぐ、もうでるぅう・・・!壊れる、こわいぃ・・・!」
「は、ぁ・・・!・・ごめん、壊すね、」
パンっと肉のぶつかる音。腰が押しつけられ、のけぞって快楽を受け止めた。
目の前が真っ白になる。
体が壊れるくらい、快感に支配されていた。
「だめ!むり!もうむり!」
「ごめん、気持ち良すぎるっ・・・!」
「あ、あぁあぁんっ、ゔゔーっ、あぁ!」
「涼、」
「あ、出る!出ちゃう!といれぇ!」
「ここで、出していいからっ」
「やだぁああっ、!」
子供みたいに泣きじゃくり、ぱしゃぱしゃと吐き出した。
腹がびしょ濡れになる。
顔を隠そうとしても、押さえつけられて叶わなかった。
「あーっ、あぁ、」
「すっごい・・・潮吹き・・・はぁ・・・やっと、気持ちいいの、終わった・・・ははっ、ペニス、馬鹿になりそう・・・」
「え、えっ・・・!うぇえっ、」
「・・・どうしようもなかった。我慢できなかった・・・ごめんね。びっくりしたよね」
「き、きもちよすぎて、こわがっだぁ・・・!」
「・・・あははっ。これ、強烈だったね。まだ勃ってるもん・・・。はー、・・・動けないや」
「き、きもち、よかった・・・?おれの中、」
「・・・もう、なんて事聞くの・・・。最高だったよ・・・。だって、絡みついて離してくれなくて、どんどん引き込もうとするんだよ?今だってそうだもん。ねぇ、壊していい?やっぱ、動きたい」
何度も頷いてから抱き締めると、緩やかに腰が動いた。
頭が痺れる快感。
どんどん体が作り替えられていく。
少し怖かった。和多流くんなしじゃ、生きていけない。
********************
「んーっ!」
「はっ・・・エロすぎる・・・」
「ま、あっ!まって、」
「ずーっとずーっと憧れてたんだ・・・裸エプロンの涼くん、犯すの・・・」
ベッドの上で散々して、シーツがぐしょぐしょになって、だるい体を持ち上げてシーツを剥がした。
ちゃっかり防水シーツまで敷いてあって、もう言葉をかける気力も湧いてこなかった。
お願いだから着てほしいと頼まれてエプロンを身につけると、和多流くんはいそいそとキッチンに移動して後ろから抱きしめてきた。
気持ちよくてのんびりした気持ちになったのも束の間。
ゆっくりとペニスが押し込まれた。
「ま、って!おれもう、」
「おれはまだしたいんだ。主導権くれるんでしょ?」
「ま、まって、まって!」
「・・・おれとするの、嫌いかな?」
耳元で尋ねられ、力が抜ける。ずるいよ、そんなこと聞くの。
「好き、」
「よかったー・・・」
「は、ぅあっ!だめ、いく、」
「我慢できる?」
「無理、いく、あぁっ!」
「あ、」
短いエクスタシーが背筋を駆け上がって行く。
ぜーぜーと息を切らしながら振り返ると、かぷ、と唇に噛みつかれた。
「おれ、もう、・・・いきすぎて、変になったかもしれない・・・」
「いくのに慣れちゃった?あんまり気持ち良くない?」
「ちが、気持ちいい・・・。和多流くんは・・・?おれ、緩く、なってない・・・?」
「・・・あー、今のめっちゃくる・・・」
「え?」
「緩くしたのおれなんだーって思っちゃった。それくらいたくさんしたって事だもん。でも、緩くなってないよ。包み込まれて気持ちいい」
「も、何回したかな・・・あの、おれもう、勃たないんだ・・・ちょっと、眠いし・・・」
「・・・えー・・・。うーん・・・んー・・・」
なかなか抜こうとせず、おれの首元に顔を埋めた。
ぎゅーっと胸が苦しくなる。どうしよう、すっごく可愛い。
きゅっと力を入れると、中で跳ねた。
エプロンの中にそっと手が差し込まれ、胸を撫でられた。
「涼くんの肌、すべすべだね」
「うっ・・・わ、和多流くん・・・」
「ねぇ、もう動かないからこのまま繋がっていたい」
「んんっ、・・・あの、あ、あ、っ、」
エプロン越しにペニスを扱かれる。
もう勃たないと思ったのに、緩やかに勃ち上がった。
優しく握り込まれ、マッサージするように手を動かした。
「はーっ、・・・はぁー・・・!」
「あー・・・気持ちいい・・・。中、ぎゅーって、締まってきた・・・!」
「あぐっ!?ぉあ゛っ!?」
下から突き上げられ、腹から声が出た。
貫かれるようなピストンに、口が閉じられなくなった。涎を垂らして叫ぶように喘ぐ。
さっき、もう動かないって言ったのに!
「あ゛!ゔぅっ!え、ぐっ、!」
「くる、しい?ごめん、・・・これで、最後にするから・・・」
「ぐぅじぃっ、やめ、もぉやだぁっ!いきたくないぃ!もうだめ、やらっ、」
「あぁっ、気持ちいい・・・!しあ、わせっ・・・!いく、」
「あ゛ぁあ゛んっ!」
最後の最後、強く強く、腰を叩きつけられた。
エプロンに大量の体液を吐き出した。大きなシミが広がって、ぼたぼたと床に落ちて行く。また、潮を吹いた。こんなに大量の体液、体のどこに眠っていたんだろう。
ずるりとペニスが抜けた時、膝が崩れ落ちた。
腕を掴まれ抱き上げられる。
体に力が入らない。
されるがままに倒れかかって、目を閉じる。
寝室に歩いて行く気配がした。揺れが気持ちいい。
ずっとこのまま揺られていたい。
「和多流くん・・・」
「気持ちよかったよ・・・すごく、よかった・・・。明日からも、たくさんしようね。涼くん大好きだよ」
「・・・わたぅ、くん・・・」
「いいよ。眠って」
「もっと・・・したいよぉ・・・」
あれ・・・?
もういくのも怖くて、疲れ果てて、今すぐにでも眠ってしまいたいのに・・・。
頭がぼんやりして、気持ちがいい。
「涼くん、本当にいいの?」
「あっ・・・あの、もしかしたら、してる時に寝ちゃうかも・・・」
「それ、最高。心地いいってことでしょ?・・・ね。抱きたい。可愛い涼くん・・・」
頬にキスをされる。背筋が震えた。
あ、ヤバい・・・。
全身が性感帯になっている。おれ、どんどん作り替えられて行く。
和多流くんの好きなように。
和多流くんの、思うままに。
「おれ、こんなにセックスしたの、初めて・・・」
「おれも。ねぇ、全身舐めてもいいよね?」
「ん・・・好き・・・」
目を閉じる。
和多流くんがおれを求めて、おれに集中してくれるのが、たまらなく気持ちよくて、幸せ。
腕を持ち上げて、首に回す。
和多流くんが笑った気がして、嬉しくなって、しがみついた。
********************
懐かしい部屋にいた。
中学まで使っていた自分の部屋だった。高校から寮に入ったので、もう何年も見ていない部屋だった。
殺風景な部屋でカーテンが揺れていた。
この部屋で殴られ、蹴られ、壁に叩きつけられ、罵られた。
嫌な思い出しかないのに、どうしてここにいるんだろう。
キョロキョロ見渡していると、背中からドアの開く音がした。
体が跳ねる。
恐る恐る振り返ると、なぜか和多流くんがいた。
笑って手を伸ばす。いつもの優しい手だった。
『いたいた。ほら、こっちだよ』
『和多流くん、』
『うちに帰ろう』
部屋に背中を向けて手をとる。引っ張られた瞬間、パチっと目が開いた。
目の前には和多流くんがいて、ぼんやりとした目でおれを見ていた。
「わたぅくん・・・」
「あー・・・今・・・涼くんがねぇ・・・変なんだけど・・・昔のおれの、部屋に立ってた・・・」
「・・・え?」
「ぼーっと立ってて・・・へへっ。可愛かったぁ・・・」
ふにゃりと目尻を下げるから、心臓が大きく跳ねた。
手が握られていた。
この手があるから、和多流くんがいるから、すごく幸せだった。
「変な夢、見たんだね・・・和多流くん・・・。おれも見てた。ていうか、いつの間に寝てたんだろー・・・」
「んー・・・ごめん、してたら寝ちゃった。もー、涼くんとするとなんか、気が緩みっぱなしで・・・ついつい本能赴くままになっちゃうなぁ・・・」
「・・・それめっちゃ嬉しい」
「えー?マジでぇ?んふっ、・・・。涼くん、してる時ふにゃーって力抜けて寝ちゃって・・・もー、超可愛くて見惚れちゃってさぁ・・・。あ、やばっ。また勃ってきた」
「・・・だって、気持ちよくて・・・記憶ない」
「見惚れてたら、ガクッと眠気がきちゃって・・・結構寝ちゃったね。雨、まだ降ってるや」
枕元のカーテンを少し開ける。
薄暗くて、時間が分からない。
時計を確認しようとして、やめた。
どーでもいい。だって、今日はずーっと和多流くんと裸で抱き合うんだから。
「お風呂入る?」
「うん・・・。入る・・・。あ!入浴剤入れたい。生徒に貰ってね、いい香りだったんだぁ」
「ん・・・。じゃぁ2人で同じ香りになろうか」
「・・・そ、その言い方やらしい・・・」
「ははっ。勃っちゃった?ね、お風呂でもしようか」
「えーっ、まだするの?すごいね」
「ついてこられる涼くんもすごいよ。嫌にならない?」
「うん、ちっとも。ちょっと疲れたけど・・・」
「寝たから回復したよね?しよ。たくさんしよう」
壁際に追いやられ、腰が押しつけられる。
うぅ・・・。気持ちいいし、なんか、したくなってるし・・・!
「涼くん、ポリネシアンセックス・・・うーん、またしようって言おうと思ったけど、結構キツかったからなぁ・・・。もうしたくないや。毎日したいから」
「・・・おれもー。・・・あの、エプロン、さぁ・・・」
「ん?」
「ま、また、つけてあげようか・・・?」
ガバッと起き上がってまじまじと顔を見下ろしてくる。何度も頷いて、にこーっと笑った。
「今度、別のタイプも買ってくるね」
「・・・もー、和多流くん、絶対変なの買ってくるじゃん。おれも一緒に行く」
「やった。デートだ」
声を出して2人で笑う。
こういう時間が好きだ。
セックスももちろん好きだけど、2人で笑うのが、1番好き。
少しじゃれあって、お風呂に向かう。いつもの和多流くんだった。
よかった。
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