Evergreen

和栗

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P-Day3-

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「涼くん」
「え?あれ?」
廊下で名前を呼ばれて振り返ると、和泉ちゃんがいた。
友達の女の子も一緒だった。
「こんにちは。えーっと、真奈美ちゃんだっけ。こんにちは」
「こんにちは」
「真奈美と塾通おうとおもって、体験に来たんだー。涼くんのクラス」
「えー。緊張する」
和泉ちゃんと真奈美ちゃんはいつも一緒にいるらしい。
あと1人、大人しい男の子。彼は野球部でマネージャーをしているので、まだ塾には通わないらしい。
まぁ、通わなくても成績いいし、通ってももっとレベルの高いところに行くだろうから、あまり会う機会もないだろう。
真奈美ちゃんがじっと見つめていることに気づいて首を傾げると、目を細めて足先から顔までしっかりと見て不敵に笑った。
「なんか、前より色気がある」
「はい!?」
「え、真奈美そういうのもわかるの?どんな観察眼よ」
「え?え?」
「真奈美って、変わってんの。彼女できたとか彼氏できたとかすぐ気づくし。あ、別れたのとかもすぐ気づくんだよ。怖くない?」
「こ、わくはないけど・・・おれ、なんか変?」
「ううん。空気が甘ったるいだけ」
それ、変って言うんじゃないの?
和多流くんと順調だからかな?
前に会った時はギクシャクしていた頃だったし。
色気、かぁ・・・。初めて言われたかも。ちょっと嬉しい。和多流くんも気づいてくれたらいいなぁ。
ぼんやりしていたら、頭に衝撃が走った。
「いっ!?」
「生徒とのコミュニケーションも程々に」
成瀬さんだった。
2人を見ると、体験ですか、と静かなトーンで話しかけた。
驚いたように2人は目を丸くする。
「は、い、そうです」
「・・・そっくり」
「そっくり・・・?春日部先生、もう始まるから教室に案内してあげてください」
「あ、はい!すみません!」
2人を教室まで連れていく。ドアを開けようとした時、和泉ちゃんがおれに言った。
「あの先生、弟いる?」
「え?うん」
「うちの学校にクローンみたいな人が1人いるよね。サッカー部に」
「この塾は通わない。あの顔、もう見たくないもん」
え!?
どういうこと!?
成瀬さんとなんかあったの!?それとも弟!?
クローンというからにはかなり似ているんだろう。てことはイケメンだ。過去に付き合ったことがあるのか?いや、でも直哉と大分タイプが違うし・・・。
てか直哉もサッカー部じゃん。気まずいじゃん。
内心気が気じゃなかったが、なんとかかんとか授業を終えた。
和泉ちゃんはムッとしたままおれの元へくると、なんであの人がいるの、と文句を言った。
「や、おれの、先輩で・・・あの人予備校の方だからあんまり会わないと思うけど・・・」
「ほんっとやだ。あの顔!クローンみたいで気持ち悪いし!」
「和泉、目の敵にしすぎ。あの先生、成瀬って名前?」
「そうだよ。なんかあったの?」
「サッカー部に同じ顔の人がいるんだよ。和泉の宿敵。あははっ」
「笑わないでよ。敵よ、敵。あいつは私の敵!一生ね!もう帰る!」
和泉ちゃんは勢いよくドアを開けた。そこに、成瀬さんが立っていた。
通り過ぎ様に睨みつけ、帰っていく。その後ろを真奈美ちゃんが笑いながら追いかけた。
きょとんとした顔でおれを見て、なんだ?と聞かれたけど、聞きたいのはおれの方だ。
「あの、弟さんてサッカー部ですか?」
「は?あぁ、そうだけど・・・なんだ、あの子たちは同じ高校か?」
「そうです。おれのいとこと、その友達で・・・。弟さんと何かあったんですか?」
成瀬さんの眉間にシワが寄る。怒られると思っら、目頭を抑えてため息をついた。
「分からんが問い詰める必要がありそうだな」
「えっ」
「あの睨みつけ方は尋常じゃなかったからな・・・」
まぁ、確かに・・・。宿敵になるくらいのこと、何かしたのだろうか。
怖いなー。
「あ、で、どうしたんですか。わざわざ来て・・・」
「あぁ・・・今夜時間、あるか」
「へ?」
「シロが飲みたいらしい。藤堂さんにも声をかけて、来るみたいだが」
え、和多流くん行くって返事したんだ。
今日も仕事詰め込んでたはずだし、夜は・・・続きの予定だったけど、飽きちゃったのかな。
和多流くんが行くなら行こう、かな。
行きます、と返事をすると、分かったと短く言われた。
我慢させすぎたかなぁ。
片付けをして、携帯を確認する。
シロさんから待ってるねーという簡単なメッセージが来ていた。和多流くんからは飲みたい気分だったなら先におれに言って欲しかった、とメッセージが来ていた。
飲みたいなんて、おれ、言ってないけどな。
よく分からなくて、なんのこと?とメッセージを返し、成瀬さんと職場を出た。
電車に乗って目的地に向かう。
バーのドアを開けると、成瀬さんは少し顔を顰めた。
「ゲイバーか」
「え?はい。来たことないですか?」
「・・・シロの行きつけか?」
「え?知らないできたんですか?多分そうだと思います。和多流くんと何度か来てると思いますよ」
「あまり得意ではない。まぁ、いいが」
もう1つのドアを開けると、カウンターにママがいた。あれ?2人がいない。
「こんばんは」
「あら、久しぶり。あの2人なら個室に押し込んだから」
「え?どうしてですか?そこのテーブル席とかでもいいのに」
「嫌よ。あんな手のつけられない野獣、ここに置いておくの。そっちの子は初めてね。よろしくね」
「・・・どうも。野獣はどちらのことですか」
「そっちの僕ちゃんのステディ」
「ス!?や、あの、」
「・・・シロが何かやったのか・・・?」
成瀬さんは顔をしかめたまま個室の扉を開けた。
途端に不穏な空気がおれたちを襲った。
ローテーブルにソファ。ソファの上で和多流くんは膝に肘をついて、シロさんを睨みつけていた。
「あ、やっときた2人とも!」
シロさんはソファの隅っこで苦笑いをしていた。
成瀬さんが近づいて思い切り頭を叩く。
「とりあえず藤堂さんに謝れ」
「え、えぇー・・・なんで僕が悪いと思うの?」
「今日の飲み会、声かけたのお前だろうが」
「いやー、騙されたよ。おれも迂闊だったよ。まさか涼くんの名前を使っておれを呼び出すとはいい度胸してるよね」
ど、どういうこと・・・!?
とりあえず和多流くんがものすごく怒っているので、慌てて隣に座る。成瀬さんがいてももう関係ない。今は和多流くんの機嫌を取らないと。状況分からないけど。
「一応さ、成瀬さんに許可を取ってから殴るなり首絞めるなりしようと思って」
「構わない。やってくれ」
「えー!美喜ちゃん酷い!助けて!」
「わ、和多流くん。落ち着こうよ。何が何だか分からないけど」
「えー?シロくんから飲もうって言われて断ったら、涼くんは来るって言ってたよーって言うもんだからさ。まんまと騙されちゃって。あははははっ。ちょっと我慢が利かないなぁって」
手の甲に青筋が見える。
あ、あー・・・だから、おれに言えってメッセージがきてたのかぁ・・・。
なんだ、よかった・・・。
飽きたとかじゃなかったんだ。
そっと耳に唇を寄せて、ポソポソとつぶやく。肩がピクンと跳ねた。
「ね、今日早めに帰って、お風呂入ってすぐベッド行こ」
「もう帰りたいけどね」
「せっかくだから、少しだけ。ね、ディープキスの日だよ、今日」
「・・・え、そんな日あるの?」
「うん。ディープキス、和多流くんがしたいだけ、しよう。だから機嫌直してよ。あ、ディープキスだけだからね。あとはまた明日からのお楽しみ」
「・・・でも、シロくんにお仕置きしないとさ・・・」
「シロさんに時間割くなら、おれにちょうだいよ。嫌かな・・・」
このまま機嫌が治らなかったらできなくなるかも。少し不安になっていると、和多流くんは耳を赤くした。咳払いをすると、じとっとシロさんを睨む。
「次やったらもう絶対一緒に飲まないからね」
「ごめんなさい!か、春日部くん~!ありがとう~!」
ここで乱闘が起こるのも、それで時間がなくなるのも嫌だったので、和多流くんが機嫌を直してくれてよかった。
成瀬さんがもう一発拳骨を落とし、場が収まった。
「で、嘘ついてまでなんで飲みたかったんだ」
「だって・・・」
「大方、仕事が進んでないんだろ」
「だって、だって・・・!美喜ちゃんも忙しくてあまり構ってくれないしさー!明日休みなのに家事するって言うんだもん!」
「何が悪い。部屋の掃除は重要だろうが」
「普段からキレイにしてるんだからいいじゃん!」
「買い出しもある。明日は特売日で更にポイントが5倍だ」
主婦みたいな発言に、吹き出すのを堪える。
和多流くんは愉快そうに笑っていた。
あ、ザマーミロって思ってんだろうな。
部屋の電話が鳴って、ママから飲み物をとりにくるように言われた。
部屋から出ると、なぜかシロさんもついてきた。
「どう?わたくんと」
「え・・・あ、それ聞くために今日、」
「え?それもあるけど、わたくんをからかいたかっただけ。危うく死ぬとこだったけど」
「・・・楽しく、過ごしてます。あの、ポリネシアンセックス教えてくれて、ありがとうございます。すげーいい、です」
「本当?えー、美喜ちゃんに頼んでみようかなぁ・・・。悶々とする?」
「しますね。和多流くんも、だいぶ・・・」
「でしょうね。わたくんに1番合ってないセックススタイルだと思うし」
「はは・・・」
「少しだけ飲んで帰りましょ」
シロさんと成瀬さんって、どっちが上なんだろ・・・。成瀬さんかな。
どんなセックス、するんだろう・・・。
丁寧に抱きそうだなぁ。
乱暴に抱くイメージがない。かといって和多流くんみたいに前戯に膨大な時間をかけるイメージもない。
シロさんの方が積極的に見えるから、シロさんのペースでことが進んでいそう。
色々想像しながらノンアルコールのビールを2つ持って戻ると、成瀬さんと和多流くんは談笑していた。
大人の2人は何を話すのだろうか。おれに話さないこととか、話すのかな。
昨日成瀬さんにもらって盛大にむせこんだタバコを、和多流くんは平気で吸っていた。
後から来たシロさんも、成瀬さんの手からタバコをとって火をつける。
苦い香りが部屋に広がった。
和多流くんのタバコを持つ手がかっこよかった。
惚れ惚れする。太くてゴツい手。タバコを咥えた唇も、薄くて綺麗だった。
「涼くん?」
「ふへっ!?」
「えっ」
「あ、や、なに?」
「涼くんも、吸う?」
「ううん。いい。キスする時に和多流くんが苦いって・・・あ、ぅ・・・」
あ、あ、やばっ・・・何、言ってんのおれ・・・。
視界の隅でシロさんはニヤニヤして、成瀬さんは聞きたくなかったって顔をしてそっぽを向いていた。
和多流くんは無表情でおれを見つめて、フィルターを噛んだ。
ふいっと、顔を背けて灰皿にタバコを押しつける。
やっちゃった・・・。つい、気が緩んだ・・・。
いつものバーで、しかも個室で、さっきあんな話をしたもんだから、つい、つい・・・。
呆れてるかも・・・やばい、おれ、馬鹿すぎる・・・。
「いやーん。お熱い2人ですこと!」
「・・・春日部、お前最近、大分気が緩んでるな」
「す、す、すいま、せん・・・!忘れてください・・・!あの、あの、和多流くん、ごめんなさい・・・」
「・・・ん。帰ろうか」
「あ、でも、全然飲んでない・・・」
「じゃぁ、先帰る」
「へ!?違うよ、和多流くんが全然飲んでないからっ」
「ノンアルだし飲んでも飲まなくても同じだから」
「だーめよ。喧嘩しちゃ。わたくん、ちゃんと春日部くん連れて帰らないと僕が食べちゃうわよ」
和多流くんが大きく舌打ちをした。
ビクッと体が揺れる。
舌打ちが、すごく怖かった。
立ち上がったので一緒に部屋を出る。
和多流くんはカウンターに乱暴にお金を置くと、さっさとバーから出ていった。
「あらやだ。まーだ機嫌悪いの、あの子」
ママがお札をしまいながら呟いた。頭を下げて後を追う。
ドアを開けると、隣のビルの壁に寄りかかっていた。
ホッとして近づくと、手を引っ張られた。
固く張り詰めたペニスに押しつけられる。
「わ、和多流くん、」
「涼くんのせい。早く帰ろう」
「・・・怒ってない?」
「シロくんにキレそうだったから出てきた。・・・怖かった?ごめん」
「し、舌打ち、怖い・・・」
昔、父親がよく舌打ちしていた。
手を振り上げて、おれに、真っ直ぐ拳を振り下ろす。もう10年も前の話。
「・・・もうしない。ごめんね。もう絶対にしないよ」
「う、うん・・・」
「・・・ねぇ、あぁいうこと、もうおれ以外の前で絶対に言わないで。ね、お願いだから。可愛すぎて一瞬呼吸が止まった。押し倒したかった。我慢するの、大変だったよ」
「・・・ごめん、つい・・・。さっき、キスの話したから・・・ごめんなさい」
「・・・キス、おれがしていいんだよね?無茶苦茶にキスしたい」
黙って一度だけ頷くと、和多流くんは安心したように笑った。


********************


「・・・涼くん、さっきは本当にごめんね」
「え?」
お風呂から上がってベッドに潜り込んでいると、後から来た和多流くんが心配そうな顔をして謝ってきた。
どれのことか分からなくて戸惑っていると、舌打ち、と小さく言った。
「あ、ううん。大丈夫」
「急に表情が曇ったから、びっくりした」
「・・・昔、父親が、よくしてて・・・ごめん、」
「あぁ、それは嫌だね。嫌な思いたくさんしたでしょ。わかる」
「分かる?」
「うん。おれの親父はそうだったから。場の雰囲気悪くなるよね。気も使うし。しかもうちの親父は舌打ちと同時に手が出る人だったから、余計に嫌だったな」
「お、おれんとこも。ゲイバレ、した時・・・すごかった・・・」
「・・・おれねぇ、一回、やり返したことがあるんだけど」
「えぇ!?」
「理不尽に殴られて、ムカついてやり返したらさ、吹っ飛んでっちゃってね。それから実家帰ってない。あははっ。親不孝なんだ、おれ」
初めて聞く真実に、ぽかんとしてしまう。
やり返す、という発想がなかったから余計に驚いた。
なんか、すごいな・・・。勇気がなくちゃできないよな・・・。
「年子の弟は愉快そうに笑ってたな。あいつも結構やられてたからね」
「弟いたんだ。おれ、姉が1人いたよ。今、どこで何してんのかしらないけど」
「そうなんだ。まぁ、どこかで幸せに暮らしてるんじゃない?おれらみたいに」
「そうかな。そうだといいな。あのさ、やり返した時、お父さんってどうしてた?」
「ぽかーんとしてた。仰向けで。今思い出しても面白いな。やり返されるなんて思わなかったんだろうから、いい気味だね。涼くんもやり返してやればいいんだよ。こんなもんかって、結構な肩透かしだよ」
「・・・もし、会って、そういうことになったら、そうしようかな・・・」
「うん。そうしな。教えてあげるから」
「あ、和多流くん柔道やってたんだっけ」
「うん。得意なのはなんでしょうか」
「・・・寝技?」
「当たりー」
ぐっと体が抑え込まれた。
本気じゃない、抱くための拘束。
腕に手を置くと、微笑まれた。
実家のことなんて思い出さないようにしていた。怖かったから。でも和多流くんと話してる時はちっとも怖くなかった。そばに和多流くんがいるからかな。
「へへ、和多流くん、好き」
「・・・抱いてってことでいいのかな?」
「今日もキスだけだよ」
「ディープキスでしょ?」
かぷ、と食べるようにキスをされた。
少しだけ苦い舌が、滑り込んでくる。
わぁ・・・久々のふかーいキスだ・・・。
気持ちいいなぁ・・・。
あの日から、いきなり何もしてこなくなって、キスもほとんどしてなかった。
求められて嬉しい。
もっと、応えたい。
耳を何度も撫でて、首に手を回して、離れないように腰に足を絡めた。
こんなに積極的になったのは、和多流くんと付き合いだしてから。
今までこんなことできなかった。恥ずかしいのと、遠慮していたのと、とにかく嫌われたくなくて、いい子を演じてたんだ。
しなくていいよって教えてくれたのは、和多流くんだけ。
自分に素直になるって、すごく素敵なことなんだ。だってこんなに気持ちいい。
「んあっ、あ、もっと、」
いきなり唇が離れた。
唾液の糸が唇をつないで、切れた。
和多流くんの目がギラギラ光っている。
「涼くん、キスだけでいきそうだったでしょ?」
「いかない、いかないよ。もっとしようよ」
「・・・エッチな子だね。誰がこんなふうにしたのかな」
「和多流くんだよ。エッチになってほしいって、言ったじゃん。嫌だったの?」
「最高に可愛いに決まってるじゃん。やっとリードできそうだ。いかないようにコントロールしないと、涼くんすぐいっちゃうでしょ」
「・・・おれがする・・・和多流くんとキスしてたい。もっとして。もっとだよ」
「うん。その前に・・・あのね、もう一度謝りたい。寂しい思いさせて、ごめんね」
頬を撫でられた。
今までのことが一気に脳内に流れた。親のことや家庭のこと、学校のこと、ご飯のこと、和多流くんに出会ったこと、ろくな恋愛をしてなかったこと、和多流くんに「おれのとこにきて」と少しだけ震える声で告白されたこと、車の中のこと、キスのこと・・・。
目の縁が熱く痛くなった時、堪えようとしたらたくさんの涙が落ちた。
和多流くんが驚いた顔でおれを見下ろし、泣きそうな顔で微笑んだ。
「わ、和多流くん、ごめん、な、萎えるよね、」
「・・・涼くんに1番させちゃいけないこと、させてた。ごめんね。馬鹿だね、おれ」
「ごめ、」
「寂しい時に寂しいって言わせなかった。ごめんなさい。これからは、ちゃんと言えるように、言ってもらえるように、涼くんと過ごしたい」
「和多流くん、ぎゅってして、泣いてごめん、・・・今、してる、最中なのに・・・!」
「こんなセックスも、たまにはいいよね。体動かして快楽に突き進むだけがセックスじゃないから。このセックスって、心の繋がりを大事にするんでしょ?繋がったかなぁ・・・。涼くん、おれ、すごい気持ちいいよ」
「おれも、きもちいっ・・・!」
「・・・涙、ぜーんぶ、吸っていいかな。もったいない」
「う、うんっ、うん、」
「大好き」
涙を吸われ、また唇が重なった。
何度も何度も舌を絡めて吸って、噛んで、唾液を飲んだ。
しがみついて離さなかった。和多流くんは、くっついてするのが好きだから嬉しいって、笑った。



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