優秀賞受賞作【スプリンターズ】少女達の駆ける理由

棚丘えりん

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2章 デビュー戦

2章 登場人物・用語解説(その他)

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~登場人物~
■立身大付属高校■
 東京都南地区で一番の強豪校。
 部員は100人を超え、特に200mが伝統的に強い。
 中高一貫校だが内部進学組と高校からの入学組がいる。
 中学時代からハイレベルな練習をこなしており、内部進学組は高1でも非常にレベルが高い。
 高校からの入学組も中学時代に成績を残した実力者が多いため、選手層が非常に厚い。
 上記の理由から強者の巣窟と思われがちだが、実際は公平な世界で本気で勝利を求める、自身を弱者と認識した者達が集っている。
 
【渋沢 栄子(しぶさわ えいこ)】
 立身大付属の3年生でロングスプリンター。
 部長にしてマイルのエース。
 常に落ち着いた態度で、チームの勝利を一番に考える人格者。
 かつては200mの選手だったが、マイルで蒼に敗北したことで400mへ転向、現在は東京南地区を代表する選手になっている。
 現在も蒼との再戦を望み、個人400mに出場し続けているが、蒼の走高跳への転向と入れ替わりになってしまったことで、再戦は叶っていない。
 マイルでの再戦に期待していたが、しかしその真面目さゆえ私情をリレーに持ち込めず、結局、願いは叶わなかった。
 全てを薙ぎ倒しながら進む戦車のような、非常にパワフルな走りが持ち味。
 どれだけ疲労が溜まっていても、マイルでは安定して57秒台前半、調子が良ければ56秒台のラップで走ることができる。
・400m:57秒31*自己ベストではない(地区1位で都大会出場)
 
【松下 幸(まつした さち)】
 立身大付属の2年生でマルチスプリンター。
 次期部長と目される存在で、トップスピードとスタミナに優れた実力者。
 スタートやコーナリングは苦手とするが、直線かつ加速状態で走れる、四継の2走としては驚異的な速さを誇る。
 後輩相手にも敬語で話す真面目な性格だが、最近は宗の保護者役になりがち。
・100m:12秒64*自己ベストではない(地区4位で都大会出場)
・200m:25秒36*自己ベストではない(地区4位で都大会出場)
 
【盛田 昭穂(もりた あきほ)】
 立身大付属の2年生でロングスプリンター。
 自身を凡才と自覚しており、常に全力で、努力家な性格。
 2年生にしてようやくレギュラーの座を獲得し、公式戦初出場となった。
 中学時代は立身大付属ではない学校で陸上部に所属していたが、理不尽が重なりリレーを走れなかった。
 その結果、公平さにこだわる立身大付属に入学した。
 勝利して強さを見せなければ、走る舞台にすら立てないという意識が強く、友人となった陽子に影響を与える。
 その精神力を見込まれマイルメンバー入り、極限状態の勝負の中で急激な成長を見せ、蒼に負けたものの、マイルのラップタイム58.0を記録した。
・25秒99(地区8位で都大会出場)

【本田 宗(ほんだ そう)】
 立身大付属の1年生でマルチスプリンター。
 現在の立身大付属で一番の才能の持ち主と言われ、その実力は「本来であれば関東6強になるはずだった」と言われるほど。
 1年生ながら幸に匹敵するトップスピードとスタミナを誇り、レース終盤に強い。
 ツンとした性格でツインテールがトレードマークだが、二つ名持ちネームドでないことや、関東6強に含まれなかったことなどを気にしており、瑠那を相手にすると、ややムキになってしまう。
 かつてのチームメイトで『眠れる森の美女スリーピングビューティー』の二つ名を持つ昼寝と、対等な立場での再会を望んでいた。
・100m:12秒40(地区3位で都大会出場)
・200m:24秒78(地区2位で都大会出場)
 
【槌屋 凌(つちや りょう)】
 立身大付属の教師で陸上部監督。
 非常に長身でスタイルが良く、肩まで伸ばした艶のある黒髪、紅いリップなど大人の女性の雰囲気を醸し出す。
 人を煽りがちで、蛇のようにねちっこい口調で話すが、真面目な話は普通に話す。
 実は夏の森陸上部OGで、かつてリザーバーとして『歴代最強の世代』とともに走り、後に部長も務めた。
 3年生のときには200mで全国制覇を成し遂げている。
 反面、リレーで不運が続き、その原因は自身の不甲斐なさにあると考え、10年にわたって後悔し続けていた。
 仲間のチャンスを奪ってしまったことを悔やみ、もう同じ不幸を背負う選手が生まれないように願った結果、監督として勝利と公平にこだわるようになった。
 ロリ先生の1学年下にあたり、直系の後輩となる。

■春の丘高校■
 東京東地区の学校。
 陸上部は廃部寸前だったほどで、部員は僅か4人の1年生のみ。

【木下 昼寝(きのした ひるね)】
 春の丘の1年生。
 中学時代は立身大付属に所属しており、エースだった。
 関東6強の1人で『眠れる森の美女スリーピングビューティー』の二つ名を持ち、中学時代に200mで関東3位、全国大会出場の成績を残した。
 いつも眠そうで、大会会場を間違えるようなうっかりをすることも。
 「~ッス」という気だるげな口調で話す。
 
【成野 ひと(なるの ひと)】
 春の丘の1年生。
 昼寝曰く「うちのエース」で、伊緒には100mの推測タイム12秒台前半と判定された。
「~にゃ」と軽い口調で話す。
 
【阿比留 翔子(あひる しょうこ)】
 春の丘の1年生。
 陸上は初心者で、めちゃくちゃなフォームのわりには速い。
 伊緒には100mの推測タイム13秒台半ばと判定された。
 声が非常に大きい。

【玉手 乙姫(たまて おとひめ)】
 春の丘の1年生。
 地区予選で唯一、大会会場を間違えなかった。

■花見台女子学園高校■
 神奈川の強豪校。
 
【花房 澪(はなぶさ みお)】
 花見台の2年生でマルチスプリンター。
 中学時代は立身大付属に所属しており、エースだった。
 『姫君プリンセス』と呼ばれる存在の1人で『花の姫君プリンセス・フルール』の二つ名を持つ。
 中学時代に200mで全国制覇をしている。

~用語~
【関東6強】
 陽子の同学年で、中学時代に圧倒的な強さを誇った6人の選手のこと。
 現在判明しているのは2人。
 100m関東3位『磁器人形ビスクドール』湖上瑠那(東京南・夏の森)
 200m関東3位『眠れる森の美女スリーピングビューティー』木下昼寝(東京東・春の丘)
 
【姫君】
 陽子の1つ上の学年で、中学時代に全国制覇を成し遂げた選手のこと。
 現在判明しているのは1人。
 『花の姫君プリンセス・フルール』花房澪(神奈川・花見台)

【歴代最強の世代】
 約10年前、四継とマイルで全国制覇を成し遂げた夏の森のメンバー。
 現在判明しているのはリザーバーを含め2名。
 口里かのん
 槌屋凌(リザーバー)

【インターハイ】
 春から夏にかけて行われる最大の大会で、全4大会が行われる。
 1人あたり個人種目は3つまで、1校あたり1種目につき3人まで出場できる。
 1.地区予選:12位までが都大会へ出場。
 2.都大会:東京4地区で競い6位までが関東大会へ出場。
 3.関東大会:関東8都県で競い6位までが全国大会へ出場。
 4.全国大会:北海道、東北、関東、北信越、東海、近畿、中国、四国、九州の9地方の出場者で競う。
 
【新人戦】
 秋に行われる大会で、地方大会までの全3大会が行われる。

【四継(4×100mR)】
 4人でトラック1周、1人あたり100mずつ走るリレーのこと。
 大会で一番の花形種目と呼ばれ、スピードと技術の限界を競う。
 現実とは違い、インカムでオペレーターからのサポートを受けられる。

【マイル(4×400mR)】
 4人でトラック4周、1人あたり400mずつ走るリレーのこと。
 大会最終種目で祭と呼ばれ、気合と根性、走力、判断力、体力、あらゆる強さを競う。
 現実とは違い、インカムでオペレーターからのサポートを受けられる。

【オペレーター】
 リレーで選手をサポートする役割。
 ゴール横のオペレーターエリアからインカムで選手をサポートする。

【スタンドマン】
 リレーで選手およびオペレーターをサポートする役割。
 インカムを使いスタンドから広い視野で情報を提供する。
 
【関東陸上NEWS】
 関東の新聞部が共同で運営するニュースサイトおよび雑誌の名称。
 陸上部員ならば誰もがチェックしている、高校陸上界の専門メディア。
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