12 / 15
レガリア王国王都編
ヴァーデル領について
しおりを挟む
私は無心でサンドウィッチを貪った。そして、お腹が膨れて満足した気になっていると殿下が荷物の中から紙を取り出して言った。
「さて、昼食も取ったことだし僕たちの目的について話そう」
殿下は紙を広げた。その紙にはこの世界の地図だったようだ。私は初めてこの世界をみた。どうやらこの世界は予期していた通り別の世界であった。つまり私は過去に来たのではなく、異世界で転生したのだ。この事実は私に少しショックを与えた。私が何も反応していないのを感じたのか殿下は
「そっか、これが何か説明していなかったね。これは地図といって国の場所や地形がわかるものなんだ。それでこれは戦争とかするときにバレると困るから国家秘密であり軍事秘密なんだ。だから、知らないのも当然だね」
と私が地図を知らなくて困惑していると判断して言った。私は地図をじっくりと見た。この世界はどうやら大きい台形の形をした大陸が一つとその周辺にある島で構成されているようだ。私が生まれたレガリア王国は、台形の下底側の右端にあり、尖った部分を中心に扇状の形をしているようだ。その地図の線には凹凸があり殿下はその凹凸を指でなぞった。そして、あるところを指で示した。
「僕たちが目指しているのは、ここ辺りだよ」
殿下が指をさした場所は、尖った部分であった。
「ここ辺りは、山が険しくほとんど平地がないようで開発が後回しにされていたんだ。で今回僕たちはここを開発しに行くだよ」
殿下は楽しそうにそう言った。
(こんな不良な領地でなんでこんなに嬉しそうなのかしら……)
私が不思議がっているのを察したのか殿下は言った。
「実は僕が僕の領地がここになるように仕向けたんだ。この国は険しい山や森に阻まれて、他国との交流がほとんどないんだ。こんな辺境な領地にやってくるのは君の祖父のような変わり者か他国から逃げてきた者くらいしかいない。僕はそれをずっと危惧していた。それで大きな港を作れる場所を探していたんだ。その結果このヴァーデル領だった訳さ」
殿下はスラスラと自分の考えを話した。
「なるほど、それで私のお祖父様の力が役に立ちますね。お祖父様とは数回しか話したことがありませんが、レガリア王国の港は狭すぎるとおっしゃっていました」
「やっぱり、そうなんだね。だからこそ、ベルナール卿が認めた天才である君に手伝って欲しいんだ。でもこれは強制じゃない。僕がこれからやろうしていることはとても過酷なものになると思う。もし出来ないそうにないなら言って、君が何不自由しないような結婚相手を僕が用意するよ。もちろん、協力してくれても君に不便な思いをさせる気はないよ。どうかな?」
殿下は少し不安気にそう言った。私は考えた。
(私の目標は幸せな人生を送ること。ここでどちらを選んでも殿下なら叶えてくれるだろう。そんな気がする。だけど、私は求める幸せな人生と掲げて頑張ってきたけど、それは窮屈な思いをしながら何も起こらないように生きることだっただろうか。例えば、食事だ。この国の食事は私の口に合わない。私に取って食事は苦痛だ。でも食事は生きている限り取り続けないといけない。そんな苦行をしながら生きることが果たして幸せと呼べるのだろうか。いや、呼べない!! じゃあ、どうすればいい? 自分で手に入れるしかない!! 誰かに与えられて窮屈な思いをして生きるなんて私が求めている幸せじゃあない! )
「天才なんて過分な評価でございます。私でよろしければ、ぜひ協力させていただきます」
私は殿下をしっかりと見つめてそう言った。
「ありがとう。クリスが協力してくれたら百人力だよ。」
殿下は嬉しそうにそう言った。
「ですが、その私が天才なんて誰からお聞きされたのですか?」
私は疑問に思ったことを聞いた。社交界でそのような噂が流れているという情報はなかったはずだ。その話の出所が私は気になった。
「もちろん、ベルナール卿だよ。実は卿が我が国に来るたびに会っていたんだ。それでね。クリスの話になってベルナール卿は饒舌に話していたよ。我が商会は安泰だって。そのときだね」
私は頭にハテナが浮かんだ。
「我が商会が安泰だとはどのようなことが存じ上げていますか?」
殿下も首を傾げて言った。
「あれ? 卿からクリスが後継者だって聞いたけど、クリスは聞いてなかった?」
私は知らされてない事実に呆然とした。
「そうだ。あと卿からクリスのことをよろしくと頼まれているから。僕が今日からクリスの教師兼婚約者だからよろしくね」
殿下はなんてことないようにサラッと衝撃のことを言った。
「えぇ~~~~!?」
私は驚きのあまり大きな声を上げてしまった。衝撃な事実が私の頭を支配して、それ以外考えられなくなった。殿下は楽しそうに微笑んでいる。どうやら、第二王子の婚約者から第一王子の婚約者に私はジョブチェンジしたようだ。私は波乱に愛されているのかもしれない。これから起きることに私は思い馳せるのであった。
「さて、昼食も取ったことだし僕たちの目的について話そう」
殿下は紙を広げた。その紙にはこの世界の地図だったようだ。私は初めてこの世界をみた。どうやらこの世界は予期していた通り別の世界であった。つまり私は過去に来たのではなく、異世界で転生したのだ。この事実は私に少しショックを与えた。私が何も反応していないのを感じたのか殿下は
「そっか、これが何か説明していなかったね。これは地図といって国の場所や地形がわかるものなんだ。それでこれは戦争とかするときにバレると困るから国家秘密であり軍事秘密なんだ。だから、知らないのも当然だね」
と私が地図を知らなくて困惑していると判断して言った。私は地図をじっくりと見た。この世界はどうやら大きい台形の形をした大陸が一つとその周辺にある島で構成されているようだ。私が生まれたレガリア王国は、台形の下底側の右端にあり、尖った部分を中心に扇状の形をしているようだ。その地図の線には凹凸があり殿下はその凹凸を指でなぞった。そして、あるところを指で示した。
「僕たちが目指しているのは、ここ辺りだよ」
殿下が指をさした場所は、尖った部分であった。
「ここ辺りは、山が険しくほとんど平地がないようで開発が後回しにされていたんだ。で今回僕たちはここを開発しに行くだよ」
殿下は楽しそうにそう言った。
(こんな不良な領地でなんでこんなに嬉しそうなのかしら……)
私が不思議がっているのを察したのか殿下は言った。
「実は僕が僕の領地がここになるように仕向けたんだ。この国は険しい山や森に阻まれて、他国との交流がほとんどないんだ。こんな辺境な領地にやってくるのは君の祖父のような変わり者か他国から逃げてきた者くらいしかいない。僕はそれをずっと危惧していた。それで大きな港を作れる場所を探していたんだ。その結果このヴァーデル領だった訳さ」
殿下はスラスラと自分の考えを話した。
「なるほど、それで私のお祖父様の力が役に立ちますね。お祖父様とは数回しか話したことがありませんが、レガリア王国の港は狭すぎるとおっしゃっていました」
「やっぱり、そうなんだね。だからこそ、ベルナール卿が認めた天才である君に手伝って欲しいんだ。でもこれは強制じゃない。僕がこれからやろうしていることはとても過酷なものになると思う。もし出来ないそうにないなら言って、君が何不自由しないような結婚相手を僕が用意するよ。もちろん、協力してくれても君に不便な思いをさせる気はないよ。どうかな?」
殿下は少し不安気にそう言った。私は考えた。
(私の目標は幸せな人生を送ること。ここでどちらを選んでも殿下なら叶えてくれるだろう。そんな気がする。だけど、私は求める幸せな人生と掲げて頑張ってきたけど、それは窮屈な思いをしながら何も起こらないように生きることだっただろうか。例えば、食事だ。この国の食事は私の口に合わない。私に取って食事は苦痛だ。でも食事は生きている限り取り続けないといけない。そんな苦行をしながら生きることが果たして幸せと呼べるのだろうか。いや、呼べない!! じゃあ、どうすればいい? 自分で手に入れるしかない!! 誰かに与えられて窮屈な思いをして生きるなんて私が求めている幸せじゃあない! )
「天才なんて過分な評価でございます。私でよろしければ、ぜひ協力させていただきます」
私は殿下をしっかりと見つめてそう言った。
「ありがとう。クリスが協力してくれたら百人力だよ。」
殿下は嬉しそうにそう言った。
「ですが、その私が天才なんて誰からお聞きされたのですか?」
私は疑問に思ったことを聞いた。社交界でそのような噂が流れているという情報はなかったはずだ。その話の出所が私は気になった。
「もちろん、ベルナール卿だよ。実は卿が我が国に来るたびに会っていたんだ。それでね。クリスの話になってベルナール卿は饒舌に話していたよ。我が商会は安泰だって。そのときだね」
私は頭にハテナが浮かんだ。
「我が商会が安泰だとはどのようなことが存じ上げていますか?」
殿下も首を傾げて言った。
「あれ? 卿からクリスが後継者だって聞いたけど、クリスは聞いてなかった?」
私は知らされてない事実に呆然とした。
「そうだ。あと卿からクリスのことをよろしくと頼まれているから。僕が今日からクリスの教師兼婚約者だからよろしくね」
殿下はなんてことないようにサラッと衝撃のことを言った。
「えぇ~~~~!?」
私は驚きのあまり大きな声を上げてしまった。衝撃な事実が私の頭を支配して、それ以外考えられなくなった。殿下は楽しそうに微笑んでいる。どうやら、第二王子の婚約者から第一王子の婚約者に私はジョブチェンジしたようだ。私は波乱に愛されているのかもしれない。これから起きることに私は思い馳せるのであった。
0
お気に入りに追加
128
あなたにおすすめの小説
【完結】捨ててください
仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
ずっと貴方の側にいた。
でも、あの人と再会してから貴方は私ではなく、あの人を見つめるようになった。
分かっている。
貴方は私の事を愛していない。
私は貴方の側にいるだけで良かったのに。
貴方が、あの人の側へ行きたいと悩んでいる事が私に伝わってくる。
もういいの。
ありがとう貴方。
もう私の事は、、、
捨ててください。
続編投稿しました。
初回完結6月25日
第2回目完結7月18日
五歳の時から、側にいた
田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。
それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。
グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。
前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。
虐げられた皇女は父の愛人とその娘に復讐する
ましゅぺちーの
恋愛
大陸一の大国ライドーン帝国の皇帝が崩御した。
その皇帝の子供である第一皇女シャーロットはこの時をずっと待っていた。
シャーロットの母親は今は亡き皇后陛下で皇帝とは政略結婚だった。
皇帝は皇后を蔑ろにし身分の低い女を愛妾として囲った。
やがてその愛妾には子供が生まれた。それが第二皇女プリシラである。
愛妾は皇帝の寵愛を笠に着てやりたい放題でプリシラも両親に甘やかされて我儘に育った。
今までは皇帝の寵愛があったからこそ好きにさせていたが、これからはそうもいかない。
シャーロットは愛妾とプリシラに対する復讐を実行に移す―
一部タイトルを変更しました。
裏切りの先にあるもの
マツユキ
恋愛
侯爵令嬢のセシルには幼い頃に王家が決めた婚約者がいた。
結婚式の日取りも決まり数か月後の挙式を楽しみにしていたセシル。ある日姉の部屋を訪ねると婚約者であるはずの人が姉と口づけをかわしている所に遭遇する。傷つくセシルだったが新たな出会いがセシルを幸せへと導いていく。
選ばれたのは私ではなかった。ただそれだけ
暖夢 由
恋愛
【5月20日 90話完結】
5歳の時、母が亡くなった。
原因も治療法も不明の病と言われ、発症1年という早さで亡くなった。
そしてまだ5歳の私には母が必要ということで通例に習わず、1年の喪に服すことなく新しい母が連れて来られた。彼女の隣には不思議なことに父によく似た女の子が立っていた。私とあまり変わらないくらいの歳の彼女は私の2つ年上だという。
これからは姉と呼ぶようにと言われた。
そして、私が14歳の時、突然謎の病を発症した。
母と同じ原因も治療法も不明の病。母と同じ症状が出始めた時に、この病は遺伝だったのかもしれないと言われた。それは私が社交界デビューするはずの年だった。
私は社交界デビューすることは叶わず、そのまま治療することになった。
たまに調子がいい日もあるが、社交界に出席する予定の日には決まって体調を崩した。医者は緊張して体調を崩してしまうのだろうといった。
でも最近はグレン様が会いに来ると約束してくれた日にも必ず体調を崩すようになってしまった。それでも以前はグレン様が心配して、私の部屋で1時間ほど話をしてくれていたのに、最近はグレン様を姉が玄関で出迎え、2人で私の部屋に来て、挨拶だけして、2人でお茶をするからと消えていくようになった。
でもそれも私の体調のせい。私が体調さえ崩さなければ……
今では月の半分はベットで過ごさなければいけないほどになってしまった。
でもある日婚約者の裏切りに気づいてしまう。
私は耐えられなかった。
もうすべてに………
病が治る見込みだってないのに。
なんて滑稽なのだろう。
もういや……
誰からも愛されないのも
誰からも必要とされないのも
治らない病の為にずっとベッドで寝ていなければいけないのも。
気付けば私は家の外に出ていた。
元々病で外に出る事がない私には専属侍女などついていない。
特に今日は症状が重たく、朝からずっと吐いていた為、父も義母も私が部屋を出るなど夢にも思っていないのだろう。
私は死ぬ場所を探していたのかもしれない。家よりも少しでも幸せを感じて死にたいと。
これから出会う人がこれまでの生活を変えてくれるとも知らずに。
---------------------------------------------
※架空のお話です。
※設定が甘い部分があるかと思います。「仕方ないなぁ」とお赦しくださいませ。
※現実世界とは異なりますのでご理解ください。
【完結】側妃になってそれからのこと
まるねこ
恋愛
私の名前はカーナ。一応アルナ国の第二側妃。執務後に第一側妃のマイア様とお茶をするのが日課なの。
正妃が働かない分、側妃に執務が回ってくるのは致し方ない。そして今日もマイア様とお茶をしている時にそれは起きた。
第二側妃の私の話。
※正妃や側妃の話です。純愛話では無いので人によっては不快に感じるかも知れません。Uターンをお願いします。
なろう小説、カクヨムにも投稿中。
直接的な物は避けていますがR15指定です。
Copyright©︎2021-まるねこ
死んで巻き戻りましたが、婚約者の王太子が追いかけて来ます。
拓海のり
恋愛
侯爵令嬢のアリゼは夜会の時に血を吐いて死んだ。しかし、朝起きると時間が巻き戻っていた。二度目は自分に冷たかった婚約者の王太子フランソワや、王太子にべったりだった侯爵令嬢ジャニーヌのいない隣国に留学したが──。
一万字ちょいの短編です。他サイトにも投稿しています。
残酷表現がありますのでR15にいたしました。タイトル変更しました。
側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります。
とうや
恋愛
「私はシャーロットを妻にしようと思う。君は側妃になってくれ」
成婚の儀を迎える半年前。王太子セオドアは、15年も婚約者だったエマにそう言った。微笑んだままのエマ・シーグローブ公爵令嬢と、驚きの余り硬直する近衛騎士ケイレブ・シェパード。幼馴染だった3人の関係は、シャーロットという少女によって崩れた。
「側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります」
********************************************
ATTENTION
********************************************
*世界軸は『側近候補を外されて覚醒したら〜』あたりの、なんちゃってヨーロッパ風。魔法はあるけれど魔王もいないし神様も遠い存在。そんなご都合主義で設定うすうすの世界です。
*いつものような残酷な表現はありませんが、倫理観に難ありで軽い胸糞です。タグを良くご覧ください。
*R-15は保険です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる