韓劇♡シアター#文披31題

鶏林書笈

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山中散策〜Day11“緑陰”

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 鳥の声で目覚めた牧隱先生は外に出た。
 初夏の緑陰や若草の芳しさは満開の花に勝るなぁ
 爽やかな気分になった先生はすこし遠くまで足をのばす。
 何処からか鶯の声が聴こえた。人里よりも季節が半歩遅いようだ。
 歩きながら先生は過ぎし日々を思い返す。
 若き日、青雲の志を抱いて唐土に渡った。そこで勉学に励んだ。
 その後、故国に戻り出仕、王と民のために働いた。
 だが、既に王朝の命脈は尽き、自分が仕えていた国は滅びてしまった。
 最後まで抵抗した自分は都を追われ、この山中に配流された。
 だが、そのお陰で大自然の中に身を置くことが出来て安らぎを得た。
 まさに今の暮らしこそ、病んだ老人に与える最良の薬ではないか。
 家の戻ると先生は、机の前に座り筆を手にし、一首書き上げた。

  綠陰芳草勝花時 一段淸閑付與誰
  坐想病翁丸藥處 滿庭微雨囀黃鸝
    緑陰芳草、花時に勝る、一段の清閑、誰が付与す。
    坐して想う、翁に丸薬処するに、庭に満つる微雨と黃鸝の囀り。
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