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第四十四話 ヒトスジシマッカー その2
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「ぬ。ぐぐ、ぐる、しい……」
若草色の修道服の胸元を押さえて苦しみ悶えるお師匠様。
「ぐあ~~~~~」
壮絶な悲鳴をあげて喉をかきむしるお師匠様の口から、ひゅるひゅるひゅると、白く長い糸のようなものが飛び出していく。
図書室で虫の半吉から出てきた細い糸とそっくりだ。
半吉が出した糸の三倍はあろうかという長い長い糸が口から出きった瞬間、お師匠様の全身がエメラルドグリーンの光にぴかーんと包まれた。
直太の頭上にいたヒトスジシマッカーたちが驚いて、光の届かない場所まで後退していく。
やがて光の中から、声がした。
「エツランシャ、礼を言うアル」
力強い声と共に姿を現したのは、袖や裾の広がった緑色の中華風格闘服を着て、顔の真ん中に三本線の緑色のペイントが入ったお師匠様だった。
さっきまでの大人しそうな感じとは打って変わって、目の中に凄みのある光を湛えて笑っていた。
これが半吉の憧れているというお師匠様の不敵な笑み。
(思ってたのと、違うな……)
お師匠様の不敵な笑みは独特だった。
凄みのあるニヒルな微笑というか、笑顔が得意じゃない人が「はい、笑顔」と言われて写真に写った時の笑顔というか。
不敵な笑みというよりも、笑い方を知らない人がなんとか笑おうとしてるみたいな引き攣った笑みだった。
(半吉はこの笑顔に憧れているの、か?)
まあ、お師匠様にフォーリンラブな半吉の目には、あの笑顔がもっと素敵に見えているのかもしれない。
恋は盲目というから。
「おおおおおお、お師匠様だミョウ~~~~~。よかっだミョウ~~~~」
半吉は大きな黒目をウルウルさせて、元々抱きついていたお師匠様に、更にひしっと抱きついた。
おいおい泣きすがる半吉をお師匠様はひょいと引き剥がし、エキゾチックな瞳でキリっと半吉を覗き込む。
「半吉、今は泣いている場合ではないアル。さあ、狩りの時間アルヨ」
若草色の修道服の胸元を押さえて苦しみ悶えるお師匠様。
「ぐあ~~~~~」
壮絶な悲鳴をあげて喉をかきむしるお師匠様の口から、ひゅるひゅるひゅると、白く長い糸のようなものが飛び出していく。
図書室で虫の半吉から出てきた細い糸とそっくりだ。
半吉が出した糸の三倍はあろうかという長い長い糸が口から出きった瞬間、お師匠様の全身がエメラルドグリーンの光にぴかーんと包まれた。
直太の頭上にいたヒトスジシマッカーたちが驚いて、光の届かない場所まで後退していく。
やがて光の中から、声がした。
「エツランシャ、礼を言うアル」
力強い声と共に姿を現したのは、袖や裾の広がった緑色の中華風格闘服を着て、顔の真ん中に三本線の緑色のペイントが入ったお師匠様だった。
さっきまでの大人しそうな感じとは打って変わって、目の中に凄みのある光を湛えて笑っていた。
これが半吉の憧れているというお師匠様の不敵な笑み。
(思ってたのと、違うな……)
お師匠様の不敵な笑みは独特だった。
凄みのあるニヒルな微笑というか、笑顔が得意じゃない人が「はい、笑顔」と言われて写真に写った時の笑顔というか。
不敵な笑みというよりも、笑い方を知らない人がなんとか笑おうとしてるみたいな引き攣った笑みだった。
(半吉はこの笑顔に憧れているの、か?)
まあ、お師匠様にフォーリンラブな半吉の目には、あの笑顔がもっと素敵に見えているのかもしれない。
恋は盲目というから。
「おおおおおお、お師匠様だミョウ~~~~~。よかっだミョウ~~~~」
半吉は大きな黒目をウルウルさせて、元々抱きついていたお師匠様に、更にひしっと抱きついた。
おいおい泣きすがる半吉をお師匠様はひょいと引き剥がし、エキゾチックな瞳でキリっと半吉を覗き込む。
「半吉、今は泣いている場合ではないアル。さあ、狩りの時間アルヨ」
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