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第四十二話 半吉の決意
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「マジか……」
「マジなんだミョウ」
お師匠様の仇がナミハンッミョウだったとは。
直太も言葉を失う。
「半吉もガガーンだったミョウ。たぶん、半吉がお師匠様の弟の仇と同じ種族だってバレたら、半吉、カマタリ5でザクザクに切り刻まれるミョウ。半吉の人生ジ・エンドだミョウ」
「……ヤベーな」
「ヤベーんだミョウ。ヤベーんだけど、半吉はお師匠様が大好きなんだミョウ。だからそばにいたいんだミョウ」
うるうると半吉の大きな黒目が潤む。
「つまり……お師匠様に自分の正体を知られないために、半吉は本来の狩りを封印してるっつーわけか」
こくこく頷く半吉。
「半吉、お師匠様とずっと一緒にいたいんだミョウ。だからチョウセンカマッキリの狩りしかしないって決めたんだミョウ。それに、狩りができないダメダメな半吉を見るとお師匠様は、『お前は私の弟にそっくりアル』って、喜ぶんだミョウ。だから半吉はこれでいいんだミョウ」
なんか、グッと来た。
(なんも考えてなさそうに見えて、半吉も、いろいろ頑張ってんだなぁ)
しみじみと半吉を見る。
目が合った。
ドキッ。
「桐山直太、まーた休んでいるミョウ。大滝神社はもうすぐそこだミョウ。早くお師匠様のところまで行くんだミョウ」
「あれれー、思ってた展開と違うぜぃ」
「? いいから早く足を動かすんだミョウ」
「へいへい……って、マジでもうすぐじゃん」
「だからそう言ってるミョウ」
直太は石段の端を登り切って、神社の境内に足を踏み入れた。
「ふう。オレ頑張った。ちょい休憩」
「ああ~、桐山直太は休憩が多すぎるミョウ。桐山直太はのろますぎるミョウ。半吉、ちょっくら先に行くミョウ! お師匠様~」
ブーン、と、半吉が猛スピードで先を飛んで行く。
「ったく。少しくらい褒めてくれよー。オレ、ど根性の昭和っこじゃなくて、褒められて伸びる令和っこなんだけど。」
やれやれ、とため息を吐いていたら「ぎゃわわわ、ダメだミョウ! お師匠様~」と、半吉の悲壮な叫びが聞こえた。
「放してください。わたくしは」
聞きなれない女の人の声もする。お師匠様の声か?
「うぎゃー、桐山直太~、なんとかするミョウ」
なんか知らんけどピンチっぽい。
「おっしゃ、今行く」
叫んで、直太は境内を駆けだした。
そういえば、解毒剤は直太のポケットの中にあるのだ。
初対面のタマ様が、いきなり無理やり許可なく押し込めたから。
「てことは半吉が一人でお師匠様の元へ向かっても意味ねーじゃん」
サア~~~と、どこからか滝の流れるような水音が聞こえている。
境内の奥には緑色の立派なお社が佇んでいて、その更に奥の方に緑色の鳥居が聳え立っていた。
「この構造って、もしや」
水音は聞こえど、滝のようなものは見当たらない。
つまり、あの鳥居の先にあるんだな。
そこに聖なる水を求めるお師匠様と、それを阻止する半吉もいるはず。
直太は「半吉~、大丈夫かー」と叫びながら緑色の鳥居に向かって走る。
「桐山直太~、こっちだミョウ~!!」
「ん?」
予想とは違う方向から半吉の声がした。
お社より手前の左側。
振り向いて「え?」と、目が点になる。
「ダメだミョウ! お師匠様~」
「わたくしは、聖なる水に入水して祈りを捧げなければならないのです」
「うぎゃー、桐山直太~、ぼけっとしてないで早く助けるミョウ。お師匠様が聖なる水に入ってしまうミョウ~」
「マジなんだミョウ」
お師匠様の仇がナミハンッミョウだったとは。
直太も言葉を失う。
「半吉もガガーンだったミョウ。たぶん、半吉がお師匠様の弟の仇と同じ種族だってバレたら、半吉、カマタリ5でザクザクに切り刻まれるミョウ。半吉の人生ジ・エンドだミョウ」
「……ヤベーな」
「ヤベーんだミョウ。ヤベーんだけど、半吉はお師匠様が大好きなんだミョウ。だからそばにいたいんだミョウ」
うるうると半吉の大きな黒目が潤む。
「つまり……お師匠様に自分の正体を知られないために、半吉は本来の狩りを封印してるっつーわけか」
こくこく頷く半吉。
「半吉、お師匠様とずっと一緒にいたいんだミョウ。だからチョウセンカマッキリの狩りしかしないって決めたんだミョウ。それに、狩りができないダメダメな半吉を見るとお師匠様は、『お前は私の弟にそっくりアル』って、喜ぶんだミョウ。だから半吉はこれでいいんだミョウ」
なんか、グッと来た。
(なんも考えてなさそうに見えて、半吉も、いろいろ頑張ってんだなぁ)
しみじみと半吉を見る。
目が合った。
ドキッ。
「桐山直太、まーた休んでいるミョウ。大滝神社はもうすぐそこだミョウ。早くお師匠様のところまで行くんだミョウ」
「あれれー、思ってた展開と違うぜぃ」
「? いいから早く足を動かすんだミョウ」
「へいへい……って、マジでもうすぐじゃん」
「だからそう言ってるミョウ」
直太は石段の端を登り切って、神社の境内に足を踏み入れた。
「ふう。オレ頑張った。ちょい休憩」
「ああ~、桐山直太は休憩が多すぎるミョウ。桐山直太はのろますぎるミョウ。半吉、ちょっくら先に行くミョウ! お師匠様~」
ブーン、と、半吉が猛スピードで先を飛んで行く。
「ったく。少しくらい褒めてくれよー。オレ、ど根性の昭和っこじゃなくて、褒められて伸びる令和っこなんだけど。」
やれやれ、とため息を吐いていたら「ぎゃわわわ、ダメだミョウ! お師匠様~」と、半吉の悲壮な叫びが聞こえた。
「放してください。わたくしは」
聞きなれない女の人の声もする。お師匠様の声か?
「うぎゃー、桐山直太~、なんとかするミョウ」
なんか知らんけどピンチっぽい。
「おっしゃ、今行く」
叫んで、直太は境内を駆けだした。
そういえば、解毒剤は直太のポケットの中にあるのだ。
初対面のタマ様が、いきなり無理やり許可なく押し込めたから。
「てことは半吉が一人でお師匠様の元へ向かっても意味ねーじゃん」
サア~~~と、どこからか滝の流れるような水音が聞こえている。
境内の奥には緑色の立派なお社が佇んでいて、その更に奥の方に緑色の鳥居が聳え立っていた。
「この構造って、もしや」
水音は聞こえど、滝のようなものは見当たらない。
つまり、あの鳥居の先にあるんだな。
そこに聖なる水を求めるお師匠様と、それを阻止する半吉もいるはず。
直太は「半吉~、大丈夫かー」と叫びながら緑色の鳥居に向かって走る。
「桐山直太~、こっちだミョウ~!!」
「ん?」
予想とは違う方向から半吉の声がした。
お社より手前の左側。
振り向いて「え?」と、目が点になる。
「ダメだミョウ! お師匠様~」
「わたくしは、聖なる水に入水して祈りを捧げなければならないのです」
「うぎゃー、桐山直太~、ぼけっとしてないで早く助けるミョウ。お師匠様が聖なる水に入ってしまうミョウ~」
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