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第三十七話 グリーンモンスター出現 その1
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それはイネ科雑草と同じ色をした超巨大なムシムッシーだった。
想像以上の巨体に直太はもういちどごくりと唾を飲み込んだ。
トゲナナフッシーよりも二回りはデカい。
ずざざざっ。どしん。
(うぉっ、こっち飛んできた!)
息を潜める直太と半吉の間の草に割って入るように、グリーンモンスターはその重たげな巨体を見事にジャンプさせて、ピンと勢いよく伸びているイネ科植物に飛び移った。
近くで見ると更にど迫力。
特に太ももがヤバい。
競輪選手とか、レスリング選手並みに筋肉モリモリ。
ぱっつんぱっつんのマッチョだ。
あのデカい図体を飛び上がらせる脚力。
そりゃゴリゴリな筋肉もついていよう。
こいつに蹴られたら、一発KO間違いなしだ。
モッシャモッシャ。バリンバリン。
グリーンモンスターが、恐ろしい音を立ててイネ科植物を食んでいる。
確かに、草食系のようだけど。
(いや、スケール感)
狩場を進んでいる時に思ったが、イネ科植物の葉っぱはかなり硬くて頑丈だ。
繊維がテントの布並みなのだ。
それをいともたやすく、まるでせんべいでも齧るみたいに食べ進めていくグリーンモンスター。
モッシャモッシャ。バリンバリン。
草食系は草食系でも、草食系恐竜とか、ゾウとか、攻撃力マックスの草食系だ。
むやみに狩ろうとすれば返り討ちに合う。
食事をしながらも周囲を警戒しているのだろう。
グリーンモンスターの二等辺三角形の顔の両端についた細長く尖った目がキョロキョロと細かく動いている。
誰が見てもわかる。
圧倒的狂暴性。
(さ、さすがの半吉もこいつには手を出さないよな)
と思った瞬間。
「とりゃ~だミョウ!」
グリーンモンスターの背後で、半吉が猛烈なジャンプを繰り出した。
「手ぇ出しやがった~」
直太の目の前で繰り広げられる小型肉食系ちんちくりん生物と大型草食恐竜系モンスターの攻防。
(イケんのか、これ? 狩れんのか、これ?)
いや、でも半吉だって腐っても肉食系だし。と、半吉を見てぎょっとする。
大きな黒い瞳はらんらんと異様に輝いて、焦点が微妙に合っていない。
これはハンターの目じゃなくて空腹でイッちゃってる目だ。
絶対、相手が自分より強いか弱いか判断出来てない!!
「くらえ~、お師匠様直伝、カマ鉄砲だミョウ~!」
グリーンモンスターと比べると、大人と赤ちゃんくらい差のある半吉が、空中で両手を広げてカマを振りかざす仕草をしている。
「つか、カマ鉄砲のカマって確か……」
最初のグリーンモンスターとの闘いでぬかるみに落としてなかったっけ? と思った瞬間、半吉が「ハッ」と言った。
「あまりにお腹がペコペコで、カマタリ2を持ってないことを忘れてたミョウ~。しかもコイツ、かなりでっかいミョウ~」
いともたやすく半吉をよけたグリーンモンスター。
目を怒らせて……何故か直太に向かってびよんっとジャンプしてきた。
「なんでオレ~??」
逆恨みも甚だしい。
が、そんなことを言っている暇はない。
直太は無我夢中で、近くの草に飛び移った。
どしゃっ。
グリーンモンスターがさっき直太の隠れていたイネ科植物に着地。
「っぶねー」
危機一髪。
なんとかグリーンモンスターを避けた、と、思ったのも束の間。
ギラン。と、グリーンモンスターの尖った目が直太をロックオン。
びよんっ!っと、またこっちに向かってジャンプしてくる。
「だから、なんでオレなんだぁ~」
やべぇ、やべぇやべぇ。
出来るだけ遠く。
それでいて、オレが飛び移れそうな葉っぱは。
あのねこじゃらしだ!
あのねこじゃらしなら、ギリイケる。
でも、ねこじゃらしに飛び移っても、すぐさまグリーンモンスターは直太の方にジャンプしてくるだろう。
そしたら次は逃げきれないかもしれない。
生死を掛けた一瞬に、直太の思考は火を噴く勢いで回転した。
火事場のバカ力ならぬ、火事場のバカ頭。
ほんの0.0何秒のうちに、ぴかっと思いついた。
脳がフル回転しているせいか、迫りくるグリーンモンスターがスローモーションのように見える。
直太はくるりと向きを変え、左手をグリーンモンスターにかざし、持ちうる運動神経を研ぎ澄ませ、勢いよくねこじゃらしに向かってバックジャンプを繰り出しながら叫んだ。
「hide-and-seek!!」
想像以上の巨体に直太はもういちどごくりと唾を飲み込んだ。
トゲナナフッシーよりも二回りはデカい。
ずざざざっ。どしん。
(うぉっ、こっち飛んできた!)
息を潜める直太と半吉の間の草に割って入るように、グリーンモンスターはその重たげな巨体を見事にジャンプさせて、ピンと勢いよく伸びているイネ科植物に飛び移った。
近くで見ると更にど迫力。
特に太ももがヤバい。
競輪選手とか、レスリング選手並みに筋肉モリモリ。
ぱっつんぱっつんのマッチョだ。
あのデカい図体を飛び上がらせる脚力。
そりゃゴリゴリな筋肉もついていよう。
こいつに蹴られたら、一発KO間違いなしだ。
モッシャモッシャ。バリンバリン。
グリーンモンスターが、恐ろしい音を立ててイネ科植物を食んでいる。
確かに、草食系のようだけど。
(いや、スケール感)
狩場を進んでいる時に思ったが、イネ科植物の葉っぱはかなり硬くて頑丈だ。
繊維がテントの布並みなのだ。
それをいともたやすく、まるでせんべいでも齧るみたいに食べ進めていくグリーンモンスター。
モッシャモッシャ。バリンバリン。
草食系は草食系でも、草食系恐竜とか、ゾウとか、攻撃力マックスの草食系だ。
むやみに狩ろうとすれば返り討ちに合う。
食事をしながらも周囲を警戒しているのだろう。
グリーンモンスターの二等辺三角形の顔の両端についた細長く尖った目がキョロキョロと細かく動いている。
誰が見てもわかる。
圧倒的狂暴性。
(さ、さすがの半吉もこいつには手を出さないよな)
と思った瞬間。
「とりゃ~だミョウ!」
グリーンモンスターの背後で、半吉が猛烈なジャンプを繰り出した。
「手ぇ出しやがった~」
直太の目の前で繰り広げられる小型肉食系ちんちくりん生物と大型草食恐竜系モンスターの攻防。
(イケんのか、これ? 狩れんのか、これ?)
いや、でも半吉だって腐っても肉食系だし。と、半吉を見てぎょっとする。
大きな黒い瞳はらんらんと異様に輝いて、焦点が微妙に合っていない。
これはハンターの目じゃなくて空腹でイッちゃってる目だ。
絶対、相手が自分より強いか弱いか判断出来てない!!
「くらえ~、お師匠様直伝、カマ鉄砲だミョウ~!」
グリーンモンスターと比べると、大人と赤ちゃんくらい差のある半吉が、空中で両手を広げてカマを振りかざす仕草をしている。
「つか、カマ鉄砲のカマって確か……」
最初のグリーンモンスターとの闘いでぬかるみに落としてなかったっけ? と思った瞬間、半吉が「ハッ」と言った。
「あまりにお腹がペコペコで、カマタリ2を持ってないことを忘れてたミョウ~。しかもコイツ、かなりでっかいミョウ~」
いともたやすく半吉をよけたグリーンモンスター。
目を怒らせて……何故か直太に向かってびよんっとジャンプしてきた。
「なんでオレ~??」
逆恨みも甚だしい。
が、そんなことを言っている暇はない。
直太は無我夢中で、近くの草に飛び移った。
どしゃっ。
グリーンモンスターがさっき直太の隠れていたイネ科植物に着地。
「っぶねー」
危機一髪。
なんとかグリーンモンスターを避けた、と、思ったのも束の間。
ギラン。と、グリーンモンスターの尖った目が直太をロックオン。
びよんっ!っと、またこっちに向かってジャンプしてくる。
「だから、なんでオレなんだぁ~」
やべぇ、やべぇやべぇ。
出来るだけ遠く。
それでいて、オレが飛び移れそうな葉っぱは。
あのねこじゃらしだ!
あのねこじゃらしなら、ギリイケる。
でも、ねこじゃらしに飛び移っても、すぐさまグリーンモンスターは直太の方にジャンプしてくるだろう。
そしたら次は逃げきれないかもしれない。
生死を掛けた一瞬に、直太の思考は火を噴く勢いで回転した。
火事場のバカ力ならぬ、火事場のバカ頭。
ほんの0.0何秒のうちに、ぴかっと思いついた。
脳がフル回転しているせいか、迫りくるグリーンモンスターがスローモーションのように見える。
直太はくるりと向きを変え、左手をグリーンモンスターにかざし、持ちうる運動神経を研ぎ澄ませ、勢いよくねこじゃらしに向かってバックジャンプを繰り出しながら叫んだ。
「hide-and-seek!!」
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