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第十四話 ナミハンミョウってどんな昆虫?

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「半吉って、なんかマヌケだなー。つか超超超超巨大コガネムッシーって車のことか? そういや、うちの車もピンクだよな」
 直太の家の車は母さんが乗りやすい小回りの利く軽自動車で、色はピンクシルバー。
 つるりとしたフォルムをしている。

「今ってちょうど母さんが車でスーパーに買い出しに行ってる時間だよな。半吉が轢かれそうになったの、母さんの車だったりして」
 そんな風に考えたら、物語と自分が微妙にリンクして面白い。

「ナミハンッミョウってどんな虫なんだろ。いや、ナミハンミョウか?」
 お師匠様のチョウセンカマッキリは、たぶんチョウセンカマキリって名前のカマキリだろう。
 そんな名前のカマキリを昔図鑑で見た気がする。

 コガネムッシーはコガネムシのことだから、つまり小っちゃい「ッ」を取ると虫の名前になるってことだ。
 カマキリもコガネムシもわかるけど、ナミハンミョウって虫はあんま聞いたことがない。
 朝読で昆虫図鑑眺めてた時もカマキリとかクワガタとかトンボとか、有名どころばっか見てたしなぁ。

「赤と緑と青色に白い斑点模様のついたキラキラオシャレファッションで、脚が長くて、駿足の虫か。しかも飛ぶ……」
 直太は視線をぐるりと空に向けて想像する。

「なんか、気持ち悪そうだな」
 頭の中の半吉は、人間の子供風に擬人化されているから大丈夫だけど、本物はヤバそう。
 祥太だったら、軽く百メートルくらい全力疾走で逃げるな。
 
 逃げる祥太を想像してニヤリとしながら、直太はページをぱらりとめくって、緑のイモムシのような不思議な文字を辿り、続きを読み進めた。
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