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第十三話 巨大コガネムッシー
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タマ様を探して半吉はブーンと羽音をさせながら一心不乱に飛んでいた。
気が付けば神社のお社をカラフルにしたような、不思議な建物がいっぱい並んだ景色の上を飛んでいた。
どの建物も超巨大だ。
ヒトの棲む世界に着いたのだろうか。
建物群は灰色の小川の両側にずらーっと並んでいる。
灰色の小川は幅広になったり細くなったりしながら複雑に四方八方に、無数に入り組んで流れていた。
小川の両端には、葉っぱのない、つるっとした灰色の木もたくさん生えていた。
「あの灰色の木は何の木だミョウ? みんな葉っぱがないから枯れてるのかミョウ?」
カシでも、ナラでも、松や杉の木でもない灰色の幹は、節がなくすべすべで、一番上に真っ黒な蔦のようなものが木と木を結ぶように絡まってどこまでもつながって続いている。
黒い蔓の上には、ずらりと鳥が止まっていた。
「なんか変な森だミョウ」
灰色とはいえ、こんなにたくさん小川が流れているのに、青々と茂る樹木や緑の草花なんかはほとんど見当たらない。
たまに灰色の木の根元でタンポポがぱやっと黄色い花をつけているくらいだ。
「不思議なんだミョウ」
半吉は気になって、タンポポの生える灰色の木と小川に近づいてみた。
すると驚くことに小川だと思っていたのは、硬い岩のような石のようなものだったのだ。
灰色の木も同じような石のようなものでできている。
「こんなに長くて、すべすべの石、初めて見るんだミョウ」
タンポポは灰色の石の小川と灰色の石の木の間の割れ目から生えていた。
「この灰色の木、獣臭いミョウ。ここは何かの獣の縄張りなのかミョウ」
灰色の小川は小川で、つーん、と、嗅いだことのない目に染みる嫌な匂いが漂っている。
半吉は息を止めた。
「どぐ(毒)のぼがわ(小川)がもじれないミョウ」
ボォロロロロロ。
突然、大きな地響きがし始めた。
「ごんどば(今度は)じじん(地震か)がミョウ?」
地響きは凄まじい勢いで大きくなっていく。
ブロロロロロロロ。
どうやら、何かがこちらにやってくるようだ。
イノシシかミョウ?
いや違うミョウ、もっと大きな、クマかミョウ?
いやいや、もっと大きい気がするミョウ。
半吉が目に捉えたのは、ギラリと桃色に光る、ころりとしたフォルムの超超超超巨大コガネムッシーのような生き物だった。
普通のコガネムッシーの百倍、いや千倍、いやもっともっと大きい。
超超超超巨大コガネムッシーは、灰色の川を猛スピードで流れるようにこっちに走ってくる。
森では『駿足の半吉』と異名を持ち(お師匠様がつけてくれた)自慢の長い脚でまあまあ長い距離を瞬間移動並みの速さで走り抜けることができる半吉だが、超超超超巨大コガネムッシーは、丸くて黒い四つの脚を転がして、目の回るスピードで爆走を続けている。
しかも他には目もくれず、一直線に半吉の方へやって来るではないか!
まずい! 絶対に半吉を食べるつもりだミョウ!!
「ぎゃわわわわわあ~。半吉なんか食べても腹の足しにならないミョウ」
必死に飛んで逃げるが間に合わない。
(お師匠様、ごめんなさいだミョウ。半吉、死す、だミョウ)
万事休すと頭を抱えた半吉が短い人生を振り返っている間に、ブロロロロローと、超超超超巨大コガネムッシーは、灰色のくさいおならを振りまきながら……去っていった。
「た、助かったのかミョウ?」
ふう、と危機を脱した半吉。
「下は危ないんだミョウ」
ぶわんと、空へ浮かび上がった。
気が付けば神社のお社をカラフルにしたような、不思議な建物がいっぱい並んだ景色の上を飛んでいた。
どの建物も超巨大だ。
ヒトの棲む世界に着いたのだろうか。
建物群は灰色の小川の両側にずらーっと並んでいる。
灰色の小川は幅広になったり細くなったりしながら複雑に四方八方に、無数に入り組んで流れていた。
小川の両端には、葉っぱのない、つるっとした灰色の木もたくさん生えていた。
「あの灰色の木は何の木だミョウ? みんな葉っぱがないから枯れてるのかミョウ?」
カシでも、ナラでも、松や杉の木でもない灰色の幹は、節がなくすべすべで、一番上に真っ黒な蔦のようなものが木と木を結ぶように絡まってどこまでもつながって続いている。
黒い蔓の上には、ずらりと鳥が止まっていた。
「なんか変な森だミョウ」
灰色とはいえ、こんなにたくさん小川が流れているのに、青々と茂る樹木や緑の草花なんかはほとんど見当たらない。
たまに灰色の木の根元でタンポポがぱやっと黄色い花をつけているくらいだ。
「不思議なんだミョウ」
半吉は気になって、タンポポの生える灰色の木と小川に近づいてみた。
すると驚くことに小川だと思っていたのは、硬い岩のような石のようなものだったのだ。
灰色の木も同じような石のようなものでできている。
「こんなに長くて、すべすべの石、初めて見るんだミョウ」
タンポポは灰色の石の小川と灰色の石の木の間の割れ目から生えていた。
「この灰色の木、獣臭いミョウ。ここは何かの獣の縄張りなのかミョウ」
灰色の小川は小川で、つーん、と、嗅いだことのない目に染みる嫌な匂いが漂っている。
半吉は息を止めた。
「どぐ(毒)のぼがわ(小川)がもじれないミョウ」
ボォロロロロロ。
突然、大きな地響きがし始めた。
「ごんどば(今度は)じじん(地震か)がミョウ?」
地響きは凄まじい勢いで大きくなっていく。
ブロロロロロロロ。
どうやら、何かがこちらにやってくるようだ。
イノシシかミョウ?
いや違うミョウ、もっと大きな、クマかミョウ?
いやいや、もっと大きい気がするミョウ。
半吉が目に捉えたのは、ギラリと桃色に光る、ころりとしたフォルムの超超超超巨大コガネムッシーのような生き物だった。
普通のコガネムッシーの百倍、いや千倍、いやもっともっと大きい。
超超超超巨大コガネムッシーは、灰色の川を猛スピードで流れるようにこっちに走ってくる。
森では『駿足の半吉』と異名を持ち(お師匠様がつけてくれた)自慢の長い脚でまあまあ長い距離を瞬間移動並みの速さで走り抜けることができる半吉だが、超超超超巨大コガネムッシーは、丸くて黒い四つの脚を転がして、目の回るスピードで爆走を続けている。
しかも他には目もくれず、一直線に半吉の方へやって来るではないか!
まずい! 絶対に半吉を食べるつもりだミョウ!!
「ぎゃわわわわわあ~。半吉なんか食べても腹の足しにならないミョウ」
必死に飛んで逃げるが間に合わない。
(お師匠様、ごめんなさいだミョウ。半吉、死す、だミョウ)
万事休すと頭を抱えた半吉が短い人生を振り返っている間に、ブロロロロローと、超超超超巨大コガネムッシーは、灰色のくさいおならを振りまきながら……去っていった。
「た、助かったのかミョウ?」
ふう、と危機を脱した半吉。
「下は危ないんだミョウ」
ぶわんと、空へ浮かび上がった。
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