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第七話 セーフ
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「頼むー、間に合ってくれー」
校門を脱兎のごとく走り抜け、ちょっと休憩しつつ児童玄関で上履きに履き替える。
どうか貸出受付が図書司書の林先生ですよーに。
まるっとふくよかな林先生は、見た目と同じく性格もまるっとしてるから、ちょっとくらい時間をオーバーしても多めに見てくれるはずだ。
ついでに、図書カードを失くしたことも言って再発行してもらえたら、図書委員の彩音に文句を言われなくて済む。
図書カード紛失はこれで三回目。
彩音にバレたら、またガミガミ言われるに決まっている。
女子ってルールとか規則にやたらうるせーんだよな。なんでなんだろ。
「んなことより、今は図書室!!」
ちょっと疲れて一段飛ばしで階段を上がりながら頭を切り替える。
図書室についたら、テキトーにそれっぽい本をピックアップして、ささっと借りて、ささっと帰ろうっと。
(借りるのはでっかい本だな)
図鑑並みにでっかい本なら、机に立てて顔を隠せば居眠りしてもバレないはず。
先週の朝読では、カッコつけて文庫本を借りて痛い目にあったからな。
開いてみたら文字がびっしり詰まりまくってて、秒で爆睡していた。
「桐山~、寝るならもうちょいでっかい本選べー。丸見えにもほどがあるぞー」と、先生に注意され、みんなに爆笑された。
同じ轍は踏むまい。
「でもさー、実際、読書なんかつまんねーよな」と、一人ごちる。
机にかじりついて文字を読み続けるとは、なんたる苦行。
そういうの、読みたい人と徳の高いお坊さんがやればいいんじゃね?
知らんけど。
と、考えている間に四階までの階段を上りきって左側にある図書室の方をひょいと覗き込むと、ドアの小窓から光が漏れているのが見えた。
「セーフ!」
どうやら間に合ったみたいだ。
駿足のオレ、さすが! と、ガッツポーズを決めて、直太は図書室のドアをガラガラと開いたのだった。
校門を脱兎のごとく走り抜け、ちょっと休憩しつつ児童玄関で上履きに履き替える。
どうか貸出受付が図書司書の林先生ですよーに。
まるっとふくよかな林先生は、見た目と同じく性格もまるっとしてるから、ちょっとくらい時間をオーバーしても多めに見てくれるはずだ。
ついでに、図書カードを失くしたことも言って再発行してもらえたら、図書委員の彩音に文句を言われなくて済む。
図書カード紛失はこれで三回目。
彩音にバレたら、またガミガミ言われるに決まっている。
女子ってルールとか規則にやたらうるせーんだよな。なんでなんだろ。
「んなことより、今は図書室!!」
ちょっと疲れて一段飛ばしで階段を上がりながら頭を切り替える。
図書室についたら、テキトーにそれっぽい本をピックアップして、ささっと借りて、ささっと帰ろうっと。
(借りるのはでっかい本だな)
図鑑並みにでっかい本なら、机に立てて顔を隠せば居眠りしてもバレないはず。
先週の朝読では、カッコつけて文庫本を借りて痛い目にあったからな。
開いてみたら文字がびっしり詰まりまくってて、秒で爆睡していた。
「桐山~、寝るならもうちょいでっかい本選べー。丸見えにもほどがあるぞー」と、先生に注意され、みんなに爆笑された。
同じ轍は踏むまい。
「でもさー、実際、読書なんかつまんねーよな」と、一人ごちる。
机にかじりついて文字を読み続けるとは、なんたる苦行。
そういうの、読みたい人と徳の高いお坊さんがやればいいんじゃね?
知らんけど。
と、考えている間に四階までの階段を上りきって左側にある図書室の方をひょいと覗き込むと、ドアの小窓から光が漏れているのが見えた。
「セーフ!」
どうやら間に合ったみたいだ。
駿足のオレ、さすが! と、ガッツポーズを決めて、直太は図書室のドアをガラガラと開いたのだった。
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