51 / 97
夜のむし屋
意気投合!?
しおりを挟む
「マジで、何言ってんだよ、ダメほたる! あの人のTシャツ超かっけーじゃん!!」
優太君が憧れの眼差しで、Tシャツをキラキラ見つめていた。
「だろう? なにせこれを買うために一時間並んだんだ。少年には、特別にタマムシの部分を触らせてやる」
「い、いいんですか? うわぁ~、マジで本物の羽だ! かっけぇ~。いいなー。キラキラ甲虫博覧会って、いつやってたんですか? つか、まだやってますか? オレ、昆虫系イベントは漏らさずチェックしてるはずなんだけど知らないなー。マジでオレも買いたい!! 絶対欲しい!!」
(なに、この会話)
「優太君、それ本気で言ってる?」
「そうだけど、なんで?」
「なんでって、優太君が普段着てる服と随分方向性が違うなーと思って」
確か、優太君の通う小学校は、洋服のセンスを学ばせるため、あえて私服登校を導入しているはず。
今日の優太君の服装も、落ち着いた深緑色の長袖ボーダーの胸元に大家さんの家で会った時と同じく、海外の超高級ブランドのロゴが付いている。
「ああ、この服? これザマスさまが買ったやつだぜ。小学校行くときとザマス家に行くときは、ザマスさまが買った服着てんだよ。TPOってやつ? 普段はこんなダッセー服なんか着ないぜ! オレも昆虫関連のイベントとか行きまくってっから、オリジナルTシャツとか、虫短パンとか、カッコいい服いっぱいあるしな」
「へ、へえ~」
服のセンスに関してだけは、ザマスさま、否、大家さんの方が正しい気がする。
「この前神明ホールでやってた『Gはサイコー、世界のゴキブリ大集結展』の、数量限定ゴキブリだらけTシャツも持ってるぜ、オレ」と、ドヤ顔の優太君。
絶対にいらないTシャツなんですけど。
「な、なにぃ?? オレが買い損ねたあのゴキTをお前は買ったのか? こ、今度見せてくれないか」
「いいですよ! つか、他にもいろいろレアな昆虫グッズあるんで、持ってきましょうか?」
「ほ、本当か?」
優太君の話に食いつき、興奮しまくりな向尸井さんを見て、「なるほどねー」と水黄緑の君から、水黄緑のワンピース美女に戻った碧ちゃんが、ぽんっと手を打った。
「ずっと、神明三家の子どもが、誰かに似てるなーと思ってたんだけど、むし屋に似てたのかー」
「意気投合してるよね……」と、ほたるも複雑な気持ちで頷く。
あのTシャツはああとか、あのとき開催していたイベントの帽子はこうとか、夢中で話す二人は、ゲームの話で盛り上がる小学生男子みたいだ。
実際、優太君は小学生だけど、向尸井さんはこれでいいの?
どんどん知的イケメンのイメージが崩壊していくんですけど。
優太君が憧れの眼差しで、Tシャツをキラキラ見つめていた。
「だろう? なにせこれを買うために一時間並んだんだ。少年には、特別にタマムシの部分を触らせてやる」
「い、いいんですか? うわぁ~、マジで本物の羽だ! かっけぇ~。いいなー。キラキラ甲虫博覧会って、いつやってたんですか? つか、まだやってますか? オレ、昆虫系イベントは漏らさずチェックしてるはずなんだけど知らないなー。マジでオレも買いたい!! 絶対欲しい!!」
(なに、この会話)
「優太君、それ本気で言ってる?」
「そうだけど、なんで?」
「なんでって、優太君が普段着てる服と随分方向性が違うなーと思って」
確か、優太君の通う小学校は、洋服のセンスを学ばせるため、あえて私服登校を導入しているはず。
今日の優太君の服装も、落ち着いた深緑色の長袖ボーダーの胸元に大家さんの家で会った時と同じく、海外の超高級ブランドのロゴが付いている。
「ああ、この服? これザマスさまが買ったやつだぜ。小学校行くときとザマス家に行くときは、ザマスさまが買った服着てんだよ。TPOってやつ? 普段はこんなダッセー服なんか着ないぜ! オレも昆虫関連のイベントとか行きまくってっから、オリジナルTシャツとか、虫短パンとか、カッコいい服いっぱいあるしな」
「へ、へえ~」
服のセンスに関してだけは、ザマスさま、否、大家さんの方が正しい気がする。
「この前神明ホールでやってた『Gはサイコー、世界のゴキブリ大集結展』の、数量限定ゴキブリだらけTシャツも持ってるぜ、オレ」と、ドヤ顔の優太君。
絶対にいらないTシャツなんですけど。
「な、なにぃ?? オレが買い損ねたあのゴキTをお前は買ったのか? こ、今度見せてくれないか」
「いいですよ! つか、他にもいろいろレアな昆虫グッズあるんで、持ってきましょうか?」
「ほ、本当か?」
優太君の話に食いつき、興奮しまくりな向尸井さんを見て、「なるほどねー」と水黄緑の君から、水黄緑のワンピース美女に戻った碧ちゃんが、ぽんっと手を打った。
「ずっと、神明三家の子どもが、誰かに似てるなーと思ってたんだけど、むし屋に似てたのかー」
「意気投合してるよね……」と、ほたるも複雑な気持ちで頷く。
あのTシャツはああとか、あのとき開催していたイベントの帽子はこうとか、夢中で話す二人は、ゲームの話で盛り上がる小学生男子みたいだ。
実際、優太君は小学生だけど、向尸井さんはこれでいいの?
どんどん知的イケメンのイメージが崩壊していくんですけど。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
0
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる