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二度目のチャイム
雅楽
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「確かに、ちょっと遅いね……」
いるはずのない蝶(と蛾)が舞い、夕方を過ぎたあとに夕方のチャイムが鳴り、そのチャイムに合わせるように昼の空が夜になる。
スマホの時計は零時零分。
どう考えても、異常だ。
この異常な空間で、碧ちゃんが戻ってこない。
ほたるは碧ちゃんのことが、無性に心配になってきた。
「優太君、一緒に碧ちゃんを探しに」と、言いかけた時、ぽえーーーん。と、境内奥の拝殿の方から、木々が風に揺れるような、和楽器の笛の音が聞こえてきた。
更に、湿った和太鼓の音も響いてくる。
とんとんとんとんとん。しゃらん。
ててん。てんてろ。てん、とーん。
たたん。
ぴーーーー、ろーーーー、らーーーん。
ぽえーーーん。
てんてろてろてろ。
とんとんとんとんとん、と、と、と、と、とととととととと。
初詣の神社で流れているような、みやびな和重奏。伝統的な笛太鼓の音色が、神社の夜と同化して、ゆったり心地よく耳に響いてくる。
時折奏でられる、しゃらん、という、心を浄化するような鈴の音が、神聖な気持ちにさせる。
「雅楽だ。生音かな? いってみよーぜ」
好奇心旺盛な優太君が、すぐさま反応して、ぱっと目を輝かせた。
「でも碧ちゃんを探しに行かないと」
「その碧ちゃんも、そこにいるかもよ」
確かに、そんな気もする。
それになにより、ほたるの心もこの音色にすっかり奪われてしまっていた。
二人は音色のする方へと引き寄せられていったのだった。
いるはずのない蝶(と蛾)が舞い、夕方を過ぎたあとに夕方のチャイムが鳴り、そのチャイムに合わせるように昼の空が夜になる。
スマホの時計は零時零分。
どう考えても、異常だ。
この異常な空間で、碧ちゃんが戻ってこない。
ほたるは碧ちゃんのことが、無性に心配になってきた。
「優太君、一緒に碧ちゃんを探しに」と、言いかけた時、ぽえーーーん。と、境内奥の拝殿の方から、木々が風に揺れるような、和楽器の笛の音が聞こえてきた。
更に、湿った和太鼓の音も響いてくる。
とんとんとんとんとん。しゃらん。
ててん。てんてろ。てん、とーん。
たたん。
ぴーーーー、ろーーーー、らーーーん。
ぽえーーーん。
てんてろてろてろ。
とんとんとんとんとん、と、と、と、と、とととととととと。
初詣の神社で流れているような、みやびな和重奏。伝統的な笛太鼓の音色が、神社の夜と同化して、ゆったり心地よく耳に響いてくる。
時折奏でられる、しゃらん、という、心を浄化するような鈴の音が、神聖な気持ちにさせる。
「雅楽だ。生音かな? いってみよーぜ」
好奇心旺盛な優太君が、すぐさま反応して、ぱっと目を輝かせた。
「でも碧ちゃんを探しに行かないと」
「その碧ちゃんも、そこにいるかもよ」
確かに、そんな気もする。
それになにより、ほたるの心もこの音色にすっかり奪われてしまっていた。
二人は音色のする方へと引き寄せられていったのだった。
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