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むし屋
死神とアカトンボ
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「なるほどねぇ。それで、こんな時間から虫酔い草を飲んで酔っ払ってるのか」
ほたるの頬から手を離し、死神がおかしそうに笑った。
その途端、ひっく。と、止まっていたしゃっくりが戻る。
「この霧雨はあの人の仕業かな」と、死神が空を仰いでいる。
「あの人?」
「なんでもないよ。せっかくだからこの蜻蛉神社で参拝するといい。日本で蜻蛉は縁起モノだからね。蜻蛉を意味する『秋津』に島と書いて、昔は日本のことを『秋津島』と呼んでいたんだ。歴史に名を残す武将たちも蜻蛉を『勝ち虫』と崇めていたしね」
「へえ~。死神さんって物知りですねぇ」
「死神? ふふ。君、面白いね。ともかく、君の心に巣食っている虫もじき解決する」
「虫?」
いたずらっぽっくウィンクをして「雨も上がった」と死神が目を細めた。
「ホントだ……あ、あれ?」
目の前にいたはずの死神がいない。
それに、さっきまでの夕焼け空はどこへやら。
爽やかな秋の青空が広がっていた。
その中を一匹のアカトンボが優雅に泳いでいった。
ほたるの頬から手を離し、死神がおかしそうに笑った。
その途端、ひっく。と、止まっていたしゃっくりが戻る。
「この霧雨はあの人の仕業かな」と、死神が空を仰いでいる。
「あの人?」
「なんでもないよ。せっかくだからこの蜻蛉神社で参拝するといい。日本で蜻蛉は縁起モノだからね。蜻蛉を意味する『秋津』に島と書いて、昔は日本のことを『秋津島』と呼んでいたんだ。歴史に名を残す武将たちも蜻蛉を『勝ち虫』と崇めていたしね」
「へえ~。死神さんって物知りですねぇ」
「死神? ふふ。君、面白いね。ともかく、君の心に巣食っている虫もじき解決する」
「虫?」
いたずらっぽっくウィンクをして「雨も上がった」と死神が目を細めた。
「ホントだ……あ、あれ?」
目の前にいたはずの死神がいない。
それに、さっきまでの夕焼け空はどこへやら。
爽やかな秋の青空が広がっていた。
その中を一匹のアカトンボが優雅に泳いでいった。
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