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空蝉の声
レクチャー
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翌日の夕方、いったん家に戻ってケージごと黒モルモットを車に運び、さっそく染谷さんからモルモットの飼育についてレクチャーを受けた。
触り方も教わる。
椅子に座って染谷さんに黒モルモットを僕の膝に乗せてもらう。
温かい。
さすがは恒温動物。
こんなに小さいのに、なんと人間と同じように心臓があって拍動している。
トクトクと。
小さくて、生きている。
謎過ぎる。
少しでも僕がミスをすればあっさり死んでしまいそうで、椅子に座ったまま硬直した。
くすっと染谷さんがおかしそうに笑った。
「そんなに硬くならなくても大丈夫ですって。まあ私も、最初はおっかなびっくりだったなぁ。橘さんを見てるとあの頃のことを思い出すなぁ」
橘さん、と呼ばれて、くすぐったさが込みあがる。
過去の記憶を懐かしそうに手繰り寄せる染谷さん。
諦めの瞳の中の小さな輝きが増す。
美人だった。
触り方も教わる。
椅子に座って染谷さんに黒モルモットを僕の膝に乗せてもらう。
温かい。
さすがは恒温動物。
こんなに小さいのに、なんと人間と同じように心臓があって拍動している。
トクトクと。
小さくて、生きている。
謎過ぎる。
少しでも僕がミスをすればあっさり死んでしまいそうで、椅子に座ったまま硬直した。
くすっと染谷さんがおかしそうに笑った。
「そんなに硬くならなくても大丈夫ですって。まあ私も、最初はおっかなびっくりだったなぁ。橘さんを見てるとあの頃のことを思い出すなぁ」
橘さん、と呼ばれて、くすぐったさが込みあがる。
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