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空蝉の声
スクールカースト上位の苦悶
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僕は僕のことがわからなかった。
なら、湊たちは僕の何を見て友達になったのだろう。
告白してくる女子は、僕の何が好きなのだろう。
わからなかった。
その辺りからだ。
羽化不全の蝉の夢を見るようになったのは。
高校に入学してからも、僕の周りには新しいスクールカースト上位の友人たちが集まり、相変わらず女子に告白された。
カラリと断って、いつもどおりにふるまう。
「オレも告白とかされみてぇ。ナツだけずりぃぞ」と小突いてくる友達を冗談であしらう。
手慣れたことだった。
なのにだんだんと、女子の告白がうっとうしくなった。
「ごめん」と断って泣かれると怒りがせり上がる。
僕のことを何も知らないくせに。
両親の殻を被った僕を本当の僕だと思い込み、好きだと気持ちをぶつけてきて、泣く。
僕らの間には泣くほど深い友情すら構築されていないのに。
無性に腹が立つのを何とか抑えて、女子の喜ぶ爽やかな笑顔で「ありがとう」と感謝も伝えた。
そのあたりから、友人との付き合いも面倒くさくなってきた。
なら、湊たちは僕の何を見て友達になったのだろう。
告白してくる女子は、僕の何が好きなのだろう。
わからなかった。
その辺りからだ。
羽化不全の蝉の夢を見るようになったのは。
高校に入学してからも、僕の周りには新しいスクールカースト上位の友人たちが集まり、相変わらず女子に告白された。
カラリと断って、いつもどおりにふるまう。
「オレも告白とかされみてぇ。ナツだけずりぃぞ」と小突いてくる友達を冗談であしらう。
手慣れたことだった。
なのにだんだんと、女子の告白がうっとうしくなった。
「ごめん」と断って泣かれると怒りがせり上がる。
僕のことを何も知らないくせに。
両親の殻を被った僕を本当の僕だと思い込み、好きだと気持ちをぶつけてきて、泣く。
僕らの間には泣くほど深い友情すら構築されていないのに。
無性に腹が立つのを何とか抑えて、女子の喜ぶ爽やかな笑顔で「ありがとう」と感謝も伝えた。
そのあたりから、友人との付き合いも面倒くさくなってきた。
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