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モルモットマッチングサイト
家族
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気づけば春ちゃんを求めてオンライン上を彷徨っていた。
春ちゃんがモルモットのマッチングサイトに登録したことを知って、春ちゃんが会った飼い主のSNSから春ちゃんが来るかもしれないペットカフェやファミレスに行った。
自分から出かけておいて、店の前で、どうかいないでと願った。
実際に春ちゃんがいないことにがっかりした。
そんなことを繰り返して、これじゃいけないと、本当に春ちゃんを忘れようと、そう本気で決意した。
決意したのに。
その、はずだったのに。
「どうして……」
「ナツさんが、教えてくれたの」
「橘さん?」
「そう。ギズモのマッチングサイトで知り合ったの。ミミちゃん、生野菜のあと、口直しにチモシー食べてた。あれを教えたのはナツキでしょ」
牧草はアルファルファとチモシーの両方を与えた方がいいと橘さんに教えた。
いつもはアルファルファをよく食べるギズモが、生野菜を食べた後はチモシーを食べたがるから。
「ナツさんに言われたの。相手の気持ちは相手に直接聞かなければわからないって。だから会いに来た。あたしのことどう思ってるか、聞きに来た」
春ちゃんがお出かけバッグを開けてギズモを抱きかかえる。
「キュ、キュキュキュキュ、キュキュッ」
ギズモが春ちゃんの両手の中で小ジャンプし、私の腕に飛び込んでくる。
「会いたかった」と、春ちゃんが泣きながら笑う。
「もう一度、あたしとつきあってほしい」と、二度目の告白をしてくれる。こんな私に。
キュキュ。
ギズモが鳴いた。
『僕らは家族でしょ。家族はずっと一緒にいなきゃダメだよ』
そうギズモに言われた気がして、気が付けば、私はあの日の春ちゃんのように泣きじゃくっていた。
おしまい
春ちゃんがモルモットのマッチングサイトに登録したことを知って、春ちゃんが会った飼い主のSNSから春ちゃんが来るかもしれないペットカフェやファミレスに行った。
自分から出かけておいて、店の前で、どうかいないでと願った。
実際に春ちゃんがいないことにがっかりした。
そんなことを繰り返して、これじゃいけないと、本当に春ちゃんを忘れようと、そう本気で決意した。
決意したのに。
その、はずだったのに。
「どうして……」
「ナツさんが、教えてくれたの」
「橘さん?」
「そう。ギズモのマッチングサイトで知り合ったの。ミミちゃん、生野菜のあと、口直しにチモシー食べてた。あれを教えたのはナツキでしょ」
牧草はアルファルファとチモシーの両方を与えた方がいいと橘さんに教えた。
いつもはアルファルファをよく食べるギズモが、生野菜を食べた後はチモシーを食べたがるから。
「ナツさんに言われたの。相手の気持ちは相手に直接聞かなければわからないって。だから会いに来た。あたしのことどう思ってるか、聞きに来た」
春ちゃんがお出かけバッグを開けてギズモを抱きかかえる。
「キュ、キュキュキュキュ、キュキュッ」
ギズモが春ちゃんの両手の中で小ジャンプし、私の腕に飛び込んでくる。
「会いたかった」と、春ちゃんが泣きながら笑う。
「もう一度、あたしとつきあってほしい」と、二度目の告白をしてくれる。こんな私に。
キュキュ。
ギズモが鳴いた。
『僕らは家族でしょ。家族はずっと一緒にいなきゃダメだよ』
そうギズモに言われた気がして、気が付けば、私はあの日の春ちゃんのように泣きじゃくっていた。
おしまい
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