42 / 83
モルモットマッチングサイト
あの日の真実
しおりを挟む
ナツキはいびきを立てて眠る春ちゃんの、ワックスやら何やらでベタベタの髪を一晩中寝ないでずっと撫でてたんだよ。
ナツキはすごく悩んでいたんだ。
でも、ナツキは決意したんだよ。
それで、僕に春ちゃんを託したんだ。
「春ちゃんにはたくさんの選択肢があるから。春ちゃんが望む家族を作れる人がこの世界のどこかにいるはずだから。だからギズモ、春ちゃんのことをよろしくね」って。
ねえ、春ちゃん、聞いて。
僕は「キュ、キュイキュイ」と小ジャンプを繰り返した。
だけど春ちゃんに僕の声は届かない。
「心配いらないわ。ナツに任せて」
ミミちゃんが僕を優しくなだめるのと、ずっと黙っていたナツさんが口を開いたのはほぼ同時だった。
「僕は大学で昆虫学の講師をしています。僕は子供の頃から昆虫が好きでした。フィールドワークに出かけて珍しい昆虫に出会った時などはトキメキます。昆虫を愛おしく思う気持ちもあります。ですが僕はアセクシュアルなので、いわゆる恋愛感情と言うものがありません。そのため春ちゃんさんの気持ちが理解できると言ったらうそになります。けれど、一つだけ確かなことがあります」
真っ赤な目をした春ちゃんが、顔を上げる。
腫れあがった両目で「確かなこと?」と子どもみたいに尋ねた。
ナツさんは春ちゃんの前に小さなカードをスッと差し出し、ナツキみたいに微笑んだ。
「相手の気持ちは相手に直接聞かなければわからない、ということです」
ナツキはすごく悩んでいたんだ。
でも、ナツキは決意したんだよ。
それで、僕に春ちゃんを託したんだ。
「春ちゃんにはたくさんの選択肢があるから。春ちゃんが望む家族を作れる人がこの世界のどこかにいるはずだから。だからギズモ、春ちゃんのことをよろしくね」って。
ねえ、春ちゃん、聞いて。
僕は「キュ、キュイキュイ」と小ジャンプを繰り返した。
だけど春ちゃんに僕の声は届かない。
「心配いらないわ。ナツに任せて」
ミミちゃんが僕を優しくなだめるのと、ずっと黙っていたナツさんが口を開いたのはほぼ同時だった。
「僕は大学で昆虫学の講師をしています。僕は子供の頃から昆虫が好きでした。フィールドワークに出かけて珍しい昆虫に出会った時などはトキメキます。昆虫を愛おしく思う気持ちもあります。ですが僕はアセクシュアルなので、いわゆる恋愛感情と言うものがありません。そのため春ちゃんさんの気持ちが理解できると言ったらうそになります。けれど、一つだけ確かなことがあります」
真っ赤な目をした春ちゃんが、顔を上げる。
腫れあがった両目で「確かなこと?」と子どもみたいに尋ねた。
ナツさんは春ちゃんの前に小さなカードをスッと差し出し、ナツキみたいに微笑んだ。
「相手の気持ちは相手に直接聞かなければわからない、ということです」
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
ずぶ濡れで帰ったら彼氏が浮気してました
宵闇 月
恋愛
突然の雨にずぶ濡れになって帰ったら彼氏が知らない女の子とお風呂に入ってました。
ーーそれではお幸せに。
以前書いていたお話です。
投稿するか悩んでそのままにしていたお話ですが、折角書いたのでやはり投稿しようかと…
十話完結で既に書き終えてます。
今世ではあなたと結婚なんてお断りです!
水川サキ
恋愛
私は夫に殺された。
正確には、夫とその愛人である私の親友に。
夫である王太子殿下に剣で身体を貫かれ、死んだと思ったら1年前に戻っていた。
もう二度とあんな目に遭いたくない。
今度はあなたと結婚なんて、絶対にしませんから。
あなたの人生なんて知ったことではないけれど、
破滅するまで見守ってさしあげますわ!
とある令嬢の勘違いに巻き込まれて、想いを寄せていた子息と婚約を解消することになったのですが、そこにも勘違いが潜んでいたようです
珠宮さくら
恋愛
ジュリア・レオミュールは、想いを寄せている子息と婚約したことを両親に聞いたはずが、その子息と婚約したと触れ回っている令嬢がいて混乱することになった。
令嬢の勘違いだと誰もが思っていたが、その勘違いの始まりが最近ではなかったことに気づいたのは、ジュリアだけだった。
あなたたちのことなんて知らない
gacchi
恋愛
母親と旅をしていたニナは精霊の愛し子だということが知られ、精霊教会に捕まってしまった。母親を人質にされ、この国にとどまることを国王に強要される。仕方なく侯爵家の養女ニネットとなったが、精霊の愛し子だとは知らない義母と義妹、そして婚約者の第三王子カミーユには愛人の子だと思われて嫌われていた。だが、ニネットに虐げられたと嘘をついた義妹のおかげで婚約は解消される。それでも精霊の愛し子を利用したい国王はニネットに新しい婚約者候補を用意した。そこで出会ったのは、ニネットの本当の姿が見える公爵令息ルシアンだった。
義妹がいればそれだけでいいのでしょう?
新野乃花(大舟)
恋愛
ソリッド伯爵はミラというれっきとした婚約者を持っておきながら、妹であるセレーナにばかり気をかけていた。そのセレーナも兄が自分の事を溺愛しているということをよくわかっているため、ことあるごとに被害者面をしてミラの事を悪者にし、自分を悲劇のヒロインであると演出していた。そんなある日の事、伯爵はセレーナさえいてくれればなんでもいいという考えから、ミラの事を一方的に婚約破棄してしまう…。それこそが自らを滅ぼす第一歩になるとも知らず…。
【完結】政略の価値も無い婚約者を捨てたら幸せになった
miniko
恋愛
セシリアの婚約者は卒業パーティーで浮気相手の女をエスコートした。
優秀な婿を手に入れる為だと、婚約者の愚行を我慢してきたセシリアだったが、堂々と浮気する男が優秀であるはずがないと気付き婚約破棄をすることに。
婚約破棄で傷物となったセシリアの新しい縁談の相手は意外な人物で・・・。
名前が強いアテーシア
桃井すもも
恋愛
自邸の図書室で物語を読んでいたアテーシアは、至極納得がいってしまった。
道理で上手く行かなかった訳だ。仲良くなれなかった訳だ。
だって名前が強いもの。
アテーシア。これって神話に出てくる戦女神のアテーナだわ。
かち割られた父王の頭から甲冑纏って生まれ出た、女軍神アテーナだわ。
公爵令嬢アテーシアは、王国の王太子であるアンドリュー殿下の婚約者である。
十歳で婚約が結ばれて、二人は初見から上手く行かなかった。関係が発展せぬまま六年が経って、いよいよ二人は貴族学園に入学する。
アテーシアは思う。このまま進んで良いのだろうか。
女軍神の名を持つ名前が強いアテーシアの物語。
❇R15短編スタートです。長編なるかもしれません。R18なるかは微妙です。
❇登場人物のお名前が他作品とダダ被りしておりますが、皆様別人でございます。
❇相変わらずの100%妄想の産物です。史実とは異なっております。
❇外道要素を含みます。苦手な方はお逃げ下さい。
❇妄想遠泳の果てに波打ち際に打ち上げられた妄想スイマーによる寝物語です。
疲れたお心とお身体を妄想で癒やして頂けますと泳ぎ甲斐があります。
❇座右の銘は「知らないことは書けない」「嘘をつくなら最後まで」。
❇例の如く、鬼の誤字脱字を修復すべく公開後から激しい微修正が入ります。
「間を置いて二度美味しい」とご笑覧下さい。
浮気夫、タイムリープで地獄行き
おてんば松尾
恋愛
夫は浮気している。
私は夫に浮気され、離婚され子供を取り上げられた。
病んで狂って、そして私は自ら命を絶った。
それが一度目の人生。
私は巻き戻った。
新しい人生は、夫に従い、従順な妻を演じることにした。
彼に捨てられないように、子どもたちを取り上げられないようにと頑張った。
けれど、最後は夫と子供をあの女に奪われた。
三度目の人生。
私はもう絶対に間違わない。
※他サイトにも投稿中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる