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モルモットマッチングサイト
後悔
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「それっきりです。ナツキはマンションも引き払ってバーも辞めていました。あたし、ずっとナツキがバーテンダーをしていることが不満だったんです。ライフサイクルが違うから一緒に暮らしているのに一緒に過ごせない。出会った時は、バーテンダーをしているナツキをカッコイイと思ったのに、いざ付き合い始めたら寂しくて寂しくて、バーテン辞めてくれないかなって思うようになってました。そのうちにあたし、ナツキとの恋愛でできないことばかりが目に付くようになったんです。どんどん不満が溜まって、それをあの日、酔った勢いでナツキにぶちまけたんです。わざとナツキが嫌がりそうなことばかり言って、あたしはナツキを傷つけた。でもあの日、ナツキを酷く傷つけたって自覚がなかった。次の日にごめん、って謝ればすむと思っていた。それくらい、あたしは毎日ナツキの優しさに甘えていたんです。酔った勢いで不満をぶちまけて、あわよくばナツキがあたしとの時間をもっと作ってくれないかな、転職してくれないかな、とか、期待すらしてた。ホント、最低です。ナツキは、あたしの顔を二度と見たくなくて引っ越してバーも辞めたんだと思う。それくらい、あたしはナツキの心を抉る酷い言葉を浴びせてしまったから。本当に後悔してるんです」
春ちゃんの顔が苦悶に歪む。
あの日のナツキみたいに。
すんっと、鼻をすすって、春ちゃんはナツさんに言った。
「いくら後悔しても、もうナツキは帰ってこない。だからあたし、ナツキを忘れて新しい恋をしようってモルモットのマッチングサイトに登録したんです。でも」
春ちゃんは、くしゃりと顔を歪ませて両手で顔を覆った。
「ナツキに会いたい。会いたいよぉ」
とうとう泣き出してしまった春ちゃん。春ちゃんはナツキがいなくなってから泣き虫になった。
春ちゃん、違うんだよ。
ナツキは怒ってないよ。
春ちゃんの顔が苦悶に歪む。
あの日のナツキみたいに。
すんっと、鼻をすすって、春ちゃんはナツさんに言った。
「いくら後悔しても、もうナツキは帰ってこない。だからあたし、ナツキを忘れて新しい恋をしようってモルモットのマッチングサイトに登録したんです。でも」
春ちゃんは、くしゃりと顔を歪ませて両手で顔を覆った。
「ナツキに会いたい。会いたいよぉ」
とうとう泣き出してしまった春ちゃん。春ちゃんはナツキがいなくなってから泣き虫になった。
春ちゃん、違うんだよ。
ナツキは怒ってないよ。
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