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ナツさんとお姉さん
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「へえ。ナツさんかっこいいね」
「そこまではね」
「どういうこと?」
くすっと、ミミちゃんは笑う。
「ナツはね、昆虫以外の生き物がまるっきし苦手だったの」
そもそもナツさんがホームセンターのペットコーナーをちょくちょく訪れていたのは、昆虫ゼリーや昆虫マットなど、大学の研究で使う昆虫の飼育用品を購入するためだった。
ナツさんの働く大学はそのホームセンターの近くにあるらしい。
「ナツは私を家に連れ帰った日に、私に向かって『僕は毛の生えた生き物との接し方がわからないんだけど、君をどう扱えばいいかな』って困り果てながら聞くの。私に聞かれても困るのにね」
「確かに」
ミミちゃんを飼い始めた翌日から、ナツさんは足しげくペットコーナーにミミちゃんを連れて通った。
モルモットとの接し方や給仕方法などの基本をお姉さんから手取り足取り教わり、こわごわミミちゃんに触れる日々が続いたという。
「ナツは私を一人で抱っこできるようになるまで、たっくさんの時間がかかったの。それにね、私の名前を付けたのもつい最近の事なのよ。まあ、ナツがそんなだったおかげで、天涯孤独のお姉さんにナツという友達ができたし、結果オーライだけどね」
「そうだったのかぁ」
僕らは春ちゃんとナツさんを見上げながら頷き合った。
僕とミミちゃんはお互いの話をしながら、ずっと春ちゃんとナツさんの会話にも耳をすませていた。
モルモットは音に敏感で臆病と言われるけれど、それは、僕たちモルモットがたくさんの音を同時に聞き分ける能力が高いせいだ。
僕は春ちゃんが大好きな恋愛ドラマの内容から人間社会のことをある程度把握しているし、ミミちゃんもまた、ナツさんとの生活で人間のことをいろいろ知っているみたいだった。
「ギズモって名前の由来は」と僕の名前について始まった春ちゃんのトークは、かなりプライベートな部分にまで踏み込んでいる。
ナツさんの穏やかな雰囲気のせいか、安心できる匂いのせいか、春ちゃんは随分とナツさんに心を開いているようだった。
「そこまではね」
「どういうこと?」
くすっと、ミミちゃんは笑う。
「ナツはね、昆虫以外の生き物がまるっきし苦手だったの」
そもそもナツさんがホームセンターのペットコーナーをちょくちょく訪れていたのは、昆虫ゼリーや昆虫マットなど、大学の研究で使う昆虫の飼育用品を購入するためだった。
ナツさんの働く大学はそのホームセンターの近くにあるらしい。
「ナツは私を家に連れ帰った日に、私に向かって『僕は毛の生えた生き物との接し方がわからないんだけど、君をどう扱えばいいかな』って困り果てながら聞くの。私に聞かれても困るのにね」
「確かに」
ミミちゃんを飼い始めた翌日から、ナツさんは足しげくペットコーナーにミミちゃんを連れて通った。
モルモットとの接し方や給仕方法などの基本をお姉さんから手取り足取り教わり、こわごわミミちゃんに触れる日々が続いたという。
「ナツは私を一人で抱っこできるようになるまで、たっくさんの時間がかかったの。それにね、私の名前を付けたのもつい最近の事なのよ。まあ、ナツがそんなだったおかげで、天涯孤独のお姉さんにナツという友達ができたし、結果オーライだけどね」
「そうだったのかぁ」
僕らは春ちゃんとナツさんを見上げながら頷き合った。
僕とミミちゃんはお互いの話をしながら、ずっと春ちゃんとナツさんの会話にも耳をすませていた。
モルモットは音に敏感で臆病と言われるけれど、それは、僕たちモルモットがたくさんの音を同時に聞き分ける能力が高いせいだ。
僕は春ちゃんが大好きな恋愛ドラマの内容から人間社会のことをある程度把握しているし、ミミちゃんもまた、ナツさんとの生活で人間のことをいろいろ知っているみたいだった。
「ギズモって名前の由来は」と僕の名前について始まった春ちゃんのトークは、かなりプライベートな部分にまで踏み込んでいる。
ナツさんの穏やかな雰囲気のせいか、安心できる匂いのせいか、春ちゃんは随分とナツさんに心を開いているようだった。
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