タチバナ

箕面四季

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ライラック

十代の恋

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 でも人並みに幸せな人生を歩みながらも、私の心の片隅にはずっとコウタ君に対する気持ちがくすぶっていました。
 だから私は、コウタ君といつ再会しても困らないように、身なりに気を付けて小ぎれいでいようと努力を続けてきたの。

 泉ちゃんは、他のおじいちゃんおばあちゃんと違って私は素敵だと言ってくれましたね。

 でももし、私がコウタ君と結婚していたら、きっと私は今頃、優しくて穏やかなおばあちゃんだったと思います。
 体型だってまるっとしていたに違いありません。

 文句ばっかりのご老人はさておき、優しくて穏やかな、ザ・おじいちゃんおばあちゃんたちは人生に悔いがないのだと思います。
 自分の人生に満足しているから、次の世代の若者たちに世界を譲れる。
 だから穏やかで優しいおじいちゃんおばあちゃんになれるのです。
 私はただ、それができなかったのです。

 長い人生を経て思うのだけれど、十代の頃の恋は、二十代以降の恋愛とは全く異質のものです。
 とっても複雑で、キラキラしていて、宝石のように純粋に輝いている。

 私はね、十代の恋は全て初恋だと思うのよ。
 そして、不完全燃焼の初恋は永久にこじれてしまうのです。

 私が野球部君の名前をあっさり忘れられたのは、「ごめん」という答えをきちんと貰えたからだと思います。

 好きな人が自分をどう思っているのか、尋ねるのはとても怖いことです。
 自分が相手と不釣り合いだと思っている場合は特にね。

 でも、つりあうかつりあわないかは、相手が決めること。

 それに、自分の容姿って自分が思っているほど悪くないものなのよ。

 泉ちゃんと橘君は、とてもお似合いです。

 竹中泉さん。
 私はあなたの幸せを願っています。

 頑張って。
                       桜井香苗
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