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ライラック
素敵なおばあちゃん
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今朝、いきなり担当を代えられてしまった。
たぶん担当していたおばあちゃんから苦情が入ったのだろう。
あんな優しそうなおばあちゃんにすら嫌われてたなんて、自分のふがいなさに自己嫌悪。
「ほうじ茶のおかわりを貰ってもいいかしら」
新しく担当になったおばあちゃん、桜井香苗さんが湯飲みを差し出していた。
「あ、はい! すみません」
慌てて湯飲みを受け取り、ポットのほうじ茶を注ぐ。
(結構、熱い)
ちょっとだけ加水してから差し出すと、桜井さんは、こく、こく、と美味しそうに二口飲んで「ありがとう。良いお湯加減ね」と、にっこり微笑んだ。
(素敵なおばあちゃんだなぁ)
華奢だけど背筋がしゃんと伸びていて、服装も小ぎれいだ。ほんのり化粧もしているみたい。
芸能界にいる、おばあちゃんなのにどこか色香の漂う大ベテランの女優さんみたい。
本当にこんなおばあちゃんっているんだ。
「ライラックの花が綺麗ねぇ」
湯飲みを両手で包み込みながら、桜井さんがほうっと食堂の窓を眺めている。
窓の外に生えた低木に、紫色の鮮やかな花がポンポン咲いていた。
「本当だ……あの木、ライラックっていうんですか?」
私の質問に微笑みで返す桜井さん。本当に綺麗で素敵なおばあちゃん。
さぞかし素晴らしい人生を歩んできたんだろうな。
きっと素敵な恋をして、好きな人と結婚して。
「ライラックの花言葉は確か、初恋、だったかしら」
恋する少女のようにキラキラした瞳で、桜井さんは笑ったのだった。
たぶん担当していたおばあちゃんから苦情が入ったのだろう。
あんな優しそうなおばあちゃんにすら嫌われてたなんて、自分のふがいなさに自己嫌悪。
「ほうじ茶のおかわりを貰ってもいいかしら」
新しく担当になったおばあちゃん、桜井香苗さんが湯飲みを差し出していた。
「あ、はい! すみません」
慌てて湯飲みを受け取り、ポットのほうじ茶を注ぐ。
(結構、熱い)
ちょっとだけ加水してから差し出すと、桜井さんは、こく、こく、と美味しそうに二口飲んで「ありがとう。良いお湯加減ね」と、にっこり微笑んだ。
(素敵なおばあちゃんだなぁ)
華奢だけど背筋がしゃんと伸びていて、服装も小ぎれいだ。ほんのり化粧もしているみたい。
芸能界にいる、おばあちゃんなのにどこか色香の漂う大ベテランの女優さんみたい。
本当にこんなおばあちゃんっているんだ。
「ライラックの花が綺麗ねぇ」
湯飲みを両手で包み込みながら、桜井さんがほうっと食堂の窓を眺めている。
窓の外に生えた低木に、紫色の鮮やかな花がポンポン咲いていた。
「本当だ……あの木、ライラックっていうんですか?」
私の質問に微笑みで返す桜井さん。本当に綺麗で素敵なおばあちゃん。
さぞかし素晴らしい人生を歩んできたんだろうな。
きっと素敵な恋をして、好きな人と結婚して。
「ライラックの花言葉は確か、初恋、だったかしら」
恋する少女のようにキラキラした瞳で、桜井さんは笑ったのだった。
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