【完結】契約結婚。醜いと婚約破棄された私と仕事中毒上司の幸せな結婚生活。

千紫万紅

文字の大きさ
上 下
8 / 40

8 婚約

しおりを挟む


 そして私ブランシェ・エルマレは。

 本日めでたくも職場の上司であるアレクセイ様と、婚約する事に相成りました。

 その婚約自体は、アレクセイ様が何処かから持ってきた書面に名前をサインするだけというとっても簡単なお仕事でした。

『魔塔のお仕事もこんなに簡単なら、どんなに素敵なことでしょう!』

 と、アレクセイ様に言ったら叱られました。

 冗談が全然通じないお堅いお方です。

 そして肝心の結婚式はまだ未定。

 王族の結婚には国王陛下の了承が必要らしく、今度王宮に謁見に行くと告げられました。

「私、平民なのですが!? 王様に謁見なんてそんな大それた事してもいいんですか……?」

 国王陛下への謁見って、いったい何をするのでしょうか?

 平民の私には想像する事すら出来ません。

「何も問題はない。婚約の許可は既に貰っているし、兄は私の結婚相手を一番最初に見てみたいだけだから……面倒な……」

「いや、でもですね……?」

「それに謁見の為のドレスは此方でもう用意している、だから今日の業務が終われば私の屋敷に来て試着してもらう予定だ」

 あ、やっぱり謁見ってドレス着るのですね!?

 でも今の私がドレスを着てもきっと似合わない。

 最近あまり眠れませんでしたから目元にはくまが出来てしまって、肌はガサガサで髪もパサパサ。

 そんな自分の姿を見るだけで気が滅入ってしまう。

 よくこんな私にアレクセイ様は契約ですがご自分との結婚を提案されたなと思う次第です。

「あれ、でも……アレクセイ様って、王宮に住まれているんじゃないんですか? 王様の弟君ということは王子様ですよね、あれ……王弟殿下? あらら?」

 アレクセイ様はもう王子様っていうお年ではないはずですが、どうなんでしょ?

「私はもう王宮には住んでいないよ、継承権も放棄してしまっているし。そして今の肩書きは公爵だね」

「あ、そうなんですね……?」

 私はてっきり、アレクセイ様は王宮で暮らしているものだとばかり思っておりました。

 まあ上司アレクセイ様のプライベートなんて一切興味ありませんでしたから、それは仕方ありません。

 でも昨日婚約破棄を愚痴って、今日婚約の手続きだなんて仕事の早い上司です。

 この方はよっぽど周囲に結婚はまだかと急かさせるのが、嫌だったのでしょうか?
 
 色々と気になる事は多々ありますが、私はアレクセイ様に言われた通りに行動するだけです。

 平民の結婚とお貴族様の結婚は違い過ぎて私にはよくわかりませんから、アレクセイ様に全部お任せです。

 うちの上司、使える上司で本当に良かった!

しおりを挟む
感想 134

あなたにおすすめの小説

自称地味っ子公爵令嬢は婚約を破棄して欲しい?

バナナマヨネーズ
恋愛
アメジシスト王国の王太子であるカウレスの婚約者の座は長い間空席だった。 カウレスは、それはそれは麗しい美青年で婚約者が決まらないことが不思議でならないほどだ。 そんな、麗しの王太子の婚約者に、何故か自称地味でメガネなソフィエラが選ばれてしまった。 ソフィエラは、麗しの王太子の側に居るのは相応しくないと我慢していたが、とうとう我慢の限界に達していた。 意を決して、ソフィエラはカウレスに言った。 「お願いですから、わたしとの婚約を破棄して下さい!!」 意外にもカウレスはあっさりそれを受け入れた。しかし、これがソフィエラにとっての甘く苦しい地獄の始まりだったのだ。 そして、カウレスはある驚くべき条件を出したのだ。 これは、自称地味っ子な公爵令嬢が二度の恋に落ちるまでの物語。 全10話 ※世界観ですが、「妹に全てを奪われた令嬢は第二の人生を満喫することにしました。」「元の世界に戻るなんて聞いてない!」「貧乏男爵令息(仮)は、お金のために自身を売ることにしました。」と同じ国が舞台です。 ※時間軸は、元の世界に~より5年ほど前となっております。 ※小説家になろう様にも掲載しています。

完】異端の治癒能力を持つ令嬢は婚約破棄をされ、王宮の侍女として静かに暮らす事を望んだ。なのに!王子、私は侍女ですよ!言い寄られたら困ります!

仰木 あん
恋愛
マリアはエネローワ王国のライオネル伯爵の長女である。 ある日、婚約者のハルト=リッチに呼び出され、婚約破棄を告げられる。 理由はマリアの義理の妹、ソフィアに心変わりしたからだそうだ。 ハルトとソフィアは互いに惹かれ、『真実の愛』に気付いたとのこと…。 マリアは色々な物を継母の連れ子である、ソフィアに奪われてきたが、今度は婚約者か…と、気落ちをして、実家に帰る。 自室にて、過去の母の言葉を思い出す。 マリアには、王国において、異端とされるドルイダスの異能があり、強力な治癒能力で、人を癒すことが出来る事を… しかしそれは、この国では迫害される恐れがあるため、内緒にするようにと強く言われていた。 そんな母が亡くなり、継母がソフィアを連れて屋敷に入ると、マリアの生活は一変した。 ハルトという婚約者を得て、家を折角出たのに、この始末……。 マリアは父親に願い出る。 家族に邪魔されず、一人で静かに王宮の侍女として働いて生きるため、再び家を出るのだが……… この話はフィクションです。 名前等は実際のものとなんら関係はありません。

<完結> 知らないことはお伝え出来ません

五十嵐
恋愛
主人公エミーリアの婚約破棄にまつわるあれこれ。

幼馴染に奪われそうな王子と公爵令嬢

岡暁舟
恋愛
「王子様、本当に愛しているのは誰ですか???」 「私が愛しているのは君だけだ……」 「そんなウソ……これ以上は通用しませんよ???」 背後には幼馴染……どうして???

デブスの伯爵令嬢と冷酷将軍が両思いになるまで~痩せたら死ぬと刷り込まれてました~

バナナマヨネーズ
恋愛
伯爵令嬢のアンリエットは、死なないために必死だった。 幼い頃、姉のジェシカに言われたのだ。 「アンリエット、よく聞いて。あなたは、普通の人よりも体の中のマナが少ないの。このままでは、すぐマナが枯渇して……。死んでしまうわ」 その言葉を信じたアンリエットは、日々死なないために努力を重ねた。 そんなある日のことだった。アンリエットは、とあるパーティーで国の英雄である将軍の気を引く行動を取ったのだ。 これは、デブスの伯爵令嬢と冷酷将軍が両思いになるまでの物語。 全14話 ※小説家になろう様にも掲載しています。

王太子殿下が私を諦めない

風見ゆうみ
恋愛
公爵令嬢であるミア様の侍女である私、ルルア・ウィンスレットは伯爵家の次女として生まれた。父は姉だけをバカみたいに可愛がるし、姉は姉で私に婚約者が決まったと思ったら、婚約者に近付き、私から奪う事を繰り返していた。 今年でもう21歳。こうなったら、一生、ミア様の侍女として生きる、と決めたのに、幼なじみであり俺様系の王太子殿下、アーク・ミドラッドから結婚を申し込まれる。 きっぱりとお断りしたのに、アーク殿下はなぜか諦めてくれない。 どうせ、姉にとられるのだから、最初から姉に渡そうとしても、なぜか、アーク殿下は私以外に興味を示さない? 逆に自分に興味を示さない彼に姉が恋におちてしまい…。 ※史実とは関係ない、異世界の世界観であり、設定はゆるゆるで、ご都合主義です。

居場所を失った令嬢と結婚することになった男の葛藤

しゃーりん
恋愛
侯爵令嬢ロレーヌは悪女扱いされて婚約破棄された。 父親は怒り、修道院に入れようとする。 そんな彼女を助けてほしいと妻を亡くした28歳の子爵ドリューに声がかかった。 学園も退学させられた、まだ16歳の令嬢との結婚。 ロレーヌとの初夜を少し先に見送ったせいで彼女に触れたくなるドリューのお話です。

家族に裏切られて辺境で幸せを掴む?

しゃーりん
恋愛
婚約者を妹に取られる。 そんな小説みたいなことが本当に起こった。 婚約者が姉から妹に代わるだけ?しかし私はそれを許さず、慰謝料を請求した。 婚約破棄と共に跡継ぎでもなくなったから。 仕事だけをさせようと思っていた父に失望し、伯父のいる辺境に行くことにする。 これからは辺境で仕事に生きよう。そう決めて王都を旅立った。 辺境で新たな出会いがあり、付き合い始めたけど?というお話です。

処理中です...