21 / 21
酒場のビール
21 風が吹く
しおりを挟む
日が暮れる前には馬車は停まった。野山で夜を空けるには準備が必要だ。
数時間おきに休憩はとっていたが、長時間の慣れない移動に体は悲鳴をあげていた。
肩も、背中もあちこちが痛い。
雪弥はテントを貼るのを手伝いながら、顔をしかめる。
火を焚くのも、時間がかかった。
薪はあるが、周辺で燃えやすい草や小枝をさがす。
『雪弥。』
マントを被ったジョナサンが小声で手招きする。そばに近づくと顔を寄せて静かに言う。
『このくらいの、乾いた枝を集めてきてくれ。焚き火の用意をするから。乾燥した落ち葉や草なんかもいっしょに燃やすから持ってきてくれ。』
手に持った小枝を少し首を傾げ見つめた瞳は次にキラキラと輝いて雪弥を捉える。
雪弥は素直にこくりと頷いた。
『わかった。どのくらい集めると良い?』
このくらい、と両手で大きさを示すが小さめのスーパーの袋に収まるくらいだろうか。
にこっと笑顔を見せるジョナサンに雪弥も笑い返す。
少し歩き回ってみた所で
水と薪をもらいに行っていたジョナサンが小枝を探しに来る。
雪弥の手元には言われた量の1/3ほどしか貯まっておらず。暗くなる前に火を炊かなくてはならないから、急がなければ。
しかし背を向けた数分の間にジョナサンの手の中には小枝が多く集められていた。
にっと笑って早く来いと手招きする。
雪弥は小走りで、後を追ったのだった。
森の中に数個のテントが並ぶ。
数時間おきに休憩はとっていたが、長時間の慣れない移動に体は悲鳴をあげていた。
肩も、背中もあちこちが痛い。
雪弥はテントを貼るのを手伝いながら、顔をしかめる。
火を焚くのも、時間がかかった。
薪はあるが、周辺で燃えやすい草や小枝をさがす。
『雪弥。』
マントを被ったジョナサンが小声で手招きする。そばに近づくと顔を寄せて静かに言う。
『このくらいの、乾いた枝を集めてきてくれ。焚き火の用意をするから。乾燥した落ち葉や草なんかもいっしょに燃やすから持ってきてくれ。』
手に持った小枝を少し首を傾げ見つめた瞳は次にキラキラと輝いて雪弥を捉える。
雪弥は素直にこくりと頷いた。
『わかった。どのくらい集めると良い?』
このくらい、と両手で大きさを示すが小さめのスーパーの袋に収まるくらいだろうか。
にこっと笑顔を見せるジョナサンに雪弥も笑い返す。
少し歩き回ってみた所で
水と薪をもらいに行っていたジョナサンが小枝を探しに来る。
雪弥の手元には言われた量の1/3ほどしか貯まっておらず。暗くなる前に火を炊かなくてはならないから、急がなければ。
しかし背を向けた数分の間にジョナサンの手の中には小枝が多く集められていた。
にっと笑って早く来いと手招きする。
雪弥は小走りで、後を追ったのだった。
森の中に数個のテントが並ぶ。
0
お気に入りに追加
26
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
天涯孤独になった少年は、元兵士の優しいオジサンと幸せに生きる
ir(いる)
BL
ファンタジー。最愛の父を亡くした後、恋人(不倫相手)と再婚したい母に騙されて捨てられた12歳の少年。30歳の元兵士の男性との出会いで傷付いた心を癒してもらい、恋(主人公からの片思い)をする物語。
※序盤は主人公が悲しむシーンが多いです。
※主人公と相手が出会うまで、少しかかります(28話)
※BL的展開になるまでに、結構かかる予定です。主人公が恋心を自覚するようでしないのは51話くらい?
※女性は普通に登場しますが、他に明確な相手がいたり、恋愛目線で主人公たちを見ていない人ばかりです。
※同性愛者もいますが、異性愛が主流の世界です。なので主人公は、男なのに男を好きになる自分はおかしいのでは?と悩みます。
※主人公のお相手は、保護者として主人公を温かく見守り、支えたいと思っています。


フローブルー
とぎクロム
BL
——好きだなんて、一生、言えないままだと思ってたから…。
高二の夏。ある出来事をきっかけに、フェロモン発達障害と診断された雨笠 紺(あまがさ こん)は、自分には一生、パートナーも、子供も望めないのだと絶望するも、その後も前向きであろうと、日々を重ね、無事大学を出て、就職を果たす。ところが、そんな新社会人になった紺の前に、高校の同級生、日浦 竜慈(ひうら りゅうじ)が現れ、紺に自分の息子、青磁(せいじ)を預け(押し付け)ていく。——これは、始まり。ひとりと、ひとりの人間が、ゆっくりと、激しく、家族になっていくための…。

思い込み激しめな友人の恋愛相談を、仕方なく聞いていただけのはずだった
たけむら
BL
「思い込み激しめな友人の恋愛相談を、仕方なく聞いていただけのはずだった」
大学の同期・仁島くんのことが好きになってしまった、と友人・佐倉から世紀の大暴露を押し付けられた名和 正人(なわ まさと)は、その後も幾度となく呼び出されては、恋愛相談をされている。あまりのしつこさに、八つ当たりだと分かっていながらも、友人が好きになってしまったというお相手への怒りが次第に募っていく正人だったが…?

アリスの苦難
浅葱 花
BL
主人公、有栖川 紘(アリスガワ ヒロ)
彼は生徒会の庶務だった。
突然壊れた日常。
全校生徒からの繰り返される”制裁”
それでも彼はその事実を受け入れた。
…自分は受けるべき人間だからと。

光と闇の子
時雨
BL
テオは生まれる前から愛されていた。精霊族はめったに自分で身籠らない、魔族は自分の子供には名前を付けない。しかしテオは違った。精霊族の女王である母が自らの体で産んだ子供、魔族の父が知恵を絞ってつけた名前。だがある日、「テオ」は消えた。
レイは生まれた瞬間から嫌われていた。最初は魔族の象徴である黒髪だからと精霊族に忌み嫌われ、森の中に捨てられた。そしてそれは、彼が魔界に行っても変わらなかった。半魔族だから、純血種ではないからと、蔑まれ続けた。だから、彼は目立たずに強くなっていった。
人々は知らない、「テオ」が「レイ」であると。自ら親との縁の糸を絶ったテオは、誰も信じない「レイ」になった。
だが、それでも、レイはただ一人を信じ続けた。信じてみようと思ったのだ。
BL展開は多分だいぶ後になると思います。主人公はレイ(テオ)、攻めは従者のカイルです。

○○に求婚されたおっさん、逃げる・・
相沢京
BL
小さな町でギルドに所属していた30過ぎのおっさんのオレに王都のギルマスから招集命令が下される。
といっても、何か罪を犯したからとかではなくてオレに会いたい人がいるらしい。そいつは事情があって王都から出れないとか、特に何の用事もなかったオレは承諾して王都へと向かうのだった。
しかし、そこに待ち受けていたのは―――・・
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる