剣と魔法の世界 酒場で声をかけられて

のん

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酒場のビール

21 風が吹く

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 日が暮れる前には馬車は停まった。野山で夜を空けるには準備が必要だ。

数時間おきに休憩はとっていたが、長時間の慣れない移動に体は悲鳴をあげていた。


肩も、背中もあちこちが痛い。
雪弥はテントを貼るのを手伝いながら、顔をしかめる。


火を焚くのも、時間がかかった。
薪はあるが、周辺で燃えやすい草や小枝をさがす。


『雪弥。』
マントを被ったジョナサンが小声で手招きする。そばに近づくと顔を寄せて静かに言う。

『このくらいの、乾いた枝を集めてきてくれ。焚き火の用意をするから。乾燥した落ち葉や草なんかもいっしょに燃やすから持ってきてくれ。』
手に持った小枝を少し首を傾げ見つめた瞳は次にキラキラと輝いて雪弥を捉える。

雪弥は素直にこくりと頷いた。
『わかった。どのくらい集めると良い?』

このくらい、と両手で大きさを示すが小さめのスーパーの袋に収まるくらいだろうか。

にこっと笑顔を見せるジョナサンに雪弥も笑い返す。






少し歩き回ってみた所で
水と薪をもらいに行っていたジョナサンが小枝を探しに来る。

雪弥の手元には言われた量の1/3ほどしか貯まっておらず。暗くなる前に火を炊かなくてはならないから、急がなければ。

しかし背を向けた数分の間にジョナサンの手の中には小枝が多く集められていた。

にっと笑って早く来いと手招きする。


雪弥は小走りで、後を追ったのだった。


森の中に数個のテントが並ぶ。


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