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酒場のビール

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1日1本北西にむかう馬車が出る。

日がのぼり、昼前の明るい日差しのなか
2人は革の日差しよけが覆う馬車の荷台に乗り込んだ。


なかは、旅行用というよりも商人が荷台を空けてスペースを作ってくれているようだ。荷台のすみには木箱が積まれている。

他にも客は数人いたが、旅慣れた格好は身軽なものだった。商人は自分の荷馬車をもつか、魔法のかかったボックスを持ち歩く。


『商会で契約をし取引を行う商人が交代でこうして人を乗せ街を行き来するんだ。人を乗せる馬車は1日1本、隣町までと決まっている。それ以外だと、誰か知り合いに乗せてもらうことになる。』


隣に並んで腰掛け、ジョナサンに話を聞く。
背中に感じる固い木枠の感触に、落ち着きを感じるがおそらく長時間の移動には身体に痛みを感じるくらいに 居心地としては良くないのだろう。


馬車の日差しよけの隙間からもれる光に目を焼く。

薄暗いなか右肩にジョナサンの声が響いて心地いい。なんだかわくわくとして、清々しい。


雪弥たちは隣町までは行かず、1日半ほど行った途中の山道で降りる予定だ。

『隣町までは、どのくらいかかる距離なの?』


『馬車だと2日、歩きだと天候にもよるが10日ほどになる。』

歩きの場合、魔法で足を保護するのでそれよりは早いとの事。

魔法のないものは、乗り合い馬車を利用する。








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